HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

今年のFZ

2011-11-30 19:20:01 | ROCK

        

フランク・ザッパの肉体は消滅したが、今年もザッパ・ファミリーの手によって「新譜」が届けられた。
まずは「FEEDING THE MONKIES AT MA MASSON」と題されたアルバム。シンクラヴィアを
使ってつくった曲ばかりで、個人的には最も苦手なタイプのザッパ。86年の「JAZZ FROM HELL」
以前の録音で、後の「CIVILIZATION PHAZE Ⅲ」に収録される曲もある。と、書いてはみたものの
個人的にはあまり有り難味を感じることができない(笑)。発売が9月頃だったので、3Dジャケットを
見ながら、「あと1ヶ月早くリリースされたら良かったのに」なんて思ったのが、もう3ヶ月前である。(笑)

     今年の本命はコレだ。

掲載写真は71年10月11日におこなわれた2回の公演を収録した4枚組「CARNEGIE HALL」。
この時期の所謂フロー&エディー・マザーズの演奏は6月のライブを収録した「FILLMORE WEST,JUNE 1971」「PLAYGROUND PSYCHOTICS」、8月のライブ「JUST ANOTHER BAND FROM L.A.」で聴くことができる。

フロー&エディ・マザーズの評価というのは、実はそんなに高くないのではないだろうか。
先に挙げたアルバムが今ひとつ散漫な印象があるのと、FZ以外にフロントに立った二人が「歌って踊って喋れる
デブ」である(笑)のと、もっと言えば派手な演奏(印象でもよい)のメンバーがいないというのもある。

だが今回の4枚組を聴くと、そんな印象は変わるだろう。つまり「フィルモアのマザーズ」も「L .A .から来たバンド」も
LPという収録時間の限られたフォーマットだったが故に、フロー&エディー・マザーズのステージの面白さというか
全貌を捉えることができていなかったのだ。50分近くに及ぶ壮大な『BILLY THE MOUNTAIN』は、時間が
長ければ長いほど、何を言いたいのかさっぱりわからなくなるのだが(笑)CD4枚分の尺があれば、
この冗長な大作の収まる余地もあるというものだ。エインズレー・ダンバーの「如何にも」なタムまわしも
この時期ならではのお楽しみだ。

前座で登場したパースエイジョンズの演奏が収録されているのも、当日のライブに参加したような気分に
させてくれて気が利いている。アカペラでドゥー・ワップを歌うパースエイジョンズはザッパに見出され、当時のFZのレーベル「STRAIGHT」からアルバムを出したこともあり、現在も活動を続けている。

    彼らは2000年にアカペラでFZの曲をカバーした
アルバム「FRANKLY A CAPPELLA」をリリースしている。これがFZファンなら思わず笑いがこみ上げるほど
面白い。3度クレジットされている『INTERLUDE』では、FZのアルバムで度々聴くことができる、
不用意で不注意なノイズ(笑)を、そのまま真似している。『ANY WAY THE WIND BLOW』に至っては
ボーカル・パート以外のところも口真似する箇所があり、それはまんま小学生の頃の私達がやったのと
同じようなもので、これを大ベテラン・グループが大真面目にやっているのかと思うと、その潔さというか
おおらかさというか懐の深さに感心せずにはいられない。(笑)

それにしても、この後のザッパは大変な目に遭うのだ。モントルーで機材を火事で消失し、その数日後には
ロンドンで客にステージから突き落とされるのだから。

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買い物日記 BLACK FRIDAY その1

2011-11-29 19:50:20 | ROCK

今回のブラック・フライデイは、7インチのボックスが幾つも発売されて困った。(笑)
7インチ好きなので、どれも欲しくなってしまうのだが予算は限られている。それで
今回はビートルズとピンク・フロイドは見送ることにしたのだが、ボブ・ディランの7インチ・
ボックスはスルーできまい。(笑)ということで、到着したブツを記念撮影。

5000枚限定の4枚組7インチ・ボックス「CAN YOU PLEASE CRAEL OUT YOUR WINDOW?」の
ボックスに使用されたのは同曲のポルトガル盤ジャケ。我が家に届いた通し番号は3563であった。
箱の中の4枚の7インチは下記の通り。

   
『SUBTERRANEAN HOMESICK BLUES c/w SHE BELONGS TO ME』は南アフリカ盤ジャケット。
『LIKE A ROLLING STONES c/w GATES OF EDEN』はスペイン盤ジャケット。

   
『POSITIVELY 4TH STREET c/w FROM A BUICK 6』はアメリカ盤ジャケット。
『CAN YOU PLEASE CRAWL OUT YOUR WINDOE c/w HIGHWAY 61 REVISITED』は
デンマーク盤ジャケット。

ジャケットの印刷はいかにも「現物起こし」で、印刷もそれなりの出来なのだが、何より7インチで
これらを所持できるというのは嬉しいし、実際にプレイヤーに載せて1曲に集中するのが何より
楽しい。

因みに私が格好いいと思うディランの7インチのジャケットは、フランス盤のEP「LEOPARD-SKIN
PILL BOX」である。

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TAGO MAGO

2011-11-29 04:57:58 | ROCK

今思えば私が学生の頃、フロイドやクリムズンと同等以上にカンを聴いているヤツが多かった。
理由は簡単で、皆V.U.が好きだったからだ。(笑)どこで仕入れてきたのか知らないが、
「『ハンマー・ビート』とかいうヤツはヴェルヴェットの影響下にある」とかいう情報を信じ、
「なら、きっと格好良いだろう」というわけで、聴き始めたのだろう。

中でも71年のアルバム「TAGO MAGO」は人気だった。パッと見で不思議なジャケットの
魅力と、日本人ヴォーカリストのダモ鈴木の存在が、何だか小難しそうなジャーマン・プログレを
グッと身近なもののように錯覚させてくれたというのも、声には出さねども購入動機の一つであろう。
何故なら、私がそうだったから。(笑)

初めて聴いた時は、メドレーで繋がる圧倒的なA面の破壊力と突如聞こえてくる意味不明の
日本語に親近感を持ったものの、アルバムを聴き進めるにつれて片面1曲攻撃(笑)に疲れ果て
本当に面白いと思えるまでに時間がかかったが、今思えばその構成もどことなくV.U.の2枚目や
FZの「FREAK OUT」のようで、そんなことも含めて好きな1枚だ。

そんなアルバムの40周年記念エディションが登場した。

     

