HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

CHAR / 空模様のかげんが悪くなる前に

2005-08-31 22:08:35 | THIS SONG
余り熱心な聴きてではなかったのだが、今頃になってチャーに
ハマッてしまった。ピンク・クラウドのようなバンドとしての
体裁であれば、初めからすんなり聴いたのかもしれないが、一人の
「スーパー・ギタリスト」で「アイドル」というのはどうも
理解しがたかった、というか私がギタリスト的資質がなかった
せいもあってバック・バンドが付け足しのように見える構図が
嫌だったのかもしれない。もちろん、テレビでシングル曲を歌う姿は
よく目にしたがレコードを買うまでにはいたらなかった。

先日、とんでもないDVD-Rをもらった。1枚のDVDに延々と
「闘牛士」を歌うチャーが収録されていたのだ。(笑)今見るとこれが
面白かった。幾つもの歌番組をまとめて収録してあったので
チャーのくせがわかったのが面白かったし、歌謡曲主体の
番組であったのにギターの音がよく聞き取れたのも意外だった。
バックにバンド以外の楽団がつく番組が多かったが、
それも違和感がなかった。
ギターだけでなくピアノを弾くことが出来、譜面を読めるチャーが
アレンジを楽しみながら演奏したかどうか・・・・はわからないが
私はどれも面白かった。阿久悠の歌詞もハードボイルドだし。

ここまで書いておきながら、とりあげるのは「闘牛士」ではない。
チャーの曲で何が一番好きかを考えていたらこの曲になってしまった。

”空模様のかげんが悪くなる前に”

英語詞にファンクを軽やかに消化したノリのよいナンバーはもちろん
好きだ。ハード・ロックは勿論、黒人音楽も取り込んだ音は日本人離れ
していて、解りやすくアピールする。
「空模様・・・」はNSPの天野滋(先日亡くなった)の作詞である。
それにチャーがゆったりしたテンポの曲をつけている。
この曲で明らかになるのが、一歩間違えたらフォーク崩れになりそうな
ものを、雄大なサウンドで思慮深いものにするチャーの才能である。
よく鳴るギターとキーボードの組み合わせで、降下するようなメロディーが
印象的なイントロ、間奏で隠し味的に使われるスキャット。
ピンク・フロイドとザ・バンドが合体しても不可能な世界だ。(笑)
何よりボーカリストとしてのチャーの歌のうまさが際立つ曲だ。
ギター・プレイに比して、歌唱について言及することが余りないように
思われるが、チャーのボーカルにはギターと同じくらいの「歌心」がある。

余り天野滋の歌詞は好きではないのだが、この曲は歌詞もいい。
たわいのないものなのだが、何故かサビの部分が印象に強く残る。
「北のはてにも人生があり、南のはてにも歴史がある」
大袈裟になるが、自分が今まで見てきたものなんて大したものじゃないし
趣味的なことを言えば、聴いてきた音楽なんて狭い範囲のものに
過ぎない、なんてことまで考えてしまう。
もっと視野と心をを広く持とう、とこの曲を聴くたびに思うのだが
なかなかそうはいかない、狭量な私。
日々の反省の意味も込めて、今日も聴く・・・・・。

掲載写真は「空模様の・・・」収録アルバムでCHARの1ST。
「SHININ' YOU SHININ' DAY」「SMOKY」収録といったほうが
とおりがいい、名盤。


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THE BEACH BOYS / GOOD VIBRATION TOUR

2005-08-29 21:10:30 | ROCK
今までにふいに遊びに来た知人や友人が、私の部屋で流れている
BGMに驚いたことが2度ある。
一度目はデュルッティ・コラムの「LC」を聴いていたとき。
がさつなストーンズ・バカがデュルッティ・コラムとは・・・・。
と、思ったのでしょうな。
二度目はビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」を聴いていたとき。
と、いうのが、この時聞いていたのが東芝のGREEN LINEとかいうシリーズで
世界で唯一日本だけでボーナス・トラックが3曲ほど収録された盤。
すぐ回収されたブツを私が持っている・・・ストーンズ・バカのハリーが
ビーチ・ボーイズの回収盤を聴いている・・・・というギャップが
可笑しかったのでしょうな。ふぅ・・・(笑)
僕はビーチ・ボーイズ好きなんです。

というわけで(?)今回取り上げるのは76年にアメリカのNBC TVで
放送された番組「IT'S OK」を商品化したもの。ブート・ビデオで
昔から流通している有名なタイトルのものである。(私も買いました)
76年といえば、「15 BIG ONES」をリリースし久々にブライアン・
ウィルスンが前面に出てきた時期である。ブライアンはまだ本調子では
なかったようだが、当時の所属会社ワーナーがグループ結成15周年を
盛り上げたいがために、引っ張り出したようなもので、「BRIAN'S BACK」
というキャンペーンが展開された。
ブライアンはライブにも参加し、アナハイム・スタジアムで収録された
ライブ・シーンを中心にプライベート・ショットやインタビューを挟んで
番組は進行する。

ブライアンは本調子でないと書いたが、バンドとしてのビーチ・ボーイズは
すこぶる好調。サポート・メンバーが例によって大勢いるものの、
ルックス担当を返上するかのごとく(失礼)、デニスのドラムは
パワフルだし、フロント・マンとしてのマイク・ラブも楽しいライブを
演出すべく精力的に動き回る。アンサンブルもバッチリで
ライブ・バンドとしての魅力が満載である。
ただ、もとがテレビ番組だけに演奏がブツ切りになったり、意味の無い
シーンが挿入されたりするのが、興冷めなのも事実である。
しかし、ビーチ・ボーイズ・ファンなら誰もが知っているあの有名な
コントはこの番組に収録されているのである。
私の初見は「アン・アメリカン・バンド」というビデオだったと思う。

