HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

BLACK WIDOW / DEMON'S OF THE NIGHT GATHER TO SEE

2009-01-31 12:11:43 | ROCK
レコード・コレクター2月号は、毎年買い逃しをチェックするのに役立つの
だが、今回は掲載写真のアルバムを見逃していたので慌てて購入。
ブラック・ウィドウがデビュー・アルバム発表直後に、ビート・クラブ用
に収録したDVDとCDで構成され、アルバム「SACRIFICE」を頭から
最後まで全曲演奏していると言われれば、興味も沸くというものだ。

このバンドの名前は深民淳氏が編集した「ルーツ・オブ・ブリティッシュ・
ロック」という本で知った。シンコー・ミュージックから出ただけあって
全て白黒ながら写真が豊富で「ベイカールー」とか「ガン」の写真が
普通に掲載されているのも今思えば驚きである。

70年2月13日金曜日という出来すぎた日のアルバム発売は
ブラック・サバスに譲ったものの、ブラック・ウィドウのデビュー盤も
同年の発売である。黒魔術云々と言われる両者だが、音つくりは全く違い
ブラック・ウィドウはメンバーにキーボード奏者や管楽器担当がいることも
あって、ハード一辺倒ではなくドラマティックな構成のアルバムを
作成することに成功している。アルバムは魔女を蘇らせたものの、悪魔に
魔女を生贄として捧げるまでを描いたコンセプト・アルバム。
面白いのはコンセプト・アルバムを特集する記事があっても、このアルバムが
とりあげられることがほとんど無いことだ。
サージェント・ペパーズを祭りあげ、更には「キンクスのフェイス・トゥ・
フェイスはコンセプト・アルバムの走り」なんて言う向きもあったが、
じゃあ、コンセプトって何と聞いても多分明快な答えは返ってこないだろう。

話がそれた。(笑)そんなアルバムの全曲映像は見所満載なのだが
今まで文章や写真でしか見たことがなかった「黒魔術の儀式」のステージを
見ることができるのはある意味事件である。全裸の魔女と踊り狂い、
その果てに横たわった魔女に剣を刺すパフォーマンスは、このバンドが
短命に終わることを意味したかもしれないが、それでも当時これほどの
個性を発揮したバンドというのも珍しいかもしれない。

ビート・クラブは曲の途中でメンバーの名前がクレジットされるのだが
ベーシストの名前が間違っていて、この映像を収録した時点では脱退している
アルバム録音時のメンバーの名前が載っている。
このCD+DVDのメンバー・クレジットも面白く、ダンサーのクレジットが
アスタロスとなっている。アスタロスというのは魔女の名前なのでそれを
そのまま記載しているわけである。

バンドは黒魔術の儀式をステージで披露するというパフォーマンスを売りに
していたため、その意味合いからも密室(観客も多くは無いクラブ)での演奏が
中心になり、ホールとかでの多くの集客を望めなかったことと、後にメンバー・
チェンジがあったせいもあり1ST以降は方向転換する。
それにしても、こんな音を出しステージを展開するバンドがCBSと契約した
というのは、なんとも時代を感じさせる。ちなみにエンジニアには
ロイ・トーマス・ベイカーのクレジットをみつけることができる。
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Bun E.'s Basement Bootlegs Vol. 3

2009-01-28 21:25:37 | ROCK
掲載写真はチープ・トリックのHPで販売されているCD。
タイトル通りのオフィシャル・ブートレグで、簡素なジャケットに
バーニーの顔を模ったスタンプが押され、著しく正確性を欠く曲目が
CDに記されている。限定1000枚ということであるが、シリアル・
ナンバーはマジックでCDに直接書き込まれている。
判子の下に書かれたサインは直筆で、判子の押し具合同様に1枚1枚の
字の大きさや角度が違っている。

今回取り上げる「VOL.3」は「Covers 74-00」という副題が付いていて
どの曲がどの時代の録音という表記もないのだが、私のようなカバー好きには
スルーできない内容である。目についた曲目を挙げるとストーンズの
「パラシュート・ウーマン」「ハート・オブ・ストーン」、キンクスの
「ウェル・レスペクテッド・マン」、MC5の「ランブリング・ローズ」と
いったところは私の琴線に触れまくりである。「インスト・メドレー」と
題されたそれは実はヤードバーズ・メドレーで、楽しくないわけが無い。

この「VOL.3」には「Beertown '75」と題されたライブ盤がボーナス・ディスク
として付いている。「BEERTOWN」って何処だろうと一瞬考えたのだが
「VOL.4」のボーナス・ディスクが「Cheeseland ‘76」と題されているのを
見て、真に受けた私を笑ってしまった。

ネットでは「VOL.1」は売り切れのようだが、「VOL.2」~「VOL.4」は
まだ入手が可能だ。チープ・トリック・クラスでも1000枚が秒殺に
ならずに残るものなのかという複雑な気分にはなるが、おかげで入手できた
のだから、まあ良しとしよう。

目の前に5枚のCDを並べて最終的に到達した結論。
バーニーの判子が欲しい・・・。(笑)

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BRYAN FERRY / THE BETE NOIRE TOUR

