HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

LIVE AT THE TURNTABLE CLUB

2012-04-30 08:33:39 | REGGAE

レゲエのライブ盤と言われて真っ先に思い浮かぶのが、この2枚。

       

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「LIVE ! 」は、私のレゲエ事始めの盤であり最初にこれを聴いた時の
衝撃は大きかった。ジミー・クリフのこのアルバムは「IN CONCERT - THE BEST OF JIMMY CLIFF」と
いうタイトルなのだが、日本盤は「ベスト・オブ・ライブ !」というタイトル。両者とも付けも付けたりのタイトルで
その名に偽りなしの渾身の歌唱を聴くことができる。私にとってジミーのこのアルバムは、ロックのレコードに
例えれば、ニール・ヤングの「LIVE RUST」と同じような位置にある。つまり、両者のアルバムで最も好きな
盤ということだ。

     

次いで挙げるなら、この2枚か。ミスティー・イン・ルーツの「LIVE AT THE COUNTER EUROVISION 79」は
ちょっと経験値を上げてから出会った盤で、彼らのデビュー・アルバム。英国のレゲエ・バンドに目を向けると
こんな凄いバンドがいるのかと驚かされた盤でもあった。デニス・ブラウンの「LIVE AT MONTREUX」は
映像も残されている。この映像は単体でも発売されているが、やたらとセット売りもされていて、掲載写真の
ライブ盤CDと同梱されたり、デニスのベスト盤CDと同梱されたりもしている。それだけ定番であるということ
なのだろう。

で、今回取り上げるのは先日のCD化で初めて聴いた、このアルバム。

     74年12月、このライブ盤制作のためにキングストンの
「ターンテーブル・クラブ」で行われた演奏を収録。ソウル・シンジケートをバック・バンドに、デニス・ブラウン、
アレクサンダー・ポーテウス、デルロイ・ウィルスン、ビッグ・ユースの4者の演奏を聴くことができるのだが、
ここで聴くことができるのは、どれも勢いのある、ちょっと危険な匂いのする演奏で雑然とした混沌を感じる
ことができる。

特にアルバム最初に収録されたデニス・ブラウンの勢いが素晴らしい。若さにまかせた怖いモノ知らずの
勢いをそのまま捉えている。アレクサンダーの演奏は大して上手くないと思うが、雰囲気は十分。
デルロイ・ウィルスンの『IT'S A SHAME』は聴きものだし、ビッグ・ユースのレゲエ賛歌は会場を湧かせる。

歓声のミックスが幾分作為的で、純粋なライブ盤というには少々違和感を感じない事も無いが、ミックスを
キング・タビーが担当し、マスタリングをアップル・スタジオで行ったとなれば、有難味も増すというものだ。(笑)
今回のCDは見開きの紙ジャケ仕様。中ジャケの観客を写した写真を見ながら聴くと、ライブの熱気が
より一層伝わるかも。

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誰かが彼女を見つめてる

2012-04-29 12:44:13 | ROCK

劇中でロックを多く聴くことが出来るアメリカの青春映画といえば、73年の「アメリカン・グラフィティ」、
82年の「初体験リッジモント・ハイ」が即座に思い浮かぶ。どちらも、車と女の子がふんだんに登場し、
ダンス・パーティーのシーンもある。高校を卒業し旅立つ過程、或いは興奮の一夜を描いているのだが
日本の田舎に住む私には、何とも相容れない眩しさがあった。

大体、高校生にしろ大学生にしろ、車に乗るという文化というか習慣が私の周りには無かった。
高校生だと、バイクの免許を取るのが関の山だったし。
大学生になって車に乗っているのは余程の金持ちか、車に乗らないと大学に通えないような田舎者だった
ように記憶に刷りこまれているのは私の偏見かもしれないが。
私が通った大学は京都にあるのだが、その京都の大学生を描いた80年の映画「ヒポクラテスたち」、09年の
「鴨川ホルモー」を見ても大抵の若者は自転車に乗っていて、車に乗っているのはそれほどいなかったはず。

まあ、アメリカ映画に登場する若者も、乗っているのは自分の車ではなかったし、京都市内だと車なんて
全く必要なかったというのも事実。私が住んでいた処を更に更に北に昇れば、ちと寂しい感じになったもので
バイクが必要だったかもしれない。

掲載写真はジャクスン・ブラウンの『SOMEBODY'S BABY(誰かが彼女を見つめてる)』。
映画「初体験リッジモント・ハイ」で使用された曲で、ラジオでも頻繁にかかっていたこともあって気にとめた曲だ。
このシングルを買った時点では映画は見ていなかったのだが、その邦題とフィービー・ケイツが出演している
ことでバカな若者達(つまり、私たちです)は、いろいろとつまらないことを考えていたのは言うまでも無い。(笑)
シングルのライナーには「リッジモント物語(仮)」からのシングル・カットと書かれている。

「アメリカン・グラフィティー」のサントラには随分とお世話になったが、「リッジモント・ハイ」のサントラを
買うことは無かった。今振り返ってみても好みのミュージシャンや曲が少ないのが、その理由で『SOMEBODY'S
BABY』はジャクスン・ブラウンのオリジナル・アルバムには未収録なので買ったのだということを思い出した。
あの面子の中に、せめてウォーレン・ジヴォンでも入っていればと皮肉交じりに思うのだが、お気楽な映画に
あっては浮いてしまうだろうから、仕方あるまい。