ジョン・ベルーシとダン・アイクロイド扮する警官がブライアンのもとに
召喚状を持って現れる。
罪状は「カリフォルニア波乗り法936条12項違反」。(笑)
サーフィンをせずにベッドでごろごろしているのが罪に当たるようで
ブライアンは二人に連れ出され、ガウンを着たままサーフィンをする羽目に。
「ビーチ・ボーイズでサーファーなのはデニスだけ」というのは
よく知られた話で、ブライアンにサーフィンが出来るわけもなく・・・。
痛々しいととるか、面白いととるかは見る人によって違うが
私は大笑いした。(それだけブライアンに思い入れが無い?)
パトカーの屋根にサーフ・ボードを積んで走るシーンにライブの
「サーフィンU.S.A.」が被ってくるのだが、イントロのギターの
歪み具合だけで、ワクワクするシーンだ。演奏シーンではないが、
この部分に関してはいい編集だと思う。

こういったシーンがあることは最初は文字で知った。
渋谷陽一氏と浜田省吾の対談で渋谷氏がビーチ・ボーイズ好きの
浜田に「こんなビデオがあるんだよ」というようなことを話すと、
「いいなあ、それ見たい!」とこんな感じで話が進んでいったような
記憶がある。もちろん私も見たいと思ったもので、こうして改めて
オリジナルの番組に組み込まれた形でみると感慨深いものがある。
他にはウィルスン兄弟3人がスタジオで「I'M BUGGED AT MY
OL'MAN」をハモるのも見所だ。デニスもカールももういないんだ・・・。

番組構成に若干の難はあるが、70年代のビーチ・ボーイズの
ライブの充実振りがよく捉えられた作品で、ファンならずとも
見る価値はある。70年代の一時期、ビーチ・ボーイズはシカゴと
ツアーを行った。この「BEACHICAGO」の映像って残ってないものかなあ、
などと、また無い物ねだりをする私であった。




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JOHNNY ROBINSON / MEMPHIS HIGH

2005-08-28 11:23:12 | SOUL
ロックの再発盤がカタログに残っている期間というのは
意外なほど短い。定番物なら企画変更で数年置きに再発されるが、
マニア向けのものはそうはいかない。ロックより購買者が限られる
ソウル物なら、尚更だ。
世界初CD化を日本で成し遂げた後、しばらくして入手困難状態が
続いたこのアルバムが紙ジャケで、近日発売されるらしい。

ジョニー・ロビンスン一世一代の名盤、その名も「メンフィス・ハイ」。
タイトルからしてもう、キている。レーベルはエピック。
録音はハイ・スタジオで録音されていることから「HI」と「HIGH」を
掛けているのだが、内容はタイトルに劣らない充実振りである。
ハイ・サウンドの本質は72年~74年のアル・グリーンや
アン・ピープルズのアルバムにあると思っているのだが、
このアルバムの発表は70年。
94年版CDの解説で鈴木啓志氏がいみじくもこう書かれている。
「一番近しいのはドン・ブライアントではなかろうか。」
洗練される一歩手前の豪気さと、バラッドの表現力。実に納得のいく
比較だと、素人ながらうなずくことしきり。

ジャンプとバラッドが均等に配され、11曲中4曲が自作。
ソウル好きには有名な曲のカバーが多いと思われるかもしれないが、
わずか4曲の自作曲が素晴らしい。アルバムのラスト・ナンバー。
「DON'T TAKE IT SO HARD」こそ、誰もが耳にすべき曲で
これ1曲のために買ってもいいくらいだ。歌詞も歌唱も曲も
素晴らしく、この曲でのアプローチがプロデューサーの
ウィリー・ミッチェルにとって、後のアルやアンの諸作へと繋がって
いるのでは・・・と勝手な思い込みさえ可能にしてしまう。
更に勝手に思い込みをすれば、キース・リチャーズさんもきっと
このアルバムを聞いているんじゃないかなぁ。
1STソロでハイ・サウンドに大接近した、キース・リチャーズの
アルバムからのシングル第一弾は「TAKE IT SO HARD」。
このジョニー・ロビンスンの素晴らしいバラッドから何らかの
インスピレーションを受けていたら、なんて考えるだけでも楽しい。

先日、ジョニー・アダムスのベスト盤CDが格安で売られていたのを
スルーしてしまった愚かな私ですが、これを読んでいる皆様には
そういったことがないように・・。
ジョニー・テイラーやジョニー・アダムスに負けない、ジョニー・ロビンスンの
名盤を是非とも聞いてください。



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THE COMPLETE MONTEREY POP FESTIVAL

2005-08-27 21:08:13 | ROCK
海外では2002年にDVD化されていた「ザ・コンプリート・
モンタレー・ポップ・フェスティバル」。なかなか国内版が出ないので
輸入盤を購入して楽しんでいたのだが、ようやく日本盤が出る。
検索すればわかるが、価格設定がなかなか挑戦的(笑)である。
日本盤をずっと待っていた方もいるだろうから、国内リリースまで
こぎつけたことは喜ばしいが、値段は安いに越したことは無い。

3枚組DVDで、1枚は映画「モンタレー・ポップ」もう1枚は
86年制作の「ジミ・プレイズ・モンタレー」と「シェイク! オーティス・
アット・モンタレー」を1枚に収めたもの。LP時代に両者のライブは
カップリングでリリースされたし、2本の映像は映画館でも同時に
上映されたこともあるので、由緒正しい?カップリングである。
この2枚は多くの人が見たことがあるだろう。

