HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ。(僕は決してカモられているのではない。)

2012-03-31 00:45:31 | ROCK

       

巷で話題(笑)の、「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」を読んだ。
半ば、こじつけ或いは後付けのような箇所があるようにも思ったが、自由な発想と応用力が無いと
このような著作はモノにできないのも事実なわけで、最後まで面白く読んだ。

ここに書かれてあることが、我が国の多くの会社でどれだけ実践できるのか、私には想像がつかない。
私が働く会社においても当然ながらマーケティングは重要なはずなのだが、動きの鈍い恐竜のような組織体系と
風通しの悪さ、それ以上に細かい縛りばかり多い現状では、ここに書かれてあることはまずあり得ない。
そして、それではダメなのだと思うことは思うのだが、会社の幹部連中がこの本を読むことなんて
無いだろうし、この本を読んだ後の私の行動は何も変わらないだろう。

それはさておき。(笑)

グレイトフル・デッドというバンドとその周辺を理解していれば、話はより面白く感じられるだろうが、
彼らがどういったバンドでどんな現象を起こしたかを、折に付け事細かに書いているのでデッドのことを
全く知らなくても、そこそこ楽しめる本である。掲載写真右は裏表紙の一部なのだが、バーコード部分は
わざと斜めに印刷されていて、これが如何にもデッド絡みの本という感じで、笑ってしまった。

デッドが意図してマーケティングしたかどうかまでは計り知れぬが、ここに書かれていることで私にも
当てはまることがあった。

デッドはバンドのコンサートを観客が録音することを許し、テーパーズ・セクションまで設けた。
そのため、音質の良いテープが沢山出回るのだが、無償でコピーし知人や友人に配ることにも寛容であった。
私もテープに興味を持ってとりあえず10数回分のコンサートを聴いた。

テープを集め始めてまだ半年も経っていないある時に思ったのが、「テープをトレードや何やかんやで
集めているものの、デッドのHPで発売されている数多のライブ盤を持っていないのは、おかしな事じゃないだろうか。」
ということである。

会場録音やサウンドボードの良い音質のテープを聴いていても、それはマザー・テープからコピーした
もので無いことのほうが多いし、全部が全部完璧な音質であろうはずもない。それなら、テープはテープで
楽しんで、バンドが提供する音の良いCDも揃えようと思ったのだ。そして、バンドの思惑通り(?)
発売されるCDを片っ端から買っているというわけだ。(笑)

ほとんどのアーティストは、コンサートの録音を禁じている。それは著作権の侵害というよりも、レコードの
売り上げやコンサートの集客の低下を懸念するからであるが、毎日の演奏曲目が違うデッドの場合は
コピーしてもらったテープを聴いた人が、別の日のコンサートの録音を聴きたい、或いは実際にコンサートを見たいと
思って、レコードやCDを買いコンサートに足を運んだのだから、これはバンドと客との間に小さな積み重ねの
結果、幸福な関係が構築できたということがよくわかる。

    

かつてデッドのHPで購入できたものの、現在はその多くがカタログから外れた「DICK'S PICKS」シリーズの
再発が進んでいる。VOL.1からの発売で無く、シリーズ最後のVOL.36からの再発であるのが妙なところだが
とりあえず買い逃した2枚を購入した。既に音だけは聴いていたが、こうしてパズルの空いたピースが
埋まっていくのは嬉しい。当然ながらオリジナルと型番は違うし、ジャケットの印刷が甘いような気もするが
気にしない、気にしない。(笑)

あと2枚で完全制覇だ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

THE MOVE / LIVE AT FILLMORE 1969

2012-03-29 19:09:19 | ROCK

ムーヴのまとまったライブと言えば、BBC音源を除けば、08年に出た4枚組「ANTHOLOGY 1966 -
1972」のディスク2で聴くことができた68年のマーキーでの演奏が記憶に残っている。
ライブ・バンドとしてのムーブの熱気を良好な音質で40分12曲も聴くことができたのだが、
今年になって「LIVE AT FILLMORE 1969」と題された2枚組CDがリリースされた。

69年のフィルモアといえば、先のボックスでナッズ・カバーの『OPEN MY EYS』(昨年のバングルズ・カバーも
良かったですね)と『I CAN HEAR THE GRASS GROW』の69年10月17日のフィルモア・ウエストでの
演奏を聴くことができたが、今回の2枚組はその完全版に翌18日の音源を3曲追加した形での発売。
『OPEN MY EYES』はイントロのドラムスの音を若干抜き差しした形跡があるが、基本の演奏は同じだ。
音質もボックス収録時より向上しているように思える。

マーキーとフィルモアの演奏を聴いてまず最初に感じるのは、たった1年で演奏形態が大きく変わったという
ことである。68年のマーキーでは、ほとんどの曲の尺が2~4分台なのに対し、フィルモアでは
どの曲も5分以上で、演奏時間が10分を超える曲が3曲もある。まあ、基本はポップ・バンドなので
メロディーの骨格は判り易いのだが、元々センスとテクニックのあるバンドなので時代の流れに沿って
長尺の演奏になったということなのだろう。

この日の共演者はリトル・リチャードとジョー・コッカー。全く毛色の違う面子でプログラムを組み、集客を成功させる
ビル・グラハムのブッキング能力は全くもって素晴らしいのだが、今のように他人と同じようにすることで
安心する時代だと、こういう構成は難しいのだろうと思ったりもする。

話が逸れた。(笑)今回のCDにはドラマーのベヴ・ベヴァン、ベーシストのリック・プライス、今は亡きボーカリストの
カール・ウェインの妻子のコメントが掲載されているのに、何故かロイ・ウッドは何のコメントも出していない。
何だか、それが気にかかるのだが、ムーヴのファンは必携の2枚組であるのは間違いない。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

