HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

ROGER WATERS / THE COLLECTION

2011-06-29 20:49:29 | ROCK

掲載写真はロジャー・ウォータースの5種のソロ・アルバム(7枚)とDVD1枚の計8枚が、
コンパクトなボックスに収納されたもの。未発表曲や未発表テイクといったボーナスは
一切無いので、過去盤を全て所持する方には無用の箱だが、私のように2枚しか持っていない
者には便利な箱である。私の購入価格は3379円あったので、値段的にも満足だ。

解散するまでのピンク・フロイドの作品の中でも最後期の「THE WALL 」「FINAL CUT」は
どちらかというと、テーマが重いことや音響的音楽的遊びが少ないこともあって、一般的な傾向として
好きな作品の上位に挙がることはあまり無い。それでも私は、この明らかにロジャー主導の
2作は好きで、その延長でロジャーのソロ作も買っていた。だが、それもいつしか個人的に
退屈な感じが強くなって以降は興味が向かなかったのだが、今回は遅れを取り戻す良い機会である。

とはいうものの、流石に2枚組のオペラ「CA IRA」は辛くて、まだ全てを聴いていない。
こういうことを書くと自分がいかに了見の狭い人間であるかの証左に他ならず、恥ずかしい限りなのだが
伝統的なクラシックに何の興味も無いし、フランス革命にも興味は無い。ピンク・フロイドを牽引した
ロジャーが、どんな音楽をつくるかという一点のみが興味の対象なのだが、ロジャーが歌う訳でも
ない、この作品をどう取り扱うか、正直なところ持て余している。

「これはアーティストとして『取り組むべき作品』であり、極東の島国の人間に欧州の崇高で格式高い伝統と
歴史なんざ理解してもらわなくて結構。」と、ロジャーに言ってもらったほうが、余程気が楽になるのだが。

87年の再結成ピンク・フロイドには最初は喜んだが、やがて私には特に意味の無いように映った。
それはギルモアよりロジャーに肩入れする私にとっては当然の帰結だったのだが、今回の箱にも
添付されている2000年に収録されたDVDを見ると、フロイドの楽曲はやはりロジャーに歌って欲しいと
思うのだ。

「ロジャーはザ・ウォールに固執し過ぎだ」という意見もあろう。再結成の際にギルモアのフロイドは、
ロジャー抜きでフロイドを名乗る条件の一つとして、ザ・ウォールに関する権利をロジャーのものと
したので、ギルモア・フロイドではザ・ウォールを再現できなかった。これを逆手に取ったかどうかは
知らないが、ロジャーがザ・ウォールをメインの演目に据えることは、何ら不思議ではないのだ。

DVD『IN THE FRESH』はNTSCでリージョン・フリー。ザ・ウォール~アニマルズ~炎、そして
狂気の主要楽曲の演奏で話題になった映像だ。
未見の方は、この後E.C.の相棒となる若きドイル・ブラムホールの雄姿を、是非見ていただきたい。
スノーウィー・ホワイトと並んでギターを弾くシーンは、ドイルが左利きということと二人が使用する
ギターが対照的なこともあって、実に格好良いのだ。

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エレファントカシマシ / EPIC映像作品集 1988-1994

2011-06-28 18:58:06 | 日本のロック・ポップス

米国はともかく、日本における「EPIC レーベル」は嫌いなレーベルであった。とにかく
所属するバンドやアーティストのほとんどに興味が無かったのだが、数少ない例外が佐野元春と
エレファントカシマシであった。CDを販売する仕事をしていた時期は、それでも頑張って顔に出さない
ようにしていたのだが、仕事が終わってバイト連中を引き連れて飯を食べに行く車中で遂に
言ってしまった。「くだらねぇCDだ」と。

バイトの一人がヒット曲だかプッシュ曲だかしらないが、エピック所属ミュージシャンを集めたお手軽な
コンピCDを車中でかけたのだが、流れて来る曲のどれもこれもが気に障る。飯屋への往復の道中で
40分ほどCDを聴いたのだが、そのCDに対して先のような言葉を言ってしまったのだ。
「それでも1曲だけ良い曲があったな。」
「えっ、それは何ですか。」
「『おはよう こんにちは』だな。」
「え~、本当ですか。あの曲は飛ばそうと思っていたんですよ。」