「リッジモント・ハイ」は今見ると配役が面白い。ショーン・ペンはお気楽なサーファーだし、端役のニコラス・
ケイジは改名前のニコラス・コッポラだし。「アメリカン・グラフィティー」も撮影当時はハリスン・フォードも
ロン・ハワードも無名だったから、人に歴史あり、である。

映画の最後に登場人物の「その後」を端的に記すというやり方が、どの映画から始まったのかは知らないが
「アメリカン・グラフィティー」も「リッジモント・ハイ」も、そんな終わり方である。
「リッジモント・ハイ」でのショーン・ペン演じるサーファーのジェフには「溺れたブルック・シールズを助けた
謝礼金でヴァン・ヘイレンを誕生パーティーに呼んだ」というオチがある。

    そう言えば。
ヴァン・ヘイレンの『HOT FOR TEACHER』のプロモ・ビデオのエンディングも、メンバーとビデオの主人公の
少年の「その後」が記されていたなぁ。

で、映画「ヒポクラテスたち」。この映画のエンディングも登場人物たちの「その後」が記されていて、初めて
この映画を見た時、映画中ではそんな予感を感じさせなかった伊藤蘭演じる女子学生の「その後」が
ショックだった。
これがポルノ映画以外では初主演でもあった古尾谷雅人の人生の最期を思うと、何となく「ヒポクラテスたち」の
エンディングが蘇ってきて、ちょっと悲しくなるのであった。

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リー・ペリーのいい仕事

2012-04-26 20:28:06 | REGGAE

       

リー・ペリーといえば、アップセッターズをプロデュースしたスカ、ロック・ステディ時代、或いはブラック・アーク・
スタジオでのブッ飛んだダブが人気であるが、先日、隠れたいい仕事といえる「歌物」に関わった2枚のCDが
リリースされた。

掲載写真左はキャンディー・マッケンジーの「LEE 'SCRATCH' PERRY PRESENTS CANDY McKENZIE」。
77年にブラック・アークで録音されながら、今回のリリースまで表に出ることの無かったアルバム。
コンゴスやアスワドのアルバムでバック・ボーカルを担当していた人だが、これほど素晴らしい歌手だとは
この録音集を聴くまで気にも留めていなかった。

77年という時期のペリー制作のバック・トラックが悪いわけが無いというのは、贔屓の引き倒しである(笑)が
この年は先に書いたコンゴスの「HEART OF THE CONGOS」や、ヘプトーンズの「PARTY TIME」、そして
ジュニア・マーヴィンの、あの「POLICE & THIEVES」を世に送り出しているのである。

キャンディー・マッケンジーの盤が世に出なかった理由が、金銭的なものか御大の気まぐれによるものかは
知る由もないが、ここで聴くことができるトラックはソウルフルでグルーヴ感に満ちている。
そして、何よりキャンディーの歌が素晴らしい。この録音の前にペリーは、マーサ・ヴェレスやスーザン・カドガン
といった女性ボーカル物を手掛けているが、そのどちらよりもこの録音の方が私には素敵に思える。

まさにソウルを感じさせる『DISCO FITS』、ダスティー・スプリングフィールド・カバーの『BREAKFAST IN
BED』といった曲の出来の良さは勿論だが、アルバム中でキャンディー自身が手掛けた曲が数曲あり、
単なる歌手以上の才能を見せているということにも驚かされる。

掲載写真右はジョージ・フェイスの「SUPER EIGHT」。今回の発売はジャマイカ盤仕様で、オリジナルは
ジャケットにレーベル面が印刷されていない、白地にアーティスト名とタイトルが黒文字で書かれたジャケット。
数年前にHIP-Oから、英国アイランド盤で発売された時のタイトル「TO BE A LOVER」とジャケットで
再発されていた。英国盤とジャマイカ盤は曲順も違うので、今回のジャマイカ盤仕様での発売は、その値段の
安さと相俟って歓迎されるのではないだろうか。

実はこれも77年の発売(ステッカーには1976 ALBUMとあるが)。特に評価の高い歌手というわけでもないので、
ペリーの仕事の中では軽視されがちだがここでのトラックも素敵だ。ジョージ・フェイスの歌唱も悪くないし、
何より数曲で聴くことができるコーラスの良さが素晴らしく、クレジットを見るとメディテイションズとダイアモンズ。
成程、納得である。

ポール・アンカの『DIANA』のレゲエ・アレンジなんていうと、笑いの一つも出てきそうだが、これが意外と
悪くないのだ。オージェイスのカバーも良いし、何よりウィルスン・ピケット(『IN THE MIDNIGHT HOUR』)と
リー・ドーシー(『YA YA』)の有名曲をメドレーで繋ぐという技も、ド真中に直球を投げ込む感じで面白い。

今回リリースされた2枚のアルバムは、ペリーのファンは勿論、歌心のあるレゲエを聴きたいという向きにも
最適だと思う。何より、どちらも安価なのが嬉しい。このような再発は大歓迎だ。