THAT DANGEROUS AGE

2012-03-27 05:27:19 | DAY BY DAY

       

ポール・ウェラーの11枚目のソロ・アルバム「SONIC KICKS」発売に先駆けて、2枚の7インチが
リリースされた。2枚ともA面は『THAT DANGEROUS AGE』で、それぞれのB面にアルバム収録曲の
バージョン違いやリミックスを収録している。

ポール・ウェラーの7インチや10インチといったレコードは熱心に集めていたのだが、数年前に一時
熱意が薄れたことがあった。というのは、1枚のアルバムを出すと同時に7インチを複数枚出すのは
もう慣れっこになったので構わないのだが、ピクチャー・スリーヴが無くて色違いのカンパニー・スリーヴでの
発売が続いた時に「もう、いいや。」と思ったのである。それでも、今回のようにピクチャー・スリーヴというか
しっかりとジャケットのあるレコードは集め続けたいとは思っている。

この2枚の7インチはアイランドからのものだが、来月のレコード・ストア・デイにはヤップ・レコードから
また『THAT DANGEROUS AGE』をA面にして、B面にアルバム未収録曲をカップリングした7インチが
出るではないか。う~む。(笑)まあ、何とかせねばならないのだろうな。

それにしても、今回のレコード・ストア・デイは欲しい物が今まで以上に多すぎる。
今のところ15タイトルほど各所にオーダーしてみたのだが、それ以外に先に書いたウェラーの1枚に加え
リチャード・トンプスンやクラッシュ、ジェームス・ブラウンの7インチをどうするか悩んでいる。
既に予算は限界を超えつつあるのだが。(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誓いの明日

2012-03-25 12:29:12 | 日本のロック・ポップス

先日BSで放送された、「沢田研二LIVE 2011 - 2012」を見た。いつものツアー・メンバーに
岸部一徳、森本太郎、瞳みのるを加えてのタイガース再編が話題となったコンサートで、ゲストの3人は
全公演全曲の演奏をこなした。往年のファンには瞳みのるの復帰が何より嬉しかっただろう。

私がタイガースを聴く時、ジュリーの歌唱は勿論だが演奏面で常に特別の意識で聴くのが、一徳のベース
である。私は物凄く早い運指とか音数の多さとかを求めているわけでない。演奏の根幹を支える上で
他の楽器の隙間をぬって印象的なフレーズを聞かせ、通常は的確に音を繋ぐサリーのベースは
他のG.S.とは一線を画していたと思う。G.S.オールスター・バンドを選出するなら、勿論ベースは
サリーだ。

今回の演奏でもサリーのベースは、気持ち良く低音を響かせていた。40年間、楽器に触っていなかったという
瞳みのるの演奏は、若干の固さが残っていたようにも思うが、あれだけ叩ければ大したものだと思う。
リード・ボーカルを取るためにフロントに出てきてのステージングは、私にはトゥー・マッチだったが。

よれよれの岸部シローがビージーズ・カバーを披露するのだが、ノスタルジーが全てを許す。現役時代から
シローのタイガースへの貢献を疑問視したとしても、今回の参加は例え1曲のみであったとしても価値があった。
つまり、これで加橋かつみの不在が、より一層ファンに強く印象つけられたであろうから。

コンサートのMCでジュリーは「加橋かつみは、僕のやり方が気に入らんと言って今回は降りると・・・」前置き
しながらも、「全員が揃ってタイガースです。」と言った。だから、コンサートには沢田研二の文字はあっても
タイガースとは謳われていない。ジュリーが言った「近い将来の実現」が本当になればいいなと心から思う。

大好きな『美しき愛の掟』、メンバー作の初のシングル『青い鳥』、タイガース最後のシングル『誓いの明日』を
演奏するシーンを見ることができたのは嬉しい限りだが、本当に嬉しかったのは私がタイガースで一番好きな曲
である『ラヴ・ラヴ・ラヴ』をアンコールで演奏したことだ。この曲のスタジオ盤はミッキー吉野がキーボードを
担当しており、G.S.のメンバーの交流や、すぐ後に迫った所謂ニュー・ロックへの流れが垣間見えて
曲の良さもそうだが、歴史的にも面白い曲だと思う。

『美しき愛の掟』はもともと加橋かつみ在籍時にレコーディングが行われていたが、加橋脱退のため発売前に
加橋のコーラス・パートを差し替えている。近い将来、タイガースが再編された時には是非とも加橋入りの
『美しき愛の掟』を披露して欲しいものだ。

今回の放送はツアー・ファイナルの1月24日の日本武道館公演を中心にしたもので、ファンには忘れられない
場所と日付けの再現であった。それとは別の思い入れの話になるが、3月末日をもって改修のために
取り壊される、古き良き京都会館の雄姿を見ることができたのも個人的には嬉しかった。

本当に、近い将来メンバー全員が揃う事を願って・・・。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JUST A STORY FROM NEW YORK

2012-03-22 22:02:50 | ROCK

掲載写真は、エリオット・マーフィーの10年12月11日のニューヨークでのライブを収録した
アルバム「JUST A STORY FROM NEW YORK」。マーフィーは11年4月に、近年のスタジオ盤では
最良の1枚といえるセルフ・タイトルの「ELLIOTT MURPHY」を発表するが、そこに収録された曲を
4曲聴くことができる。

収録曲数は全12曲なのだが、当初のアナウンスだと100枚限定の2枚組仕様の盤には4曲多く
収録され、マーフィー自身のサインが記されているとのことで、私は当然ながらそれを狙っていたのだが
入手できず、「いつか見つけるぞ。」と心の備忘録に刻みこみ(笑)、通常盤を手にしたというわけだ。