最初に彼らを聴いた時、直ぐにエレファントカシマシが、当時のどのバンドとも違った立ち位置にいて、
真実のみを誠実に正直に歌っていると了解した。ロック・バンドだからといって
ファンに表面上優しく接したりニコニコ笑う必要なんて、これっぽっちもないのだ。バンド・ブームとやらの
気持ち悪い風潮の中で彼らは特異であったが、それこそがロックだった。
すぐに気分の波が変わるように表情が変わる宮本浩次の、気まぐれにつきあうメンバーの信頼感というか
宮本を信じる姿勢というのも、なんとなく素敵に思えた。

掲載写真はエレファントカシマシがエピックに在籍した時期の映像を集めたDVD。収録時間は150分
近くあるのだが、その2/3近くを私は過去に見たことがあった。エピックも「eZ」も嫌いだったのに、それだけ
見ていたのは自分でも意外だった。

何の装飾も無くステージの全てが剥き出しの88年渋谷公会堂の『ファイティングマン』、パイプ椅子に座って
歌うも前のめりになりすぎて椅子が倒れて、途中から立って歌う89年の『珍奇男』、渋谷PARCO前の
スクランブル交差点に突っ立った4人を延々映した『男は行く』。テレビの公開録画で客を凍りつかせた
93年の『奴隷天国』、たまたま千葉テレビを見ていたら流れてきた、アルバム「東京の空」のダイジェスト・
プロモ。全てが懐かしく、今でもリアルだ。

このDVDに収録された映像で一番好きなのは、EPIC最後期の94年9月15日の日比谷野音の映像。
粗い画質とラフなカット。ここに捉えられたのはたった5曲だが、この映像からはロック・バンドである必然と
格好良さ、そして彼らが持ち続ける自由と優しさを感じる。当時のアルバム「東京の空」のタイトル曲に
参加した近藤等則が同曲でのゲスト参加で聞かせるトランペットは鳥肌もの。最後の『ファイティングマン』を
演奏中に宮本めがけて乱入してきた男を、ギターの石森がショルダー・タックルで追い払うシーンも
今となっては伝説だろう。

おはよう こんにちは さようなら。言葉じり合わせ 日がくれた。
私は死ぬまで、こんな人生を送るのだろう。それが私のロックンロール。
最近は、言葉尻を合わすのさえ億劫に思えてきたが。(笑)

宮本浩次には、ずっと「あいつら」の化けの皮を剥がし続けてほしい。
折角のロックンロールバンドなのだから。

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有山岸 / そろそろおこか~CARELESS LOVE~TOUR 2010

2011-06-27 05:13:19 | 日本のロック・ポップス

昨年6月に有山じゅんじと山岸潤史による「有山岸」のCDが出たのだが、それを記念しての
ツアーを収録したのが掲載写真のDVD。東京でのライブをメインに、大阪や京都でのライブが
14曲とリハーサル風景が90分収録されている。

アコースティック・ギターをメインにした歌って喋って笑わせる二人組といえば、まずはチャーと
石田長生のBAHO(馬呆)が思い浮かぶ。テクニカルでありながら、単にそれを見せつけるだけでなく
演奏を見聴きした後楽しい気分になれるというのは重要なことである。

有山岸も正しくそんな二人組。ブルーズを根底にした卓越した技術で聴く者を唸らせ、曲間の
やりとりやMCで観客を楽しませる。CDは単純に音楽を楽しむことができるのだが、ライブだと
演奏者の人柄や会場の空気も含めて楽しむことができるわけで、今回のDVDはCDを購入していない
人が有山岸を体験するには最適の1枚である。

私が聴かず嫌いというか、誤解していたのかはともかく、正直に言って本場のブルーズに
執着していた感のあったウエストロード・ブルース・バンドは、アルバムを所持しているものの
それほど熱心には聴いてこなかった。他の日本のブルーズ・バンドとは違った求道的な立ち位置は
逆に「それなら、オリジナルを聴くよ。」と思ったものだが、ニューオーリンズに行って世界に認められた
後の山岸の風通しの良さが、このユニットに反映されていて実に楽しい。

サンタナの『哀愁のヨーロッパ』のイントロから『悲しい色やね』に繋いだインストを演奏した後の
「これは『悲しいヨーロッパ』だ。」「いや『哀愁の色やね』だ。」とのやりとりが客席を和ませる。
ジャマイカを「じゃ、ま、いいか」と置き換える遊び心と、慌てず騒がずのんびり行くさという
有山のスタイルが、ふと日常生活や仕事でイライラする事の多い私を戒める。
昔からのファンには『バッド・ジャンキー・ブルース』『梅田からナンバまで』を披露するサービスも
忘れない。