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買物日記 本日の収穫

2012-04-25 15:00:12 | DAY BY DAY

今日は通常の業務を離れて、出先での5年に一度の資格更新研修の日。サクっと終わらせて、午後から
休みをとって7インチを探しに出かけると、出物がありました。6枚買って2730円だったので、個人的に大満足。

     

 左はキンクスの『SLEEPWALKER』(オランダ盤)、右は『DESTROYER』(ドイツ盤)

     

左はキンクスの『GODS CHILDREN』(フランス盤)、右はクリス・スペディングの『DUELO』(スペイン盤)
『DUELO』はオリジナル・タイトルで書けば『GUNFIGHT』のことです。(笑)

     

左はセルジュ・ゲンスブールの『DES LAIDS DES LAIDS』(フランス盤)右はジョン・レノンの
『STAND BY ME』(日本盤)(笑)。ジョンの盤の目当てがB面の『MOVE OVER MS.L(ようこそレノン夫人)』で
あることは言うまでもない。それにしても、セルジュの盤を280円で買えたのはラッキーであった。

2011年の当ブログ認定ルーツ・ロック・レゲエ100選にセルジュを1枚入れた私の所作を、神は見ておられた。
神が味方である。(笑)

今回のレコード・ストア・デイで発売された7インチの収集が上手くいかないイライラが、幾分解消されたという
意味でも良い買いものであった。(笑)

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RASTA COMMUNICATION

2012-04-23 23:10:18 | REGGAE

           

2011年の始まりに「ルーツ・ロック・レゲエ100選」というのをやったのだが、その中でキース・ハドスンの
どのアルバムを選ぶかで悩んだのが、上記の2枚であった。リー・ペリーやキング・タビーに負けず劣らずの
ダブ名人であった故に悩んだのだが、その時は内容の重要性を鑑みて掲載写真左の「FLESH OF MY
SKIN BLOOD OF MY BLOOD」を選んだ。その選択は今も正しいと思っている。

で、個人的にダブの名盤の印象が強いので、歌モノとは言わないが正面からボーカルに取り組んだ
「RASTA COMMUNICATION」とかを軽んじてしまったわけだが、今年になって同盤のデラックス・エディションが
登場した。ディスクの1枚目にオリジナル盤と12インチ・ミックス、シングルの所謂A面を収録し、2枚目には
ダブを収録してある。

      

「RASTA COMMUNICATION」のダブ盤といえば「BRAND」(掲載写真右)なのだが、今回のダブは
「BRAND」収録以外のダブもある。例えば今回のDXエディション収録の『BLOODY EYES DUB』は
「BRAND」には収録されていない。
これの元歌は『BLOODY EYS』で、同曲のダブ『MY EYES ARE RED DUB』は両者に収録。
しかしながら、今回収録された『BLOODY EYES DUB』の濡れ具合(笑)が実に気持ち良く、これを
聴くことが出来ただけでも、価値があるというものだ。

私が所持する「BRAND」は再発CDなのだが、それにはボーナス・トラックで『BLOODY EYES DUB』の
トラックにキースのボーカルがのるヴァージョンが収録されている。手っ取り早く言えばボーカル抜きヴァージョンが
「RASTA COMMUNICATION」のDX盤に収録されたということなのだが、なんだかややこしいでしょ。(笑)
快感指数の高さに比例するややこしさが、レゲエなのです。なんて堅苦しいことは抜きにして気楽に楽しめば
いいのである。

というわけで、今回のDX盤は「BRAND」未収録のダブも幾つかあるので、「BRAND」を持っているからといって
スルーは厳禁。(笑)
そういう私は今回、本体の「RASTA COMMUNICATION」の力強さに改めて気付きました。

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ALL THROUGH THE CITY

2012-04-22 09:07:41 | ROCK

ウィルコ・ジョンスンが在籍した時代の、ドクター・フィールグッドの4枚組ボックス「ALL THROUGH
THE CITY」がリリースされた。ライブ盤「STUPIDITY」を含む4枚のオリジナル・アルバムを2枚のCDに
収録し、更に未発表スタジオ・テイクやデモにライブ、「STUPIDITY」付属の7インチを1枚のCDに収録。
DVDには、約70分の映像が収録され、ボックスは計4枚のディスクで構成されている。

これだけの箱がたったの3500円ほどで購入できるのだから、素晴らしい。何年もいや何十年も前から
彼らを聴いてきた方々は何枚ものLPやCDやDVD(もしくはVHS)の対価として、合計すればこの箱の何倍もの
金額を支払ってきたのだから。とりあえず、これがファースト・ステップになる方のコスト・パフォーマンスの良さを
羨むわけだが(笑)、ファースト・ステップに程遠い我々も、BBCライブや1STのDXエディションなんかを
楽しんでいるわけで、この箱だけじゃ、まだまだ追いつけないぞという余裕を持って、この箱を楽しみたい。(笑)

個人的な目玉は、やはり映像だ。私が初めて見た「動くドクター・フィールグッド」は、75年のGEORDIE
SCENEである。滲みまくった画像に適当なカラーコピーのジャケットをつけたブートレグVHSで見たのだが
この映像をドンピカの画像で手元に置ける日がくるとは。あまり垢抜けないものの女子率の高い客を前に
演奏するとなれば、気合が入らないというのがウソでしょう。(笑)