2009-01-27 20:01:43 | ROCK
ザ・フーの解散はともかく、ジャムとポリスの解散は堪えた。
当時初めて経験する、リアル・タイムで聴いていたバンドの解散であったのが
その理由だが、ポール・ウェラーの「いつまでも今みたいな音楽を演っている
わけにいかない。」という気持ちは理解できたし、次へのステップを目指す
結果がバンドの解散なら、潔く受け入れて彼らの次の一手に備えようと
思ったものだ。

ウェラーもスティングもそれぞれのかつてのバンド時代とは趣を異にする
アルバムを発表し、私も最初は機嫌よく受け入れた。しかしながらそれらは
今まで私自身にとって縁が無かった場所や媒体で広く取り上げられるようになり
妙な気分になったものだ。確かに新しい音を目指したのだから新しいファンを
獲得するのは幸福なことなのだが、彼らや彼女たちの大多数はかつてのバンドを
振り返ることは無かったように思う。新参者は振り返る必要は無かったのかも
しれないが、過去を踏まえまくった古参のファンがとまどったのは当然だ。
結局私はウェラーの気取りには付き合ったが、スティングの驕りには
付き合いきれなかった。

私が組んでいたアマチュア・バンドのボーカリストが彼らのアルバムを手放しで
絶賛するのには参った。どうも雰囲気とか小洒落た感じを重視しているようで
勿論ポリスやジャムを振り返ることはなかった。そんなヤツがある日、
「ブライアン・フェリーの新譜を買ったよ。」と私に話しかけてきた。
「BOYS AND GIRLS」と題されたそのアルバムも先のウェラーやスティング同様の
購買層に人気があったように記憶する。
普段私が聴いているストーンズやザ・フーを比較対象として、「完全主義者の
音だね。」と言うではないか。何を持って完全主義とするか、その基準が
未だに私の中には無いのだが、ヤツの感覚でドラムやギターがうるさくない
のがスマートに感じられたのかもしれない。
「他のソロ作やロキシーのアルバムは聴いたことあるか?」と聴くと
「いや、必要ない。」と返され、私はその日からヤツを仮想敵と見なし始めた。
フェリーさんはロキシーと並行してソロ・アルバムを出しているのだから
敢えて本末転倒の書き方をすると、フェリーさんのファンはロキシーの
アルバムを無視してはいけないし、フェリーさんの魅力である自己憐憫の度合いは
過去作の方に顕著なのでそれを無視できるなんてありえないのだ。
仮想敵がライブの対バンでなく、自分のバンドのボーカリストだなんて
なんともお粗末な話である。

掲載写真はかつてビデオでも発売されていた「THE BETE NOIR TOUR」のDVD。
フェリーさんのレコードを聴いてライブに足を運んだ人は、このライブでの
余りの肉感性に驚いたのではないだろうか。フランス語を用い、それがよりに
よって「嫌われ者」なんていうスノッブなタイトルから想起する映像や音は
ここにはない。ヨーロッパ・ツアーでフランス語タイトル・・・極東の島国に
いるとなんとなくクールでスマートな感じを持つのだが、それを打ち砕くのが
黒人のベーシストとパーカショニストとコーラス隊で、実際の演奏の核も
彼らだと思う。かつての名ドラマーであるアンディー・ニューマークが
幾分硬直したリズムを刻むのに対し、ライブを文字通り生き物にしているのは
彼らの出す音であった。

ドイツ表現主義とまでは言わないものの、映像においては照明のコントロールが
絶妙で見ていて実に美しい。カメラ・ワークも計算されていて、時折足首や
肩、手首、顔が大写しになり、そこに捉えられた筋肉の動きが映像作品としての
の印象を強くする。これはコンピューターやキーボード主体の音楽ではなく、
生身の人間が奏でている音なのだという事実に嫌でも気付かされるのだ。
更に大袈裟に言わせていただければ、あれだけ「ストップ・メイキング・センス」
が評価されるのなら、この映像ももっと違った視点で語られるべきだと
思うのだけど。

今回のDVDにはおまけというには贅沢な映像が収録されている。
今までソフト化されたことが無い2002年の野外でのライブが14曲も
収録されていて、こちらは本編とは違って木目の粗い演奏が繰り広げられる。
ドラムスはポール・トンプスン、ギターはクリス・スペディングなのだから
ここは黙って聴くべきであろう。地味にバッキングに徹しているクリスさんだが
スライドを弾きだすと本領発揮で、派手なソロをキメてくれるシーンもある。
ディラン・カバーも2曲あり、フェリーさんがディラン解釈の第一人者である
ことを改めて思い知るライブでもある。

ひとつ思い出した。
明らかに私がストーンズ・ファンと知って(その時私はバイク転倒で穴が
あいたリーバイスの膝にストーンズのベロ・ワッペンを貼っていた)
こんなことを話しかけてきたヤツがいた。
「ミック・ジャガーの新譜(SHE'S THE BOSS)って、くだらないよな。」
そいつは1浪だから私より1年長くこの世で音楽を聞いているはずなのだが、
無駄に1年早く世に出たのだろう。私はこう返答した。
「くだらないのは結構だが、お前はミックのレコード以上の音を何年かかっても
俺には提示できないよ。」今の私ならもう少し優しく対応できるかもしれない
のだが、さてどうだろう。(笑)

