HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

一九七二 春一番

2006-04-30 18:12:58 | 日本のロック・ポップス
赤黒チェーン店では4月上旬から店頭に並んでいたのだが、
私のところにも数日前に届いた「お宝箱」。ちなみにタワーでの通販での
購入だが、福岡風太が71年につくったミニコミ「THE NEW MORNING」の
コピーがなにげに入っていた。あまりに無造作というか、さりげない封入
だったので、最初は緩衝材の隙間をうめるために突っ込んだのかと思って
見もせずに捨てるところだった。(笑)

内容はCD-Rコピーで何度も聴いていてたので、しばらく開封せずに
置いといたのだが、今日何気に中を開いた。
読み応えのあるブックレットが面白い。
「ラブ・ジェネレーション1966-1979」という日本のフォーク・ロックの
レコード・ガイドとしては画期的な本の中での風太のインタビューに
金銭面で険悪になってその後、付き合いの無くなったミュージシャンもいると
いう件がある。私は「○○だろうな。」と思っていたら、今回の箱の
ブックレットではもろに名前が出ていた。で、私の予想は大当たりだった。(笑)
商業主義という言葉に極端に否定的に反応する考え方というのは、
私には理解できないが、それでも十分面白い話が満載である。

さて。この箱の最大の問題点は何かというと、DISC3である。
アナログでいうと3枚目B面最後に収録されていた吉田みなこの「とびらの冬」が
収録されていないことである。これはどうしたことだろう。
アルバム「扉の冬」制作前の貴重なライブ録音だというのに。
詳しい事情は知らないのだが、これでコピーCDRを捨てることが
出来なくなってしまった。

1曲未収録ではあるが、長年憧れたレコードがCDとなって目の前にある
というのはとても嬉しい事実は変わらない。
のんびりと、何度でも聴きかえそう。
さあ、次は「ガロ」のボックスだ!。
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ソフト・マシーンあれこれ

2006-04-29 17:51:53 | ROCK
大学卒業間近いころ、hopperさんの部屋で彼の英国旅行戦利品の一つである
ソフト・マシーンの3枚組「トリプル・エコー」(彼にとっては2セット目)を
聴いていたときの、hopperさんの一言。
「5枚組くらいのボリュームで未発表音源でも出ないかなあ。」
今ほど熱心な聴き手でなかった私は、冷たく一言。
「そんなん、出るわけないやろ。誰が買うんや。」
「勿論、俺や。」

その後のマシーン音源の膨大なリリースは諸兄姉のご存知の通りである。
BBC音源はともかく、ここのところ音のいまいちな音源が多くて最近は
購入していないものもあるのだが、昨年と今年は見過ごせないものがリリース
された。それが掲載写真の2枚である。
まずは掲載写真左はレーベルの枠を超えた67年から73年までの曲で
構成された2枚組ベスト盤。各アルバムからうまく編集してあって違和感なく
聴き通せる。目当てはシングルのみの発売だった「FEELIN' REELIN'SQUEELIN'」
「LOVE MAKES SWEET MUSIC」。特に「LOVE MAKES・・・」は大好きな曲なので
初CD化には驚喜したものだ。

hopperさんは忘れているかもしれないが。
10年位前にマシーン軍団の「新春放談」なるものをカセット・テープに収録して
送ってくれたのだが、その時の1曲目が「LOVE MAKES・・・」。
聴きたいと思っていたので「やったね。」と思ったのもつかの間、間奏の
ロバート・ワイアットの「ALRIGHT NOW」という掛け声のところに
マシーン軍団による「ALRIGHT NOW」という声がダビングされていた。(笑)
笑ったものの少し落胆したのも事実。あのカセットどこ行ったのだろう。

掲載写真右が先日発売されたばかりの「GRIDES」。CDとDVDの2枚組。
70年12月25日のライブが高音質で収録されたCDは聴き応え十分。
3RD~4TH収録曲を冴えまくるインプロを展開しつつ披露。過去の発掘音源の
中でもかなり上位に入る好演だと思う。
DVDは過去に「ビート・クラブ」で発売されたものの拡大版。
最初にこの映像をみたのもhopperさん宅であった。通販で購入したブートレグ・
ビデオである。私は映画「キッズ・アー・オールライト」のコピー物を
買った記憶がある。
このビデオを見ていると、唐突に始まり唐突に終わるので「これが全長版とは
思えないなあ」という会話がそこで交わされた。その数年後商品化された
「ビートクラブ」での映像もブートビデオで見たものと収録時間が変わらなかった
ので、この尺でしか残ってないのだなと思ってから10数年。
20分という大幅に尺が伸びた映像を見ることが出来た。前半にエルトン・ディーンが
鍵盤をプレイするところが丸々カットされていたことがわかる。

こういう発掘音源に接すると欲がさらに深まるのが私の悪いところ。
この日のライブはかなり前に「VIRTUALLY」というタイトルでCD化されているが
それは70分を超えるその日のライブをフル収録したものだ。
NHKのように無粋な局じゃなければ、いや几帳面?なドイツ人のことだから
「78分の映像があるんじゃぁないの・・・・?。」
ビートクラブの商品化から10数年経ってやっと収録時間が伸びたものを
見ることができたというのに、もうこの強欲さである。
また10年待つとしますか。(笑)