昨年、当ブログで映画「OIL CITY CONFIDENTIAL」を取り上げた際に、「ボーナス映像でO.G.W.T.は曲が
完奏する形で収録してくれたらよかったのに」と書いたが、それもあっさり実現。(笑)
定番映像の「LIVE AT THE KURSAAL」も現在は単体での入手が難しかったので、商品としては3度目の
登場となるが、ここでの収録されることに何の問題もない。今回のDVDに収録された映像は全て75年のもので
当時のフィールグッドの格好良さを、これでもかと伝える映像である。

未発表曲集の中にはミック・グリーンと録音した曲が3曲収録されていて、これらが日の目を見たのも
嬉しいところ。3枚目のディスクの11曲目と12曲目には面白いというか興味深い注釈がある。
リー・ブリローは「一体誰が、ドルビーなんて名前のヤツを信頼するってんだい?」というニュアンスのコメントを
出しているのだが、ここでの解釈は実際に音を聴いた人と英文を読んだ人に任せる。
ここでのニュアンスと内容が同じかどうかはともかく、実のところ私がカセット・テープに録音する時、今に至るまで
(私のカセット・デッキは現役です)只の一度もドルビーをONにしたことがなかったので、「ああ、リーさんよぉ、
わかるぜ~」と何となく勝手に連帯意識を抱いたので、とりあえず書いておく。(笑)

3枚のCDに1枚のDVDのどこをとっても、一切の退屈無し。ブックレットも充実している。場所も塞がない装丁。
つまんないアルバムはスルーして、この箱を今すぐ入手しようぜ。

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追悼 リヴォン・ヘルム

2012-04-20 23:05:07 | ROCK

ロックを聴き始めて間もなく、漠然と自分もバンドをやりたいと思った。16歳の頃である。
ギターを弾きたいとか、まして人前で歌を歌いたいなんて思ったのではなく、ドラムを叩きたいと
思ったのは何故だろう。ギター弾きは大勢いるので、ドラマーなら人数がいないから簡単にバンドに
もぐりこめると思ったのは事実だが、それ以上に居るのと居ないのでは、或いはメンバーが変わるだけで
バンドの音自体が全く趣が違う音になるドラムスというパートに魅力を感じたのは間違いない。

最初にコピーしたのはリンゴ・スター。リズムのニュアンスを面白いと思ったのはチャーリー・ワッツ。
自分が実際に音を出し始めると、目立ちたくてしょうがなくなりスチュワート・コープランドに、ジョン・ボーナム、
キース・ムーンと手数の多い派手なドラマーに憧れた。

しかし、自分がバンドをやめた21歳頃になって、ようやく「ザ・バンド」を聴き始め、リヴォン・ヘルムに
憧れるようになった。少々のミス・ショットなんて関係なく独特の揺れを生み出し、歌やギターを
邪魔しない地味な役回りを引き受けるようでいて、その実は彼にしか出せないリズムを刻んでいた
リヴォン・ヘルムが71歳の生涯を終えた。

私にとってのリヴォンは、全てのドラマーが目標にするようなスタイルではなかったかもしれないが、
手本にすべきドラマーであると常々思っているドラマーであった。

謹んで彼の冥福を祈りたい。

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SHOUT IN THE RAINBOW

2012-04-19 21:49:43 | 日本のロック・ポップス

先日、朝の番組で、女の子の声で地元の方言を使って目覚まし伝言?みたいな言葉を喋ってもらって
道行く男性に聞かせて、どこの地域の方言で起こしてもらうのがいいかをアンケートにとり、
順位をつけていた。その結果、1位は京都だったのだが、あれはほとんど幻想である。
私の相方は京都産であるにもかかわらず、テレビで見たような如何にも「京都」を感じさせるイントネーションで
起こしてもらったり、見送ってもらったことはない。私の相方に幻想を抱かせる資質が無いのは事実なのだが(笑)
それはさておき、大体、普段京都の女性があんなイントネーションで喋る場面なんて余りでくわさないものだけど。

掲載写真はSuperflyの昨年12月大阪城ホールでのライブを収録したDVD「SHOUT IN THE RAINBOW」。
コンサートを完全収録しているので、当然曲間のMCも全て聴くことができる。曲と曲の間の喋りや曲中での
煽りの端々で時折でてくる地元の方言やイントネーションが妙に可愛らしく思えるのは、私が彼女のファンで
尚且つ出身地が割と近いからなのだが、地元贔屓というのはそういうものなのだろう。

今回のDVDは、勢いのあるミュージシャンの旬を見事に捉えた映像である。特別なアリーナ・ツアーならではの
照明の豪華さやバック・ミュージシャンやコーラス隊の細かい演出を含めて、金がかかっているといえば身も蓋も
無いが、観客を楽しませるエンターテインメントとして十分すぎる内容で、実際にこのコンサートを見た観客は
とてもハッピーだったのではと想像するのは容易い。ステージ構成も選曲も絶妙。
過去の映像と比べて、曲の数というか粒が揃ってきているのも飽きずに楽しめるところ。

これだけの声量とトーンで2時間を超えるステージを連日こなすのは、かなり酷なはずだがそれを
跳ね返す若さと力量を再確認すると同時に、数多の自称ロック・バンド以上にギターが鳴り響く楽曲を
この御時世に提示できる素晴らしさを思うと、逆に後どれくらい続くのだろうと、いらぬ心配もしてしまう。