「THE DREAM OF THE BLUE TURTLE」「OUR FAVORITE SHOP」「BOYS AND GIRLS」
「SHE'S THE BOSS」・・・・。1985年の俺はきっと殺伐としていたのだ。
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LOU REED / BERLIN

2009-01-25 16:55:45 | ROCK
2006年12月にルー・リードが、自身が73年に発表したアルバム
「ベルリン」を全曲ステージで披露したという話は、ちょっとした話題に
なった。「ニュー・ヨーク」以降のルーのステージはその時点での最新作の曲を
立て続けに演奏し、最後に数曲昔のナンバーを演奏するパターンが
とられることがあったのだが、「何で今さら『ベルリン』なの?」というのが
正直な感想で、会場録音のブートレグをダウンロードして聴いても
ピンとくるものはなかった。

その時のステージを撮影したものが映画として公開されるという話を
知ったあたりから、何となく意味合いがわかり始めてきた。
後年、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが認知されるよりも
単体のアルバム「ベルリン」が広く認知されるのに要した時間は長かったこと、
ベルリンは当時の象徴的な都市であったが、今回演奏場所に選ばれたのは
ニュー・ヨークであり、ベルリンを舞台に繰り広げられた愛憎模様は
時間と場所と人を変えて繰り返され続けることを理解すると、なんとなく
映像を早く見たくなってきた。

映画は概ね好評だったように思う。昨年輸入版でDVDも既に出ていたが
今回は国内版を入手した。これは正解だったかもしれない。
アーティストの意向でDVDをプレイヤーにセットしてもいきなり字幕は
出てこないが、まずは歌詞字幕を出して全部を見て次に歌詞を消して
全て見るといいかもしれない。「ベルリン」はそれほど楽しいアルバムでは
ないので、私自身があまり聴きこんでいないせいもあるが、まず復習を
済ませもう一度見ると想像力が拡がる気がした。

演奏は完璧だろう。昔から知るリズム隊にスティーブ・ハンターがギターで
加わり、ブルックリン・ユース・コーラスとアントニーが曲を彩り、
多数の弦楽奏者に管楽器奏者が膨らみを持ったアレンジを可能にした。
ハンターとルーのギターの絡みは今でも有効で、リズムを刻むハンターの
カッティングには痺れるし、ルーの決して覚えやすくはないメロディーの
ギター・ソロはその痺れを増幅させる。
バンドの演奏進行に合わせて、アルバムに登場する「キャロライン」を
軸にした映像が挟まれるのが想像力を膨らませる。決して説明的な
解りやすい映像ではないが、主人公の「顔」が浮かんだ方が物語に
入り込みやすいのは間違いない。
撮影監督はエレン・クラス。ここ数年で関わった作品はニール・
ヤングの「ハート・オブ・ゴールド」やストーンズの「シャイン・ア・ライト」
ということで、彼女の名前は気に留めておく必要がある。

「ベルリン」の全曲を演奏した後にアントニーが歌う「CANDY SAYS」が
演奏され、次に「エクスタシー」収録の「ROCK MINUET」が演奏される。
後者は監督のジュリアン・シュナーベルたっての希望だったことが
特典映像で明かされる。前者はルーの希望だろう。
アントニーが歌い終わるとルーの顔が大写しになるのだが、ルー自身が
感動し完全に満足したような表情が伺える。「ベルリン」の題材となった
性や愛の暗い葛藤はまだ続いているという意味合いが「ROCK MINUET」から
感じたのは私だけではないだろう。

私は平凡な人間である。つまらない欲望は人一倍あるが、できれば平穏な
生活で全てを終わりたい。所謂「不徳の致すところ」というスリルやドラマが
あるかもしれないが、そんなものは無くてもいい。ただ好むと好まざると
運命の悪戯が人を不幸に巻き込む。不幸の尺度もまちまちだろうし
余計なお世話だが、この映画に参加したコーラスの女の子達が各人の望む
レベルで幸せな恋愛をすればいいなとも思った。

最後に「SWEET JANE」が演奏される。
”かつて役を演じた者は、それを恨みはしない”
この一節で全てが救われるような気がする・・・。
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MARIANNE FAITHFULL / EASY COME EASY GO

2009-01-21 21:27:09 | ROCK
掲載写真は、昨年若かりし日のBBC録音も世に出たマリアンヌ・フェイスフルの
新作。2枚のCDとドキュメンタリーのDVDの3枚組。もうとっくに
わかりきっていることだけど、BBC録音と続けて聴くと声の違いに
とまどってしまう。経験と言うには余りに数奇で複雑で
不摂生な時間の経過がもたらした結果であるが、マリアンヌにとっては
先達にあたるジャズ・シンガーのような趣の声は、いまとなっては貫禄と
年輪を感じさせるに相応しいものなのだから、後付上等というところか。

今回のアルバムはカバー集で、尚且つカバー好きの私の琴線を擽る仕掛けが
いたるところにある。選曲もバラエティに富んでいてベッシー・スミスや
ジュディー・シルにサラ・ヴォーンといった想定内の曲から、トラフィックや
スモーキー・ロビンスン&ミラクルズ、果てはブライアン・イーノまで
射程内に入っている。近年のアーティストにも目配りが行き届いていて、
モリッシーやブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ(!)の曲を
取り上げているのが嬉しい。