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HER LIFE WAS SAVED BY ROCK AND ROLL

2006-04-29 16:59:23 | DAY BY DAY
GW前にCDを大量に買い込んでしまった。いつものことながら
請求書が届くたびにビクビクしてしまう。
NAZZの1ST収録の「OPEN MY EYES」は、あれあれカウントがなかった。
こうなってくるとCD創世記に購入したライノ盤を放出するわけにはいかない。
「大概持っとるやろ」という相方の非難を無視して購入したのが
オールマン・ブラザーズの紙ジャケ。赤黒店の「帯と箱」の誘惑に勝てなかった。
グランド・ファンクは変形ジャケに釣られて「戦争をやめよう」をとりあえず
購入。「これもLP持っとるやん。東芝赤盤持っててまだ欲しいのか。」
ハイ、お叱りはごもっとも。というか、そこまでチェックするなよ。(笑)
アナログ見ると、おお福田一郎、中村とうよう、木崎善二、朝妻一郎と
早々たる先生方がコメントを寄せております。さすがGFR。

おいおい、アンドウェラはどうしたという突っ込みが聞こえてきそうだが、
これは購入が当たり前。以前CD化された「PEOPLE'S PEOPLE」は米盤ジャケ
だったので今回の英国仕様はグッときました。
ウィル・マローンは世界初CD化と帯にあるが、某会社が数年前にリリースした
日本盤はなんだったの?。やっぱり怪しい発売なのかな、あそこは。

で、ランナウェイズである。(笑)
掲載写真は76年発売の1ST。これも見事に帯に釣られました。
平均年齢16歳、ボーカルは下着姿でステージをこなすとなれば、音楽以前に
話題満載のバンドでキワモノ扱いされたのも無理は無い。
だいたい、夜は何時まで働いていたのか。

キム・フォーリーが裏で糸を引いていたのを知ったのは、かなり後になってから
であるが、ロックの複雑なビジネスやしがらみの一端が垣間見える。
演奏はシンプルで解りやすい。アイドルとして売りたかったマネージメントの
思惑と、ハードなロックを目指したバンド側の意識のすれ違い、
年頃の女の子が持つ嫉妬心・・・。それらがうまくコントロールできたら
評価はかなり変わっていたと思う。今になって「ランナウェイズは良かった」
なんて言われても、当人たちにしてみれば「当時言ってよ。」というものだろう。
だいたい、デビュー直後は別にして昔から今にいたるまで人気のある
「キッス」の演奏だってシンプルそのものだ。ランナウェイズをテクニックの面で
不当に貶める要素はさして見当たらない。
ただ、現行CDのライナーではベース・プレイは全てメンバーのものが使われず
元シルバー・ヘッド(!!)のナイジェル・ハリスンの演奏が使われた
と書いてある。これには驚いたが、ああこんなとこまで「キッス」と
同じだなと苦笑い。

このアルバムにはルー・リードのカバー「ロック・アンド・ロール」が
収録されている。日本公演を収録したライブ盤にも収録されたくらいだから
お気に入りなのだろう。この曲の歌詞の一節を今回のタイトルに引用した。
彼女たちの人生はロック・アンド・ロールに救われただろうか・・・。


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私の好きな映画

2006-04-24 23:59:57 | DAY BY DAY
この間の土・日で映画のDVDを4本見た。これは私にとって画期的なことである。
それほど映画に詳しいわけでもなく、好きなわけでもない。
いや、好きなのだが、こんなことを書くとバカヤロウといわれそうだが、
ロックのスピード感にくらべると、なんだか鈍間なように思えてから
あまり見なくなったのである。サッカーでも最近は怪しいのに90分以上、
モニターの前に座っていられないのが現実なのである。

何を見たかというと、「女囚701号さそり」「女囚さそり第41雑居房」
「新仁義なき戦い・組長最後の日」「新仁義なき戦い・組長の首」である。
ああ。なんとも殺伐としている。相方は私の100倍くらい映画通なのであるが、
この手の映画には見向きもしてくれない。
さそり・シリーズはひたすら梶芽衣子が美しいのだが、あと2作見ないと。
田村正和も出ているし。(笑)

「仁義なき戦い」は「新」になってからはイマイチだなあ。
「仁義なき戦い」シリーズはもう何十回見たかわからない。高倉健も裕次郎も、
「仁義なき戦い」に出演していないというその一点において、私の中では
2ランクも3ランクも落ちる俳優ということになる。
腐れ外道の千葉真一や、インテリヤクザの小林旭のほうが数枚上手なのだ。
いみじくも松田優作は「なんで俺は仁義なき戦いに出演していないのだろう」と
言ったというが、流石である。時代は違うものの、この発言で優作は
「仁義なき」シリーズに出演した俳優たちと同格扱いだ。(バカ)