限定盤でないからと言って、この通常盤がつまらないかというと、そんなことはない。
ライブ収録時点では発表間近であった新曲と近年の曲、昔からのマーフィーのファンの心を捉えて
離さない数々の名曲が上手い具合に配されたライブで、マーフィーをあまり聴いたことの無い方には
09年の「ALIVE IN PARIS」よりとっつき易いかもしれない。バックのメンバーが、ここ数年来の固定メンバーで
あることが演奏の充実に繋がっているのは間違いないだろう。

それにしても、現在の生活の拠点であるパリでのライブ盤の後に、かつて自身が認められた場所であり
生まれ故郷であるニューヨークでのライブを出すというのは、何とも粋であり、現役のロック・ミュージシャンであると
いうことを強烈に印象付けられる。パリでのライブと違うのは、ドラムスがフルセットであるのとキーボード奏者が
バックに参加しているということで、それがまたロックの疾走感とダイナミズムを産む。

『YOU NEVER KNOW WHAT YOU'RE IN FOR』、『LAST OF ROCK STARS』、『JUST A STORY
FROM AMERICA』といった昔の曲の解釈は全く色褪せず、今でも夜の街や風が吹きすさぶ荒野を
駆け抜ける緊張感と高揚を呼び起こす。

駆け抜けた先には夜明けがあり、暖かい日差しが待っている。今日は夜になっても、何となく暖かい。
マーフィーの歌と声には希望がある。春には春の高揚がある。そして、次の冬をやりすごす力を蓄えるために
また、マーフィーのレコードを聴くのだ。

それでも、問題は山積みだ。

    
   
    

例えば、上に掲載した4枚のアルバムの何れもが、現在カタログに載っていないというのはどうしたことだろう。
それでいいのか、ロックンロールは。マーフィーのカタログを常備できないというだけで、巷のどんな
大型通販HPの倉庫より、私のレコード・ラックの方が数倍充実しているというものだ。(笑)

芸が無いが、今回も前回の「ALIVE IN PARIS」を取り上げた時と同じ終わり方で。


ROCK AND ROLL IS HERE TO STAY .

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

LINDA LEWIS / SAY NO MORE . . .

2012-03-19 21:32:10 | ROCK

何故今まで只の一度もCD化されないのか不思議でならなかった、リンダ・ルイスの71年のアルバム
「SAY NO MORE . . .」が、やっとCD化された。リプリーズ・レーベルの「LARK」や「FATHOMS DEEP」は
とっくにCDになっていたのに、何だか意図的に忘れ去られていたみたいで解せなかったのだが
もう一度書くと、やっとCD化された。目出度し愛でたしである。(笑)

「LARK」がリンダの最高傑作であると言う人は多いだろう。勿論私も異論は無い。で、その次が「FATHOMS
DEEP」と続くのは、まあそれも半分くらいは肯定するのだが、そう続くのは「SAY NO MORE . . .」を
簡単に聴くことができなかったから、とい気持ちも半分ある。

単純に黒人だからソウルというわけではなく、ロックでもポップスでも何でもいいが、リンダの音楽は
安易なジャンル分けを望んではいない。中庸という言葉は、時につまらないものを指す時にも使うので
使いたくは無い。境界線の無いリンダの音楽は、開放的で自由で気持ちが良い。このアルバムの
前にグループのメンバーとして参加した盤が2枚あるが、この盤を聴けばリンダのソロとしての最初のステップが
如何に大らかで軽やかだったかがわかるだろう。

贔屓の引き倒しと言ってもらって結構なのだが、この盤が世に出る上での最大の貢献者は、リンダを除けば
クリス・スペディングである。クリスはギターは勿論、ベースやピアノまで弾き、アレンジのアイディアや創作上の
貢献があったことがクレジットされている。

冷静に聴けば、メロディーの起伏に関わらず、ギターがキーとなるワン・コードのカッティングで押し通す箇所が
ある曲が1枚のアルバムに2曲もあれば、そこだけ妙に目立ってしまっているのだが、きっと些細なこと
なのだろう。(笑)リプリーズ時代の3枚のアルバムの中で、一番ロックの要素が残っているのは
クリスさんのおかげだろう。何だかんだ言ってもロック者としては、このアルバムの、「いいロック加減」(笑)が
好きだ。

アカペラで始まり、壮大なオーケストラとコーラスで終わるアルバムの構成も素晴らしい。
何れにしろ、今回のCD化(すなわち、誰でも簡単に聴くことができるようになった)を喜びたい。
早くも年末の当ブログ認定「ロック大賞・ストレート・リイシュー部門」最有力候補の登場、である。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

KAREN DALTON 1966

2012-03-18 10:23:06 | ROCK

カレン・ダルトンの発掘音源のCDといえば、62年のライブ「COTTON EYED JOE」、63年録音の
「GREEN ROCKY ROAD」がリリースされているのだが、今年は66年録音を集めた「1966」が
世に出た。

自身のキャビンにレコーディング機材を持ち込んでの、所謂ホーム・レコーディングであるが
過去2枚の発掘録音に耳馴染んでいる方なら、多少の録音の貧弱感なんてのは気にならないであろう
「いつもの」カレン・ダルトンを聴くことができる。

1STに収録されたフレッド・ニールの『LITTLE BIT OF RAIN』、2ND収録の『KATIE CRUEL』を
リラックスして弾く様子を感じ取れるのは実に嬉しいし、ティム・ハーディンの名曲『REASON TO
BELIEVE』のカレン・バージョンの醸し出す、妙な暗さに感じ入る方もいるだろう。