東京の演奏には関係者席に内田裕也の姿がある。山岸のMCでアマチュアだった頃に裕也さんに
出会った時の話が出るのだが、これがちょっといい話。裕也さんがロックの発展に尽力してきたことが
ここでもわかるのだが、こういう話を知ると最近の裕也さんには「もうちょっと言動を慎重に」と
思ってしまうのも事実。

いずれにせよ、見て聴いて楽しいDVDである。

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KEITH RICHARDS / VINTAGE VINOS

2011-06-26 07:05:41 | ROCK

なんとなく勢いで買ってしまった2枚組(実質は1枚半)LP。
昨年CDが出た時は全く購買意欲が湧かなかった。

「ライブ盤を含めて3枚のアルバムからのベスト盤って一体・・・」という気持ちがあったのと、
目玉であるはずの『HURRICANE』がどんな曲かを知っていたから。というか、ブートレグで
間に合わせていたから。(笑)それに、「こんなの出すくらいなら、もっと別のがあるでしょう。」
という不満もあったし。

本来は『HURRICANE』がたった1分半のアコースティックの小品であったとしても、
件のシングルCDを持っていないなら、いやキース・リチャーズさんのファンならCDが出た時点で
入手すべきブツなのだろうが、購買意欲が湧かなかったものは仕方が無い。

今年になって今更のアナログ盤が出ると聞いて早速チェックすると、CDでは今ひとつ理解できなかった
曲の並びが、選曲はともかくアナログ盤の3面での収まり具合がしっくりきたのと、赤盤の魅力に
抗しきれなかったので今回の購入と相成った。

いや、もっと正直に言うと日本盤が余りに高いデレク&ザ・ドミノスの箱や、クイーンの最初の5枚のCDの
ボーナスCD付きの盤をひとまとめにしたボックスを安く購入すべく、米amazonで検索していた時の
勢いでカートに入れてしまったのが本当のところ。(笑)

当然ながら全曲知っているわけで、これといって新たな発見があるわけではないのだが、
このLPを買って良かったと思っている。はっきり言ってLPはCDに比べて面倒くさい。お手軽に
トレイに入れて流しっぱなしというわけにはいかないから。CDに慣れすぎた今では、LPを聴くには
「強力な意思」(笑)が働かないと、つい億劫になってしまう。その億劫さを乗り越えて
ターン・テーブルに乗せるのだから、必然的に気合が入るという訳だ。
いっそのこと、7枚組の7インチ・ボックスで出せば良かったのに。(笑)
尚更気合が入るというものだ。

さて、折角買った今回のLP。
ロン・ウッドの3枚組ライブ・ボックスの横に、機嫌良く並べますよ。

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FUNTIME ~ カバー・ソング100選への道・その24

2011-06-25 07:45:40 | ROCK

初めて「動くイギー・ポップ」の映像を見たのは、77年頃のアメリカのテレビ番組を収録したブートレグ・
ビデオだった。クールにバッキングに徹してキーボードを弾くボウイ様と対照的に、上半身裸で
床をのたうちまわるイギーには心底驚いたものだ。「何時に放送されたのか知らないがテレビで
これを流してもよかったのか。」というのと「たかがテレビなのに、この入れこみ方は何だ」という
二つの微妙な感覚が、「イギー・ポップってなんだか凄いな。」と思わせるには十分な映像だった。

掲載写真は、最近活動を再開したザ・カーズが95年にリリースした2枚組ベスト盤「JUST
WHAT I NEEDED」。個人的にはカーズはシングル盤向きのバンドだと思っているのと、
LPを引っ張り出すより手軽にシングル曲を聴くことが出来る、くらいのお手軽な感じで
このベスト盤を購入したのだが、何とそこにはイギー・ポップの『FUNTIME』のカバーが収録
されていた。

最初に見たイギーの映像で演奏された曲こそ『FUNTIME』であり、後にフリクションが演奏した
ことも知り、イギーのレパートリーの中ではトップ5に入るほど好きな曲になったのだが、それを
カーズがカバーしていたとは。勿論このベスト盤が登場するまで未発表であったのだが、面白いのは
その録音時期。81年のカーズといえば、4枚目のアルバム「SHAKE IT UP」をリリースし、
既に大物扱いだったはずだが、その時期にこのような録音を残していたのが興味深い。