この4月でデビュー5周年を迎えて、Superflyはイメージ・チェンジしたアーティスト写真と、幾つかのテレビ
出演で新しい側面を見せた。ちょっとパティ・スミスっぽい、その写真を見て今までと違った彼女を聴くことが
できるのかなと、9月発売予定の新譜に思いを馳せる。ローソン発売のヤツだけDVDがついているようだが
端末操作がかったるいので、普通に(でもないか)LPとCDが同梱される限定盤を予約した。
まだ、夏も来ていないのに9月が待ち遠しい。(笑)

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鬼火

2012-04-17 19:39:40 | 日本のロック・ポップス

J.A.シーザーの未発表音源を集めたボックス「J.A.シーザー伝奇音楽集 鬼火 天井桟敷音楽作品集
VOL.2」がリリースされた。08年にリリースされた前回と同じように4方向に開く特殊な装丁の箱に
5枚のCDが収納されている。前回はたった1枚しか残されていない幻のLPを再現するという目玉が
あったが、今回も負けず劣らずの内容である。

今回の音源はシーザー所有の1100本のリールから選りすぐられたライブだけあって、聴き処多数である。
私はどちらかというと、天井桟敷という劇団の為の音楽というより、いちロック・ミュージシャンとしての
シーザーの音楽を面白く思っているので、熱心なシーザーのファンの方とは面白がるところが
違うかもしれない。

例えばそれは組曲形式のものでなく、個々の楽曲の迫力で迫るパターンの方が好きということなのだが
それは私のシーザー初体験が、アルバム「国境巡礼歌」という天井桟敷の名前を冠しないシーザー個人の
リサイタルを収録したライブ盤だったことにもよるだろうし、プログレが苦手なせいもあろう。(笑)

今回のディスクでいうとディスク1とディスク4をよく聴いている。で、私の中では『母恋しやサンゴ礁』『越後
つついし親不知』といった楽曲が、巷に溢れる所謂「ヒット曲」と同じような位置付けで頭の中に刷りこまれ、
それらが演奏されると、ストーンズのコンサートで『SHATTERED』や『BROWN SUGAR』が演奏されるのと
同様に盛り上がってしまうのだ。(笑)

だから、私のような演劇にも芝居にも大した理解の無い聴き手は、シーザーなんかに手をだしては
いけないのだろうが、余り爽快と言えず、しかし日本人の奥底に眠る暗部を探り出すような歌詞と
メロディーの魅力に抗えず、こうして聴き続けているというわけだ。

日本的なメロディーを西洋の産物であるロックのフォーマットに上手く潜り込ませた好例というと、
寺内タケシとブルージーンズの『壇之浦』、村八分の『むらさき』、マジカル・パワー・マコの『南国の娘』
なんていう曲が思い浮かぶのだが、それらと並べても遜色無い楽曲を多く収録した、強力な破壊力で迫る
今回の5枚組には圧倒されっぱなしである。

一部の店やHPでの購入だと未発表音源を40分ほど収録したCDが特典で付いてきて、私もそれを
入手した。因みに特典CDに収録された全7曲中3曲は、02年に白夜書房から出た「J.A.シーザーの世界」に
添付されたCD収録音源と同じもの。それでも、残り4曲は貴重な物だし、そう思うと先の本に付けられた
CDはもっと貴重なように思えてきた。

先に書いたが、今回の箱を編むために精査したシーザー所有のリールは1100本。
音質の劣化の厳しいものもあるだろうが、また4年後に箱が出ることを期待して・・・。

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とことんでいこう

2012-04-15 17:08:07 | 日本のロック・ポップス

         

トータス松本がサム・クックのアルバム「TWISTIN' THE NIGHT AWAY」を丸ごとカバーした
アルバムをリリースしたのは、最早旧聞に属するのだが、アルバムを購入依頼何度となく聴いている。
ジャケットから中身まで完全コピーした、その男気に痺れまくっているというわけだ。

アルバム丸ごとカバーしたいきさつは既に語られているが、ト-タスは今回の「ツイスティン・ザ・ナイト・
アウェイ」をリリースする以前にサム・クックのカバーを披露している。
一つは03年リリースのソウル名曲カバー・アルバム(1曲オリジナルあり)「TRAVELLER」収録の
『BRING IT ON HOME TO ME 』。もう一つがウルフルズ97年のシングル『かわいいひと』の
カップリング曲『ワンダフル・ワールド』。
『ワンダフル・ワールド』は1番詞が英語で、2番以降はトータスが独自につけた日本語の歌詞で歌われる。

今回、トータスがサム・クックのカバーをするにあたって、ヒット曲集にせずに1枚のアルバム・カバーに
した隠れた理由に、既に2曲カバーしているというのもあったかもしれない。そうすると今度は
トータスが歌う『YOU SEND ME』を聴けるのは何時の日か、ということにファンの興味は移るのだ。(笑)

