HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

WHAT DO YOU WANT THE GIRL TO DO

2007-10-31 22:46:24 | DAY BY DAY


「女の人って、何歳くらいが一番『いい』頃だと思う?。」
「人によって違うだろうから、決まってないんじゃない。」
「でも、若い方がいいでしょ。女子高生とかに興味ないの。」
「無いと言えば嘘だ。でも、女子高生だったらいいってわけでもないよ。
あんまりバカそうなのには本当に興味が無い。」
「じゃあ、どんな子ならいいの。」
「例えば、通学の電車の中でも参考書とか開いている進学校に通っている
ような感じの子はいいね。他の事を教えてあげたくなるし。(笑)
まあ、卒業してからの話だけど。」
「えっ、調教するの。」
「何言ってんだか。」
「で、また聞くけど女の人の一番いいときって何歳くらいだと思う?。」
「大雑把な言い方だけど、それなりに人生経験があるということで
知性と若さの両方がうまくピークにくるのは、もしかしたら33~35歳くらい
かも知れないね。」
「やっぱり、そう思う?。私もそう思うのよ。やっぱりそうよね。」

先日、とある飲み屋で女性とした会話である。
知性はともかく、若さに執着することは大して意味が無いと20代後半の
頃から思っていたので、本当は歳なんてどうでもいいのだけど。

掲載写真は、梶芽衣子が1974年に発表した「去れよ、去れよ、悲しみの
調べ」。当時27歳の梶の美しさと知性を見事に刻み込んだ盤である。
歌謡曲のフィールドで取り上げられるのが常だが、かまやつひろしの
手になる曲が2曲収録されていることが、私の中でこのアルバムの価値を
更に高いものにする。

先の会話に続きは無い。私がそれ以上その話に付き合う気がなかったから
なのだが、私は彼女が33歳であることを知っていた。
当たり障りの無い話をするのは、難しいものだ。
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THE MOVE / MOVE

2007-10-29 23:27:15 | ROCK
ある1枚のアルバムを気に入って聴きこんで記憶に残る曲ができる。
しばらくして、全く関連性なく別のアルバムを買ったら、またその曲に
出会ってしまうという嬉しい偶然は、誰しもあるだろう。
私の場合、特に記憶に残っているアルバムがあって、THE MOVEの
「MOVE」がそんな1枚。

モビー・グレイプの1STはレコードを集め始めたかなり初期に入手した。
「ローリング・ストーン・レコード・ガイド」で五つ星がついている
アルバムは片っ端から買ってみようと思っていた10代の頃だ。
今、見てみたらちゃんと万年筆で線が引いてある。(笑)
アルバムを飾るに相応しい「HEY GRANDMA」は印象に強く残ったものだ。

ムーヴを知ったのは「ブートレグ・ビデオ」が最初である。
60年代から70年代の様々なバンドをとりとめなく集めたオムニバス形式の
ビデオに収録されたその曲は「なんだ、この名前も知らない格好いい曲は」と
思わせるに十分であった。
そこで、音楽仲間を何人か呼んで皆でバンド名の検証を始めた。
さすがに経験値が低い二十歳そこそこでも、4,5人集まるとなんとか
なるものだ。
「あっ、ナッズだ」「アンボイ・デュークスだ」とやっているうちに
いよいよ件の曲。「ハリーさん、これはムーヴですよ。」と後輩に教えてもらい
早速レコード探しが始まったが、これがなかなか手ごろな値段でみつからない。
結局、テイチクが2イン1でCDを出すまで入手できなかったのだけど。
そこでまた「HEY GRANDMA」に出くわすわけなのだが、流石にセンスのいい
バンドはカバーまで冴えていると思ったと同時に嬉しくなったのは
言うまでもない。
ちなみにブートレグ・ビデオに収録されていた曲は「FIRE BRIGADE」だった。

ムーヴの「MOVE」は68年にリリースされたアルバムだが、テイチクのCD
の次に、97年に出た3枚組「MOVEMENTS」で再度購入することになる。
3枚のオリジナル・アルバムにライブEP、シングル、数曲の未発表テイクが
収録された優れものだったが、また「MOVE」を購入することになった。
今回は2枚組で、オリジナル・モノラル盤にシングル曲を収めた1枚と
「NEW MOVEMENT」と題された、ステレオ・ミックスのレア・バージョンを
収録した1枚で構成されている。