松田優作と並んで、数少ない例外が沢田研二。私の一番好きな邦画「太陽を
盗んだ男」と、TVドラマ「悪魔のようなあいつ」で主演したというだけで
私にとっては永久シード選手のようなものだ。

さて。私の一番好きな映画は1952年、ウイリアム・ホールデン主演の
「第17捕虜収容所」である。私の一番好きな監督、ビリー・ワイルダーの作品。
捕虜収容所という狭い限られた空間で描かれる、憎しみと温かみのある
内容が大好きなのだ。古き良きハリウッド映画の真髄がここにある。

その一方で好きな監督がサム・ペキンパーである。
「ビリー・ワイルダーと全然違うじゃないの。」という声はごもっとも。
バランス感覚というヤツである。西部劇に革命をもたらした男、
バイオレンスをこれほど美しく描写できる男は他にいないのではとすら思う。
「第17捕虜収容所」にも登場したウイリアム・ホールデンがまたも出てくるが
「ワイルドバンチ」はボーナス映像がつくたびにDVDを買いなおすことに
なってしまった。そう、「ザ・ペキンパー・コレクション」を買ってしまった。
「ビリー・ザ・キッド」は2バージョンからなる2枚組だし、「ケーブル・ホーグの
バラード」も映像特典がついている。
GWはこれを見てのんびりと過ごそうかな。

ちなみに。我が家でのトレンディー俳優(死語)はといいますと・・・。
ロバート・カーライルさんと、ニコラス・ケイジさん。
そして大倉考二さん。(笑)ってはいけない。
一般的にはC級作品の「リトル・ストライカー」やB級の「コーン・エアー」も
我が家では「名画」なのである。

今日も酒がすぎたようだ・・・・。
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地震情報

2006-04-22 23:52:11 | DAY BY DAY
今日はレイナード・スキナードとイーグルスのライブが
BS2で放送される。「ちぇっ、折角レイナードのレガシー・エディション買ったのに
BSでやるのかよ」なんて毒づいていたら、相方が「地震情報とか入ったら
どうする?。ちゃんと製品で持っていて良かった、ということになるかもよ。」
と、笑っていたのが午後2時のこと。

さて、放送を見ると洒落にならん、本当に地震・津波情報が入ってしまった。
しかも、イーグルスにも被ってしまった。
笑うに笑えんなあ。情報は大事だけど、保存版にしようと思っていた番組に
限ってこういうのがやたら入るとがっかり。日本が地震国であるという前提を
忘れての勝手な物言いではあり、腹立てるのがお門違いなのは、
承知しているのだけど・・・・。

掲載写真は右がイーグルス、74年8月22日のライブ・ブートレグ。
左がレイナード・スキナード、77年1月18日大阪フェスティバルホールでの
ライブを収録したもの。イーグルスでも聴きながら寝るかな・・・。
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GOOD ROCKIN' TONIGHT-THE LEGACY OF SUN RECORDS

2006-04-22 23:44:32 | ROCK
昨日はTHE BUNCHのことを書いたのだが、もう1枚外せないのがあった。
2001年に発売されたサン・レコード・トリビュート・アルバム、
それがこれである。サン・レコード設立50周年を祝ったものだ。

設立者のサム・フィリップスは、白人でありながら黒人のブルーズ・マンとの
レコーディング機会を設け、人種の垣根が音楽において無意味であることを
いち早く体現した人である。もちろん、慈善事業ではないから商売に対する
目利きもしっかりしていた。「黒人のサウンドで歌える白人」が商品として
有効であることをいち早く察知し、最大の成果がご存知の通り、
エルビス・プレスリーというわけである。

それにしても凄い面子があつまったものだ。
オープニングはこれしかありえない、ポール・マッカートニーによる
「THAT'S ALL RIGHT」。スコッティ・ムーア、D.J.フォンタナを引っ張り出しての
セッションで悪いわけがない。続くジェフ・ベックはクリッシー・ハインドと
「MYSTERY TRAIN」を演奏。ベックは過去にアルバム「CRAZY LEGS」で
クリフ・ギャラップの奏法を完璧に披露したほどなので、この手のギターは
お手のものだ。ペイジ・プラントに続いてジョニー・アリディが歌う
「BLUE SUEDE SHOES」はクリス・スペディングが格好いいギターを聞かせるのが
ポイントの高いところ。

エルトン・ジョンは勿論、ジェリー・リー・ルイスをカバー。
トム・ペティの「BLUE MOON OF KENTUCKY」もいい感じだ。
ヴァン・モリスンはカール・パーキンスとの共演で、カール最後の録音に
立ち会ったことにもなる。
ボブ・ディランはウォーレン・スミスを、クラプトンはプリズネアーズの
カバーという一味違った渋いところを選んでいるのがさすが。
フェリーさんのカバーは「DON'T BE CRUEL」。プレスリーの録音は
RCA移籍後なのだが、サンにはジェリー・リーの録音が残されている。
最もフェリーさんの歌唱は、プレスリー風なんだけど。(笑)
クリス・アイザックがプレスリーになりきって歌う「IT WOULDN'T BE
THE SAME WITHOUT YOU」の魅力も捨てがたい。
シェリル・クロウ、愛してるぜ。(笑)