未発表曲の蔵出しのためか、プロデューサーのクレジットはロイ・トーマス・ベイカーではなく
「THE CARS」となっている。最新テクノロジーをロックに取り込んだモダンなバンドとしての
イメージがあったカーズが、過去を振りかえるようなカバー・ソングをアルバムやシングルのB面に
収録するということは、良しとされなかったのだろうなんてことを今は想像して楽しむことができるのだが
単純に聴くことが出来て嬉しかった当時の記憶の強さもあって、カバー・ソング100選に選んだ。

 イギーのアルバム「PARTY」は今では、余り話題にならない
アルバムかもしれない。ここにはフィル・フィリップスの『SEA OF LOVE』のカバーが収録されている。
私が最初に『SEA OF LOVE』を知ったのは84年のハニードリッパーズのバージョンだった。
あの頃の私は昼夜を問わずレッド・ツェッペリンを聴いていたので、無条件にロバート・プラントが好きだった。
今聴くと少々ベタついた感じもするのだが、イギーのバージョンは「夏なのにクールな感じ」がして
気に入っている。今回の100選にはカーズからの流れでイギーのバージョンを選ぶことにした。

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 88

2011-06-24 19:14:17 | SOUL

昨日のニッカ・コスタのアルバムはジャケ買いだと書いた。
今回取り上げるジル・スコットも、立派にジャケ買いである。(笑)

そう、このジャケットで彼女を知るまでジルの楽曲やアルバムは勿論、プロフィールの
類も全く知らなかったのだ。2000年のデビュー以来、多くの支持を集めるR&Bシンガーで
グラミーの常連である、と言われても全く反応できないというのは、いかに私が
今の音楽界の動きや流行りに疎いかの証明に他ならないが、そんなことは20年近く
証明し続けているので(笑)今更なのだが。

フィラデルフィア出身だからといって安易に「フィリー・ソウル」と括る取り扱いをする向きも
あるようだが、それは違うだろう。私の得意でないバック・トラックなのだが、それを無機質に
感じさせない歌唱力は確かに感じる。元々、ソウルだろうがレゲエだろうが、私は
単純に気持ちの良い音を探しているのだ。そして、この音は気持ち良い。それが全てだ。

脂ぎった爺の私は、このCDをどこで聴くのか。
ふと、妄想する。夜の寝室か、いや夜、ぶっとばす車のカーステか・・・。
ああ、極めて短絡的で貧困な発想しかできない。この発想は、こういう聴き方が出来る人への
やっかみでしかない。私は六畳の和室に布団を敷いて寝るし、車はエンジン音が大きくて
R&Bどころではない。今日も明日もグレイトフル・デッドとストーンズで夜を乗りきるさ。

ところで、今回のジル・スコットに気を留めることになった「ジャケ買い」の理由とは。
これが答えだ!。

    なんとなく似てるでしょ?。(笑)

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 87

2011-06-23 07:00:03 | SOUL

掲載写真はニッカ・コスタが08年に出した「PEBBLE TO A PEARL」。例によってジャケ買いして
個人的に当たりだったアルバムだ。以下、購入に至るまでの私の脳内の動きを記すと・・・。

たまたまこのCDのジャケットを見てしまう。→ ジャケットがSuperflyの『ALRIGHT』のプロモ・
ヴィデオっぽいかんじだ。→ ん?「PEARL」?ジャニスっぽかったりして。→ おお、レーベルは
スタックスじゃないか!。
で、購入と相成った。彼女の経歴を見ると、それなりの歴史があるのだが何がきっかけで
リスナー(この場合、私)の耳に届くことになるか、ということを思い起こすと面白いものだ。

ニッカの父親がドン・コスタであるとかは、この際どうでもいい。白人の美人シンガーが、
R&Bが「アール&ビー」でなく、ちゃんと「リズム&ブルーズ」と認識されていた時代の
古き良きソウルの復権を宣言したアルバムとして、聴かれるべきアルバムなのだろう。

音の感じは妙にギスギスしていなくて高音がキンキンするわけでもなく、どことなく温かみを感じさせる。
レニー・クラヴィッツがデビューした時、メディアも聴き手も、その反応は半分された。
否定的な意見は「今更、この音かよ。」的なものだったが、レニーは支持され今年も新譜を出す。
ニッカの、このアルバムももっと評価され、広く聴かれるべきだと思う。ロック者が反応できる
美味しいフレーズやメロディーも山ほどあるし。