ただ、正直に言って、サイケの名盤として名高くなった1STや、ジョン・サイモンやエイモス・ギャレットらが
バックを受け持ったことの効果もあってSSWのファンに評価の高い2NDを超えるものではないので
カレンの「声」を好きな人向けのアルバムであることは事前に了解しておかないといけないかもしれない。

06年にmegaphoneから再発された1STにはDVDが添付されていて、70年頃のカレンの生活拠点での
映像を見ることができた。コロラドの山奥という感じの全く小奇麗な感じのしない家の前に座り込んでギターを
弾きながら歌う様は強烈な印象を残した。今回の録音は、勿論室内で行われたのだろうが「1966」を聴いていると、
何故だかあの映像がフラッシュバックしてくる。

   「なんとかの99選」を集めきって、そこに留まっている方でなく
たった1曲のオルタネイト・ミックス目当てに上記写真の7インチを買ってしまった方に、是非聴いていただきたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レア・グル

2012-03-17 10:16:38 | JAZZ

「ELLA GURU」じゃないよ。(笑)

門外漢が結果として今のところ最後に参考にした(継続中)本が、掲載写真の「RARE GROOVE A TO Z」。
09年1月に第一刷、同年6月には三刷が出ているので結構人気があった本なのだろう、私は10年に
購入した。レア・グルーヴというものの定義とかはどうでもいいのだが、本屋でパラパラとページをめくると
私が普段、ジャンル分けを深く考えずに単純に聴いていて気持ちがいいと思った盤が多く掲載されているので、
「それら以外に他にも気持ち良くなる盤が、こんなにあるのか。」と知らない盤の多さに圧倒されて
本書の購入に至った。

   

   

バイロン・モリス&ユニティーの「VIBRATIONS,THEMES & UNITY」は、例によってオレンジを基調にした
ジャケットに痺れた。(笑)冒頭のフリー・セッションにスキャットが絡む様や、続くローランド・カークに捧げた
小品からミンガスの有名曲に繋がる流れ、どれもが実に気持ち良く耳に届く。ユニティーのアルバムでは
「BLOW THRU YOUR MIND」の方が人気があるかもしれないが、私はこちらが好き。

ファンケンシュタインなんて言われれば、即座にパーラメントの「THE CLONES OF DR. FUNKENSTEIN」が
想起されるのだが、アンクル・ファンケンシュタインの唯一のアルバム「TOGETHER AGAIN」も全体に
ファンクネスがあって聴いていて楽しい。この風貌でしかも83年の盤となれば、それほどジャズの世界で
当時は認知されなかったのだろうなと、いらぬ事を考えるが今聴いても刺激的な音である。

レア盤を偏重する悪しきムードを吹き飛ばすのが、トム・スコットの「THE HONEYSUCKLE BREEZE」。
渋いモノトーンやセピア調のジャケットもいいが、アルバムの楽しさを見事に表わした、このカラフルで可愛らしい
ジャケットも良い。シタールが入りボーカルの入る曲はサイケなソフト・ロックといってもよく、そういうところも
私向きなのだろう。ビートルズの『SHE'S LEAVING HOME』、ジェファースン・エアプレインの『TODAY』のカバー
が楽しい。

ロイド・マクニールの「WASHINGTON SUITE」は76年の発売当時は、1000枚のみが自身のレーベルから
発売されたとのことで、レア盤の筆頭のようなものであったが昨年のCD化で聴くことができた。もう、ここらの盤を
買うころにはすっかり件の本に踊らされている感がなくもないが、聴いてみて正しく格好良い盤であったので、
あとしばらくはこの本に踊らされてみようかな、と思うのであった。(笑)

もちろん、単純に踊らされるのではなく、踊る際は少しばかり独自のステップを入れるつもりである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もぐらに捧ぐ、でも読んでいなかった

2012-03-15 21:03:26 | ROCK

     
マッチング・モールが残した2枚のスタジオ・アルバムが2枚組のエクスパンデッド・エディションとして発売された。
2000年初頭には「SMOKE SIGNALS」「MARCH」と、立て続けに未発表ライブ盤がリリースされ、
活動期間の短かったグループの貴重な音源の発掘に喜んだものだが、今回の2枚組も面白い。

特に1枚目の「MATCHING MOLE」は、1STアルバム録音の為のセッションを多く聴くことができる。
即興の割合の高いライブとは少々違った形での、スタジオ・テイクというのは実に興味深い。
過去の名盤の拡大盤が出る際は、個人的にはライブよりもスタジオ・アウトテイクが収録されるほうが嬉しいのだが
この拡大盤では、それらをたっぷりと聴くことができる。『PART OF THE DANCE』はテイク1と、20分を
超えるジャム・バージョンの2つが収録されていて、この曲が好きな私は「曲を纏めるとは、或いは曲を
拡大させるとは、どういうことか?。」なんてことをニヤけながら考えようとするのだが、どうにも酔っ払っていて
上手くいかない。(笑)

名曲『O CAROLINE』のシングル・バージョンというのも滅多に聴くことができないだろうから、シングルのB面
共々収録されたのも気が利いている。アルバム冒頭を飾るこの曲は「DAVIDがピアノで、僕がドラムを
演奏し、僕たちは音楽を創って楽しむ」という歌いだしで始まる。ロバート・ワイアットとデヴィッド・シンクレアの
出会いがマッチング・モールの始まりそのものだったことが容易に判る歌であるが、アルバム完成後の
ライブでは二人の考え方の相違がすぐに鮮明になり、デヴィッドはバンドを抜ける。

ソフト・マシーンの窮屈さに嫌気がさしたワイアットが、ライブでより自由な演奏を試みるのは必然だったのだが
歌を重視した当時のシンクレアがバンドから抜けたことで、この名曲がライブのレパートリーから外されたと
したら、何とも勿体ないというか残念な気がする。