ここまでは既発映像なので、問題は未発表映像を多く含んだ3枚目
である。音はブートレグやオフィシャルの4枚組でかなりのものを
聞くことができたが、映像となると興奮の度合いがまた別である。
いきなり、アソシエイションである。その後もアル・クーパー、
バターフィールド・ブルーズ・バンド、ローラ・ニーロ、ザ・バーズと
お宝映像が満載。メンバー間の緊張がピークに達していた時期のバーズ
から、デヴィッド・クロスビーが参加したバッファロー・スプリングフィールド
の映像も見ることが出来る。(ニール・ヤングは不参加)
クイックシルバー・メッセンジャー・サービスや
イベントの別会場で行われたタイニィ・ティムの映像は、
マニアの溜飲をさげるだろう。ザ・フーも3曲未発表映像が収録された。
開演前のジミ・ヘンドリックスとのやりとりや、楽器破壊が取り沙汰
されるが正直言ってこの時期のほかのライブに比べると演奏は雑である。
ま、それは他のバンドとは違う次元の話なので、追加された映像の多さに
感謝、感謝なのである。

これだけのものを見た後だというのに、私が思ったことは・・・。
贅沢なもので、さっきまでの感動もそっちのけで収録されなかった
バンドのことを考えている。演奏内容がひどかったとか、アンプの
調子が悪かった、とかの理由でグレイトフル・デッドは収録を
拒んだと言う話を聞いたことがある。ブートレグで聞く限りは
それほどでもなかったように思ったのだが、その現物が
みあたらない。(笑)1曲くらい見たかったなあ。
あと、モビー・グレイプとスティーブ・ミラー・バンド。
前者はまたもやブートレグで5曲ほど聞けたが、ここはやっぱり
動いて欲しい。(笑)

と、贅沢をいえばキリが無いがまずは定番映像の拡大版としては
合格ラインを軽くクリアしているので、未見の諸氏は気にとめておいて
いただきたい。


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花伸 / ダンス・ウィズ花伸

2005-08-26 23:02:41 | 日本のロック・ポップス
銀次の仕事ということで、次にこれを引っ張り出しました。
リンク先のち~旦さんのブログでも先日、紹介されてましたが、
私もこれをとりあげないわけにはいきません。
花伸が78年に発表した2枚目にしてラスト・アルバム。
バンド名はギタリストの花岡伸二の名前から来ている。

関西ブルーズ・シーン、いや正直言って日本のブルーズ・シーンに
特に何の思い入れも無い私なのですが、このバンドのこの
アルバムを愛する理由が幾つかあります。
まずは、伊藤銀次が初めてプロデュースをしたアルバムであること。
私の所持する盤は99年に再発されたCDなのだが、
実に興味深い話が、満載である。
ウルフルズの大ファンであった私は、銀次がウルフルズの
プロデュースをしたということで、即座にこの花伸の2枚目が頭に浮かんだ。
ウルフルズのヒット曲「バンザイ」のテンポをおとすと、
ザ・バンドの「ザ・ウェイト」になるのには気がついていたが、
ライナーで銀次自身が『俺の中で「ザ・ウェイト」と「バンザイ」と
花伸のこのアルバムに収録されている「マリー」は繋がっている』と
書いてあるのを読んだときは、胸がスカッとしたものだ。

そしてもう一点。
1STではジェイムズ・コットンのレパートリーが多かったのだが、
必然か偶然か、この2枚目ではジャンプ系を得意とするいい意味での
白人ブルーズ・バンドっぽくて格好いいのだが、それが何なのか
なかなかピンと来なかったのだ。そんな「もやもや」も
ライナーであっさり解き明かされた。
私が好きな筈だ!。彼らはJ・ガイルズ・バンドを手本に
していたのだ。そういえば、このアルバムのラストにはエディ・フロイドの
「RAISE YOUR HAND」が「熱くなれ!」というタイトルで収録されているが
この曲はJ・ガイルズ・バンドもライブ盤「狼から一撃!」で
取り上げている。なるほど、納得なのだ。

ブルーズのカバーから脱し、オリジナルを先達に負けない勢いで
楽しく演奏するというのは、ブルーズ・ピュアリストには、眉を
ひそめさせたかもしれないし、このユーモアを受け入れるほど、シーンが
成熟していなかったのが、このバンドの不幸だったのかもしれない。
「オー!メイク・ラヴ」と叫ぶだけのほぼインスト・ナンバーが
あるのだが、関西人のユーモアを聞き取ってしまうのは、私が
単に勘違いの助平野郎だからかも知れないけれど。(笑)

それにしても地味なジャケットである。裏ジャケの明るい照明で
撮られた写真のほうが好きだなあ。
ジャケットのインパクトでは圧倒的に1ST。しかしあのスイカを食べる
黒人少年たちが映ったジャケットは、アメリカでは通用しない。
「スイカよりうまい、ブルーズ」・・・・であったとしてもだ。
差別の象徴として扱われる「黒人とスイカ」の取り合わせは
感情のもつれを生じさせるのは間違いない。
花伸には何の罪もないが、余計にもふとそんなことを思ってしまった。

まあいい。ここは一つこの「2枚目」で盛り上がっていこう。
3000米?いや、俺も10000米やりっぱなしさ!。(笑)



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ショーボート・ライブ~素晴しき船出

2005-08-25 23:37:23 | 日本のロック・ポップス
布谷~銀次という繋がりで、ココナツ・バンク初ステージを
収録したこの盤を引っ張り出してきた。
73年9月21日、この日ははっぴいえんどの解散コンサートであり、
レコーディングされた音はベルウッドからリリースされた。
はっぴいえんどの解散コンサートであったと同時に、その後の
日本の音楽シーンを引っ張ることになる多くの才能が初ステージを
披露した日でもあった。