本当のことを言えば、一番の購入目的はマール・ハガードの「シング・ミー・
バック・ホーム」を取り上げているためである。ここではキース・リチャーズ
とのデュエットを聴くことが出来る。DVDではこの曲を取り上げた経緯が
語られていて、マリアンヌは昔から気に留めていた曲であったが、
あの「STONE ALONE」を聴いて決定的にこの曲に魅入られたという内容のことを
語っている。そしてこの曲を吹き込むにあたってキースに協力を仰いだ
エピソードも語られ、なんとなくストーンズ者としては嬉しくなってしまう。

アルバムの構成もなかなか良くて、「シング・ミー・バック・ホーム」の
前の曲「ウー・ベイビー・ベイビー」からの流れも絶妙である。件の曲では
アントニー(ルー・リードのファンはピンとくるあの人)とボーカルを
分け合うのがいい感じで、アントニーのソロ・パートもあり聴き応えがある。

もうすぐ日本盤も出るのだが、日本盤は1枚組10曲収録のようである。
そうすると、もう1枚のCDやDVDはオミットされるわけで、ここは
輸入盤を入手したほうが良さそうである。DVDは日本の通常の
DVDプレイヤーでは再生できないことを付け加えておく。

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JOHN PEEL'S DANDELION RECORDS

2009-01-20 20:36:42 | ROCK
以前、ダンデライオン・レーベルのシングルを集めた3枚組CDを
取り上げたことがある。特にロック史に燦然と輝くビッグ・ネームを
排出したわけではないが、何故か愛着が湧くレーベルである。
レーベル・ロゴが名前そのままにタンポポを模ったものであるのが可愛らしいし
まあ実際に道端や野原に咲くタンポポは愛らしいものだから、それだけで
得をしているのかもしれない。

掲載写真はダンデライオンに所属したアーティストのインタビューと
近年のライブでレーベルの歴史と意義を振り返るという趣旨のDVD。
最初に発売のアナウンスをネットで見たときから、気になっていたことが
あったのだがその懸念は実物のDVDを見てみると、残念ながら予想通りの
結果であった。

「1枚のDVDに6時間も映像を詰め込むとなると、画質は期待できないな」
というのは誰しも思うことだろう。実際このDVDの収録時間は6時間で
画質は今時のDVDではありえないものだ。2枚組とかにすると価格が
高くなり、売りにくくなるのは理解できるが、ダンデライオンなんて
レーベルに興味を持つ人はそれが2枚組とかになっても、きっと購入すると
思うのだけどなあ。

近年のケヴィン・コインやジョン・フィドラー(メディスン・ヘッド)の
演奏をそれぞれ1時間半収録したDVDが単体で発売されたら、きっと
買わないだろう。勿論彼らが70年代に残したアルバムは今でも熱心に
聴いているけれど、それとこれは別だ。ダンデライオンというレーベルを
俯瞰するDVDに収録されているから価値があると思うのは、私が
熱心なファンでない証左かもしれないけれど。
今回の本当の購入目当てはブリジット・セント・ジョンのライブ。
インタビューを含めて収録時間は30分ほどで演奏時間自体は15分弱
くらいしかない。ちょっと残念。

字幕も何も無いのが画質の低さに追い討ちをかけて辛いところだが
時間をかけてゆっくり見ていきたいと思う。ジャケット裏にはなんと第二段も
構想中ということが記されているが、次回はもうちょっと丁寧な
作業をしてくれることに期待したい。
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追憶のブートレグ61・ACT52 / PATTI SMITH

2009-01-18 17:32:20 | ROCK
シングルのB面収録曲を除けば、パティ・スミスは70年代にまとまった
ライブ盤を残していない。2000年代になってようやく「Trampin'」の
限定版で11曲(2004年録音)、「Horses」のレガシー・エディションで
9曲(2005年録音)の演奏をCDというフォーマットで聴くことが出来た。
勿論それらの演奏は素晴らしいのだが、70年代のライブを聴くとなると
ブートレグに頼らざるをえない。

パティ・スミスは75年から79年の間に4枚のアルバムを出している。
77年だけがアルバムのリリースが無かったわけだが、その77年を除く
各年にそれぞれ決定版といっていいような演奏を記録したブートレグがある。
いかにライブに積極的でグループの演奏に熱気があったかの見事な
証明とも言えるのだが、その中でも一際印象が強いのが掲載写真のブートレグ。
ストックホルムでの録音、ジャケットの作り方というところから
以前取り上げたロキシー・ミュージックのブートレグと同系列の業者が
製作したものだということがわかる。

ロキシーがそうであったように、このブートレグも元々はテレビ放映された
映像が残っていて、パティの映像では定番となっている。私が見た物は
30分強の尺で7曲の収録だったので、残りは音盤でしか聴いていない。
「Radio Etiopia」発表とほぼ同時期のライブなので、そこからの
収録曲が多い。中でも「AIN'T IT STRANGE」の緊張感溢れる演奏は特筆
すべきだ。ライブの頭からルー・リード・ナンバーを交えて快調に
飛ばしてきて、中盤にこの重たい長尺の曲を据えたことでコンサート全体を
俯瞰した時にこの曲の存在感が際立ってくる。
アルバム・タイトルとなった「RADIO ETIOPIA」も重要だ。これも長尺の
曲だが静と動を見事に操り、後半はまだこの時点で未発表だった「ROCK N ROLL
NIGGER」へ突入しそのまま更に「GLORIA」へ曲が進む様は何度聴いても
興奮してしまう。