そう言えば『かわいいひと』のプロモには宍戸錠がゲスト出演して、華麗な銃さばきを見せる。
(実はちょっと、もたつくとこもあるのだが、そこが愛嬌があってよいのだ)
当ブログ認定の「門外漢が選ぶジャズ100選」と並んで「日本の映画100選」も同時進行中であることは
以前も書いた。日活映画は劇中に拳銃が法外に登場し笑わせてくれるのだが、ストーリーが明快で単純なものが多く
娯楽として肩が凝らないために人気があったのだなぁということを再確認している最中でもある。
日活第三の男と言われた赤木圭一郎主演だと「紅の拳銃」、エースのジョーこと宍戸錠だと「殺しの烙印」を
個人的に推す。裕次郎、旭は別の機会に。

    ん?。話が逸れた。(笑)

ウルフルズがカバーしたソウルの名曲で忘れられないのが、これも98年のシングル『まかせなさい』の
カップリング『TIGHTEN UP ーしまっていこうー』。これも全歌詞をトータスが日本語で歌う。
オリジナルを知っている方は解かるだろうが、ほとんど喋りというかラップに近いパートがほとんどの
この曲に、敢えて深い意味のある詞を当てはめず、適当でありながら演奏するバンド自身と聴き手を無暗に
盛り上げることができるところが、トータス松本の面目躍如といったところである。

この曲にはオチがあって、同年のアルバム「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」の隠しトラック(31曲目)として
メンバーが担当楽器を持ち替えて演奏するバージョンが収録されている。演奏内容は推して知るべし。
この度を超えたジョークも、ウルフルズの魅力でもあったなぁと遠い目になる。

いずれにせよ、自分も好きな事に対しては「とことんでいこう」と思わせるのが、トータス松本の
「ツイスティン・ザ・ナイト・アウェイ」であるのは間違いない。

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TOKYO KILLER

2012-04-14 18:18:36 | 日本のロック・ポップス

実は、サーフ・ミュージックというか、この手のインストが好きである。それほどの早弾きは要求されないが
的確なピッキングとセンスが要求されるので、ギタリストの練習曲に適していると思うのだが、どうだろう。
あまりにまったりした曲はさておき、スピード感があるナンバーを集めたコンピレーションを聴いていると
燃えてくるので、カーステとかで聴くのは私にとっては「御法度」である。(笑)
まだ、レコ・コレの今月号を読んでいないのだが、ディック・デイルやノーキー・エドワーズは
「100人のギタリスト」に名を連ねているだろうか。

ヴェンチャーズをサーフ・バンドとは言わないだろうが、『PIPELINE』を初めて聴いたのは、ヴェンチャーズの
バージョンで素直にこれを格好良いと思ったものだ。何せ私が2番目に買った洋楽のアルバムは、
お気楽なヴェンチャーズのベスト盤だったのだから、その影響力というのは想像していただけよう。
因みに以前も書いたが、最初に買った洋楽アルバムはビートルズの「OLDIES」。

キノコホテルというバンドのことは、名前くらいは知っているが音は何一つ聴いたことがなく、また
メンバーであるケメの、キノコホテル以外のソロやバンド活動のことも全く気にとめたことが無かった。
掲載写真の「トーキョーキラー」なるバンドが4曲入り7インチをリリースするということを知った時に
初めてケメという名前を意識するようになったのだから、まあ、昔からの熱心なファンの方には
笑われてしまうかもしれないが、それもいいだろう。

何故この7インチを購入したかというと、まず選ばれた4曲が気に入ったのと、ジャケットに写る若い女性が
気にいったという2点による。比較的若い(そうでもないか)日本のサーフ・バンドだとサーフ・コースターズが
格好良かったが、女性のギタリストがそういう音楽を演奏するというのは、キマれば実に格好良いのでは
ないかと思ったのだ。

実際、この7インチは格好よかった。選曲も私好み。アストロノウツの数倍凶暴な『SURF PARTY』に始まり、
ピラミッズの『PENETRARATION』、シャンテイズの『PIPELINE』と定番ながらも爽快にスッ飛ばす
演奏が気持ちいい。何より良いのがG.S.好きには堪らない、寺内タケシとバニーズの『テスト・ドライバー』を
カバーしていることだ。これは流石というしかない。
次はスパイダースの『ダイナマイト』のカバーを是非ともお願いしたいものだ。

今回の7インチは、マーブル・カラー・ディスクなのも嬉しい。当然のように限定盤なので気になる方は
お早めに。そして、次も7インチでのリリースをお願いします。

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DISCO JETS

2012-04-13 21:27:11 | ROCK

       

トッド・ラングレン&ユートピア名義で、76年に録音されながらも公式には未発表だったアルバム
「DISCO JETS」(掲載写真左)がリリースされた。その名の通り、全編これディスコ・ミュージックというか、
わかりやすいリズムのインスト集で、録音が完了したもののベアズヴィルから発売を拒否された
アルバムである。

私が「DISCO JETS」の存在を知ったのは、01年にリリースされたTODD ARCHIVE SERIESの
第四弾である2枚組CD「DEMOS AND LOST ALBUMS」(掲載写真右)に収録されたのを
聴いたことによる。今回、単独で発売された「DISCO JETS」の全曲が収録されていて、曲順も
変わっていない。