いきなり登場するムーヴのテーマ・ソング「MOVE INTRO/MOVE」に驚き、
ホーンのかわりにストリングスが配された「CHERRY BLOSSOM CLINIC」の
新鮮さに耳を奪われ、あっという間にDISC2は終わってしまう。
モビー・グレイプの再発もそうだったが、今回のムーヴもレコーディングの
日付(特にDISC2」等の資料が充実しているし、なにしろ音がいい。
CDで3回買ったことになるが、納得の仕上がりであった。

セカンドの「SHAZAM」も同趣向の再発がされているが、こちらは
同時注文のブツの都合でまだ未入手だが、とても楽しみだ。
それにしても、この「MOVE」はジャケットに描かれた物体?の何だか不思議な
躍動感がいい。ザ・フールのいい仕事である。

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人に歴史あり

2007-10-27 21:20:10 | DAY BY DAY
不勉強を棚に上げての物言いだが、このCDが出るまで
ヴァシュティ・バニヤンのデビュー曲が、ミック・ジャガーと
キース・リチャーズの手によるものとは知らなかった。
人に歴史ありとはよく言われるが、私にも歴史(笑)がある。
レコード購入の取るに足らない歴史ですけど。

私が所持するストーンズの「メタモフォーシス」は1975年に発売された
当時の日本盤。ここに件の曲「SOME THINGS JUST STICK IN YOUR MIND」は
収録されている。1984年に私はこの盤を中古盤で入手する。
そこに添付されたライナーには、その盤に関することは一切書いていなくて
デビューから当時までのバンドの歴史に触れることに終始する。
今でこそ読んだり読まなかったりだが、当時は熱心にライナーを読んで
いたので、いくら時代が時代とはいえ酷いなあと思ったものだ。
このアルバムはアウトテイクや、他のアーティストに提供した曲を
ストーンズが演奏したものを集めた盤であることを知っていただけに
余計にデータがないことを不満に思った。

ストーンズのブートレグの中でもスタジオ録音を集めたものには
この曲が含まれるブツは幾つかあったが、誰のための曲だったかは判らず
「ストーンズっぽくない曲だなあ」といつものように聞き流す毎日。

ヴァシュティ・バニヤンのことを知ったのは1990年に「ブリティッシュ・
ロック集成」という本で「JUST ANOTHER DIAMOND DAY」が紹介されて
いるのを読んでである。どうせ一生聴けないと思っていたのが、CD化され
今や気の利いた人なら誰でも知っている盤にまで昇格した。
まさかのセカンド・アルバムまでリリースされるとは、私は行かなかったが
日本にまで演奏しに来るとは誰が思ったろう。

1998年に出たレコ・コレ増刊「STONED」で、「メタモフォーシス」の項で
件の曲は『デッカの女性歌手、ヴァシュティ』のためのデモということが
書いてあるが、気が付かなかった。
売り出した当初は「ヴァシュティ・バニヤン」ではなく「ヴァシュティ」
だったということを知らなかったためである。
今回の蔵出し&発掘録音集の発売でようやく聴く事ができたのだが、
いかにもフィル・スペクターを意識した、当時のアンドリュー・オールダムの
プロダクションで、当然ストーンズのバージョンより可愛らしく処理が
されている。

ストーンズ者なので、「SOME THING・・・」のことを長々と書いたが
本当の聴き所はそこにはない。私はニック・ドレイクの「ブライター・
レイター」擁護論者でもあるので、ポップなアレンジは否定しないが
この2枚組にあってはディスク2に収録された、ヴァシュティが一人で録音した
ダビングなしの1964年録音の12曲の瑞々しさこそ熱心に聴かれ語られる
べきかもしれない。

日本の「歌姫」とやらは一体何をやっているのだろう?。
時にプロデューサーという人は無能でジャマなこともある。
そんなことを考えさせられるCDでもある。
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MICK JAGGER / THE VERY BEST OF MICK JAGGER

2007-10-25 21:37:54 | ROCK
ストーンズのツアーが終了してから、ベスト盤を出すというのは
戦略的に正しいのだが、そこらあたりはミック・ジャガーは
ちゃんと計算しているだろう。

というわけで、ミック・ジャガーのベスト盤が到着した。
まさか、ミックのベスト盤が出るなんて思っても見なかったが
よくよく振り返れば、かなりのマテリアルがあったのだなと少し驚いている。
初回版にはDVDが付くのだが、ミックのインタビューが冒頭にあり
これは字幕付きで見たいと思い、日本盤を購入した。
幸いライナーは英文訳だけで、ストーンズ物にありがちな
「え~、こんなライナーもどきにも、俺は金を払ったの?」と
いうものではないので、安心して日本盤購入をお奨めする。