2枚目の「LITTLE RED RECORD」は1枚目より即興性の強いアルバムなのだが、内容以前にアルバム・
ジャケットが強烈だ。「ロング・ムーヴメンツ」に、このジャケットの元になった中国のポスターが掲載されていたが
今回のCDにも、その写真が載っている。細かいところまで、よく似せているものだ。(笑)

   これは94年に出たBBCライブで、現在はあまり見ることが
できないCDなのだが、今回の拡大盤には、この音源が丸まる収録されているので94年盤を未所持の方は
人心地つけるのではないだろうか。こちらの拡大盤もスタジオ・アウトテイクが収録されてるのが嬉しい。

ここから先は歴史の事実である。
72年というたった1年の間に2枚のアルバムを発表し、マッチング・モールは解散する。
翌73年春、マッチング・モール再編の動きがあったが、6月の事故で全ての計画が白紙になりワイアットは
ソロ活動へとシフト・チェンジを余儀なくされる。

不幸な出来事があったのも事実なら、事故が起こる前のワイアットの活動と事故後の活動は内容こそ違えど
何れも素晴らしい成果を多く残しているのも事実。当たり前だが、歴史の「たら、れば」を今更のように言っても
何も変わらないのだから、幸運にも世に出て耳にすることが出来た音源の数々を目いっぱい楽しむのが
一番正しい接し方かもしれない。

追記

   94年に出たBBCライブって、06年に出た
「ON THE RADIO」に全て含まれていたのを、すっかり忘れていました。(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コテコテ

2012-03-12 20:29:00 | JAZZ

門外漢がジャズのレコード購入にあたって参考にした3冊目が、掲載写真の「コテコテデラックス」。
これもジャズ批評別冊で、奥付には95年8月30日発行とある。私の勝手な思い込みなのだが
ブルーノートやインパルスの愛好家の方々から、軽くみられるのがオルガン主体の、まあ呼び方は
何でもいいのだが所謂ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズというヤツではないだろうか。
単純にソウル・ミュージックやファンク好きな私は、そういうジャズに興味が少なからずあって、「どうせなら、
そっち方面を責めたいな。」と常々思っていたが、例によって軽い気持ち(笑)なので、最初の一歩が
踏み出せない。そんな私の後押しをしてくれたのが、この本である。

   
  
   

ブラザー・ジャック・マクダフの「HOT BARBEQUE」のジャケットを見て、「これぞ肉食獣」と思わない方は
いないだろう。(笑)一見がさつな感じの親爺ではあるが、マクダフは若手ミュージシャンを育てるのが上手く、
特にギタリストに関しては、グラント・グリーン、ケニー・バレル、ジョージ・ベンスン、メルヴィン・スパークスと
数々のスターを輩出したことは特筆すべきだろう。アルバムも押しと引きのニュアンスが上手く
別けられている。

リチャード・グルーヴ・ホームズの「LIVING SOUL」は、観客の声援も凄まじい正に狂熱のライブ。(笑)
ブルーズ・フィーリング溢れる中、『THE GIRL FROM IPANEMA』『OVER THE RAINBOW』といった
曲を取り上げているのが面白い。アルバムには5曲が収録されているのだが、この日は全部で19曲が
録音されたという。完全版が聴きたいのは言うまでも無い。

子供の頃から特撮物や所謂ヒーロ物に馴染んできた私としては、このジャケットを見過ごせないというか
「なんじゃ、こりゃぁ。」と思いながら手にしたのがジョニー・ハモンド・スミスの「THE STINGER」。右手に
装着した指輪からビームを出しているのだが、彼が正義の味方であることを願うばかりだ。(笑)
リバーサイド時代を挟んで、二度プレステッジに在籍したスミスだが、レーベル・カラーと演奏内容の違いを
追及するのが、今後の私の課題か。

ベイビー・フェイス・ウィレットの「BEHIND THE 8 BALL」も完全なジャケ買い。ビリヤードのルールも
しらなければ、やったこともないのだが映画等でビリヤードの場面が出て来ると「ああ、格好良いな。」と
思うのだが、今更一から教えてもらうのも格好悪い。同じ理由でスキーもやらない。(笑)私が買ったCDは
これも彼の代表作「MO' ROCK」との2IN1で、有り難くも便利な1枚。

   

そして、この2枚の強面ジャケは、これぞ兄弟仁義というべきか。
勿論、ボスはジーン・アモンズ。元々アルト奏者だったラスティー・ブライアントは、テナーのマウスピースを
ジーンに貰ったことからテナーも吹くようになったという。私の音の好みからいうとジーンの方だが
可愛い後輩の面倒をみない私ではない。(笑)

おお、今回の掲載盤は1枚以外は皆プレステッジである。実に格好良いレーベルだと改めて思う次第だ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未来から来たトッド

2012-03-11 08:18:07 | ROCK

昨年リリースされたトッド・ラングレンの2枚のアルバムは、どちらも私にはピンとこなかった。
ロバート・ジョンスンのカバー集と、かつて自身がプロデュースしたミュージシャンの曲のカバー集
だったのだが、トッドの煌めきというか魔法はそこにはなかった。特に後者は、当時自身が
ミュージシャンをプロデュースする際に、他者と衝突しながらも他者をねじ伏せ、自身を貫いたエゴと緊張感と
それを裏付ける曲の出来栄えを誇ったものなのだから、おいそれと超える事の出来ないものに
チャレンジしただけに、その壁は高かったとしか言いようが無い。