そう、もうすぐ出ると噂されるスライ・ストーンの新譜を待ち望むような人にこそ、聴いていただきたい
1枚。

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 86

2011-06-22 19:22:06 | 日本のロック・ポップス

辺見マリがデビューしてから最初に引退するまでの活動期間は、意外なほど短い。
リアル・タイムでは知る由も無かったが、69年にデビューして72年に引退というのは、
当時のファンにしても、売り出したプロダクションも複雑な思いがあったのではなかろうか。
今年になって辺見のオリジナル・アルバムがCD化されたのだが、その中でどうしても
欲しかったのが掲載写真の「マリとあなたの部屋」だった。

ヒット曲『経験』を収録しているのは勿論だが、日本語詞の全てを安井かずみが担当している
というのも大いに興味があった。安井のアルバムは2枚所持していて、どちらも気に入っている。
そんな彼女の書く歌詞が辺見のセクシー路線にどれくらい貢献したか、というのは既に多く語られて
いたとしても、やはりここらあたりの興味は尽きないのだ。
湿度の高い日本の気候と、決してアメリカではなく欧州を感じさせる安井の温度加減が
辺見を素材に上手くマッチしたことを改めて確認するのに最適なアルバムである。

そしてB面に収録されたカバー曲の数々。セクシー路線の最も解かり易いお約束、
それが「ジュ・テーム」。それほど上手い歌唱でないかもしれないが、ここで聴くことができる
溜息にやられた人は多いだろう。「アイドルを探せ」「サン・トワ・マミー」といったカバーの
振幅に、今時の20歳前後のアイドル歌手が表現できない自由を感じる。
例えそれが歌わされたのだとしても、型にはめられた中で自由を表現できるというのは
歌い手が持つ能力と魅力故なのだろう。

ああ、やっぱり次の「20才の女」も買おうかな。(笑)

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買い物日記~MOJO '60S

2011-06-21 19:08:27 | ROCK

昨年はビートルズの「LET IT BE」全曲カバーのLP(!)を添付して話題になった
雑誌「MOJO」。今年は、なんとビーチ・ボーイズの7インチが付いた本が登場した。
因みに送料込みの13.99£也。まあまあ、いい買い物ではないかと。(笑)

ビーチ・ボーイズは今夏(多分ずれこむでしょうね)、あの「SMILE」のボックスを出すことが
決定しているので、その予告編という意味で今回の7インチが実現したのだろうが、
カラー・ヴィニールでちゃんとしたスリーヴもあるのが泣かせる。
A面が『CABIN ESSENCE』、B面が『WONDERFUL』。いやがおうでも、箱モノへの
期待が高まるのだが、オリジナル・アルバムでは「20/20」収録の『CABINESSENCE』の
綴りが違うのはどういう意図があるのだろう。

      

A面の溝には「This doesn't have to be perfect・・・」、B面には「It's just gotta be honest・・・ーBW」と
刻まれている。

             

右が雑誌の本体で、左がそれを収納するケース。60年代特集ということで、ビーチ・ボーイズ以外にも
多くのミュージシャンの写真が掲載されているのだが、個人的にはレッド・クレイオラとGTO'Sの写真が
嬉しかった。限定盤なのでビーチ・ボーイズのファンの方はお早めに。

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追悼 クラレンス・クレモンズ

2011-06-19 18:33:15 | ROCK

6月18日、脳卒中の合併症でクラレンス・クレモンズが逝去した。享年69歳。

近年のE.ストリート・バンドでの演奏の映像を見ると、体調が今ひとつなのは一目瞭然だった。
だが、それは70年代中盤から80年代に激烈なエレルギーを放射しながらボスと絡む
映像を見てきたからであって、「流石のTHE BIG MANも歳には勝てないな。」程度にしか
私は思っていなかった。

曲のイントロや間奏の美味しいところで、ギターを差し置いてサックスがソロをとるというのは
痛快で「NO MORE GUITAR HERO」という80年代初頭の私の気分にピッタリだったし、
事実、クラレンスのサックスは、聴けば彼の演奏だとわかる印象的なものだった。

クラレンスの不在は、即ちボスの活動にも直接の影響を及ぼすだろう。
言いかえれば、それはロックが前進するための大きな妨げでもある。
それくらい、クラレンスの存在は大きいものだった。