一聴して、「う~ん。これ、トッドの名前が無かったら喜んで聴くだろうか」と思ったのだが
実のところ、今回もその印象は大して変わっていない。フィリー・ソウル・メドレーやマーヴィン・ゲイ・メドレーを
スタジオ盤やライブで披露しているトッドだが、いくらソウル・ミュージックに造詣が深いといっても、
或いはビートルズのパロディーをやる前にディスコ・ミュージックを大真面目にやって遊んでみたと言っても
その余りに記名性の無い音に違和感を感じたのだ。

レコード会社からしてみてもトッドもしくはユートピア名義じゃ、きつい内容だし覆面バンドのアルバムとして
リリースしたら、喰いつきが悪いだろうしという考えがあったのは想像に難しくない。
ただ、それは「トッド・ラングレン」という名前故にハードルが高いという話であって、腰を据えて聴けばそれほど
つまらないアルバムでもない。

実際、面白い曲も幾つかある。『STAR TREK』は、その名の通りスタートレックのメイン・テーマなのだが
この曲は我が国では、あの「アメリカ横断ウルトラクイズ」で使用されたので、メロディーが流れてくれば
思わず笑みもこぼれるというものだ。『PET ROCK』はパーラメントのような盛り上がりをみせる、ディスコという
より、ファンクな曲調に盛り上がること必至。

『SPIRIT OF '76』はアメリカ国家をアレンジし、そこに誰もが聴き覚えのあるメロディーの『YANKEE
DOODLE』(『アルプス一万尺』のほうが通りがいいだろう)や『THE BATTLE HYMN OF THE REPUBLIC』
(『お玉じゃくしは蛙の子』の替え歌と言えばわかりやすいか)を混ぜ込んだ楽しい仕上がり。
あっそうか、76年はアメリカ建国200周年でもあったのだからトッドは何としても、この曲を当時、
世に出したかったに違いない。

ロック好きよりも、ソウル好きが聴いたら、その白さ故の微妙な感覚を面白いと受け取ってくれるかも
何て思うのだが、どうだろう。あっ、因みに私が今回の単独アルバムを買った理由は、ズバリ、ジャケ買いです。
土星とか木星のデザインというか造形は、何であんなに素敵なのだろうと常々思っているもので・・・。(笑)

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ベスト・ギタリスト

2012-04-10 21:37:36 | ROCK

          

ロックを聴き始めて最初の頃、つまり16、7歳の頃は自分の頭の中で「ベスト・ヴォーカリスト」や
「ベスト・ギタリスト」のランキングをつけて、ああでもないこうでもないと遊んでいた。
当然ながらベーシストやドラマーも選ぶわけだが、各ジャンルの1位を集めてバンドをつくると
これが見事に無様なバンドになってしまうことに呆気なく気付くと、何時の間にか、そんな
ランキングをつくるのをやめていた。

そして、ギタリストでもなんでもいいが、あるパートばかりが目立つバンドというのは何だかなあと
いう思いも強くなり、曲の良さを重視し、1曲1曲の中で派手なフレーズを弾こうがバッキングに徹しようが
いい仕事をするプレイヤーあるいは、そういう人の集まりがいいなとも思うようになった。
まあ、これは自分が参加していたアマチュア・バンドが解散した時の反動でもあったが。(笑)

いいギタリストってどういうギタリストを指すのだろう。まあ、これは人によって価値観が違うので
一概に答えは見つからない。当然、素敵なフレーズを弾くなんてことは要求されるだろうし、コンポーザーとしての
存在感を重視する人もいれば、ステージに立った時に絵的に格好良いかどうかに重要な側面があるかも
しれない。先に3つほど条件を書いたが、これはそのまま「私が考えるベスト・ギタリスト」の条件でもある。
無闇な早弾き自慢なんてのは、私の選ぶベスト・ギタリストの条件には無い。

今度のレコード・コレクターズ誌は「ベスト・ギタリスト100」とのこと。
どんなギタリストの名前が挙がるのか、楽しみである。私も「20人のベスト・ギタリスト」を足りない頭で、
考えてみた。およそ30年ぶりの所作である。誰か重要な人が抜けているような気もするが
吟味したというより酔っ払いが勢いをつけて殴り書きしたリストということで、ご容赦願いたい。
よって、順位はなし。以下がそのリストである。

JEFF BECK
CHUCK BERRY
RITCHIE BLACKMORE
RORY GALLAGHER
JERRY GARCIA
EDWARD VAN HALEN
JIMI HENDRIX
LIGHTNIN HOPKINS
BERT JANSCH
WILKO JOHNSON
MARK KNOPFLER
JIMMY PAGE
KEITH RICHARDS
CARLOS SANTANA
BRIAN SETZER
CHRIS SPEDDING
RICHARD THOMPSON
PETE TOWNSHEND
RON WOOD

       

こうやって書いてみると、結局「スーパー・ギタリスト」のオン・パレードみたいになってしまうのが
笑える。スコッティー・ムーアとかリンク・レイとか、エイモス・ギャレットも好きだけど、10代の頃に
聴いた音の衝撃のほうが未だに強いということなのか。「ギタリストが目立つバンド」の人や「早弾き」の
人もいるのだけど、まあいいじゃないか。

えっ、「19人しかいないよ」だって?。

ああ、すみません、JOE COCKERを忘れていました。(笑)

お後がよろしいようで。

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SPECTACULAR SPINNING SONGBOOK ! ! !