ここまで書いて、私は愚かにも国内盤を所持していないことに気付く。
国内盤は3曲多く、それらが「サード・アイ・ブラインド」「ブライアン・メイ」
「マーク・ノップラー(!!)」によるものであるのだから、
何とか日本盤を入手しないといけない。(う~む)
映像もDVDでリリースされているのだが、日本版はないようだ。

いずれにしろ。これこそ、「LONG LIVE ROCK AND ROLL」。
ロックンロール万歳という言葉がふさわしい楽しいアルバムなのは間違いない。

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THE BUNCH / ROCK ON

2006-04-21 19:42:12 | ROCK
1972年に発表された「THE BUNCH」名義の唯一のアルバム。
フォザリンゲイ解散後、サンディー・デニーのソロ・アルバム制作に
尽力していた、夫のトレヴァー・ルーカスが企画したカバー・アルバムである。

英国トラッドやフォークを基盤に置きながら、もちろん米国のロックンロールに
憧れを持ち続けた、そんな人たちのセッションである。
楽しくないわけがない。

今日は4月21日。まずはサンディー・デニーのことを書かないと。
ほとんどの曲でサンディーがコーラスをつけるか、リードをとる。
それも私の大好きなバディ・ホリーの「THAT'LL BE THE DAY」「LEARNING
THE GAME」では表情豊かな声を聞かせてくれるのだから、たまらない。

リチャード・トンプスンの男気はチャック・ベリー・ナンバー「SWEET LITTLE
ROCK'N'ROLLER」で感じ取れる。擬似ライブ仕立て?なのが疑問だが
格好よくキメてくれる。後にトンプスンと結婚するリンダ・ピータースが
広く名前を知られるようになったのもこのアルバムだろう。
「THE LOCO-MOTION」でのセッションはさぞかし楽しいものだったろう。

元々のLPは12曲収録で初回プレスのみに片面のみレコーディングされた
ソノシートがジャケットに挟み込まれる形で添付されていた。
2004年の日本盤紙ジャケ化の際には、さすがに音はでないものの、
紙製7インチも再現されてジャケットに挟まれていて、感動したものだ。

ボーナス・トラックも3曲。トレバー・ルーカスがボーカルをとる
「TWENTY FLIGHT ROCK」、「HIGH SCHOOL CONFIDENTIAL」は
時間の関係でオミットしたのかもしれないが、お蔵入りした理由が
わからないいい出来だ。リチャード・トンプスンのギターも幾分派手目で、
イアン・ホワイトマン(マイティ・ベイビー!)のピアノも
転がりまくる。リハーサルテイクしかない状態の「LA BAMBA」も
収録されただけで有難い。

それにしても。サンディー・デニーとリンダ・ピータースがコーラスを
つける図というのは、後付であるが想像しただけで軽く眩暈がする。
ロックのカバー集としてはもちろん、英国ロックの数あるアルバムの中でも
これほど楽しいアルバムはない。大推薦。
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IRON BUTTERFLY / IN-A-GADDA-DA-VIDA

2006-04-19 23:00:46 | ROCK
連日の紙ジャケ再発ラッシュ。もうじきアイアン・バタフライも
店頭に並ぶ。全く熱心な聴き手ではない私も、さすがにこの有名盤は
持っている。大して意識しなくても、適当な値段でいつでも中古屋に
転がっているので、気にも留めていなかったが95年についに買ってしまった。(笑)
それは、何故かと言うと・・・・。

今ではCDとDVDをカップリングで発売することが珍しくも何ともないが
このパッケージはCDとビデオを合せたものである。
CDはもちろん、ビデオも単体で売られていたのだろうけど、
「合せ技で、この際買っておくか」という気にさせる何とも微妙な
「お得感」を感じての購入であった。

CDは、ああなるほどいかにも1968年のサイケとか、アート・ロックとか
いわれた類の音で、あの時代の一つの断面の好サンプルである。
問題はビデオである。その昔「ビート・クラブ」のLDやビデオが発売された
時にアイアン・バタフライも1曲「イージー・ライダー」が収録されたが
このビデオは「イージー・ライダー」を含む全3曲約40分の収録。
もちろん、アルバムタイトル曲で最も有名な曲でもある「IN-A-GADDA-DA-VIDA」も
17分の熱演が収録されている。だが、どうにも絵的に格好が悪いのだ。

「ここでドラム・ソロはいらないだろ」という場面があれば、
トーキング・モジュレーターを使ってモゴモゴやりながら、ペグをぐるぐる
まわすという、よく言えば個性的悪く言えばこけおどしなところが、
アート・ロック(笑)である。