謹んでTHE BIG MANの冥福を祈りたい。

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パッケージ文化

2011-06-19 07:16:08 | DAY BY DAY

様々なジャンルのレア盤やブートレグを、ネットで検索してダウンロードして楽しんでいることは
以前このブログで書いたことがある。高音質であろうとなかろうと、とりあえず聴かなければ
話にならないという思いがあるのだが、根本的に「金が無い」(笑)のが一番の理由だ。
余程圧縮の酷いものでなければ、MP3であろうとFLACであろうと聴くことができるという事を
優先する。オーディオ・マニアである以前に音楽ファンなので、様々なスペックで発売されようが
ハイレゾであろうが、音楽そのものがゴミなら意味が無い。

それでも、ダウンロードした音源をCDRにしてステレオで聴くのはいいのだが
CDRにタイトルやアーティスト名を書くものの、それがどんなジャケットだったか忘れてしまい、
間抜けな事にアルバムやブートレグの印象が希薄になったり、内容を忘れてしまう事が多々ある。
CDRの盤面を眺めても思い出す筈も無く、記憶するためには「音」や「タイトル」以外に
「ジャケット」のもたらす効果は大きいと改めて思うのだ。

掲載写真はジェフ・ベックの75年7月23日トロントでの演奏を収録したブートレグ「BECK-FAST」。
マックス・ミドルトンやバーナード・パーティーがバックを務めた時代の演奏で、ウイリアム・スタウトの
秀逸なジャケットも印象に残る名盤である。
最近になって、同じようなジャケットのCDを見つけたのだが、そこに収録された演奏は72年の
もので「なんだかなあ」と萎えてしまった。ジャケットが彩色されていることは問題ない。
スタウトのトレーディング・カードの「BECK-FAST」は綺麗に色が載っていたのだから。
それでも、この印象的なジャケットが全く別の日の音源のブートレグに使用されるのは違和感がある。
いくらブートレグとはいえ、これでは歴史に対する愛情に疑問を感じてしまうのだ。

       

スタウトの手掛けたジャケトで好きなのが上の2枚。ヤードバーズは編集物なので、それほど問題が
ないとしても、ザ・フーのこのジャケットが75年の演奏を収録したブートレグに使われたら、気持ちが
萎えるのは私だけではないだろう。

ポール・マッカートニーの「McCARTNEY」と「McCARTNEY 2」のデラックス・エディションを聴いている。
大して好きなアルバムでもないし、大仰な装丁だし添付されたDVDも貧弱なのに、値段だけは
一流に相応しい対価を要求する。それでも数々の写真を眺めながらCDを聴いていると、なんとなく
幸せな気分になるのも事実だし、2種同時に出たブツの外装が赤と青というだけで嬉しくなるのは
可笑しいか?。パッケージは大切なのだ。

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サニー ~ 最強のカバー・ソング

2011-06-18 12:44:30 | THIS SONG

     

今回のカバー・ソング100選に選ぶことは出来なかったが、個人的に最強のカバー・ソングだと
思っているのが、勝新太郎が歌う『サニー』だ。これは正しく『SUNNY』ではなく『サニー』と
表記するのが正しい。

つまり、歌詞を英語で歌っているのではなく和訳で歌っているのだが、この訳詞が勝新に
よって歌われた時、原曲の思惑を遥かに超越した、勝新のオリジナル以外の何物でもない
曲に生まれ変わったのだとさえ思える。申し訳ないがボビー・ヘブのオリジナルだけでなく、
「俺のサニーを聞いてくれ」とばかりに束になってかかってきた数々のカバー曲も
私にはお呼びでない。そういう意味ではブライアン・フェリーの『A HARD RAIN'S A-GONNA FALL』と
同じだ。

掲載写真右は97年に出たCD「歌いまくる勝新太郎」。これで初めて勝新の歌う『サニー』を
知った。このCDは映画「座頭市」のファンにも喜ばれた編集盤だったのだが、私が『サニー』を更に
強烈に意識することになったのが、03年にCD化された掲載写真左の「勝新太郎 夜を歌う」だった。

酒や女がまとわりつく夜、勝新太郎の夜。幾つになっても私なんかが真似のできない、
夜の男の世界。そんな夜の世界を表現すべく収録された数々の曲に混じって、殊更妖しい光を
放つのが『サニー』だ。ほぼ全編がスローかミディアム・ナンバーの楽曲で構成された盤だが
たまに予想外な姿も見せると女性の気を惹くのさと言わんばかりの、ノリの良い曲もある。
しかし、それらも『サニー』の前では、露払いに過ぎない。

アルバムの構成上、『サニー』は2曲目に配されているが、録音は全楽曲中、最後だったことが
ライナーに書かれてある。さもありなん、これほど濃厚な1発をキメれば、後が大変なのだから。