アレが抜けている、コレがないというのは仕方が無いことだが、(今度の
ポールのDVDでも同じことが言われそうだ)「THROWAWAY」は
収録して欲しかった。特にDVDで。
ジュリアン・テンプル撮影のビデオに多い、つまらない芝居じみた物でなく
演奏シーンを中心に収録したビデオで、ジェフ・ベックやテリー・ボジオを
バックに撮影されたロック・チューンだけに、この曲のオミットだけが
なんとも残念だ。

ビデオはブートレグやMTVで見たものばかりなので、特に目新しく
感じるものはないのだが、やはりミックのインタビューは面白かった。
驚きだったのはボウイ様とのライブ・エイド企画だった「DANCING IN THE
STREET」が録音からビデオ撮影までを12時間で完了させたことだ。
練られた企画でないことは明白だったが、二人はもちろんスタッフが
優秀だったことが伺える話だ。

ピーター・トッシュの「DON'T LOOK BACK」についても触れているが
DVDには「サタデイ・ナイト・ライブ」での映像が収録されている。
この曲のプロモはボーカルが全く違うテイクなので、プロモ・バージョンを
収録したほうが「お宝度」は上がったはずだが、これも贅沢な話だ。
改めてピーター・トッシュの「BUSH DOCTOR」を聴いたのだが、この曲が
5分17秒もあったことに気付く。全く曲の長さを感じさせないからだ。
現行CDは6曲のボーナス・トラックが収録されていて、「DON'T LOOK BACK」の
「バージョン」も収録されている。

面白いのは「DON'T LOOK BACK」も「DANCING IN THE STREET」も選曲は
ミックではなく、どちらもその曲をデュエットした相方が選曲したということだ。
過去にマービン・ゲイのカバーをしたこともあるストーンズだが、
モータウンに関しては、ほとんどテンプス三昧だったのでミックには
新鮮なチャレンジだったかもしれない。
(追記:「DON'T LOOK BACK」はテンプスの持ち歌でもあるので、トッシュの
配慮だった可能性がありますね。)
それにしても、おそるべきはモータウンである。

一番聴き込んだのは最初の「SHE'S THE BOSS」なのは間違いない。
ストーンズのブートレグでよく聴いた「LONELY AT THE TOP」が収録されて
いたのに驚いたし12インチの「JUST ANOTHER NIGHT」はひたすら
格好よかった。
最初に買ったLDは忘れもしない「RUNNNING OUT OF LUCK」だ。
そういえば、デニス・ホッパーを目の前で見たことがある。
我が家にあるサインは家宝にすべきかもしれない。
「TOO MANY COOKS」?。ずっと前に当ブログで言及しているから触れないさ。
一番好きなアルバムは「WONDERING SPIRIT」なのだが、なるほど、
プロデューサーがリック・ルービンだったんだね、忘れていたよ。

当たり前だが、ストーンズでは出来ないことに取り組むためのソロだが
トレンド・セッターだけに、今見れば古くさいものもあるが
どれも個人的には思い出深いもので、楽しく接することが出来た。
「LET'S WORK」という気分からは程遠い日常だけど。(笑)

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泉谷しげる / 黄金狂時代

2007-10-24 21:31:30 | 日本のロック・ポップス
イエロー絡みで泉谷の「ライブ泉谷~王様たちの夜」を聴いたのだが、
当時の2枚組LPという制約で収録されなかったのか、ライブで演奏
されなかったのかわからないが、重要な曲が抜け落ちていたので、
前年に発表された「黄金狂時代」をとりあげた。

エレック時代を締めくくるに相応しい、素晴らしいアルバムだ。
おそろしく多くの「差別用語」が使われているが、それがあてはまるのは
本来その言葉が指すであろう対象ではなく、普通であると思い込み
それで安心している小市民である私自身であるのに気が付いた時は
背筋が震えたものだ。

ラスト・ショーをバックにした演奏はどちらかといえば「手堅い」。
ロックのダイナミズムを表現するのは、イエローとのセットだ。
このアルバムには12曲が収録されているが、アルバムを聴き終えて
イエローの演奏がどの曲か、すぐにわかるだろう。
そして、それがたった3曲しかないのを残念に思うだろう。