2012-04-09 04:59:47 | ROCK

エルヴィス・コステロが、ステージに設けたルーレットを回転させて選ばれた曲を演奏するという
アイディアを最初に実行したのは1986年だったと思う。同じ曲に当たらないように、或いは気分や
テクニカルな問題で当日演奏したくない曲に当たらないように、どれほどコントロールされているのか
いないのかは知らないが、普通に考えればセット・リストの予想がつかないわけで、ファンもバンドも
スリリングで楽しめるアイディアだと思った。

演奏する曲に合わせて、ステージ後方のスクリーンや照明を同期させるステージを展開する大物ミュージシャン
だと、辛い演出だ。ファンには人気のあった企画であったのは間違いないようで、コステロは2011年の
コンサートで、「SPINNING SONGBOOK」を復活させた。

掲載写真はCDとDVDがセットになった2枚組「THE RETURN OF THE SPECTACULAR SONGBOOK」。
昨年末に今回のCDとDVDにブックレットやコステロのサイン、10インチ・アナログ等を収録した豪華な箱が
リリースされ、私も事前に予約を入れていたのだが、馬鹿高い値段には閉口していた。箱の発売直前に
CDとDVDが単体で発売され、CDとDVDのセットも発売されることを知り、箱をキャンセルしたというのが
購入のいきさつ。10インチが入手できない恨みはあるが、値段の差を考慮すれば仕方あるまい。

CDは11年5月11日と12日のロサンゼルス公演からの編集版で、DVDの本編は12日の映像。
実際にルーレットが回る様を見ることができる、映像が圧倒的に楽しい。冒頭から『I HOPE YOU'RE
HAPPY NOW』(!)『HEART OF THE CITY』(!!)『MYSTERY DANCE』『RADIO RADIO』と
立て続けに演奏し、コステロとインポスターズの大技連発に軽くK.O.される。

そして、ルーレット・コーナー。コステロはショーのホストとして、ファンにはお馴染みのナポレオン・ダイナマイトを
名乗り、バンドは軽くBS&Tの『SPINNING WHEEL』を演奏する。ステージに上げられた客がルーレットを
回し、バンドが選ばれた曲を演奏する間は、ステージ上に設けられた小さなバーカウンターに座りカクテルを飲んだり
踊ったりできるわけで、これは楽しい。ファンもステージに上げてもらうべく見苦しい行動をとらないのが良い。

ルーレット以外にもお楽しみがあって、『TEAR OFF YOUR OWN HEAD(IT'S A DOLL REVOLUTION)』では
バングルスが登場し、スザンナ・ホフスがリード・ボーカルをとる。次の曲『OUT OF TIME』(ストーンズ・カバー)
では、3人ともそのまま残って踊り続けステージを盛り上げる様はまるでアイケッツである。
彼女たちは最後の曲『(WHAT'S SO FUNNY 'BOUT) PEACE, LOVE AND UNDERSTANDING』でも
登場し、ステージ横で踊りまくる。

昔から見たいと思っていたルーレットをやっと見ることができた悦びは大きい。
圧倒的に楽しいステージを、何度も家庭で再現できることのできる商品にしてくれたことに感謝だ。

コメント (2)
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春はあけぼの?

2012-04-08 08:00:48 | ROCK

新年度が始まり、それなりに緊張感があるのだが、暖かくなるとどうも頭も緩くなってきて(笑)
サイケなアルバムに手が伸びてしまう。

掲載写真はカナダはトロントの4人組ベント・ウィンドが、69年にリリースした「SUSSEX」。
もたりまくったドラムスと、ファズを駆使した明確なリフで曲を組み立てるギターが印象的な
典型的なヘヴィー・サイケ。ボーカルがシャウターでないのが、ハード・ロックという印象を曖昧に
するのも実はポイントが高い。

低予算の録音故のことかもしれないが、篭りまくった録音もサイケ感に輪をかける。
大体、サイケな人達というのは通常の感覚とはかけ離れた人達であるのだから、全体のバランスとかは
重視しないのか、ボーカルにかけたエフェクトというかエコーもバランス無視の感じがして面白い。

オリジナル・メンバーでの録音は1枚のみなのだが、ギターのマーティー・ロスがバンドを再編し
89年と96年にベント・ウィンド名義のアルバムを発表しているが、それらは聴いたことが無い。
まあ、この手のサイケの盤は69年という時代の録音であることも大きな意味を持っているので
近年の盤に触手が伸びないとしても仕方あるまい。

それでも、この「SUSSEX」は一聴の価値はある。日本のスピード・グルー&シンキ、フィリピンの
ファン・デ・ラ・クルスのような音が好きなら、間違いなくストライクだろう。尤も、ベント・ウィンドは
トリオじゃないけど。(笑)

何度かCD化されていて、私の手元にあるのは05年発売のCD。
04年にライブやシングル・バージョンを含む5曲のボーナス・トラックを収録した盤が出ている。
05年のCDはボーナス・トラックは3曲で、04年盤に未収録なのが19分にわたる「REHEARSAL」。
予想通りのダラダラした録音で、貴重な音源であるのは間違いないのだが残念ながらデジタル・エラーと思しき
ノイズがそこかしこに乗っていて聴いていて落ち着かないのが残念だ。

未聴の方には04年のボーナス・トラック5曲入りバージョンの購入がよいかも。

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