辰兄ィは、『シンボル・ロック/夜は俺のもの』という最強のシングルをリリースしたが、酒の匂いが
幾分強いように思えた。これだと飲み過ぎてそのまま寝てしまう惧れがある。
『サニー』は少々趣が違う。

夜はどこまでも深く、やがて真珠色の白濁とした朝を向かえる。
勝新の『サニー』とは、そういう歌なのだ。

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日本代表 ~ カバー・ソング100選への道・その23

2011-06-17 20:32:07 | 日本のロック・ポップス

毎週TVドラマ「BOSS」の2NDシーズンを見ている。前ふりの話に続いてオープニング・テーマである
Superflyの『ALRIGHT』が流れるのだが、これは09年の1STシーズンの時と同じである。それだけ
『ALRIGHT』の曲の印象とドラマ「BOSS」のイメージが強烈に結びついていたということであり、
2年越しで楽曲が使用されたことで、消費されつくされたはずの楽曲に普遍の延命処置が施されたと
思うと痛快である。

掲載写真はSuperflyの新譜「Mind Travel」。タイアップ曲が多いのを個人的には良しとはしないが、
需要の高さの証明にはなるだろう。実際に聴いてみると、これはよくある「歌姫」などという言葉で表現することが
愚かしいことに気付く。「歌姫」という言葉が、洋の東西を問わずこれまでにどのくらいの人に対して
使われてきたかに興味は無いし、そんな言葉は次から次に登場するわかりやすい「彼女たち」に
当てはめて使い捨てればよい。

2011年、時代と我々はSuperflyを「新しいロックの女神」とすることを、喜んで許容したのだ。
えっ、俺はその「我々」とやらには含まれていないって?。それは結構。(笑)

今回のカバー・ソング100選は、基本的にロックやポップスのフィールドにいる人達が英語でカバーした曲を
選んでいる。つまり、わかりやすい「洋楽カバー」である。そんなものだから、日本語でのカバーは
今回は対象外である。かつて当ブログでカバー集を編んだ時には必ず日本人のアーティストを選んだのだが
今回はこの2曲。

            

ボニー・ピンクが05年に出したカバー・アルバム「REMINISCENCE」(掲載写真左)には、可愛らしい
アレンジで演奏されたフェアグラウンド・アトラクションの『PERFECT』が収録されている。少ない楽器と
少ない音数が、メロディーの良さを浮き彫りにする。

Superflyはシングル「How Do I Survive?」のカップリングに収録された、フリーの「MY BROTHER
JAKE」のカバーを選んだ。最近はライブはともかく、シングルのカップリング曲で洋楽カバーを収録してくれない
のが残念なのだが、08年に録音されたこのカバーの出来の良さに触れると、尚更その想いは強くなる。
ポール・ロジャースに負けない伸びやかで瑞々しい歌唱は、ボーカリストとしての魅力が全開であるのと
同時に、この曲を選んだセンスに脱帽である。

これが日本代表だ。

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IN A SILENT WAY ~カバー・ソング100選への道・その22

2011-06-16 19:06:47 | JAZZ

        

マイルスの「IN A SILENT WAY」は、私にとっては特別なアルバムだ。
いや、多くの人にとってもそうだろう。

私の場合、音楽を聴きだした当初からジャズには抵抗があった。インプロビゼーションだろうと
アドリブだろうと呼び方は何でもいいが、同じ曲で毎回ライブで違った演奏をすることに個人的に
大した意味合いを見いだせなかったのが、その最大の要因である。まあ、ロックの一部にも
アドリブの充実具合や長尺の演奏によって、「演奏能力の優劣」を決める傾向が今でもあるのだが、
それは俺のとは違う。

特にロックを聴きだしてから最初の数年は、先に挙げたような項目を理由にロックを一段低く見られては
ならないとの意識が強かった。それでも単純に聴いて気持ちの良い音には抗えなかく、それがマイルスの
「IN A SILENT WAY」だった。後にあの帝王マイルスの電化以降の盤には、数々のセッションの
テープをテオ・マセロが鋏を入れて編集して世に出たものがあると知り、まさしくそれは私にとっては
ロックとジャズの境界線を取っ払うエピソードとして強く印象に残り、以降はジャズに抵抗が無くなったものだ。