トッドが過去を振り返るような企画は2010年にもあり、この年の前半は「魔法使いは真実のスター」を、
後半は「未来から来たトッド」と「ヒーリング」を再現したライブが話題になった。
掲載写真は2010年9月14日に行われたライブから、ショーの前半の「未来から来たトッド」再現パートが
収録されたDVD。後半の「ヒーリング」再現パートは後日発売されるとのこと。

例によって日本盤は輸入盤と比べると高いのだが、今回は日本盤を買った方が良いだろう。
まず、日本盤はDVDだけでなくライブを収録したCDが添付されていること、DVDにはライブ前日に行われた
内容の濃いインタビューが60分(これもインタビューの前半だけだ)収録されていて、これを字幕付きで
見て内容を理解するのとしないのとでは面白味が全く違ってくるという2点において、日本盤の購入を薦めるものだ。

「TODD (未来から来たトッド)」は、まずジャケットに惹かれた。髪を緑やピンクに染めたトッドの大写しの
ジャケットがまず気に入ったのだ。2枚のレコードに様々なスタイルの曲が配されているのは、「魔法使いは真実の
スター」の延長線のようで面白かったし、歴史的にみればユートピア結成の源になっているのも興味深い。
ただ、ユートピア結成後の続くトッドのソロ・アルバム「INITIATION(未来神)」は、やりすぎ感があって
私はあまり好きではない。(笑)

そんなバラエティーに富んだアルバムの再現を映像で見ることができるのだから、これが嬉しくないわけがない。
『THE SPARKS OF LIFE』のエンディングで派手なギター・ソロが終わる時に、トッドがキーボードを
タクトで叩きながら「だめだ、もっと愛を込めろ」と言い『AN ELPEE'S WORTH OF TOONS (一枚のLPに賭ける)』
に突入するシーンにトッドのファンなら、思わず笑みもこぼれるだろう。正にアルバムの再現である。

中盤あたりから、クラプトンにもらった例のカラフルなペイントが施されたSGを弾きまくるのだが、
あのギターがまだ健在なのが何とも嬉しい。ネックはかつて折られたことがあるはずなので、それ以外にも
当然様々なリペアが施されているだろうが、あのギターを見た大多数の人はクリームを思い起こすはずで
それを思えば後にトッドがロバート・ジョンスンのカバー集を出すのも不思議ではないか、と今更のように
思ったり。

個人的なハイライトは『IZZAT LOVE? (それが愛なのか?)』から『HEAVY METAL KIDS』へと
間髪入れずに演奏されるシーン。アルバム中でもこの2曲の流れが好きだっただけに、このシーンも
パーフェクトに再現されていて嬉しい限り。最後の『SONS OF 1984(1984年の子供たち)』演奏中に
ステージのカーテンが閉まり、客席から姿が見えなくなった後もしばらくメンバーとコーラス隊が
アカペラで歌い続ける演出もエンディングに相応しいものだ。

そして、特典扱いのインタビューが面白い。「魔法使いは真実のスター」に添付された葉書を返送すると、
次作である「未来から来たトッド」に添付されるポスターに返送者の名前が印刷されたのだが、そのアイディアが
アルバ-ト・グロスマンのものだったのは初めて知った。過去に関係したミュージシャンの名前がどんどんでてきて
例えばジャニス、ザ・バンド、ローラ・ニーロ、パティ・スミスの何れの事も余り良く言わないというか、
いろいろあったのが如何にもトッドという感じである。特にバッドフィンガーの「STRAIGHT UP」を巡っての
ジョージ・ハリスンとのいきさつは、あくまでトッドの弁を聞く限りではトッドの言い分が正当である。
スティーヴィー・ニックスが「世界で一番素敵な曲」と言った曲の名を知りたいなら、今回のDVDを見るべきだろう。

「ヒーリング」は、それほど好きな盤ではないがインタビューの続きを含めて、後半のDVDの登場が
待ち遠しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BAT CHAIN PULLER

2012-03-10 10:12:43 | ROCK

       

ニール・ヤングの「CHROME DREAMS」、ザ・フーの「LIFE HOUSE」、ビーチ・ボーイズの「SMILE」と続けて
書けば、それらは発売を予定しながら、予定通りの内容やスケジュールで発表されなかったアルバム・タイトル
であると、すぐわかるだろう。
例に挙げた大物達のタイトルほど名は知られていないかもしれないが、キャプテン・ビーフハートが
76年に発表を予定していた「BAT CHAIN PULLER」も、そんな1枚。

バンド・メンバーに去られ、更には金銭的に困窮していた75年当時のビーフハートの窮地を救ったのは
FZであったが、ライブでのお互いの考え方の違いが二人の関係を悪化させる。FZはビーフハートのことを
ハーブ・コーエンに任せるのだが、本作制作中の金銭トラブルのため(FZが稼いだ金をコーエン側が使い込んだ
とされる)アルバムはお蔵入りとなった。また、リリース前に音源が流出したことがトラブルの一因であるとも
言われている。

「BAT CHAIN PULLER」に収録された12曲中10曲は、再録音され後に出た3枚のアルバムに分散して
収録されるが、オリジナル録音の発売を熱望する声は昔から多くあり、様々なブートレグも世に出た。
掲載写真右は02年に出た「DUST SUCKER」と題されたアルバム。ビーフハートのレア音源を数多く発売する
レーベルからの発売だったこと、ビーフハート側のマスターを使用したという触れ込み等から、一応の決定版かなと
思っていたのだが、アルバムの後半に素姓のわからない音質今ひとつのライブ音源を収録していたのが
よくわからないところだった。

正真正銘のマスター・テープはFZが所持しているのは明白だったのだが、今年になってFZサイドから遂に
「BAT CHAIN PULLER」がリリースされた。ビーフハート存命時なら、おそらくリリースはなかっただろうが
本作はビーフハートの思い出に捧げられている旨のクレジットがブックレットの最後に記されている。

