愛しきものたち

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大分市.元宮磨崖仏

2010年03月16日 | 石仏:九州

これは見事な丈六石仏、まるで定朝の木彫仏のような素晴らしい磨崖石仏です。

大分市街の南東部、R10号線岩屋寺信号の少し手前、元町の新旧入り混じった集落がJR九大本線沿いに軒を連ねている。

通称薬師堂と呼ばれている元宮磨崖仏は国道からJR九大本線の線路を越え街並みの南外れ、南面する丘陵裾の崖面に刻まれている。

壁面からせり出す様な覆い屋を2棟連ね、周りは付近住民の為の広い駐車場になっている。

向かって右側の立派な覆堂が薬師堂と呼ばれる建物で、外気が直接影響しないよう堂内正面には大きな1枚ガラスを嵌め込んでいるが、脇から磨崖正面真近真で寄る事が出来る。

堂内は照明も行き届き、石仏好きには至れり尽くせり状態です。

薬師堂の名前で呼ばれている通り、その三尊形の中尊は台座共に像高5m強、結跏趺坐で丸彫りに近い厚肉彫り、薬師如来と伝えられているが両手首から先が共に欠損、確定的な事は言えない。

磨崖仏で、本尊は薬師如来と伝えられる像高が3mを越える如来形座像である。向かって右には多聞天立像、左には不動明王立像と矜羯羅童子とセイタカ童子の不動三尊刻まれているが、殆ど不明なほどに欠損してしまっている。

中尊如来石仏の顔面の欠落部分から鉄釘を打ち込んだ跡、右手首の付け根から鉄芯が見え、粘土や別石で補って塑造、彩色をプラスして仕上げたものの様です。

本尊の迫力の溢れる体躯と優和な眼差しなどは圧倒的な荘厳さと魅力を併せ持っているだけに脇侍の損傷のひどさは残念この上ない。

大分市街中心地に近いこんな場所にこれほどの磨崖仏が隠れているとは・・・・近くには古国府と言う地名があったりして興味深いところです。

平安後期の作とされ、国指定史蹟 とされている。

別棟の覆屋には、風化欠落激しく像容も定かでない三尊形式の磨崖仏が2組、今にも自然の崖面に戻りそうです。

撮影2009.12.28

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