ここは一つ、音に集中してイマジネーションを拡げよう。と、思ったわけではないが
とりあえず、紙ジャケを全部予約してしまった。(バカ)
隠し味的なインド風味や、ハード・サイケな音は時に日本のフラワー・トラベリン・
バンドと兄弟のように思える瞬間があり、未聴のアルバムを聴いてみたいと
思ったのが本当のところだ。
長尺の演奏が売りであったろうが、シングル・バージョンの
「IN-A-GADDA-DA-VIDA」は途中で余分なドラム・ソロが入ることもなく
すっきりしていて、こちらのほうが好きだったりする。

いいのか悪いのかよくわからない、私にとっては「やっかいな」バンドである。
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THE WHOのお宝映像

2006-04-17 23:38:15 | ROCK
ストーンズに比べれば圧倒的に少ないし、キンクスに比べれば
かなり多い。ザ・フーの「いけない」映像事情である。(笑)
近年のものは高画質のオーディエンス・ショットがそこそこあるし、
70年代の主要なライブもいくつか存在する。
今回とりあげるのは、いずれも今年になってリリースされた60年代の
決定的な映像である。

掲載写真の右は69年のワイト島と、ウッドストックのほぼ完全な映像である。
ワイト島はオフィシャルで出てるじゃないかって?。
いえ、いえ。オフィシャルは70年なのです。69年のワイト島でのライブは
音声はでまわっていたが映像は初出だ。ウッドストックも例の映画で断片的に
使われていたが、これもほぼ完全版の映像が出てきた。
どちらも白黒映像だがここまで長尺で捉えたものはなかったので、
万人にはお奨めできないが、ザ・フーのファンは間違いなく必見だ。
おまけに初回プレスには完全初出の69/11/11BOSTONでのライブCDも
添付されている。いたれりつくせりだ。

そして全てのロック・ファンに見ていただきたいのが掲載写真左のものだ。
60年代のザ・フーのテレビ出演やプロモを、これでもかというぐらい、
4時間詰め込んだものだ。もちろんオフィシャルでリリースされたものも
収録されている。例えばレディ・ステディ・ゴー、モンタレー、
ロックンロール・サーカス、ビート・クラブ・・・。
それでも、あちこちにちらばったそれらをまとめ、更にブート・ビデオ時代でも
見ることができたものも大幅な画質向上で楽しむことが出来るのである。

66年にスウェーデンでのテレビ出演を収録したものは、20年近く前に
見たときは、グシャグシャの画像のものを有難く見たものだが、段違いに
画質がUPしている。圧巻はトミー発表後のドイツは「ビート・クラブ」での
特番である。アルバム「トミー」の中から主要な8曲を演奏しているのだが
これは必見だろう。ビート・クラブはその特異な画像処理で賛否両論あるのだが
それを差し引いても、アルバム発売時のリアル・タイムでのここまでの
プロモーションが映像で記録されているのは素晴らしいとしかいいようがない。
「トミーズ・ホリデイ・キャンプ」をハンド・マイクで歌いまくるキース・ムーン、
その時ドラム・キットにはロジャー・ダルトリーが座っているなんて、
思い浮かべるだけでも楽しいでしょ?。

オフィシャル発売されたフーのプロモ・クリップ集のなかでビート・クラブでの
「マイ・ジェネレーション」が収録されていた。見たことある方なら
思い起こして欲しいが、イントロが始まってもしばらく画面は「MY GENERATION」
という表示のままだったのだが、その謎もこのDVDを見れば解る。

ザ・フーに関しては市場に出回ったほぼすべてのブート映像を見てきた
つもりだったが、ここまで凄いDVD2連発には打ちのめされた。
DVDRではなくプレスDVDであることにもブートレガーの心意気を感じる。
ああ、なんで俺はこんなにもザ・フーが好きなんだろう?。
ストーンズの話なんて誰ともしたくない気分になることがままあるのだが、
ザ・フーに関しては今でも一晩くらいかけて、話し込みたいなと
思うことがある。

そしてもういちどロックの中心に向ってこう叫びたい気分になる。
「ロックよ、長生きしろよ。」まあ生死は問わないけどな。
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ROBERT PLANT / DREAMLAND

2006-04-15 23:45:55 | ROCK
レッド・ツェッペリンというのは大好きなバンドである。
ブルーズの改作バンドと非難されることもあるが、英国フォークや中近東あたりの
音も飲み込んで、強烈に電化を施したというのは事実であり、
数多のハード・ロックバンドとは一線を画する。
だが、個人的にはロバート・プラントの歌唱はそれほど好きではない。
ジョニー・ロットンに「頭の悪そうな白人野郎」と言われたとかいう話も
あるが、76,7年のパンク・ミュージシャンから見たらさもありなん。
もちろん、私の大好きなポール・ロジャースがツェッペリンのボーカリスト
だったら、あのアクロバティックなバンド・サウンドは生まれてはないだろうから
不当に低く評価するものでもない。

ソロ・アルバムもマメに購入してきたが、いつしかそれも止まってしまった。
だが、久しぶりに買ったこのアルバムは良い出来である。
2002年のリリースだが、久しぶりと思ったら9年もアルバムを
リリースしてなっかたのね。(笑)