オリジナルの12曲の演奏に関しては細かいミックスの違いを検証しなければ、内容自体は「DUST SUCKER」と
同じといっていいだろう。ただ、音質は全く違う。当然だが今回リリースされた「BAT・・・」の方が音質が良い。
更に、オリジナル「BAT・・・」に未収録でビーフハートの「SHINY BEAST」に収録された『CANDIE MAMBO』の
76年バージョンの格好良さといったら、どうだろう。この1曲のために、過去何種も出た怪しい盤を買った方も
今回の「BAT・・・」を買う価値があるといっては、言い過ぎか。

何れにしろ、今回の発売で胸をなでおろした人が多いのは間違いないのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FLOWERS FOR AL JARDINE

2012-03-08 21:29:24 | ROCK

ビーチ・ボーイズが8月に来日するという。ブライアン・ウィルスンとマイク・ラヴが揃ったビーチ・ボーイズと
いうのは、可笑しな表現であるのは承知の上だが、何だかとても貴重な感じがする。
きっと楽しいライブになるのだろう。私は行かないけれど。

掲載写真はアル・ジャーディンが2010年にリリースしたアルバム「A POSTCARD FROM CALIFORNIA」。
意外と言えば意外なのだがアルの初めてのアルバムで、具体的な録音時期のクレジットはないのだが
08年には完成していたものの発売するレコード会社が決まらず、10年に自主制作の形で発売された。
私が所持するのはCDーRで、ジャケットも写真が多くあるものの印刷の具合が如何にも自主制作という
感じである。(笑)この3月には普通の流通経路に乗るようなので、広く聴かれることになると思うが
ということは、3月発売のヤツはプレスCDなんだろうなと思うと、ちょっと悔しい。(笑)

ビーチ・ボーイズにおけるアルの役割というのは、サイド・ギターとコーラスで余りリードをとることもなく
印象は地味だ。それでもビーチ・ボーイズ・ファンなら誰もが知っている『HELP ME ,RHONDA』(『HELP
ME ,RONDA』)のリードはアルだし、作曲での貢献もかなりあって私は「SURF'S UP」収録の『DON'T
GO NEAR THE WATER』なんかは好きな曲だ。

今回のアルバムは実は目玉が多く、なんでこれがなかなかレコード会社が決まらなかったのか不思議なくらい
良いアルバムだと思うのだが、まずビーチ・ボーイズの当たり曲『HELP ME , RHONDA』や『CALOFORNIA
SAGA』のカバーが楽しい。前者のボーカルとギターでスティーヴ・ミラーが、後者のリード・ボーカルにはアルの
他にニール・ヤングがクレジットされ、コーラスにはクロスビー&ナッシュが参加。

『DON'T FIGHT THE SEA』はボーカルにカールの名前があるので、録音は古い部類に入るのだろう。
ブライアン・ウィルスンは3曲に参加。何らかの曲で今夏来日するメンバー全員の名前を見つけることが出来るし
アルの息子達も参加し、まさに家族と友人でつくったアルバムという感じで、かつてリンゴ・スターを盛り上げるべく
豪華なメンバーが揃ったアルバムがあったが、それと同じように聴いて楽しい盤だ。

ブライアン・ウィルスンの新曲として地味にビーチ・ボーイズのベスト盤の末席に置かれた『CALIFORNIA
FEELIN'』のアル・ジャーディン・バージョンというのも乙なものだ。アルの自前の曲の出来もよく、
全てのボーカルがアルであるという統一感を差し引いても、ビーチ・ボーイズ・カバーと並べても遜色ない。

先に名前を出したついでではないが、リンゴ・スターの最新作「RINGO 2012」を聴いて、普通にポップで
ロックなアルバムを作れるという才能は、何て素晴らしいのだろうと思ったばかりだが、このアルバムも
正にそんなアルバム。機会があれば是非。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初めて買った洋楽7インチ

2012-03-07 21:37:02 | DAY BY DAY

         

包み隠さず申せば、私が初めて買ったレコードは山口百恵の7インチ『乙女座宮』である。百恵より淳子の方が
好きだったことは再三書いてきたが、何故『乙女座宮』だったかというと、たまたま中学校の文化祭のバザーか
何かで、そのレコードが100円で売られていたからで「100円なら安い。」というわけで初めてレコードを
買う事になった。初めてなのに「中古」である。(笑)それまで、FMもAMも関係なくカセットに録音して音楽を
聴いていたのだが、レコードの音というのはエアチェックしたカセットとは違う音像で迫ってきたし、
何よりジャケットを見ながら聴くというのが魅力的に思えた。それ以降、レコードを買う事に興味を覚えて
今に至るのだが、私の最初の相手は山口百恵だったのだ。(笑)

初めて買ったLPは甲斐バンドの「甲斐バンド・ストーリー」、初めて買った洋楽のLPはビートルズの
「OLDIES」。中学生の頃はシングル盤をよく買っていたが、高校生になると小遣いの金額が上がったこともあって
LPを買うようになり、それが洋楽一辺倒になるとシングル盤はほとんど買わなくなった。

で、最初に買った洋楽シングルは何かと思い出してみたのだが、それが掲載写真の2枚である。
深夜放送か何かで見た映画「さらば青春の光」で使われた『悲しき雨音』は、一聴していい曲だなぁと
思った。当時カスケーズというグループのLPがあったかどうか知らないが、「LPは気が重いなあ」と
思っていたところ、いつもいくレコード屋でシングル盤を見つけた。映画と関連したジャケットは、当然ながら
このレコードが再発盤であることを指すが、ジャケットが気に入ってこのシングルを買う事にした。