歴史的に見れば、所謂フュージョンの先駆けとも見なされ、それ故に人によっては諸悪の根源的に
捉える人もいるかもしれない。冒頭で書いた「多くの人にとって特別なアルバム」という言葉には
そういう意味も含ませてある。この盤に参加した面子は後にウェザー・リポート、マハヴィシュヌ・オーケストラ、
リターン・トゥ・フォーエバーといったバンドに繋がるのだが、ジャズの側からロックとの境界線を壊しにかかった
という、その良し悪しはともかく、そういう時代を先駆けた「IN A SILENT WAY」の意義は
微塵も揺るがないであろう。

このアルバムのB面には『IN A SILENT WAY / IT'S ABOUT A TME』のメドレーが19分に渡って
収録されているのだが、その『IN A SILENT WAY』はサンタナによってカバーされた。
アルバム「フィルモア最後の日」に収録されたのが初出で、後に「SANTANA Ⅲ」のレガシー・エディションに
添付されたライブ盤CDでは、この日のサンタナの演奏を11曲聴くことが出来る。(内6曲が初登場)
サンタナの演奏はオリジナルの核心を抜き出したような7分程の演奏で、これをカバー・ソング100選に
選ぶことにした。実に冴えている。

          

初めてサンタナのアルバムを買ったのは16歳の時で、買った盤は「CARAVANSERAI」だった。
最初のサンタナ体験としては完璧な出会いで、それ以降70年代のサンタナの魅力には今も填り続けている。
「CARAVANSERAI」とマイルスの「IN A SILENT WAY」、そしてザ・ライマン・ウッダード・オーガニゼーションの
「SATURDAY NIGHT SPECIAL」は私の中では地続きの3枚だ。
きっと、一生聴き続けるのだろう。

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I PUT A SPELL ON YOU ~カバー・ソング100選への道・その21

2011-06-14 18:32:50 | THIS SONG

          

以前、カバー・ソング100選を選定するにあたっての「縛り」の一つとして、ブルーズのカバーは選ばないと書いた。
その理由の一つとして、ロックから遡ってブルーズを知ったので何となくカバーと言われてもピンとこなかった
というのがある。レッド・ツェッペリンやクリーム、ジョン・メイオールに勿論ストーンズといった連中の演奏を聴いて
その元歌を探したので、「どちらを先に聴いたか、どちらに先に親しんだか」という微妙な感覚が、先の
「縛り」に結びついたのだ。もっと正直に言えば、今更クリームやジョニー・ウィンターのブルーズ・カバーを
わざわざ100曲の中に入れたくなかった、というのもあった。ブルーズのみの名演・名カバーを集めた
CDRを編むなら、話は別だが。

ところが。自身のルーツの一つにブルーズというのは間違いなくある。レゲエやジャズのカバーは選んで
ブルーズのカバーを選ばないのも何となく片手落ちのような気がして、少々モヤモヤしていた。
そんな時、何気に聴いたグルーヴァーズの『GROOVAHOLIC』の中のワン・フレーズが耳に突き刺さった。

蘇るスクリーミンJay・・・・

R&Bだろうとブルーズだろうと、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスは、どちらのジャンルからも正統派として
扱われることは余り無い。それでは当ブログではブルーズの代表として登場願おうではないか、という訳である。

ジェイと言えば何は無くとも『I PUT A SPELL ON YOU』である。掲載写真左の「FRENZY」は82年に出た
コンピレーションで56/57年のオーケーでの録音を収録している。右の盤「PORTRAIT OF A MAN」は95年に
出たコンピレーションで、こちらはオーケー時代から90年代半ばまでの曲まで広く集めていて、
どちらの盤でも『I PUT A SPELL ON YOU』のオリジナル録音を聴くことができる。

 この曲のカバーは多くあるが、おそらく最も有名なのがC.C.R.の
バージョンだろう。この混沌とした感覚はオリジナルのバージョンが持つ不気味さに、オリジナルには無い当時の
アメリカの若者が抱えていた苛立った気分を加えて出来あがったような気がする。アーサー・ブラウンや
C.A.クインテットといったところのカバーも面白いのだが、やはりここはC.C.R.のバージョンを選出したい。

 ジェイは人を驚かせ楽しませることを、何より自身が楽しんで
ライブ活動をしていた。ライブの冒頭に棺桶の中から登場するなんて、この人くらいのものだろう。
上の画像は、相方がジェイ・ホーキンスに書いてもらったサインである。字が丁寧なので笑ってしまった。
きっと、真面目な人だったのだろうなぁ。

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