ココナツバンク、南佳孝、吉田美奈子の初ステージがこの日である。
コーラス・グループと捉えられるのが山下達郎の本意でなかった
という話も伝え聞くが、はっぴいえんどとココナツバンクのバックで
コーラスを務めたシュガー・ベイブも初ステージ。
これらの才能を伝えるべく、録音された音はショーボートから
リリースされた。後から恥ずかしくなるタイトルもたまにあるが
「素晴しき船出」というタイトルに偽り無く、発表から30年以上
経った今でも、その通りとうなずくことしきり。

矢野誠のストリングス・アレンジが冴える中、南佳孝の歌唱は
瑞々しくも存在感を十分に感じさせる。くしくもこの日の
発売である名盤「摩天楼のヒロイン」からも2曲披露。
洗練されたボーカルと楽曲は、白黒の昔の映画で見たような
都会と、私なんかは当然見ることが無かった70年代の東京の夜が
入り混じって、想像力を刺激する。

同じくこの日、デビュー盤「扉の冬」を発表した吉田美奈子。
南と同じくピアノの弾き語り。個人的な狭い趣味の世界に収束して
しまって何なのだが、この時期の美奈子がやっぱり一番好きだ。
ファンクを通過し、現在も活動を続ける本人にしてみれば
迷惑な話だろうけど、ローラ・ニーロ好きにはたまらないのが
この時代なのだ。映像に残されたティン・パン・アレイのライブでは
小坂忠とステージで楽しげにステップを踏むシーンがあったが、
妙に色っぽくて驚いた記憶もある。

個人的に最大の聞き物はココナツバンク。
後にナイアガラ・トライアングルで発表される2曲を披露。歌詞が
微妙に違うが、曲の楽しさに変わりは無い。
「日射病」「無頼横丁」この2曲がナイアガラ・トライアングルという
企画物でなく、ココナツ・バンクとしてのアルバム、もしくは
シングルのA/B面に収録して、南や美奈子と同じく
73年9月21日にリリースされていれば・・・・。ココナツ・バンクと
伊藤銀次の評価というのは、今とは比べ物にならないくらい
高いものになったのではと思うのだが、どうだろう。
実際この2曲のスタジオ録音は76年まで待たねばならないし、
ココナツ・バンク名義のスタジオ録音が発表されるのは、30年も
待たなければならないのだから。

それにしても73年9月21日というのは日本のロック・フォーク史の中でも
太字で記録され記憶されるべき一日だったのだなあと思わずに
いられない。はっぴいえんどの赤地に白抜きデザインの盤の横にこの
青地に白抜きデザインの盤を是非・・・・。



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布谷文夫&DEW / LOST BLUES DAYS VOL.1+VOL.2

2005-08-24 21:57:36 | 日本のロック・ポップス
エアコンの無い我が家であるが、なんとか「悲しき夏バテ」を
乗り切れるまで調子が戻ってきた。
しかしながら、この男の声は発汗作用を促し、涼しい夜とは
かけ離れた空気を部屋いっぱいに充満させる。

ブルース・クリエイション、DEWを経て、ナイアガラ者にも
人気の稀有な経歴のボーカリストが布谷文夫だ。
今回取り上げるのは2001年に発掘されたCD2枚。
青い方が、70年のDEWと73年のソロでの活動を記録したもの、
赤い方は、90年の3回のライブから収録されたものである。
この間20年、全くかわらない独特のコブシまわしも快調な
録音集である。

73年録音はギター弾き語りである。「悲しき夏バテ」のB面の
世界が展開されるのだが、これが意外といい。大瀧詠一が
プロデュースしていようが、していなかろうが、そのスタイルが
強烈無比であるのは明白なのだが、ギター1本でここまで粘っこく
ブルーズとフォークのジャンル分けを無意味なものにする
歌い手はそうはいないだろう。デイブ・メイスンの当たり曲で
トラフィックの「FEELIN' ALRIGHT」のカバーが嬉しい。
イギリス人が憧れたアメリカ南部サウンド。それを日本人の
解釈でしかもアコギ1本でぶちかます、というのが潔く、清清しい
とさえ思えるのだ。70年のDEW時代はもちろん洪栄龍のギターを
聴くことが出来る。

90年の録音をつい最近のことのように思って軽視すると大損を被る。
ナイアガラ・ファンこそ、こちらを重視すべきである。
バンド仕立ての楽しいライブ、なかでも「深南部牛追歌」は
必聴。曲中に「台風」「びんぼう」「いらいら」といった
大瀧ナンバーのフレーズが挿入されるという、ライブならではの楽しい
仕上がり。「ナイアガラ音頭」や「夏バテ」も収録。
アール・キングの「COME ON」の出来が素晴らしい。
ジミヘンやレイ・ヴォーンでこの曲を好きになった方にも
このバージョンは楽しめると思う。リトル・リチャードのカバー、
「GOOD GOLLY MISS MOLLY」の歌唱、演奏、これを聞いて
燃えなけりゃウソでしょう。(笑)ミッチ・ライダーにも聞かせたい
まさに「耳から摂取するカプサイシン」。

それから約10年後のライブを記録した「立ち眩みLIVE」も
もちろん必聴。ここでは、それまでは「深南部牛追歌」に挿入される
形で聞けた三橋美智也の「達者でな」をフル・レングスで聴くことが
できる。前に私は「演歌は得意ではないが三橋は好きだった」という
ことを書いたが、そんな私の嗜好のツボを一突きする演奏であった。

布谷文夫の次の録音はまだか?。
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転石始動!