全10曲(日本盤は11曲)中、純粋なオリジナルは3曲(日本盤は4曲)。
オリジナル曲の出来、アレンジともに冴えているのだが、ボーカリストとして
プラントが選んだカバー曲が絶妙だ。
オープニングはお得意のブルーズ改作だが、ブッカ・ホワイトを核にしながら
妙にサイケデリックな感じと、中南米風の味付けが気分を盛り上げる。
ブルーズ・ロックのファンにはおなじみの「モーニング・デュー」も
いい出来だ。

ディランの「コーヒーもう一杯」で聞かせる抑揚は、歌手としての
貫禄を感じさせる。「俺選曲ディラン・カバー集」では外せない。(笑)

特筆すべきはティム・バックリー、ヤングブラッズ、モビー・グレイプの
曲を採り上げている点だ。昔から好きだった曲、満を持して採り上げた曲と
プラントなりの折り合いのつけ方はあったろうが、私のようなロック者の
琴線に見事に触れるものだ。
なかには「?」マークのつく曲もあるが、まあご愛嬌ということで
ここでは触れまい。趣味の問題だから。(笑)

2003年にはベスト&レアトラックからなる2枚組の編集盤が出たが
純粋な新作発表には、また長い間があくことになるのかな。
ロッド・スチュワートが例の企画モノで大ヒットを記録しているが
プラントにはひとつやって欲しい企画がある。
昔から豪語しているアレを実現して欲しいのだ。

「俺はエルビスのゴールデン・レコード第一集を完璧に歌える。」
エルビスのゴールデン・レコードは第四集まででている。
実現すれば話題になるとは思うのだが、いかがだろう・・・。

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PHONO 73 O CANTO DE UM POVO

2006-04-13 22:52:09 | BRASIL
例えば・・・。
故人の名前も含めて列挙するが、こんな面子でのコンサートが
3日間繰り広げられたら、どうしますか?。
出演:ニール・ヤング、ローラ・ニーロ、ジェリー・ガルシア、ジャクスン・ブラウン、
フィル・オクス、リチャード・トンプスン、ケヴィン・エアーズ、ルー・リード
ボブ・ディラン&ザ・バンド、カーリー・サイモン・・・・。
なんだかよくわからないけど、凄そうな感じがします。

ここに紹介する2枚のCDと1枚のDVDからなるセットはブラジル音楽の
歴史の中で、先にあげた英米のミュージシャンの集合を上回るくらいの面子で行われた
コンサートの記録ということになる。
軍事政権の弾圧に抗う意味合いも含まれたコンサートでの狂熱のライブ!。
なかでも残された映像の断片をうまく繋いで40分近くの作品に仕上げたDVDは
素晴らしい。静かに冷たく燃えるジョルジュ・ベン、緊張感みなぎる
ジルベルト・ジルとシコ・ブアルキの共演、セクシーなガル・コスタと、
マリア・ベターニャ、マリアの兄でまさに革命者的で、そのパフォーマンスも
飛びぬけているカエターノ・ベローゾ、そしてエリス・レジーナ・・・。

CDにはイヴァン・リンス&MPB4やナラ・レオンといった有名どころも含まれ
贅沢を言えば彼らの映像がないのが残念だが、DVDで見ることが出来る
映像もほとんど初出で見たことがある人はほとんどいないくらいの代物である。
日本語字幕なんてもちろんないのだが、演奏中に歌われる歌詞を英語字幕で
出すことが出来るので、なんとか意味を汲み取ろうと奮闘中。
私がブラジル音楽を聴く時は完全に快楽のみを求めているのだが、
たまにはしっかりとメッセージを受け止めたいと思わせるのに十分な
映像と音源である。映像は断片的なものも、CD音声ではしっかりと収録されて
いるので音楽を楽しみたい時はCDがいい。もちろん、映像はフェスティバルの
雰囲気やアーティストのパフォーマンスをリアルに伝えるので、
どちらも欠かすことは出来ない。それにしても凄いライブ集である。

「みんなのうた」とは、こういうモノを指すのだなとつくづく思った
春の一夜。
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KENNY RANKIN / MIND DUSTERS

2006-04-11 23:30:47 | ROCK
67年発表のデビュー・アルバム。
それ以前にシングルを幾つか発表しているものの、大した話題にもならず
いきなりボブ・ディランの「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」の
セッションに参加。それから更に2年。満を持してのデビュー盤である。

ケニー自身が「自分はまずシンガーで、その次がコンポーザーだ」という
ように、どのアルバムにもカバー曲が多く含まれる。なかにはベタなものも
あって、正直全てを許容できる度量は私にはない。
だが、このアルバムはデビュー作であり、カバーや他人の楽曲を歌うばかりでは
認めてもらえない時代の流れもあってか、ケニーのオリジナルが多く含まれる。
そして、これがいい曲ぞろいなのだ。