この盤に限らないのだが、パティ・スミス・グループは素晴らしいライブを
残しているので70年代のライブ盤が正規に存在しないのが残念でならない。
パティ・スミスの70年代の映像は数年前にNHK-BSで1曲放送された。
フーの「MY GENERATION」を演奏し最後にドラム・セットが滅茶苦茶になって
終わるアレだが、あの映像を見て「なんだか、こけおどしだな。」と
思った人がいるかもしれない。パティ・スミスのライブは断じて「あんなもの」
ではないことを、このブートレグで思い知っていただきたい。

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MARY HOPKIN / RECOLLECTIONS

2009-01-17 20:27:43 | ROCK
メリー・ホプキンの自主制作盤がまたまた登場。2007年の「Valentine」
に続いて昨年末に発売されたのが掲載写真の「Recollections」。
今回も70年代から80年代にかけてレコーディングしたものを
集めたものだが、マスタリングのせいか違和感なく聴くことができる。

今回もカバー中心で自作曲は2曲のみ。ジム・クローチやブルース・
コバーンらの曲を取り上げている中で、今回の私的ベスト・セレクションは
クライヴ・パーマー作の「A LEAF MUST FALL」。フェイマス・ジャグ・バンドの
アルバム収録曲で、メリーとトニー・ヴィスコンティの二人だけでの録音。
シンプルなギターとウッド・ベースに、幾重にも重ねられたメリーの声が
効果的に絡み、思わず耳を澄ましてしまう。
メリー自身によるライナーには「お楽しみ」が書いてあって、早くも
次の「アーカイブ」の製作が予定されているとか。同時にそれが蔵出しの
最後になることも書かれてあって、次作を待つ楽しみが出来たと同時に
次で最後かという複雑な気持ちになるのだが、とりあえず今はこの盤を
楽しみたい。

ネットでは同時に「クリスマス・ソングス」もリリースされた。
72年にリーガル・ゾノフォンからリリースされた2曲と、2006年作の
「Snowed Under」の3曲収録。「Snowed Under」はそれまではダウンロード・
オンリーでの発表だったので、最も新しいメリーの声をCDで聴くことが
できるようになったのは嬉しい。どうせなら「Recollections」と同時購入
したほうがいいのは言うまでも無い。
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DEENA WEBSTER / TUESDAY'S CHILD

2009-01-15 20:53:54 | ROCK
ディーナ・ウェブスターが68年に発表した唯一のアルバム。
雑誌でこのジャケットを見てからずっと気になっていたのだが、遂にCD化
である。ディーナの髪型、顔立ち、表情の全てが何となく「いい感じ」で
昨年一部で話題になったジャズの紙ジャケの対極にある「気品」が
ずっとこのジャケットを眺めていたい気にさせる。
もっとも私が常に「品」のある作品を追いかけているわけでないのは
明白なのだけど。(笑)

自作曲は無いものの、選曲とアレンジの良さとディーナの声の特性が
このアルバムを魅力的なものにしている。アレンジはオーケストラが参加する
大掛かりなものと、自身の弾くギターに最小限の楽器を加える二つに大別
できるのだが、選曲に相応しい振り分けが成されている。
私の好みだと、シンプルな弾き語りのほうがいい曲が多いように感じる
のだが、それはロック者に馴染みのある曲だからかもしれない。

ビージーズの「ニューヨーク炭鉱の悲劇」を取り上げているのが渋い。
この手のカバーなら安易に「ラブ・サムバディ」を選びそうだが、そうでない
ところに主張を感じるし、「朝日のあたる家」をとりあげるところにも
同じような何かを感じる。トム・パクストン、フィル・オクスのカバーを
聴くと、またオリジナルの魅力に気付かされるし、この時代にドノヴァンが
いかに英国で人気があったかを窺い知ることもできる。
ディラン・カバー「親指トムのブルースのように」の収録も嬉しいところ。

5枚発表されたシングル曲は何れもオリジナル・アルバム未収録曲なので
いつかそれらを収めた編集盤が出ることを期待しながら、それまで
このアルバムを大事に聴いていこうと思っている。
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BAKER GURVITZ ARMY / STILL ALIVE

2009-01-11 20:08:27 | ROCK
ブラインド・フェイス解散後、アフリカで活動したジンジャー・ベイカーが
ロック・フィールドでの活動を視野に入れて元ガンのガーヴィッツ兄弟と
結成したのがベイカー・ガーヴィッツ・アーミーである。
74年から76年の間にアルバムは3枚しか残さなかったのだが、近年は
幾つかのライブ録音が発掘され世に出ている。