71年に英国で発売された際の封筒型ジャケットの中に、ドイツ盤の紙ジャケットが入っていて
オリジナル。アルバムを収録したCDと、72年のライブを収録したCDがそれぞれ1枚ずつ
左右のポケットに入っている。リア・ジャケットは71年発売当時のものと違っている。
掲載写真右は71年当時のもので、今回発売時のデザインはもっと簡略化されている。

スタジオ録音でも今回のライブでもそうだが、聴いて改めて確認できるのは、カンが今でも風化しないのは
リズムが強靭だからである。いつ果てるともない単純なリズムのように思えても、それがアメリカでは
ファンクであり欧州では違った呼び方がされただけであり、そのリズムの上にいくつかの「不安」を感じさせる
ようなメロディーや装飾が加えられ(勿論スタジオではその上に「編集」が加わる)、出て来た音は
徒にテクニックや超尺の個人のソロを競い合うものとは正反対の、まさに音の塊。
これが40年経っても古びることなく評価され続ける理由なのだ。

ダモ鈴木在籍時のライブ映像は「CAN DVD」で見ることができる。野外で演奏するステージ脇で、
同時に大道芸人が芸を披露している様は、実に刺激的である。

カンの拡大盤が、今後どのような展開を見せるのか実に楽しみなのだが、「FUTURE DAYS」の
スタジオ・マテリアルがわんさかと出てくる夢を見ながら(笑)、次の一手を待ちたい。

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THIN LIZZY AT THE BBC

2011-11-28 05:04:09 | ROCK

シン・リジーの歴史の中で私が好きな時期、というか許容範囲は初期から、79年の「BLACK ROSE」
あたりまでである。つまり、リアル・タイムで知った頃は、「ツイン・リードの正統派ブリティッシュ・メタル」
みたいな取り上げ方をされていて、どうにも聴く気が起こらなかった。なので、しばらく聴かず嫌いの時期が
続いたのだが、88年に出たBBCライブを集めた2枚組オムニバスLP「21 YEARS OF ALTERNATIVE
RADIO ONE」に収録された『DANCING IN THE MOONLIGHT』を聴いて、「あれ、こんなに
格好いいバンドだったの。」と驚いて過去のアルバムを揃えたというわけである。

ラジオで聴いた様々なBBCライブは勿論だが、先のLPが出た頃は「PEEL SESSIONS」と題された
様々なバンドのレコードが店頭に並び始めた頃でもあり、「もっと色々聴きたい」と思ったものだ。

掲載写真はシン・リジーがBBCに残した演奏を6枚のCDと1枚のDVDに収録したボックス。
これはそのままバンドの歴史を探ることができるボックスで、最初の3枚に71年から77の様々な
セッションを収録。ブックレットに記されたシン・リジーのBBCセッションの歴史には、収録された日付毎に
便宜上の番号がふられているが、録音が確認できるものの音源が見つからず今回の箱に収録できなかった
ものもあり、各CDを収めたポケットに記されたセッションの番号とずれるのがパッと見た時点では
わかりづらいのが難点か。それでも、よくぞここまで集めたという、この箱の価値は微塵も揺らがないのも
また事実。残る3枚には4回分の「IN CONCERT」を収録。

DVDもこれでもかと詰め込んだ内容であるが、8割方は07年に出たDVD「LIVE AND DANGEROUS」で
見ることができる。77年のレインボー・シアターの演奏は、ライブが始まる前にローディーがステージに
機材を持ち込みセッティングするシーンがあり、その映像のバックで『ROSALIE』が流れるのが
格好いいのだが、そのシーンがカットされているのが残念。

貴重な映像は多く、ゲイリー・ムーアのソロ「BACK ON THE STREET」をプッシュするための
出演であろう79年のOGWTでは、コージー・パウエルとドン・エイリー、それにフィル・ライノットを従えた
ゲイリーを見ることができるし、81年のOGWTで、フィルのソロ『ODE TO A BLACK MAN』を
演奏するシーンでは、ハーモニカでヒューイ・ルイスが参加している。かつて、クローバー時代に
シン・リジーの前座を担当し、ライブ盤にも参加した縁がここでも繋がっているというのを確認できるのが
嬉しいところ。

それにしても、ここまで纏まったBBC録音集を編んでもらえるというのは、シン・リジーというバンドが
今も多くの人に愛されているのだなと思わずにはいられない。

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AH ! MELODY

2011-11-27 08:34:05 | ROCK

セルジュ・ゲンスブールの数あるアルバムの中で、「メロディー・ネルスンの物語」は、ゲンスブールの
ファンだけでなく、ロック者にも人気の高い盤だろう。ベックのフェイバリット・アルバムということで
興味を持った人もいるだろうし、ジャケットのジェーン・バーキンに惹かれた人(お、俺か)もいるだろう。

中年男と少女の出会いというのは、どこか犯罪的であり、だからこそ今の私には以前に増して
惹かれるテーマでもある。(笑)冗談はともかく、ゲンスブールとバーキン、そしてジャン・クロード・ヴァニエが
織り成す音絵巻に魅了されて、どれくらいの月日が経ったのだろう。
そんな名盤に、またひとつのヴァリエーションが加わった。

今回の「HISTORIE DE MELODY NELSON」は、今まで完全未発表だったアルバム1枚分の
オルタナティブ・テイクが収録されたCDと、歴史を紐解くDVDが添付された3枚組。アナログ2枚と
豪華写真集を収納したボックスも出たが、今回は予算の都合で3枚組に落ち着いた。

DVDはインタビュー中心で、当時の映像も細切れに挿入されるが日本語字幕があるわけでもなく
見ていて辛いものがあるが、参考資料(笑)ということで。ただ、未発表バージョンのCDには
恐ろしいほどの価値と魅力があった。冒頭の『MELODY』のトラックを最後まで聴くことができる
(オリジナルより2分近く長い)のが最初の驚きなら、アルバム未収録のトラック『MELODY LIT
BARBAR』の2バージョンを聴く頃には、「こんなに贅沢でいいのだろうか」と溜息のひとつも漏らしてしまう。

この盤は最初にロック・バンド・スタイルの録音が行われ、後からヴァニエのオーケストレーションが
付け加えられたのだが、これこそがこのアルバムを後世まで聴き継ぐ価値のあるものにした最大の
貢献であるのは間違いない。ニュー・ロックだプログレだと騒がしい71年のロック・シーンの中に放り込んでも
何ら遜色のないアレンジは見事である。
ヴァニエの優れたアレンジ故に「メロディー・ネルスンの物語」はプログレとレア・グルーヴという、
ほとんど相反するジャンルのファンを虜にするのだ。

勿論、ストーリー・テラーはゲンスブールである。ほとんど彼の人生を集約したような内容であり、
ゲンスブールのファンが思い入れたっぷりに聴くのは当然だ。なんだか書いているうちに無敵の盤の
ように思えてきたな。(笑)そうそう、いつぞや当ブログで私が選んだ「70年代の25枚」にも選んだし。

「メロディー・ネルスンの物語」をより深く理解する手助けとなるのが、05年に発売されたDVD「セルジュ・
ゲンスブール1970-1989」だ。ここでは71年に放送された「メロディー・ネルスンの物語」全曲の
映像と、本作についてコメントするゲンスブールの姿を見ることができる。

今回でこのアルバムを買うのは4回目。

  AH ! MELODY .

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ブリュッセルでの出来事

2011-11-26 08:40:46 | ROCK

先日の当ブログで78年のストーンズの映像を記事にした際、「73年欧州ツアーの映像でも
発掘されたら、また大騒ぎするのだろう」という趣旨のことを書いた。何と、唐突に映像ではないが
音源がオフィシャルに世に出てしまった。最近のストーンズの気前の良さは一体どうしたのだろう。

不可避な要因から起こりうる、バンドの終焉を視野に入れての所作か。或いはメンバー没後に
アーカイブが適当に蔵出しされるくらいなら、存命中に世に出してファンの期待に応えようと
し始めたのか。或いは単なる金儲けか。(笑)理由はなんでもいい。私が生きている間に
少しでも多くのストーンズの正規の音源や映像を見聴きできれば。

グーグル・ミュージックでの配信で購入可能というアナウンスを知った時は、何だか面倒くさく
感じられたが、ストーンズの公式サイトで配信されるというわけで全世界でより簡単に音源の
購入が可能になった。「何故CDでの発売でなく配信なのか」と、パッケージ商品にこだわる私は
その点が不思議というか不満ではあったが、これでしか聴くことができないなら、そのやりかたに
従いましょう。(笑)

    
配信された音源は「THE BRUSSELS AFFAIR ' 73」というタイトルで73年10月17日の演奏である。
この日の演奏はアナログ時代から様々なブートレグがあったが、CDの時代になってからは掲載した2枚の
ブートレグが有名である。放送用音源を使ったもので高音質であるのと、ミック・テイラーの流麗なギターの
トーンとフレーズが印象的な演奏で人気の高い盤であった。

いざ、入手した音源を聴いてみると、これが耳馴染んだ「BRUSSELS AFFAIR」と大きく違うことに
驚いた。ボブ・クリアマウンテンのミックスで、より迫力を増した音、特にチャーリーのドラムスの音と
ホーンや鍵盤のミックスが、今まで聴いてきたラジオ音源のようなものではなく、もっと趣のある音に
なっているのが素晴らしい。

そして、何より驚いたのが収録された曲のほとんどが初登場の2NDショーの音源であったということだ。
掲載写真のブートレグは1STショーの音源に、一部ロンドンでの録音を加えて構成されていたので
「ブリュッセル?。ブートレグを持っているからいいよ。」と、安易にスルーするのは、折角用意してくれた
御馳走を無駄にするようなものである。もっとも2NDショーの音源の数曲はブートレグで聴くことが
できたが、私自身はその盤に価値を見いだせなかったので購入はしていない。

勿論、ストーンズ・サイドで曲別に「この曲は1STショー、あの曲は2NDショー」と明確なクレジットを
記しているわけではない。あくまで「1STショーの演奏ではない、ロンドンでの演奏ではない」という消去方から
導かれたものなのだが、それでもストーンズの熱心なファンであればあるほど今回の音源の登場には
驚かされたのではないかということは容易に想像できる。

えっ、散々配信した後にCDになったらどうするのかって?。
勿論、何のためらいもなく買います。(笑)

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熱・かぜ・のどに・・・

2011-11-25 20:07:14 | ROCK

ルー・リードの新作はメタリカとの共演であるとのアナウンスを見たとき、私は少々困った。
というのも、メタリカというバンドの名前とおおよその風貌は知っているものの、ただの1曲も
聴いたことが無かったからである。どういうジャンルに分類され、どんな音を出しているかは
見当がつくものの、果たしてルー・リードと噛み合うのか、聴く前からいらぬ事ばかり考えていた。

ジャケット写真は容易に女優ルイーズ・ブルックスを想起させ、おまけにタイトルは「LULU」である。
フランク・ヴェーデキントの戯曲も、映画「パンドラの箱」も知らないのだが、LULUが出会う男を
翻弄し、必然の不幸を引き起こす女性であることは私なりに了解している。しかし果たして今回の
アルバムがどこまで、それに関連があるのかさっぱりわからない。
ああ、国内盤を買えば良かったか?。(笑)

以下は私の思い違いを多分に含む解釈である。
実際に音を聴いて、メタリカをバックに起用した理由は私なりに理解できた。
ドイツ表現主義の戯曲を題材にした歌劇の主人公を演じたのは、アメリカの女優である。
ならば、その題材に音楽的アプローチをするために欧州のゴシック調のバンドを使うくらいなら、
メタリカと録音すればいいと、ブルックリン生まれのルー・リードは考えたのではないだろうか。

2枚組の長尺のアルバムであるが、私が当初心配したような、メタリカとの共演に対する違和感は
ほとんど感じなかった。やたらと金属的で硬いのに全然太さや豊かさを感じないドラムの音だけは
気に入らなかったが、他はまあ「こんなもんじゃないの。」である。アメリカ産の両者がドイツ表現主義に
挑んだ成果としては、上等である。

つまり。私はメタリカのファンではない。ルー・リードのファンなのだ。
バックの音が何であれ、ルー・リードの声が聞こえてくれば、何の問題もないのだ。
ルーの声を聴くことができない「METAL MACHINE MUSIC」やMETAL MACHINE TRIOだって
全然O.K.なのだから、最低限の演奏さえすればバックを誰が演ろうと、ルーが唱えばそこは
ルー・リードの世界である。退屈させるという意味では今回のアルバムより「HUDSON RIVER WIND
MEDITATIONS」のほうが、私にとってはよほど暴力的である。

そのうちルーは、無伴奏の自身の歌唱のみのアルバムを出すのではないのだろうか。
勿論、その時は、私は喜んで買うに決まっている。(笑)
本当に出してくれないかなぁ。

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FAB4と映画

2011-11-24 18:44:30 | ROCK

高校1年の時、私が住んでいた四国の田舎街(おっと、それでも当時人口は13万だった)には
ポルノ映画館を除けば、映画館が2つあった。その内のひとつで「おかしなおかしな石器人」が
上映された。友人に「見に行かないか。」と誘われたのだが、映画に払う金があったらレコードを1枚でも
多く買いたいという思いの方が強かったのと、「どうせなら、もっと面白そうというか価値(笑)のある
ヤツを見たい。」と思ったので断った。

ビートルズ好きの友人は授業が終わった土曜日の午後、一人で見に行った。見終わった感想を
聞くと、特に憤慨したようでもなかったが「俺を含めて3人しか見に来てなかった。」と言ったのが
記憶に残ったのと同時に、その映画館は同じクラスの女子の親が経営している映画館だったので
「あの娘と仲良くなれたらタダで見れるかな。」なんて一瞬でも思った自分が間抜けに思えた。
全然好きでも何でもないのに、映画を見たいためだけに・・・なんて、ふざけた話である。
まあ、向こうも私に興味は無かっただろうけど。(笑)

それはともかく、「映画館って儲けないのかな。」と余計な心配をしたのも事実。
まあ、以前その映画館に、同じように土曜の午後に「エレファントマン」を見に行った時は
超満員だったので、興行的に当たりハズレはあるのだろうけど。
 
         

       

ビートルズの面々も何かと映画には関係が深い。とりあえずメンバーが関係する映画を例によって
「LET IT BE」のジャケットに写るメンバーの配置通りに並べてみた。

「HOW I WON THE WOR (ジョン・レノンの僕の戦争)」はリチャード・レスター監督の67年の映画。
それなりに映画を見てきた察しの良い人なら、邦題を見ただけでピンとくるだろう。大体、「ブラッド・ピットの・・・」
とか、「アーノルド・シュワルツェネッガーの・・・」とかタイトルのついた映画が、どんなものなのか。(笑)
まあ、私なんかは「ジョンは、こんな映画に出ていたのか」という、その一点で喜べるのだけど。
リチャード・レスターは、ビートルズの映画を2本撮っているのでロック・ファンにも、名前は広く知られている
監督で、レスター監督作で私の一番好きな映画は74年の「ジャガーノート」。

「GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET(ヤア!ブロード・ストリート)」はピーター・ウェッブ監督の
84年の映画。邦題に「ヤア」と「!」が入っているのがあざといというか、こういうのがビートル・マニアの
琴線をくすぐるのでしょうな。映画の筋はともかく、最後はコレが一番がっかりパターンの「夢落ち」というのは、
どうなんだろう。ただ、この映画は全編、単純にポールの「長編プロモ」と思えば、すこぶる楽しいのも事実。
演奏シーンでふんだんに映るクリス・スペディングさんの勇士を見るための映画でもある。
ほとんどの場合ポジションはセンター(笑)で、曲によっては革ジャンで、バッチリと大写しでソロをとるシーンもある。
リンゴ、デイブ・エドモンズ、クリスさんとポール。この面子で来てくれたら、絶対見に行ったのに。(笑)

「CANDY (キャンディ)」はクリス・カルマン監督の69年の映画。リンゴ・スターが「庭師エマニュエル」の
役で出演している。エマニュエルですよ、エマニュエル。(笑)あっ、それはともかく、何といってもこの映画は
主演のエヴァ・オーリンが可愛すぎる。無邪気なメリー・ホプキンといった感じが何とも良いのだが、
出演作が少ないのが残念。日本では70年に公開されて以降、30年以上商品化されなかったことで、
カルト人気も高まったのだが、03年にDVD化され私もやっと見ることができた。なんと、マーロン・ブランドや
ジェームス・コバーンといった大メジャーの人達もでているじゃない、と妙なところで感心。
リンゴには他にもドイヒーな映画があるのだが、それはまたの機会に。

「MONTY PYTHON'S LIFE OF BRIAN (ライフ・オブ・ブライアン)」はテリー・ジョーンズ監督の
79年の映画。ローマとユダヤの対立というか宗教間の対立や、既存の権威を笑い飛ばす感じで、
こうもユーモアたっぷりに描けるのは、流石はモンティ・パイソンである。
映画俳優としてジョージ・ハリスンの名前が映画史に刻まれることはないだろうが、FAB4の中では最も映画に
貢献した人であるのは間違いないだろう。事実、ハリスンが設立したハンドメイド・フィルム社が出資した映画は
数多く、これもその一つである。一瞬だけ、ハリスン本人もカメラに映るのはファン・サービスか。(笑)

DVDではエリック・アイドルとテリー・ギリアムの音声解説で、この映画にはキース・ムーンが出演するはずだった
ことが語られる。何人か登場する伝道師の役で、台詞まで暗記し映画撮影に入ることを楽しみにしていた
ムーンとエリック・アイドル達が最後に会ったのが死の前夜だったとは。ムーンが演じる予定だった伝道師は
ギリアムが演じており、後付ではあるがムーンにぴったりの役立ったと思う。

というわけで、思いつくまままにビートルズのメンバーが関連した映画を1本ずつとりあげた。

   

さて、「WONDERWALL」でも見ますか。おっと、これも「JANE BIRKIN IN・・・」なんてタイトル
なんだなあ。察しがいい方は、ずばりその通りです。(笑)

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ミック・ジャガーと映画

2011-11-23 08:23:32 | ROCK



私が、映画に出演したロック・スターと言われて、最初に思い浮かぶのはデヴィッド・ボウイである。
映画は見たことがないものの、ディスコグラフィーに載っている「クリスティーネ・F」「ハンガー」という
タイトルは10代の頃から刷り込まれているし、何より「戦場のメリー・クリスマス」の印象が強烈だった。
「ビギナーズ」「ラビリンス」というリアル・タイムでの映画や、後にVHSで見た「地球に落ちてきた男」の
印象も強い。(映画は長ったらしく大して面白いとは思えなかったが。)

その次に思い浮かぶのが、ミック・ジャガーである。ボウイ様ほど多くの映画に出演してはいないが、
曲を提供したり、制作を指揮したりと結構関わりがあったりする。共通しているのはボウイ様もミックも
音楽ほどの成果を挙げていないという点である。(笑)

掲載写真は70年の映画「PERFORMANCE (青春の罠)」。この映画の存在を知った頃は、ストーンズ絡み
なら何でも興味があり(笑)、映画の筋云々よりミック・ジャガーが出演しているという、ただそれだけで
見たいと思ったものだ。私の最初の職場に、たまたまビデオ(掲載写真真ん中)があり見ることができたのだが、
後日回転の悪いビデオを捨て値で投げ売る処分の際に私が引き取った。

当時シングル・カットもされた『MEMO FROM TURNER』を歌うシーンは、そのままプロモーション・ビデオ
にでもなりそうな映像で、そこだけ繰り返し見たものだ。演技の上手い下手はともかく、全編にミック・ジャガー
らしさが溢れていてファンなら楽しめる映画だ。現行DVD(写真右)は比較的安価なので、手を出しやすいのだが
映画のソフト化の際はよくあることで、VHS時代とはジャケットがまるで変わっていて個人的には
ちょっと興醒め。


  

同じく70年の映画「NED KELLY (太陽の果てに青春を)」は、一度だけ衛星放送で見たのだが放送された際の
画質が悪くてとても保存する気になれなかった。日本版VHSはあったが日本版DVDは見た記憶が無い。
サントラ盤は、ミックが歌う『THE WILD COLONIAL BOY』が目当てで買った。
そういえば、86年の「RUTHLESS PEOPLE (殺したい女)」のサントラはミック・ジャガー目当てで
買ったのだが、今改めて見るとブルース・スプリングスティーンやビリー・ジョエルも楽曲を提供していて
結構豪華だったのね。(笑)

   

「FREEJACK (フリージャック)」は92年のSF映画。ミックは割と重要な役で出演シーンも多かった。
個人的には、映画関係の記事での配役紹介では、ほとんど触れられることのない、デヴィッド・ヨハンセンの
出演でも記憶に残っている。内容は、まあ肩の凝らない娯楽作品ということで肩肘はらずに楽しめた。

で、諸悪の根源(笑)がコレ。

 コレです。

いや、ミックとデイヴ・スチュワートの組み合わせは「RUTHLESS PEOPLE」で既に実現していたのだが
悪名高き?スーパーヘヴィーの伏せんは、このサントラにあったのではないだろうか。
まあ、単純にジョス・ストーンの名前があるからなんだけど。タイトル曲こそジョス単独のボーカルだが、
ミックと絡む曲が2曲ある。大して面白くもないサントラで尚且つスーパーヘヴィーの3/5が既に04年の時点で
揃っていたとくれば、私個人がこのサントラを好きになれないのも仕方がないか。
いや、好きになれない本当の理由は間違ってCCCDを買ってしまったからなんだけど。(笑)

まあ、何れにせよ、スターの映像や音源を追うのは楽しいものです。

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PEOPLE GONNA ROCK , PEOPLE GONNA ROLL

2011-11-21 18:34:48 | ROCK

     

あるアーティスト名を出して、リアル・タイムで最初に聴いたアルバムが何であるかを問うと、その人の
おおよその年齢がわかる。例えば私の場合、ディープ・パープルをアルバム単位でリアル・タイムで
最初に聴いたのは掲載写真左の「DEEP PURPLE IN CONCERT」である。

2枚組LPなので小遣いで簡単に買うことができるものでないこと、それ以前にパープルよりも
もっと興味のあるバンドが幾つもあったので、このアルバムはFMでエア・チェック(もう死語ですね)して
聴いたものだ。それでもレコード屋へ行き、この盤を手にとっては「格好いいジャケットだなあ」と思ったのと
「何で他の盤は(当時の)ワーナー・パイオニアから出ているのに、これはトリオなんだろう」なんて
無邪気ながらも、子供らしくない(笑)ことも思っていた。因みに「IN CONCERT」を買ったのは89年に
CDになってから。その時はテイチクからの発売で、盤面に「METALMANIA」と間の抜けた言葉が
でかでかと間の抜けたレタリングで印刷されていて、がっかりしたものだ。(笑)

ディープ・パープルのイン・コンサート以外のBBCで録音された演奏が「THE BBC SESSIONS
1968 - 1970」として2枚組CDにまとめられた。(掲載写真右)「イン・コンサート」と違って
バンドの演奏はほとんどが3分から4分のコンパクトな演奏であるが、最後に収められた演奏時間が10分に
及んだ『CHILD INTIME』のような演奏を聴くと、この後は1曲の演奏時間の枠にとらわれない
表現が可能な時代になっていくことを、感じずにはいられない。

「THE BBC SESSIONS」は全部で27曲の収録なのだが実のところ初登場は8曲で、残りは
初期の3枚のリマスターCDや、6枚組「LISTEN, LEARN, READ ON」に収録されていたものだ。
このように書くと有り難味がないように思いがちだが、ここまで丁寧にBBCセッションをまとめたアルバムは
今まで無かったので便利であるのと同時に、少ないとはいえ未発表が8曲あれば、ファンは嬉しいだろう。
もっとも、「LISTEN, LEARN, RESD ON」を未所持の私には、ほとんど未発表(笑)同然なので
十分に楽しむことができたのと同時に、ますますあの6枚組から遠ざかっていくのであった。
あの日本公演の後の暴動の写真は趣があるので、そのうち買いたいと思って早幾年月が過ぎたか。(笑)

サイモン・ロビンスンによるデータも丁寧で、収録された全ての曲の日付は勿論、存在が確認されているものの
今回のCDに収録できなかったセッションや曲のデータも掲載されている。収録できなかった曲は、
探しても見つからなかったということなので、マニアの楽しみはまだ残されているということだろう。

2枚のCDはBBCのトランスクリプション・ディスクのレーベルを模したデザインになっていて
1枚目はMK1、2枚目はMK2のメンバーの顔が描かれているのも気が利いている。
普段は熱心にパープルを聴くわけではないのだが、何となく入手して嬉しいセットであった。

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ビート・クラブ完結

2011-11-20 07:53:01 | ROCK

行動するのが単独以外の場合、つまり二人以上で事にあたるときは、嫌でも順番が出来てしまう。
その順番を決めるのは、成績であったり人気であったりする。一般的な人気は誰の順番がどうなっているとか
知らないが、キャンディーズの時代からパ○ュームに至るまで、自分の中で個人的な順番が出来てしまう。
3人なら順番ができても1位から3位というわけだが、A○B48とかだと1位から下は何十何位なんて
評価がくだされるわけで、この順位付けは結構シビアというか、部外者から見てもきつい感じがする。

こんなことを書く私も、とてもじゃないが全てのメンバーの名前と顔は一致しないが、1位から5位くらいまで
勝手に頭の中にできあがっている。えっ、学生時代はクラスに30人近い女子がいたから同じだろうって?。
なるほど、そういうものかと思いもするが、実生活だと当時の自称一本気なロックンローラー(笑)にしてみれば
全て興味なし、もしくは1位とその他大勢だったから。(笑)

そういえば、「48」ってどういう意味があるのだろう。
諸説というか、ちゃんとした表向きの理由はあるのだろうが、「48人の女と何をする」(笑)じゃないが、
大人の馬鹿げた思惑が潜んでいたら大笑いというか、潜んでいて欲しいと思う、最早多趣味な
自称ロックンローラー(笑)である。

ビート・クラブのDVDボックスの最後のセット「VOL.1」が届いたのだが曲目とアーティスト名を書いたリストの
最後にこんなことが書いてあった。

「ビート・クラブ全3巻の中で最も不人気の第1巻をお買い上げの方だけの特典として全3巻のアルファベット順
収録アーチスト、曲目表を用意しました。下記の応募要領をご覧ください。はがきが到着しだい順次発送いたします。
皆様のご応募お待ちしております。」

もう、この文を読んだ瞬間に大笑いである。売り出す側が自ら「順番」を想定しているのが笑えるのと、
とっくにわかっていたことだけど、このシリーズが「VOL.3」から発売された理由を自ら説明しているのが
潔いというか、正直だ。あっ、私は「曲目表」はいらないので応募しませんが。(笑)

ビートクラブが始まった最初の頃は英米のバンドでなくドイツのバンドが出演していた。ポップス歌手が口パクで
歌う映像が多いこと、ロックの連中も生演奏でない映像が多いことが、「最も不人気」を想定する理由であろうが
それでも単純に面白い映像もそれなりにあるし、番組を順に見ていくと面白いことがわかる。

例えば。32回から34回の3回連続でストーンズの『JUMPIN' JACK FLASH』のプロモ映像が流されることから
当時のストーンズ人気と、「エド・サリヴァン・ショー」の時も書いたがストーンズがプロモーション活動を
熱心にしていなかったことがよくわかる。

31回ではスモール・フェイセスの『LAZY SUNDAY』の演奏が流れるが、曲が終わるかなり前に番組のMCが
出てきて喋り始めるので不評だったのか、次の32回では同じ映像が最後まで(笑)しっかり流れる。
スモール・フェイセスは更に面白い映像がある。26回では『TIN SOLDIER』が放送されるが、画面に登場し
音に合わせて当てぶりしているのはイアン・マクレガンのみで、しかも1分たらずで番組MCが登場してしまう。
で、同じセットでスモール・フェイセスのメンバー全員が揃って当てぶりした『TIN SOLDIER』は次の
27回で放送される。番組の試行錯誤というか迷走が透けて見えて、これは面白い。

レモ・フォーやモンクスといったビート・グループの映像は、その筋のファンには喜ばれるだろうし、
トゥインクルとサンディー・ショウが同じ回に登場するのも面白い。イコールズがくどい程登場する(笑)が、
クラッシュがカバーした『POLICE ON MY BACK』の映像は嬉しかった。単純にスタジオの当てぶり
だけでなく、冒頭にイメージ・フィルムが被さるのが楽しい。といってもメンバーが警官の格好をして
警棒を振り回しておどけながら街を練り歩くだけなのだけど。

というわけで、「最も不人気な第1巻」と自ら認めたその意気に感じて、今回のビートクラブの見どころを
列記してみた。(笑)

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TO THE LATE NIGHT, QUADRUPLE FEATURE PICTURE SHOW

2011-11-19 00:03:04 | ROCK

夜も更けてまいりました。テレビの音は小さめに。(笑)

とかなんとか言いながら、楽しい夜更し。先日は当ブログで4本の「ブラックスプロイテーション・フィルム」の
DVDをCDと並行させて掲載したが、今回はロック編。

暫くザ・フーを聴いていたら、まず思い出したのがコレ。
アレでなくコレ。(笑)

  
    

「BLOW-UP (欲望)」はミケランジェロ・アントニオーニ監督の66年の映画。私が学生の頃は、映画の内容とか
監督が誰とか以前に「ヤードバーズが演奏するシーンがある、それもベックとペイジがいる!。」ということで
見たい映画の筆頭であった。念願叶ってやっ見ることができた時は、ストーリーなんぞを追うよりも、いつ
ヤードバーズが出てくるのか、そればかり気になったものだ。おかげでジェーン・バーキンが出演していることに
暫く気がつかなかったくらいだ。(笑)

当初、ヤードバーズが出演するシーンにはザ・フーが起用される予定だったが
ギャラの折り合いがつかず、ヤードバーズが出演することになり、『THE TRAIN KEPT A ROLLIN'』を
演奏する予定が曲の使用料が高額であったため、急遽『STROLL ON』を作って使用したのは有名な話。
ザ・フーの前にはV.U.の名前が挙がっていたという話もあり、そっちも見たかったような・・・。(笑)
でも、ギターを壊すアクションは演らないだろうな。

サントラを買うまで気に留めていなかったが、ほとんどのトラックを演奏したのはハービー・ハンコック。
あの「MAIDEN VOYAGE(処女航海)」が65年の録音だということに気がつくと、このサントラで
聴くことができるロック者にもわかりやすい音との違いというか芸達者ぶりが、後のハンコックの
様々なスタイルに変化できる柔軟性のようなものを感じることができる。

アントニオーニとロックと言えば、次に思い浮かぶのはコレだろう。

   

「ZABRISKIE POINT (砂丘)」は70年の映画で、DVD化されたのはつい数年前。サントラは97年に
CD化されたのだが、50分を超えるアウトテイクが収録された2枚組で登場して驚かされた。
そもそも、このサントラはピンク・フロイドやグレイトフル・デッド(ジェリー・ガルシア)のファンには、
楽曲が使用されたことで有名な盤であった。カレイド・スコープやジョン・フェイヒイといった渋いところの
有り難味は経験値が上がるに連れてわかるようになったものだ。

本編に収録されたフロイドの『COME IN NUMBER 51, YOUR TIME IS UP』は『CAREFUL WITH
THAT AX, EUGENE』を再レコーディングした曲。
アウトテイクではガルシアの紡ぐギターが想像力をかきたてるインストを4曲、フロイドのフォーク・サイド
とも言うべき地味ながら味わい深い演奏を4曲聴くことができる。

   

「THE TRIP (白昼の幻想)」はロジャー・コーマン監督の67年の映画。サントラは96年にCD化された。
どのような内容の映画か全く知らなかったのだが、音楽を担当したのがエレクトリッグ・フラッグだということで
購入した。いきなり東洋風のフレーズが耳に残る『PETER'S TRIP』の印象が強烈なのだが、その他のほとんどが
地味だったり突飛だったりするので、マイク・ブルームフィールド目当ての人に勧めて気に入ってもらえるか
どうかは疑問なところもある。

近日発売される盤は曲目を見ると18曲入りのようだが、私が所持する掲載写真のCDは12曲入り。
ちょっと気になるところだ。(笑)収録された12曲のコンポーザーは全てマイク・ブルームフィールドで、
単なるギタリストとしてではなく、彼の頭を飛び交った電子音やそれを使うアイディアの豊富さを楽しむべきだろう。
良く言えばバラエティーに富んだ内容で、そんなところがサイケ者の収集対象となっている理由か。

コーマンは低予算で映画を撮影する監督として知られる。白昼の幻想」は近年、サイケ映画の金字塔のように
扱われることが多いが、個人的にはストーリーも映像も余り面白いとは思えなかった。
脚本がジャック・ニコルスン、出演がピーター・フォンダにデニス・ホッパーということで期待して見たのだが。

で、その3役そろい踏みの映画といえば勿論コレ。

  

何を今更の「EASY RIDER (イージー・ライダー)」である。デニス・ホッパー監督の69年の映画。
改めてサントラを聴けば、ホリー・モーダル・ラウンダーズを選曲したところが渋い。エレクトリック・プルーンズの
曲も、プロデューサーのデヴィッド・アクセルロッドの作品といってもよい「MASS IN F MINOR」収録曲で
あるのが意表を突く。バイクの音で始まる『BORN TO BE WILD』にクラッシュ音で終わる『IT'S ALRIGHT
MA( I'M ONLY BLEEDING)』と、映画のシーンを簡単に思い起こさせる構成も優れている。

『IT'S ALRIGHT MA(I'M ONLY BLEEDING)』はディランのバージョンを使いたかったところ、
許可が下りなかったので、ロジャー・マッギンがカバーし更にオリジナルの『BALLAD OF EASY RIDER』を
録音したという話がある。

夜明けはまだ・・・。

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I'VE HAD ENOUGH

2011-11-17 00:15:44 | ROCK

ザ・フーの「四重人格」のスーパー・デラックス・エディションが届いた。いつもなら、この手の大箱は
輸入盤で済ますのだが(「LIVE AT LEEDS」は輸入盤で購入)、今回はどうしても日本盤で購入することに
こだわった。
理由はただ一つ、ピート・タウンゼントの10万字を超えるライナーの対訳が欲しいからだ。

複雑にピートの頭の中を飛び回るアイディアの断片。それを整理し、まとめようとしても、
一筋縄でいかないザ・フーの他のメンバー間の葛藤やバンドの経済事情、自身を含めた私生活の諸問題も
絡んで、計画は次々に変わる。精神的なことや機材のことも含めて、アルバムが完成し映画ができ、
更に今回のボックスに収録するためのデモ・テープを選出するまでの全てが書かれたライナーは
実に雄弁で読み応えのあるものだった。

「もし、私が死んでいたら、このライナーはどこかの評論家に任され、勝手な解釈を加えたかもしれない」と
ピートは書いている。そう、キースとジョンは最早この世にいないが、ピート・タウンゼントがまだ生きていて
最もザ・フーのファンが個人を投影したであろうこの重要作品に、しっかりとした道標をつけてくれることこそが
何より重要なのだ。 

10代の頃はつまらないことを考えていた。いや、あの頃ほどではないが多分心のどこかで、意識する
瞬間に気づかないだけで、今でも同じことを考えているのかもしれない。
「俺のことを好きなヤツはいるのだろうか。皆にそうであって欲しいなんて思わないが、全く理解されないのは
哀しい。でも、何でもかんでもニッコリ笑って相槌うって安易に連帯するのは嫌だ。」

ひねくれているせいか、周りの人たちと喜びや楽しみを共有する「経験」が足りなかった、あるいは、「経験」を
喜びや楽しみの対象と捉えることが出来なかったからか。
ごく稀に周囲と共に、いや周囲以上に共通事項にのめり込み「熱狂」を感じ、時間が経って周囲が冷静になっても、
もう一度前回と同じ「熱狂」を体験できると思い、楽観的に行動して辛い思いをしたことは一度や二度ではない。

ああ、なんて俺は面倒くさいヤツなんだ。もっと単純に誰とでも話を合わせられる人間なら、こんな苦労は
しないのに。(笑)俺は写真に収まるだけなのに、ピース・サイン一つもできないのだ。
自分が都合良く記憶を書き換えてなければの話だが、40数年の人生で写真に収まるのにピース・サインを
したのは只の一度だけだ。それは私のための写真ではなく、招かれたその他大勢の中で促されて皆がそうする中、
一人だけ抗っているのは、その写真の持ち主になるであろう人に不快な思いをさせるだろうから
そうしたのだけど。

ピートはこうも書いている。
「優れたポップ・ソングは聴き手が感情移入できる余地を残さなければならない。最高の歌い手やミュージシャンは
しばしば、この”余地”を自分自身のパフォーマンスで埋め尽くしてしまうものなのだ。」
「作中の人物に自分を重ねながら耳を傾けてもらいたいと思っているし、そうすることで自分自身の物語を
見つけ出してもらえたら、それに勝る喜びはない。」

ロックに深入りを始めた10代半ばから、ピート・タウンゼントをロックの指針としてきた。
そして、それが間違いでなかったことがまた一つ確信として積み重なる。

ピートはライナーの最後で、「ジミーが死を選ぶか心変わりするかは、物語の書き手としての自分に
それを決める権利はない、答えはジミー自身に委ねられるべきだと判断した」と締めくくっている。

勿論、ジミーは生きている。人生のごく短い期間に「経験」した「熱狂」のワン・シーンを葬り、
不器用ながら社会と折り合いをつけて生きている。それが、ザ・フーのアルバム「四重人格」に感情移入し、
不似合いながら、ほんの少しだけ自身を投影した私の物語なのだから。

ごく普通に生活することも、稀にロックンロールなのだ。

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WHO KNOWS WHERE THE TIME GOES?