後に自身が再録音する「ピースフル」、当時の妻とのデュエットがいい感じの
「イン・ネヴァー・チェンジズ」、必殺の「コットン・キャンディ・マン」と
傑作の枚挙に暇がない。ジョアン・ジルベルトからの影響を公言しつつも
よりポピュラリティを得るために独自の手を加え、数多のシンガーソング
ライターの作品とは違った音を聴かせる。

当時同じフィールドで括られかねない、フレッド・ニールやボブ・ディランの
曲をとりあげるというのも、なかなかのセンスではなかろうか。
ブレインはいただろうが、よほど自分のスタイルと歌に自信と、その個性に
自覚的でなければこういった選曲はできないだろう。
そのディランの曲「ミスター・タンブリン・マン」の出来には、コアな
ディラン・ファンは首をひねるかもしれないが、これはこれでありだろう。
一度スタジオ録音が発表されても、いかような解釈にも耐えうる曲の
魅力はさすがはディラン、という解釈も可能ではある。
何せ、「アット・武道館」ではレゲエ・アレンジで度肝を抜いたくらいであるから。

おっと、ケニー・ランキンの話であった。
なかなか全てのアルバムを愛聴するにはいたらないのだが、このアルバムは
私にとって別格だ。もう一度書くがこのアルバムは67年の発表である。
この時代に、サイケでもヒッピーかぶれでもなく、お洒落と言う言葉は
使いたくはなかったが、こんな感じで洗練されたアルバムはそう多くは
なかったはずである。もちろん当時の主流ではなかったろうが、
今聴いても瑞々しさを感じる。
現時点で入手は簡単ではないかも知れないが、気に留めておいて欲しい1枚。

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PHIL OCHS / GREATEST HITS

2006-04-09 10:08:28 | ROCK
熱心な聴き手ではないのだが、猛烈に好きなアルバムが数枚あるので
どうしても外せない。私にとってフィル・オクスというのはそんな人だ。
以前にも1枚とりあげたが、今日は70年発表の「グレイテスト・ヒッツ」を
聴いている。

前作で自分の墓石をジャケットにした「リハーサルズ・フォー・リタイアメント」を
発表したフィルは、今度は金ラメのスーツを着てジャケットに収まり
「グレイテスト・ヒッツ」とアルバム・タイトルをつけた。
だが、ベスト盤ではない。普通に6枚目のオリジナル・アルバムである。
皮肉なタイトルを持つこのアルバムは、どうしようもなくアメリカ人であり、
アメリカを愛した男の苦悩と希望と絶望が刻まれている。
プレスリーに憧れ、ジェームス・ディーンの幻影を見て、ニクソンに憤る。
また、自身をバッハ、ベートーベンやモーツァルトと並列で語り、
最後には「もう歌はどこにもない」と締めくくる。
とっちらかっているようだが、どれも聴き手には強烈な印象を残す歌詞だ。
サウンド面では、ヴァン・ダイク・パークスがプロデュースにあたったおかげで
きらびやかであるが、今となってはジャケット写真のスーツのように
虚飾に彩られた感じがして、なんだか物悲しい感じがするのはその後の
フィルを知っているからだろうか・・・。

微妙な関係にあったフィルとボブ・ディラン。二人に対する世間や業界の
評価の大きな隔たりにうんざりしたのか、プロテスト・ソングの意義に
疑問をもったのか、それとも自分自身の在り方に価値を見出せなかったのか。
今日はフィル・オクスが自らの人生に幕を降ろしてからちょうど30年という
日である。手元にフィルのアルバムが1枚でもあれば、聴いて欲しい。

エルビスは5000万人、ボンジョビは1億人という数で自分の支持者数を誇示し
「間違っちゃあいないぜ」とジャケットの表に誇らしく表記した。
フィル・オクスは皮肉屋らしく、「俺のファンは50人」と記した。
もちろん、そんな訳はないのだけど、なんとなく悲しい・・・。



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PETE TOWNSHEND / EMPTY GLASS

2006-04-05 22:46:07 | ROCK
80年発表のソロ名義での2枚目。
ピートのソロ・アルバムで最も売れたもので、私が最も好きな
アルバムもこれである。

キース・ムーンの後任にケニー・ジョーンズを迎え、ザ・フーを
存続させるものの、ピートの心は揺らいでいた。
つまらない音楽が世の中に溢れていることに、大いなる怒りを感じて
常に創作に取り組んでいた男にとって、キースの死は堪えたことだろう。
後任が誰であっても、明らかにバンドの質が落ち、それが自分の作品の
質の低下に直結することと、巨大化したバンドに対するファンの期待を
うらぎりたくない気持ちがモチベーションの低下に繋がったのは
想像に難しくない。

それなら、「ザ・フーという足枷を外してソロで」というのは
免罪符でもあるし、ピートの気を楽にするものであったことも理解できる。
結果、出来上がったアルバムはその後に発表されるザ・フーの
2枚のアルバムに比べて、充実した内容のものとなった。
ケニー・ジョーンズは「いい曲は全部ソロにまわしてしまった」とピートに
不満をぶつけ対立したが、ピートにしてみれば「知ったことか」だろう。
ここでの楽曲をザ・フーとして演奏してまとまるかどうか、なんて
ケニーにはわかるはずもないことだし、ソロだからこそピートの
自由にできたその結果の傑作誕生なのだ。