2005-08-23 21:03:36 | DAY BY DAY
ローリング・ストーンズがまた動き出した。
アルバムのリリースが少々伸びたが、ツアーは予定通り
始まったようである。
朝のテレビでさわりが紹介されたが、だいたいこういうときは
オープニングの曲(今回はSTART ME UP)が流れるもんだと
思っていたが、3曲目に演奏された「SHATTERED」が放送された。
もう、大好きな曲なので嬉しかったのはいうまでもない。

ただ全体のセット・リストを見ると「う~ん」と首をひねらざるを
えない。ストーンズのツアーというのはツアー序盤は珍しい曲も
演奏して、出来の悪い曲がどんどん殺ぎ落とされていくのが常であったが
初日のセット・リストは新曲以外は平凡な感じ。
前回のリックス・ツアーでは大盤振る舞いだったから、その
印象が強すぎるのかもしれないけど・・・。
「YOU GOT ME ROCKIN'」はタムでビートを刻み、オープン・
チューニングでザクザクとコードを刻み、スライドがからむ曲だが
それほど込み入ってない上にノリがいいので、バンドと客の
アイドリングにちょうどいいのか、ここのところ、ライブ序盤の
定番曲のようだ。それはいいのだが、オープニングの選曲はもっと
「あっ!」という驚きがあってもよかったのでは?。

ツアーに入る前の恒例のカナダでのクラブ・ギグでは
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「GET UP STAND UP」や
オーティス・レディングの「MR.PITIFUL」を演奏したようで、
この先これらが聴けるのかどうかが楽しみだ。
来年にはまた来るのかなあ。

その前に新譜である。国内盤は買うに値しないので、
アメリカ盤(CCCDではない)を買うしかない。
正直に言って前回のスタジオ盤は面白くなかった。
そのせいか、3回目のストーンズの来日公演は見ていない。
ちょっと反省しているが、今回はさわりを聞く限りでは
良さそうなので、期待している。

掲載写真は、有名なアナログ盤「BEAT BEAT BEAT」のジャケットを
流用したブートレグ。私が生まれたその日のストーンズの演奏を
記録しているので、なんとなく嬉しくて掲載してみた。
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森園勝敏バンドin手賀沼ジャズ・フェスティバル

2005-08-22 20:09:04 | DAY BY DAY
昨日は近所であった市民フェス(無料です)で、森園勝敏バンドの
ライブを見ました。今年で第何回なのかも知らない不届き者なのですが
実は第1回めは見ました。名前は見事に失念したのですが
チャーリー・パーカーのおそらくヴァーヴ時代?にバックを
担当したことがある黒人ピアニストがメインで登場するのが
見に行く最大の動機でした。会場の後ろのほうでバーベキューしていた
おじさんがいきなりステージで演奏を始めたのが何ともいえず
格好良かったことを覚えています。

それから一度も見に行くことは無かったのですが、たまたま見た
広告に「森園」の名前があったので、これは見に行かない手は
ありません。車なら10分とかからない場所なのですが、どうせ
ビールを飲むから、と歩いていったら片道50分もかかって大汗を
かく始末。ビッグ・バンドや若手のジャム・バンドの演奏が
延々続いて、トリが森園バンド。客層がそれまでとガラッとかわるのが
見ていておかしかったですねぇ。それまで木陰で休んでいた
明らかに私よりも10歳は上の方たちが男女問わず、わんさか前の
ほうに出てきましたから。(笑)

芝生に座って夕闇がほとんど夜にかわろうとする中、風もすずしく
最高のシチュエーションで短い時間ながらも楽しみました。
時間が押し捲っていたので、なんとか終わらせようと合図するスタッフ、
ベーシストの方は気づいていたようですが、肝心の森園さんは
全く気がついてないようで、弾きまくりの熱演。ドラムスが
セット・リスト終了とばかりにステージを降りても、次の曲を
弾き始めようとしたところが、なんだか嬉しかったですね。
往年のブルーズやロックの名曲のカバー大会だったのですが、
後半のジミヘン3連発にはやられました。なんといっても「STONE FREE」。
イントロのハーモニクスだけで鳥肌がたちましたよ。
大音量で程よく歪んだそのサウンドはまさにストラト・モンスター。
このあと、茨城は土浦に移動して更にライブの予定が入っているとは
とても思えない内容で大満足でした。

もうすぐ私は今いるところを引っ越さなければならないのだが
いい思い出になりました。

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THE SUMMER SOUNDS / UP ←→DOWN

2005-08-21 10:55:31 | ROCK

単に過ぎ行く夏・・・というイメージだけで取り上げております。
67年発表のアルバムで、ジャンルはガレージ・サイケに分類される
ことが多いようだが、「リッター」や「シーズ」のように極悪な
サウンドではない。
日本のいわゆるカルトG.S.と言われるものの中には、格好悪すぎて
なんだこりゃ?というのが面白いものがあるが、それらがもうちょっと
スマートになった感じ。といっても伝わりにくいが。

オルガンを前面に出した脱力サイケ。ひと夏の恋愛(笑、書いてて
恥ずかしい)とその虚脱感を、ご丁寧にも音にしてくれたもので
ぼんやり聴くにはちょうどいい。誰がモてるかなんて予想もつかない
のは学生の頃から今にいたるまで変わりなく、そんなことに
一喜一憂するような歳でもないが、この冴えない面構えの
メンバーの演奏でそんなこんなを聴かされると、自分の情けない
17、8歳というのがフラッシュバックしてくる。

だいたい、女の子と一緒にいても聴く音楽が無かった、というか、
楽しんでもらえるという気がしなかった。
ロックのことしか頭に無かったし、大瀧詠一や
ビリー・ジョエルのレコードは部屋にないし(好きだったんだけど)。
シブガキ隊も松田聖子も無い。(笑)あたりまえか。
ドアーズ、ボブ・マーリー、ストーンズにキンクス、ザ・フーや
クラッシュ・・・・。いくら20年前といっても田舎の女の子が
クラスの男の子と一緒に聞いて楽しめる要素というのは、皆無に近い。
なもんで、いつも遊びに来るのはリーゼントに学ランのアンちゃん
ばかり。お袋には「あんたの友達はみんな柄悪そうだけど、
いい子やねえ・・・」とか訳わからんことを言われるし。
スポーツに打ち込んだわけでもなく、バイトに精をだしたわけでもなく
ダラダラと3度の夏を過ごした人にとってこそ聞いていただきたい。

カバー・ソング好きには「GIMME SOME LOVIN'」やゾンビーズの
「I LOVE YOU」が収録されているので、お忘れなく。
ああ、また積乱雲が目の前に広がる。(笑)



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マッキー・ショック

2005-08-20 19:34:36 | DAY BY DAY
気分はもの凄くロウである。みんな夏が悪いのは毎年のこと
だが、今年はやることなすこと裏目に出る。まあいい。
ロックなことは何一つ無い・・・・・。

年に一度の健康診断を受ける。目が良くなっていることに
驚かれる。「眼鏡、代えたんですか?」
当たり前だ。目ん玉代えるわけがない。昨年とは職場が違うので
診断を受ける場所も10年ぶりくらいに変わったのだが、問診コーナーに
座っている女には見覚えがあるような気がした。高校3年の時に
同じクラスだった女の顔を半年後に覚えていなかった私にしては
上出来である。(何が?)。今回は血液採取の担当の方は上手であった。
これは私以外にも何人かが言っていたので、やはり上手なのだろう。
私は採血される時は、緊張していつもトム・ロビンスン・バンドの
マークのように握り拳をつくってしまうのだが、担当の女性が
「そんなに硬く握らなくていいですよ。」と私の指を開いてくれた時は
なんだか照れてしまった。(おっさんなのに)
「お姉さん、上手ですね。僕も上手なんですよ。」とわけわからんことを
ぼんやり考えながら、終了。

某大型レコ屋に行くと、見覚えのある女がいた。どうやら新しく
入ったばかりのようで、いろいろと指示を受けていたが、思い出したぞ
前に赤黒チェーン店にいた女だ。レジで私のことを見たことがあると
いう感じのしぐさをしたように見えたが、当たり前だこっちは十数年、
赤黒某店を定点観測しているのだから、見覚えがあって当然なのだ。
系列店での異動ではなくて、別の店で働くというのは、いろいろ
あったんだろうな、などとつまらないことを、又ぼんやり考える。

今週はBSでビートルズのソロ時代の特集があった。
渋谷陽一と松村雄策のVJで進行するのだが、ロッキング・オンを
10代の頃に読んでいた身としては、いろいろと感慨深かった。
地上波でたった1時間でジョンやポールを特集するのは制約が
多すぎて無理があるのは、見ていてよくわかった。いまだに
ジョージとリンゴをひとまとめにして1時間と言うのも、
辛いものがあるなあ。
余り熱心にコレクションしなかったせいもあるのだが、
リンゴのプロモ(画質悪し)に未見のものが幾つかあって個人的には
3日目が一番楽しめた。
だが、一番驚いたのは松村氏のルックスだった。
後姿しか映らなかった渋谷氏は老眼鏡に髭で、なんだか高田渡
みたいだった。それにしても松村氏の老け具合がショックだった。
岸辺シローとかわらないじゃん!。なんだか
単なるビートル・ヲタにしか見えなかったのが悲しい。もちろん
氏のビートルズに対する愛情は昔からいろいろな場面で見聞きして
了解しているはずなんだけど・・・。

昔からいつ刷り込まれたのかはわからないが、ジョンはロックで
ポールはバラッドという思い込みが、私の中にあった。
今はそんなことは全く無い。むしろ、ジョンのほうに女々しい
スローな曲が多く、しかしながらその弱さに惹かれているのかなあ
なんて思ったりしている。能天気なバラッドと書き殴りの捨て曲を
平気でアルバムに詰め込めるところに、ポールの「ロケンローラー」
ぶりを見たりして。(笑)

最後に私の好きなジョン・レノンの5曲を今の気分で・・。
NEW YORK CITY
NOBODY LOVES YOU
I'M STEPPIN OUT
JEALOUS GUY
WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT


コメント (5)
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BRYAN FERRY / THESE FOOLISH THINGS

2005-08-16 21:04:35 | ROCK
1973年、ブライアン・フェリーは自身のソロとロキシー・
ミュージックを合わせると3枚のアルバムを発表したことになる。
フランク・ザッパじゃあるまいし、この時期のフェリーさんの
ほとばしる創作意欲が伺える。
ロキシーの「フォー・ユア・プレジャー」と「ストランデッド」に
挟まれる形で発表されたこの「愚かなリ、わが心」こそ、
フェリーさんの初ソロ・アルバムである。

全編有名曲のカバー。それにしても。1枚のアルバムで
ビートルズ、ストーンズ、ボブ・ディラン、プレスリー、
ビーチ・ボーイズをカバーするという発想は普通は起きないだろう。
アメリカはともかく、イギリスではロキシー・ミュージックは
デビュー時からセンセーショナルな存在だったであろうし、
今聴き直しても、オリジナリティ溢れる音である。そんなバンドの
顔であるボーカリストがリリースするソロが、有名曲のカバーで
占められる・・・・。プロダクションとボーカルに余程の自信が
なければ出来ない仕事である。