掲載写真もそんな1枚で75年と76年のライブを収録しているとのことだが
データ的なことは開示されていない。既発のライブ盤は聴いていないのだが
曲目を見る限りでは音源としてのダブりは無いようだ。
それにしてもディスク1で、いきなり2曲目のクレジットが「DRUM SOLO 1」
である。それでもって最終曲の7曲目は「DRUM SOLO 2」。
勿論ディスク2にも「DRUM SOLO 3」「DRUM SOLO 4」がある。(笑)
だいたいコンサートの2曲目でドラム・ソロを演るか?とか思ったのが
おお、思い出しました、あの超メジャー・バンドは3曲目くらいに
ドラム・ソロを持ってくるんだよね。ヴァン・ヘイレンって言うんだけど。

さてこのアルバムを購入した最大の目当てはボーナス扱いで添付されている
DVDである。ドイツのテレビ番組ムジーク・ラーデンに出演した時の映像で
メンバーは元シャークスのスニッブスやキーボードにピート・レマーを
加えた布陣。約40分の番組を丸々収録しているようで、曲間のダレ具合も
見事に記録してある。ジンジャー・ベイカーはやりたい放題で随所にドラムスの
見せ場があるのは当然ながら、曲が終わった後に何を思ってか椅子ごと後ろに
ひっくりかえる場面がある。ダラダラしているベイカーを尻目に場つなぎ
でもないがエイドリアンが「ルート66」のさわりを弾いたりするのだが、
こういうシーンは普通オン・エアされないものだと思うのだけど、なんとなく
見れてうれしかったりもする。ベイカーさんは一人だけワインを飲んでいるし。
「Memory Lane」では曲中のドラム・ソロの後、前に出てきてエイドリアンと
コーラスをつけるシーンがあり、ベイカーさんのファンには見所だらけである。

エイドリアン・ガーヴィッツのギターは一聴してわかりやすいフレーズと
いうものは無いが、これぞブリティッシュ・ハードと言われれば、感覚的では
あるが「なるほど」と言わざるを得ない説得力はある。ゴリ押しではなく
意外とメロディアスであることも久しぶりに聴いて気付いた。

もしかして、俺はジンジャーさんのファンなのだろうか?
まさか。(笑)
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PETE TOWNSHEND / VIDEO EP

2009-01-10 18:29:10 | ROCK
年頭の誓いは何処へやら、どんどん入ってくる発売情報に踊らされながら
カートに物を放り込んではオーダーする毎日である。
キッスの18枚組DVD「キッソロジー」は当初の販売方法の理不尽さを
全てクリアしたというのが快挙だし、価格の妥当性もあって注文せざるを
得ない。いよいよザ・フーの「アメイジング・ジャーニー」の日本版も出る。
黙って4枚組を選択するのが男前というものだ。

掲載写真はピート・タウンゼンドがアルバム「ALL THE BEST COWBOYS HAVE
CHINESE EYES」のプロモーションのために製作したビデオ。
冒頭の「プレリュード」をバックに公園を歩くピート。木々が緑の
葉を生茂らせている季節なのに、コートを着ているというのが英国風と
いうべきか。(笑)「フェイス・ダンシズ・PT2」のプロモの後の
朝食風景が面白い。ピート自ら冷蔵庫からベーコンらしきものを取り出し
皿の上に置き、その横に生卵を2個割ってのせる。更にトマトを二つに割って
のせてレンジにかける。パンを切るために電動ノコギリを持ち出すが
エンジンがかからず仕方なくナイフで切る。一連の作業を淡々と行なうのだが
時々意味不明な笑みを浮かべるのがちょっと怖い。(笑)
オレンジ・ジュースをジューサーで作り終え、レンジから皿を取り出すのだが
ピートは素手で皿を取り出す。熱くないのか、ピート?(笑)

ピート・タウンゼンドが一人で朝食をつくり食べるという、たったこれだけの
シーンなのだが私はこれが大好きなのだ。ベーコン・エッグが私の大好物
というのがその一因である。ピートが新聞を読みながらナイフとフォークで
卵を食べるのを見ると、「蘇る金狼」の松田優作の食事シーンを続けて
想起するのは言うまでも無い。
ここで電話がかかってきて「コミュニケーション」のプロモになる。
続けて「スターダム・イン・アクション」「エクスイジリットリー・ボアード」
のビデオ。前者のざわざわとした町並みとイラつき加減が滲み出た映像と
後者ののんびりとした公園での映像が対照的な印象を残す。

「スリット・スカーツ」はスタジオでの演奏風景をそのまま収録している。
アルバムの録音に参加した面子がそのまま演奏していて、ピートのファンには
おなじみのピーター・ホープ・エヴァンスやジョディー・リンスコットの
姿を見ることができるが、何より貴重なのはピアノを弾くヴァージニア・
アシュトレイのお姿。何か場違いな(笑)気品のようなものを感じるのは
私だけではあるまい。「ユニフォーム」のプロモの後、ピートによる
短いピアノのインストでビデオは終わる。

アルバムのプロモーションという意味合いでは、このビデオの役割はとっくに
終わっている。おそらく今後のDVD化は、余程のことが無い限り実現しない
ような気がするのだが、内容がいいだけに是非DVD化して欲しい。
その時は「エンプティ・グラス」のプロモーションのためにシェパートン・
スタジオで収録された4曲の映像も収録して欲しいものだ。
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追悼 ロン・アシュトン