ザ・フーのこと以外にもピートには自身のアルコールやドラッグの過剰摂取、
妻との別居といった問題が山積みであった。
歌詞の内容もあまり明るいものはない。自身の開き直りや反省、悟り・・・。
やはりこれはソロ・アルバムでしかありえない。
タイトル曲「エンプティー・グラス」ではロック・スターである
自分のこれまでを自嘲気味に歌い、「リトル・イズ・イナフ」では
別居中の妻と自分の関係を「ほんのちょっと愛してくれるだけで十分だよ」と
歌う。こういったある種リセットに近い作業がなければ、もしかすると
この時点でザ・フーを再発進させてアルバムをつくるまでには
いたらなかったかもしれない。

サウンドの面では、今にいたるまでザ・フーを支えるラビットや、
元メディスン・ヘッドのピーター・ホープ・エヴァンスの活躍が
躍動感を与える。アナログ時代は「ハートの扉」という邦題がついていた
「LET MY LOVE OPEN THE DOOR」や「ROUGH BOYS」といった人気曲も
このアルバムに収録されている。ピートのアルバムで何か1枚というなら
まずはこれをお奨めする。ザ・フーのファンなら当時のピートが置かれた
心境を感じながら聞くもよし、そうでなければ単純に名曲の数々に
ニュートラルに接するもよし。

両脇に二人の女性がいるジャケットといえば、私は真っ先に
レナード・コーエンの「ある女たらしの死」(名盤!)が思い浮かぶのだが、
ピートにこの図は似合わないな。
コメント (2)
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BROWN SUGAR

2006-04-04 21:46:00 | THIS SONG
かなり前の話だが「ブラウン・シュガー」という名前のシリアル食品が
発売された。意識したかどうかは知らないが、その商品のロゴはストーンズの
日本盤シングル「ブラウン・シュガー」の最初のジャケットに使われた文字と
酷似していて嬉しかったものだ。(日本盤7インチは3種のジャケがある)
食べたことはないのだけど。「ブラウン・シュガー」が精製前のヘロインを
指すスラングであることはよく知られるところだが、
黒人女性との性的ニュアンスをも含んでいるはずだ。
どちらも意味深であり、体験の仕方によっては美味しいものなんだろう。

ストーンズで好きな曲を10曲あげろといわれれば、私は必ず入れる曲でもある。
キース・リチャーズの5弦ギター奏法が完成の域に達し、ドラムスがタムで
リズムをキープするというのはストーンズ史上画期的だったと思う。
今でもストーンズはこの手の曲をつくるが、どれも楽しいものだ。
間奏のソロをギターではなくサックスがとるのもいい感じだし
隠し味のアコギやマラカスも気分を高揚させる。
ベスト盤「HOT ROCKS」の初回プレスに誤って初期のミックスのものが
収録されたが、それと完成盤を聞き比べると、正規に世に出たバージョンが
いかに素晴らしいかがわかる。

今回掲載した写真はボブ・ディランのブートレグである。
先日、クラッシュの「ロンドン・コーリング」を演奏したブートレグが話題に
なったが、2002年のツアーではディランは「ブラウン・シュガー」を
演奏している。しかもさわりをチョロットではなく、フル・バージョンである。
ストーンズが先立って「ライク・ア・ローリング・ストーン」をカバーした
返礼でもないだろうが、これが面白い。
バンドはほぼストーンズ・バージョンに忠実に演奏するが、なにしろ歌うのは
自分の曲でも大幅にライブでは節回しを変えるディラン先生である。
湯船につかって唸ってもこうは気持ちよくヨレることはあるまい、というくらい
いい感じで歌ってくれる。

”I BET YOUR MAMA WAS A TENT SHOW QUEEN"のところからバンドの
メンバーとのダブル・ボーカルになるが、このボーカルが大味である。
そうなってくると、キースさんの適当なように見える歌唱に大いなる
歌心を再確認できるから不思議だ。いや、私はもともとキースさんの歌は
大好きなんですが。終盤お約束の「YEAH,YEAH,YEAH,HOO!」という箇所は
バックのメンバーは歌うもののディランはこの部分は歌っていない。
恥ずかしがらずにやってくれたらよかったのに。(笑)

今回のストーンズのツアーではキースは72年のテレキャスター・カスタムを
使用した。78年や81年のツアーでの使用が印象に残っているが、久々の復活では
ないだろうか。スペインでのイベント、「ギター・レジェンド」
でディランとキースが競演した時に、ディランはテレキャス・カスタムを
弾いていたが、あれはキースが貸してあげたものなのだろうか。
そういえば、ディランは以前キースの前で「俺はブラウン・シュガーを
知ってるよ」といってさわりを弾いたことがあるという。

キース曰く。「で、ディランが弾いてくれたのは”ビッチ”だった。」
コメント (6)
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