シングル盤を買うと、その月はLPが買えないので(その程度の小遣いでした)もう1枚シングルを買おうと
思い、浮かんだのがナックの『マイ・シャローナ』。ナックの「ゲット・ザ・ナック」は友人に借りて聴いたことが
あったのだが、そこに収録された『マイ・シャローナ』はラジオで聴き馴染んだバージョンと違っていたことに
不満を持っていた。ギター・ソロが無駄に長く締りが無い感じがしたのだ。結果として、LPとシングルで
バージョン違いがあるということを初めて知った曲になったのだが、「ここは、シングルを買っておこう。」と思い
この2枚を同時に購入するに至ったのだ。

その次に買った洋楽シングルは何かというと・・・。

     う~む。(笑)

これは多分、当時1500円で売っていたザ・フーの「ダイレクト・ヒッツ」か何かと同時に買ったはずだ。
それにしても、何でビル・ワイマンのシングルを買おうと思ったのだろう。すぐに廃盤になって入手できなくなる
のでは、なんて高校生ながら厭らしくも小賢しい計算が働いたのかもしれない。(笑)

今年もまた、レコード・ストア・デイがやってくる。今回も何枚かの7インチや10インチをターゲットにしている。
職場の若者に「7インチ・レコードってわかる?。ドーナツ盤とか言われることもあるヤツ。」といっても
20代なら、まず誰も知らない。だいたいジュリーが誰か、ボウイ様やブルース・スプリングスティーンがどういった
人かも知らないのだから。おっと、話が逸れた。(笑)

7インチを買う楽しみ、聴く楽しみが無いというのは、自分の中では考えられないのだが、
その楽しみの礎を築いたのがカスケーズ、ナック、そしてビル・ワイマンというのが間が抜けていて
その間抜け具合が私らしくていいな、と今日も酒がすすむのであった。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JAZZ TIME

2012-03-05 21:03:21 | JAZZ

ジャズのレコードやCDを買うために参考にした本の2冊目が、これである。
漫画である。(笑)正に門外漢が参考にするのに相応しいのではないだろうか。(笑)

ジャズ批評という雑誌は一度も買ったことがないのだが、それに漫画が掲載されているのは
知っていた。1、2回本屋で立ち読みした程度だったのだが、それがとても面白く、ジャズに詳しくない
私でも笑い処があるのがよかった。そんな漫画がジャズ批評別冊として1冊の本にまとめられたのが
89年。タイトルは「ラズウェル細木のときめきJAZZタイム」。

取り上げられた題材は、混みあったレコード店での出来事、自分の部屋やコンサート会場で美人と聴くジャズ、
憧れのジャズ喫茶等々。ここで取り挙げられる「ジャズ」を「ロック」に置き換えれば、漫画の主人公はすなわち私と
同じであって、彼の行動からはジャズ・ファンだけでなく、レコードを収集し、音楽を聴き、また時には
演奏する人たちの間抜けな思惑が透けて見え、それが読み手と重なった時、頷きながら笑ったり、
我が身を振り返り反省したりするのが楽しいのだ。

この本には全部で14話の漫画が収録されているのだが、各回の終わりに漫画に関連するアルバムが5枚ずつ、
計70枚のアルバムが紹介されている。漫画と侮るなかれ、たった70枚しか掲載されていなくても、
「この盤を聴いてみたい」と思わせるのは、結構凄いことだと思うのだ。
ルー・ドナルドソン一人に話を割いた回では、その後に紹介された5枚のアルバムは全てがルーの盤であったが、
ルー・ドナルドソンの名前も十分に意識することになった本でもある。
下に掲載した盤は、この本を読んで私が買った盤の一例である。

   

   

ジャッキー・マクリーンは、このジャケットの雄々しさに惹かれた。ソニー・クラークの「COOL STRUTTIN'」は
とっくに持っていたが、そこでサイドメンとして参加していたことなんぞ、全く気付いてなかったのだから
ジャズを聴く資質に欠けていることを痛感したが、その「資質」は今持って向上してはいない。(笑)
弱冠17歳のトニー・ウィリアムスをスカウトしたというのは、凄い話だ。

このジャケットを見て「買い」と思うか「否」と思うかは、人によって分かれるだろうが私は即座に「買い」だと
思ったのがアーチー・シェップの「THE MAGIC OF JUJU」。曲が進行するにつれて、どんどん増えていく
打楽器の中を吹きまくるアーチー・シェップというのは実に格好よく、この盤がきっかけで後にインパルス時代の
シェップを集中して聴くことになった。

ヴィクター・フェルドマンもジャケ買いと言えば、ジャケ買い。自分の名前の「V」が手でつくったVサインになっている
のが面白い。ザッパのアルバム「LUMPY GRAVY」の録音に参加したこともある。ジャズ・ファンの楽しみ処としては
ピアノとヴァイブを使い分けるフェルドマンの多芸ぶりは勿論だが、若くして夭折するスコット・ラファロのベースにある
というのは外れていないだろう。

コルトレーンの「LOVE SUPREMES」「BALLADS」という盤は知っていたが、それでは当たり前すぎて
「次はどうしよう」と思っていたところに目に止まったのが、このジャケット写真。ジョンとファラオ・サンダースの
激突が凄まじく「GIANT STEPS」収録の『NAIMA』が、「こんなになってしまうのか」と驚かされたのだが、二人を含む
メンバーを包み込むようなアリス・コルトレーンのピアノが素敵な演奏でもある。正直に言えば
『MY FAVORITE THINGS』ばかりを聴いてしまうのだけど。(笑)

 MY FAVORITE THINGS と言えば・・・・・。

お後がよろしいようで・・・。(笑)


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする