昨年の12月に行われた、ブリジット・セント・ジョンの来日公演がCD化された。CDには
コンサート実現に尽力した林拓の演奏が4曲、ブリジットの演奏が10曲(林との共演を含む)の計14曲が
収録され、帯には「日本独自編集盤」「完全限定販売」の文字が・・・。こういった盤が発売され、
聴くことができるのだから日本に住むのも悪くない、と思った人がいてもおかしくない。
日本公演各地のライブから編集されているようで、どの曲が何処での演奏かの明確な
クレジットはないが、アルバム・タイトルになった『JOLIE MADAME』は曲前のMCから、
京都でのライブのようだ。相方が、このライブを体験しているかと思うと羨ましくて仕方無い。
『JOLIE MADAME』は70年11月にアビー・ロード・スタジオでケヴィン・エアーズがブリジットと
レコーディングした曲で、当時は未発表だったが76年のアルバム「ODD DITTIES(不思議のヒット・パレード)」
で初めて世に出た曲。まるでブリジットのことを歌ったような歌詞が素敵で、今回のアルバムの
タイトルにぴったりだ。
ここには、一般的に誰もが思い浮かべるであろう、ロック・コンサートでの高揚感というものは無い。
だが、何千人もの人間の誰もが同じように手を挙げ首を振り、ヒット・ソングを一緒に口ずさむのが
コンサートの絶対的な理想形というわけであろうはずもなく、音数が少ないが故の適度な緊張感と安堵感を
楽しむというのも、また一つの理想形だ。このライブ盤には後者の望みうる最高の瞬間が記録されている
と思うのは、ライブを見ることが出来なかった私の過剰な思い入れかもしれないが・・・。
ライブを2回見て、終演後にブリジットと話をした相方は、歌の良さは当然ながらブリジットの人柄の良さに
心底感動したと何度も言っていたのだが、林拓の歌唱も含めてアルバムを聴いた後には、
私の心も私の部屋も多幸感で満たされた。
今回のライブ盤はポスター・ジャケットで、限定50枚にはジャケットに使われたのと同じデザインの
ポスターにブリジットと林のサインが入っている。手書きのナンバリングもブリジットによるもので
私も運よく50枚のうちの1枚を入手できた。配信では味わえないパッケージ商品の有り難い恩恵に
預かったというわけである。
これは京都公演後に相方がサインを貰ったCD。
最高のジャケットに絶妙な位置に書かれたサイン。全てが美しい。
現在のブリジットは、スタジオ録音の新作にとりかかっているという。
期待して待ちたい。