LPの各面の頭に置かれたディランとストーンズのカバー以外は
ほとんどが失恋ソングというのもフェリーさんらしい。
冒頭では露悪的でハードな男を演じても、最終的にはみじめで
自己憐憫な姿をさらけ出す。男の私でもしびれるのだから、さぞや
女性ファンのハートを掴んだことだろう。(笑)
ジャニスの熱唱があまりに印象的な「心のかけら」やミック以外に
誰が歌う?といった感じの「悪魔を哀れむ歌」にトライするというのは
ボーカリストとして勇気の入ることだと思う。ジャニスやミックの
熱心なファンには評判は良くないが、私は気に入っている。
スモーキー・ロビンスンのカバーはいかにもフェリーさんらしい
選曲だし、レスリー・ゴアのキッチュな感じをうまくいかした
「涙のパーティ」にはやられた。
ビートルズの「YOU WON’T SEE ME」(電話のS.E.入り)は地味な
選曲のように見えるが後半で「FROM ME TO YOU」と「I FEEL FINE」
のフレーズを入れる遊びが楽しい。

まあ、中には分の悪いものもある。カバーだけに他の誰かと
比べられるのは宿命だが、フォー・トップスのカバー、「LOVING
YOU IS SWEETER THAN EVER」はザ・バンドやロジャー・ティリソンズ
といったアメリカの土臭い音にはどうも負けてしまう気がする。
もちろん立ち位置が違うのだからそれは仕方ない。
しかし、なんといっても最高なのはアルバム・オープニングの
ディラン・カバー「はげしい雨が降る」だ。数多あるディラン・カバー
の中でも最高の出来、暴言との誹りを覚悟の上で言えばディラン・バージョンを
超える数少ないカバーだとさえ思っている。バック・コーラスも込みで
歌心に溢れるし、音の加え方が凝っている。ヘッドフォンでお試しあれ。
サビの「A HARD RAINS ARE GONNNA FALL」のところはフェリーさんは
語尾を消え入りそうに軽く歌うのに対し、コーラスがはっきりと
メロディーを歌うので、そちらが耳に残ってしまう。曲の全編で
鳴り響くどうでもいいようなフレーズのギター。ああ、T.REX好きには
たまらないアレンジなのだ。

フェリーさんはこのあとも数多くのカバーをソロやロキシーで演奏する。
「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」や「ライク・ア・ハリケーン」
といったちょっと考えられない有名曲を取り上げ、その都度ファンを
驚かせるのだが、ジョン・レノンの追悼盤の意味合いもあった
「ジェラス・ガイ」のカバーは余りにはまっていて、私なんかは
フェリーさんに「ぴったり」な曲だと不謹慎にも感心したほどだ。
まさか、ジョンじゃなくて、ジェリー・ホールのことを
考えながら歌ってたんじゃないだろうな。(笑)


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REG KING / SAME

2005-08-15 20:53:04 | ROCK
レッド・キングじゃないよ。(笑)
いつかどこかでこんな「つかみ」から書いたような気が
するが、まあいいでしょう。

レグ・キングはブリティッシュ・ビートが好きな人は避けて
通れない「アクション」のボーカリスト。65年~67年にかけて
5枚のシングルをリリースするが当時はアルバムを発表するには
いたっていない。80年にはそれらをまとめてLP化されたが、
ライナーをポール・ウェラーが手がけていた。
ウェラーさんが気に入るのも当たり前、スティーブ・マリオットや
スティーブ・ウィンウッドを彷彿させる素晴らしいボーカルがそこには
記録されていた。

そんな素晴らしいボーカリスト、レグ・キングが71年に残した
唯一のアルバムがこれ。なんでこれ1枚しかないのか。なんで未だに
CDにならないのか全く不思議でしょうがない。UNITED ARTISTSでの
録音だからそれほどマイナーでもないと思うのだが。
全編これブリティッシュ・ロック、フォーク、スワンプの最良の
部分が結集したとしかいえない。二人のスティーブにもポール・
ロジャースにも負けない見事な歌いっぷり。

バックを務めるのは「アクション」から発展した「マイティ・ベイビー」の
面々を中心とするものだが、ブライアン・オーガー、ドリス・トロイが
花を添えスティーブ・ウィンウッドが変名での参加したといわれる曲も
ある。ストーンズ者にはミック・テイラーが1曲参加しているのも
見逃せない。71年7月10日からストーンズは後に凄盤と呼ばれる?
「メインストリートのならず者」のレコーディングに入るのだがその直前に
レグ・キングのセッションに参加している。素敵じゃないか。

マシーン軍団の皆様にも気になる情報を・・・。
エルトン・ディーンのセッション遍歴にこのアルバムへの参加があると
いわれる。アルバムにもクレジットはある。しかしながらクレジットされた
B面最後の曲にはどう聴いてもサックスは入ってない。
しかしながらB面2曲目にトランペットやサックスが入った曲がある。
ここでのサックスのクレジットは「イアン・ウィットマン」。
数多くのアルバムにキーボード奏者としてクレジットされている男だが
他にはベース、フルートを操る。レグ・キングのこのアルバムでも
A面の5曲全てに参加しているが、ピアノやオルガンでの参加である。
よってB面2曲目だけにサックスでの参加というのは考えにくいので、
ここにエルトン・ディーンが参加していると見るのだが・・・。
いや、音だけ聴いて判断できないのが情けないがセッションでのプレイの
判別は難しいでしょ?(笑)

いずれにせよ早期のCD化を求む次第である。このアルバムが
一度もCDになってない、というか、手に入りづらい現状は
多くのロック・ファンにとって損失である。



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MARK LeVINE / PILRGRIMS PROGRESS

2005-08-14 11:36:00 | ROCK
まだCDにはなっていないし、アナログも目にすることは
まずない。軽く検索すると、200ドルで買えそうです・・・。
11月に発売予定の「村八分BOX」とほぼ同じ値段じゃないか。(笑)
今回はそんなアルバムの紹介です。