2009-01-08 21:21:07 | ROCK
ストゥージズのギタリスト、ロン・アシュトンが自宅で死亡しているのが
発見された。死因は心筋梗塞だという。享年60歳というのは若すぎる。

ストゥージズが再結成された時のDVDやアルバムを見聴きして
改めて思ったのは、イギーがソロで組んでいたギタリスト達の出す音とは
質感が全く違うことである。ノイジーでメタリックと言ってしまえば
そういう音に興味の無い人はどれも同じような音に聴こえるかもしれないが
ヘヴィ・メタル系列のギタリストとは全く違うのだ。鉈を振るうような豪快さと
ナイフのような鋭利さを併せ持つと言えば理解してもらえようか。
語弊があるのを承知で書けば、冷たさと暖かさが同居したような音を
出すことが出来たギタリストでもある。

これでストゥージズの新作が出ないというのは勿論残念だが、それ以上に
ロン・アシュトンの若すぎる死が残念でならない。
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追憶のブートレグ61・ACT51 / BLIND FAITH

2009-01-07 20:52:45 | ROCK
発売から何年も経ったのに、一向にブラインド・フェイスのハイド・パークの
DVDは国内版が出る気配が無い。発売に際しクリアできない障害があるのか、
それとも一部で囁かれたピッチの狂いが原因なのか、事情は知らないが
何だか勿体無い。発売されれば、爺どもが飛びついて買うのは間違いないのに。
リージョン1の物を楽しんできたが、過去にNHK-BSでも放送されたので、
最早完全に販売の機会を逃した感は否めない。

ブラインド・フェイスの唯一のアルバムを初めて聴いたのは20歳の時。
個人的に「マネー・アンド・シガレッツ」や「ビハインド・ザ・サン」といった
当時のソロ・アルバムはかったるかったが、クリームやドミノスは
凄いと思っていた時期である。ジャケット・デザインが嫌いだったブラインド・
フェイスもそろそろ聴いてみるか、という程度で中古LPを買ったのだが
これがどうにも気に入らない。何がスーパー・グループなのかそのニュアンス
さえ掴みきれなかったのだが、10年くらい後に聴いてみると、これが
なかなか味わい深く感じたのだから不思議だ。(笑)

クリームに疲れてザ・バンドのような音楽を目指したクラプトンと、
トラフィック解散後、もっとリズムを追及したかったスティーヴ・ウィンウッドの
思惑の微妙なズレが、アルバムを中途半端なものにしていると最初は
思ったものだ。事実そういう点もあるにしろ圧倒的なスティーブの歌唱の
魅力とクリーム時代とは違うクラプトンの押しと引きのバランスに
気づいた時、アルバム全体を攻略したような気になり嬉しくなった。

ドラムスにジンジャー・ベイカーを推したのはスティーヴであると言われる。
もし当時のクラプトンがスティーヴに遠慮せずに(当時は歌うことすら
拒んでいたのだから)政治力を発揮していたら、バンドはリハの時点で
解体したかもしれないし、別なドラマーが入ってまた変わった展開になった
かもしれない。ここらは想像するだけでも楽しいのだが、結果として
ジンジャーが加入し、クラプトンとの軋轢がバンドをたったの半年で
崩壊させたのは歴史の事実である。

それにしても、たった半年の寿命のバンドだったのに皆が忘れることが出来ない
魅力を今も持っているのは、改めて素晴らしいと思う。2月にリハを開始し
6月にハイド・パークでデビューした時はアルバムすら出ていない。
8月にアルバムを出したと思ったらその月に解体である。何とも勿体無い。(笑)
掲載写真はそんなブラインド・フェイスの最後のコンサートを収録している
という表記があったので、音質は二の次で購入したブートレグ。
全く感傷的な気分になることもなく、CDは「DO WHAT YOU LIKE」で終わる。
コンサートの完全収録で無いにしても、最後がこの曲ってのはなんだかなあ
とずっと思っていたのだが、しばらくして大どんでん返しを喰らう。

このCDのライブの日付は69年8月26日と記されているが、どうやら
その日はコンサートは無かったということなのだ。そしてブートレガーに
より「LAST CONCERT」と題されたこのCDは8月16日の録音ということも
わかった。何だかホっとしたような残念なような・・・。
ちなみにこの後ブラインド・フェイスは5回ライブを行っている。

この後クラプトンはデラニー・ブラムレット(昨年の訃報は残念)の助言も
あって歌うようになり、スティーヴはトラフィックを再編し最高傑作である
「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」を発表する。
クラプトンの初ソロ・アルバムと再編トラフィック第一弾は共に70年7月の
発売。ブラインド・フェイスを舞台に両者が追求したかったであろうことが
1年遅れで同時に世に出たのは偶然だが面白いし、ブラインド・フェイスという
グループの「業」を感じずにはいられない。
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追憶のブートレグ61・ACT50 / JIMI HENDRIX

2009-01-06 04:22:08 | ROCK
今でもあるのかどうか知らないので過去形で書くが、大阪にミュージック・
ボックスというレコード屋があった。一度しか行ったことがないのだが、
最早どこにあったのかも覚えていない。普段は利用しない電車で初めて降りる
駅を少し歩いたところにあったその店は、普通のレコード店の佇まいではなく、
倉庫のような感じで、かなり広い店内には所狭しとCDやレコードが
置かれていた。一番印象に残っているのは店の前に並んでいた数多くの
「ガチャガチャ」なんだけど。(笑)

そんなミュージック・ボックスが上野に短期間店を構えていた。多分2年くらい
だと記憶する。上野近辺はレコード屋が根付かない土地柄もしくは客層なのか
赤黒も早々に撤退した。その上野のミュージック・ボックスには時々出かけた
のだが、目当てはブートレグCDだった。在庫過多のものを安く仕入れたのか
どうか知らないが、値段が安いのが魅力でいわゆる売れ筋のものや
ブランド物(笑)は無いに等しかったのだが、ジミ・ヘンドリックスの
「WHOOPY CAT」レーベルのものが幾つかあった。CDブートレグ創成期に
おいてこのレーベルはジミの優良盤を多くリリースしたことで知られる。
掲載写真は68年10月のウィンターランド公演で3日分6公演が
各日CD2枚組でリリースされた。出た当時はオフィシャル盤
「THE JIMI HENDRIX CONCERTS(炎のライヴ’68~’70)」に収録された
ウィンターランドの部分を大量に聴くことが出来て嬉しかったものだ。

その後も当然ながら様々なブートレグが登場した。これは何もジミに限った
ことではないが、まず手を変えジャケを変えて登場するアウトテイクの類の
多さに閉口した。どれが決定版か判断しかねるうちにどんどん購買意欲が
落ちていくのは目に見えてわかったし、そのうちオフィシャルでいいのが
出るだろうと言う甘い見通しも立ててはいた。
しかしながら、現状はジミのオフィシャル盤である「DAGGER RECORDS」が
あるにも関わらず、ましてMCA(現在の日本盤はユニバーサル・インター
ナショナル)でもないところから、山のようなライブ盤やアウトテイクが
毎年のように発売されている。しかもどれもが限定1000枚とかの
但し書き付きで。
ジミ・ヘンドリックスの正規ライブ盤や、きちんとした形で世に出される
アウトテイクが限定1000枚でいい訳が無いだろうに。

予算の都合もあるが何となく腑に落ちない点もあり、これらのオフィシャル
面したアルバムの数々を購入するに至っていない。きっと素晴らしいブツも
中にはあるのだろうが、これらの盤さえ購入していない今となっては、もう
ジミのブートレグを購入することはきっと無いのだろう。
掲載写真の貧弱なジャケットを見ながら、ぼんやりとそんなことを思うのである。
コメント (4)
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花柳幻舟 / 残・曽根崎心中

2009-01-04 19:41:12 | 日本のロック・ポップス
「初恋地獄篇」では主人公の男とヌード・スタジオで出合った女との恋愛の
葛藤を軸に話が進行する。今日取り上げる「残・曽根崎心中」では、主人公の
男が女と出合った場所はデート・クラブ。ヌード・スタジオにしろ、
デート・クラブにしろ言葉としては完全に死語なのだが、似たような形態の
ものは今もある・・・だろう。(笑)

曽根崎心中は不条理に引き裂かれた男女が、お互いに合意の上で心中するのだが
「残・曽根崎心中」は違う。男は初めから死ぬことを考え、たまたま出合った
女性が自分に惹かれているので心中の相手に選んでしまう。最初は商売上の
客であった男であるが惹かれる女と、前を見る事が出来ない男。
行き着く先は「死」であるかのように、時間は流れていき最後の場所に
辿り着く。しかしながら物語の結末は男は死に、女はたくましく生き続ける。
女性には家族に送金すると言う生活の目的があり、男性には生きる目的が
無かった。人を巻き添えにするのはいつの時代も見苦しい。

どれくらいの葛藤の後に心中するのか、誰を相手に心中するのか、
そんなことを考えたことは一度も無いし、ニュースや新聞に掲載される
心中事件を見て哀れに思うことも無い。心中未遂で男が生き残って女が
死んだとかいう内容の時は、死んだ方を哀れと思うことはあるけれど。
本当に一緒に死ぬ価値があったのか、と。
もし私が長生きして年老いて老人介護や病気に苛まれた時、今のように
他人事でいられるかは、自信は無い。

このアルバムには花柳幻舟の生き方が刻まれている。一瞬一瞬の判断に
過ちはつきものだが、結果として正直に生きようというすることで
物語の女性は生き残ることが出来た。このアルバムは75年の発表。
ご存知の通り、この後花柳幻舟は世間で言うところの様々な「事件」を
起こすが、それが彼女にとって「生きるための行為」ということであったと
すれば、この物語の女性が生き残ったことと整合性はあると思えるのだ。

アルバムの演奏はミッキー吉野グループが担当。タケカワ・ユキヒデは
グループのメンバーではないが、ここで幾つかの曲でボーカルをとる。
エンディングの『限りない優しさ』を聴いていると、1本の映画が
終わったような気分になると同時に、映画「青春の殺人者」のエンディングで
ゴダイゴの『イエロー・センター・ライン』が流れたことを思い出さずに
いられない。私の頭の中でこの「残・曽根崎心中」のエンディングの映像が
見えてこないのが残念なのだけど・・・。

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