愛しきものたち

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笠置山と笠置川原の阿弥陀磨崖石仏

2011年03月30日 | 石仏:京都

我が山城の母なる川の中流域??、奈良県の柳生と接してあの南北朝の大きな歴史のうねりの中に翻弄された笠置山が有ります。 

笠置山の頂上付近には笠置寺が有って古くからの名刹ですが、あの室生大野寺の弥勒大磨崖石仏のモデル磨崖石仏が有った所としても良く知られています。

あの後醍醐天皇の「元弘の乱」で一山もろともに火の海となり焼け爛れてしまいましたが、虚空蔵菩薩大磨崖石仏は今でもその姿を留め、焼けただれた弥勒磨崖石仏を彷彿とさせてくれます。

<頂上付近からの上流伊賀方面>

<同じく下流加茂方面>

そんな笠置山頂上付近の大岩と、直下の木津川岸の大岩にいずれも造立時期の変わらない阿弥陀如来石仏が刻まれています。

<行場の大石>

<後醍醐天皇の行在所蹟>

笠置山は大岩が累々とと連なる岩山で山頂付近は山岳修行の行場にも成っているが、頂上付近の貝吹岩から後醍醐天皇の行在所蹟への下り道に有る大岩の下部にこの阿弥陀如来が刻まれています。

舟形光背を深く彫り凹めた中に像高約1m??足らずの阿弥陀如来立像を中肉で刻みだしている。

涼しい顔つきで良く均整のとれた体躯・・、向かって左手にはしっかり天文三年(1534)三月の文字が刻まれている。

一方こちらは笠置山直下、岩をかんで流れる木津川岸の大岩に刻まれた阿弥陀石仏。

<付近はカヌー競技のメッカで風光明媚を絵に描いたような???>

国道163から笠置大橋を渡りきり直角に曲がると旅館の玄関、その玄関左脇に川岸への遊歩道が有って上流に伸びている。

遊歩道が細くなって、いよいよ大岩が目の前に累々と現れる辺りの右手大岩にこの阿弥陀如来磨崖石仏が刻まれています。

頂上付近の阿弥陀さんとほぼ同じ様な造りでちょっと小さめかな??

やっぱり涼しい顔で・・・・・・享禄三年(1530)の銘が有り、山上の阿弥陀に先立つこと四年・・・

この時期此処で何が有ったのだろうか・??

撮影2006.9.18