2011-11-16 20:22:35 | DAY BY DAY

もうすぐ、今年2回目のレコード・ストア・デイ(通称ブラック・フライデイ)である。
今回も7インチを中心に、何枚か予約したのだが果たしてどれだけ入手できるか。

何故だか知らないが、「縁遠いブツ」というのがあるものだ。ことレコード・ストア・デイに
関してはドアーズの7インチとは縁が無い。今回の発売予定をを含めると、ドアーズは7インチを
3回リリースすることになるのだが、過去の2回のブツは入手できなかった。
いや、今でも探せば見つかるのだろうが、不当に(笑)高額物件となっている「RIDERS ON THE
STORM」の3種のジャケ違いの7インチを買う度量は無い。

今回のドアーズの7インチは、「L.A.WOMAN」と題された4枚組。近日発売が予定されている
71年のアルバム「L.A.WOMAN」のデラックス・エディションに収録されるであろう未発表テイクの
7インチ化のようであるが、今回も入手できないかもしれない。いや、2度あることは3度あるという
わけで、もしかすると心の奥底で入手できないことを望んでいるのかもしれない。(笑)

「縁遠い」と言えば、各種発売されたサンディー・デニーの箱物も縁が無い。
昨年出た必殺の19枚組は欲しいと思ったのだが、なかなかの値段だったのでその内になんて
のんびりしていたら、あっという間に高額物件である。06年に出た「BOXFUL OF TREASURES」も
09年に日本盤紙ジャケで出た4枚組「サンディー・デニー・ボックス」も買わなかったというか、
買えなかった(笑)ので、決定的な19枚組は逃すまいと思っていたのだが・・・。

その19枚組は、とりあえず音はダウンロードして聴くことができた。サンディーのソロや
フェアポート・コンベンション、フォザリンゲイの初登場のライブ音源や未発表デモだけを抜き出しても
CD7~8枚分くらいの分量はあるので、つくづく現物を入手できなかったことを悔やんでいる。


  しかし、7インチは逃さなかった。(笑)

前回のレコード・ストア・デイで、リリースされたのが掲載写真の7インチ。先の19枚組に含まれた
未発表デモの中から、ファン投票で人気の高かった2曲が収録されたという触れ込みだったので
「これは逃すまい。」と思っていたのだが、なかなか入手できず先日やっと適正価格で手に入った。

「RENDEZBOUS」収録の『I'M A DREAMER』と、フェアポートの「UNHARFBRICKING」収録曲と
言うよりも、サンディーの全キャリア通じての人気曲『WHO KNOWS WHERE THE TIME GOES』が
選ばれた2曲で、よくぞこの2曲を選んだという感じの素敵な7インチだ。
豪華な厚紙のゲートフォールド仕様で、中ジャケに使われたの2種のポートレイトは見慣れた有名なものだが
これも直球ド真ん中という感じで清々しい潔さがある。

やはり7インチの魅力には敵わない。
今回のブラック・フライデーはどうなることやら。11月25日が待ち遠しい。

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LOOSE BUT TIGHT

2011-11-14 21:57:38 | ROCK

タフでラフでワイルド。ことロックンロールにおいては、これらは全て褒め言葉である。
おまけにタイト。78年のストーンズの映像が遂に登場した。ロックを讃える定形の賛辞の全てを
ここに贈ろう。

その一部が放送され、ブートレグで見ることができたフォート・ワースでの演奏が、まさか、ここまで素晴らしい
画質と音質で登場するなんて、つい数ヶ月前までは思いもよらなかったことである。
75年、76年と大規模かつショー・アップされつつあったステージの演出をシンプルなものにし、
パーカッションやホーンを排した78年のストーンズ。当たり前であるが、ついつい忘れかけていた
「ストーンズはギター・バンドである」という事実を、嫌というほど見せつけてくれる。

メンバーが若く脂がのっているせいもあるだろうが、とにかくキースとロン・ウッドがギターを
弾きまくるのが単純に嬉しい。的確なサポートをする2台のピアノ、バンドを牽引するチャーリーに
若く挑発的なミック。ビル・ワイマンは勿論、素晴らしいベーシストであり、ここに映る映像の
全てが、私のような者にとっては本当に奇跡のような映像なのだ。

映像で見ると『MISS YOU』『WHEN THE WHIP COMES DOWN』『RESPECTABLE』といった、
アルバム「SOME GIRLS」収録曲で、ドラムスが4つ打ちになるのが、よくわかる。
まさか、パンクへの対抗が4つ打ちとは普通なら考えもつかないだろうが、自身のシーンへの
目配りと、セッション・ミュージシャンから得たヒントを自分のオリジナルのように消化する才能が
ストーンズを今も一級のロック・バンドたらしめていることを、再確認する映像でもある。

私自身は、ストーンズのツアーでは72年の北米ツアーが最も好きである。しかし、今回の映像は
あの「LADIES AND GENTLEMEN」が、ごてごてと飾りつけたように映ってしまうほどの
リアルな映像と音である。できるだけ、大音量で大画面で見るべきだろう。

そうは言っても・・・。
もし、73年欧州ツアーでの映像でも発掘されたら、また同じように大騒ぎするのだろうけど。(笑)

ボーナスで付けられたミックの最新インタビューでは、アルバム・ジャケットのことや、ステージで
着た「DESTROY」Tシャツのことも語られて、面白い。また、サタデイ・ナイト・ライブで演奏された3曲も
収録されていて、まさに至れり尽くせりである。
初回盤にはCDが付いているのだが、これを聴きながら車を運転したらヤバいだろうなぁ。(笑)

あっ、今頃になって気がついたが81年のツアーでは「SOME GIRLS」から5曲演奏していたのだ。
当時の新譜「TATTO YOU」から、大体6曲を演奏していたのだから、ストーンズにとって「SOME GIRLS」の
存在は、大きかったのだ。ストーンズの歴史の中で、時期は違えどアルバム収録曲の全てがライブで
演奏されたのは「SOME GIRLS」くらいではなかろうか。

さあ、次は「SOME GIRLS」のスーパー・デラックス・エディションだ。

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