とはいうものの、このマーク・レヴィンという人の詳しいことは
何一つ知らない。68年に自主制作されたこの盤が、隠れたスワンプ・ロックの
名盤といわれ、好事家から愛されるのはバック・メンバーの
豪華さ故かもしれない。もちろん主役はマークさんである。この人の
よれた歌声が実に気分で、「南部ロックの夜明け」?を感じさせる。

キーボードはラリー・ネクテル。フィル・スペクター傘下でのセッションに
数多く参加した人で、先にブログで紹介したジャン&ディーンの
「SAVE FOE A RAINY DAY」の「SAVE FOR A RAINY DAY THEME」の
作者でもある。ベーシストのジョー・オズボーンと共にセッションに
参加することが多く、当然ながら本作にもジョーが参加している。
ジョーの素晴らしいベースはA面6曲目の「RICHARD LEE」で聴くことが
できるが、曲自体はセッションが中途半端に終わった感じのもの。

ギタリストのマイク・ディジーは有名どころでは「モンキーズ」、
「ビーチ・ボーイズ」、「アソシエイション」らのセッションに
参加している名うてのセッションマン。先にあげた、ラリー、ジョーと
共にポール・ウィリアムスの「サムデイマン」にも参加。
当時の売れっ子ミュージシャンをセットで使いたいと思ったのは
誰しも同じなようで。

極めつけはライ・クーダー。全12曲中8曲に参加し、そのほとんどで
リード・ギター、スライド・ギターを聞かせる。前年に参加した
ビーフハートのアルバムと同じように、鋭いフレーズの中にも
「南部ロックの夜明け」にふさわしい、ほのぼのした味わいがある。
アルバム最後の曲「PERIWINKLE BLUES」は私の大好きな
アル・スチュワートの「イン・ブルックリン」がレイドバック
したような感じで、これが最高なのだ。原盤をCDRにしてもらったものを
大事に聴いているのだが、早くCDにならないかといつも
思っている数少ないアルバムである。

これと同じようなメンバーで録音されたアルバムに、サイケ名盤として
名高い「THE CEYLIEB PEOPLE」の「TANYET」という盤がある。
ライ、マイク、ジョー、ラリーにジム・ゴードンが加わったもので
何故か主役であるはずのLybuk Hyd さんが余り語られることがないのも
この「マーク・レヴィン」の盤とよく似ている。(笑)




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UTOPIA / DEFACE THE MUSIC TOUR

2005-08-13 23:41:04 | ROCK
80年代中頃、それまで廃盤で高嶺の花というよりも
ブツさえ余り見ることが無かったトッド・ラングレンの
アルバムの数々が再発された。今とは比べものにならない
情報しかなかったが、自分なりに「名盤にちがいない」と
ふんだものから順番に買いまくったものだ。

トッド・ラングレンの活動ペースが鈍り、新曲や新譜というものに
対してのスタンスがCDの流通システムと相容れない頃になった時期
と重なったわけではなかろうが、99年頃からレア・トラックスや
過去のライブがアーカイブス・シリーズとしてリリースされ始めた。
そんな中で私が最も興味をもっていた時期のものがこれである。
幾つかのブートや、つたない手段を使って入手したテープは、
あるにはあるがトッドやユートピアのライブの歴史の中で
この時期のものが欠落していたというのが大きな理由であった。

甲乙つけるのももどかしいが、ラトルズが大好きな私にとって
ユートピアの「DEFACE THE MUSIC 邦題ミート・ザ・ユートピア」を
嫌いなわけが無い。
ビデオ「レトロスペクティブ」に収録された「I JUST WANAT TO A
TOUCH YOU」は予算不足のラトルズというのは冗談だが、初期の
ビートルズを意識した楽しいもので、全曲のプロモがあれば
いいのになあと思うと同時に、ライブで演奏はしないだろうなあと
思ったものだ。
全曲ビートルズのパロディ・アルバム、作ったのはいいが、
これをプロモートするツアーがあったのだろうか?。

そういう疑問を解消し、先の私の欲求を満たしてくれたライブ盤の
リリースに私は飛びついた。音は今ひとつでビデオの変調ノイズのような
音も感じられるので、「もしかして絵付きのものもあるんじゃないの?」
という更なる「燃える欲望」が頭をもたげた罪作りなCDである。(笑)
「DEFACE THE MUSIC TOUR」は80年秋から始まったほんの短期間の
ツアーだったようだ。
2枚組全25曲中、11曲が「ミート・ザ・ユートピア」収録曲。
ライブの進行はいまひとつである。ルー・リードは新作をリリースすると
ツアーでは新作からの曲をを立て続けに演奏し、後半もしくは
アンコールで過去の曲を演奏するというすっきりした構成でステージを
進めたし、そういったものでは最近ではニール・ヤングの
「グリーンデイル」ツアーが記憶に新しい。
「DEFACE THE MUSIC TOUR」では新曲と過去の曲を数曲ずつ交互に
演奏しているのが何とももどかしい。2部構成にしたらもっと
わかりやすくアピールするのになあ。それだけが残念である。

しかしながら、この短期間の「特殊なアルバム」をプロモートする
ツアーを聴くことが出来た喜びは大きい。前作からの曲も多いなあ
と思いながら聴いたが、よくよく考えれば
この「ミート・ザ・ユートピア」は80年10月の発売。
前作の「アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア」は同年1月の発表だから
当たり前といえば当たり前。皆が大好きな「I SAW THE LIGHT」、
「LOVE OF THE COMMON MAN」も勿論収録。ラストはお約束の
「LOVE IS THE ANSWER」。なんだかんだいっても聴き終われば
多幸感で満たされるライブ盤なのであった。

同時に、これも特殊なアルバムであった「ア・カペラ」を引っさげた
「ア・カペラ・ツアー」もリリースされているので気にとめておいて
いただきたい。


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