スティービー・ワンダーを下敷きにしたとも思える、全ての楽器が
リズムのような「眠れない夜」がシングル・カットされ有名だが
私のベスト・トラックは「火の鳥」だ。この曲こそ先に書いた
「ライブ泉谷」で抜け落ちていたその曲である。
地から響くようなキーボードに導かれ、明確なリフのギターを骨格に
手数の多いドラムスが曲を派手に盛り上げる。
『お前はどうせひとつの夜、笑い話にゃなりゃしねェ』という一節は
現実と虚構が入り混じる歌詞で、泉谷節炸裂といったところか。
「Dのロック」ではこうも歌われる。
『テレビの向こうには裁判官がいっぱいさ 生かすも殺すも自由自在さ
そしてピラニアの如く飽きるまで食いつき
はずかしさはおもしろく、みにくさは楽しく見える』
人間の持つ愚かさ、醜さ、哀れさを歌わせたら70年代の泉谷の
右に出る者はいないかもしれない。

ラスト・ショーの演奏は徳武弘文のギター、村上律のペダル・スチールを
軸に楽しく展開する。ラスト・ショーのオリジナル曲でインストの
「湾岸道路RAG」を収録しているところから泉谷がラスト・ショーに
敬意を表しているのがよくわかる。
曲は充実し、ラスト・ショーとイエローという2つのバンドを楽しめる
贅沢なアルバムである。
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イエロー / イエロー

2007-10-22 18:32:44 | 日本のロック・ポップス
75年に発表されたイエローの1stにして唯一のスタジオ録音盤。
同年12月に発表された2枚目はライブ盤である。

このバンドこそ今聴かれるべきバンドではないだろうか。
過去のCDはすぐに廃盤になり、それから15年たっても再発されない
というのは、どうしたことだろう。

当時のバンドと趣が違うのが、ブルーズやニュー・ロックを下敷きにせず、
ダニー・ハザウェイの「ゲットー」をカバーするように、ニュー・ソウルの
持つうねりやダイナミズムをバンドに持ち込んだことだ。
同じくカバーというか、最早オリジナルといっても過言でないのだが
「ツァラトゥストラはかく語りき」を「宇宙」というタイトルで演奏している
のだが、この曲は題材こそクラシックだが同時期のマイルス・デイビスが
とったアプローチをより解りやすくロックのフォーマットに
落としこんでいる。

ボーカルはひたすら粘っこく、パーカッションとキーボードがつくる
緩やかなうねり、時折からむフルートといった本来脇役にまわりそうな
パートが重要な位置を占め、バンドの個性となっている。
「教えてください」の作詞は荒木和作。2000年になってやっとCD化
された荒木和作&やまだあきらの、「和作」は傑作だったが、
こういう仕事もしていたのだ。

アルバム最後を飾るのは泉谷しげるの「国旗はためく下に」。
ここでのアレンジのベースはピンク・フロイドのようであるが、
ピンク・フロイドというバンドは日本のロック・シーンのあちこちに
本当に影響を与えているのだなということも改めて認識した。
高度成長期にあって、ひたすら黙々と働くことへの自戒が込められた
この曲を聴くたびに、考えさせられる。

それにしても。
これだけの演奏能力を持ったイエローと、ラスト・ショーをバック・バンドに
従えることの出来た、あるいは彼らを選んだ泉谷しげるの慧眼には
驚くばかりである。当然このあと「ライブ泉谷~王様たちの夜」を
聴くことになるのだが、これも廃盤なんだよなぁ~。
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甲斐よしひろ /  翼あるもの

2007-10-21 10:44:14 | 日本のロック・ポップス
12月に一挙に甲斐バンドのアルバムが再発されるのだが、デジタル・
リマスターされ、なおかつ甲斐よしひろが選んだボーナス・トラックが付く。
「HIGHWAY 25」とダブるのか、どれくらいのボーナス・トラックが付くのか
まだ全くわからないが、既に相当の出費を覚悟した私である。
ショーケンの再発もボーナス・トラックがつくらしいが、そっちも気になる。

掲載写真は甲斐よしひろ初のソロ・アルバム「翼あるもの」。
バンドはベスト盤やライブ盤を出した後、次の展開を迎えることが多いが
甲斐バンドもライブ盤を出して次の一手を模索する最中だった78年に
この盤はリリースされた。
ボーカリストとして、歌いたい曲を歌ったというカバー・アルバムなのだが
選曲が素晴らしい。

ロック・バンドが避けて通るような曲も素敵なアレンジで堂々と歌われる。
1曲目の「恋のバカンス」(ザ・ピーナッツ)続く「10$の恋」(憂歌団)の
冒頭2曲だけで私はやられてしまう。他にも「喫茶店で聞いた会話」
(かまやつひろし)や、オリジナルよりも好きな「マドモアゼル・ブルース」
(ジャガーズ)と続くA面は捨て曲なし。
アマチュア時代の友人の曲をとりあげた「えんじ」のアレンジに
ストーンズ者はニヤリとするはず。
アルバム最後を飾るのは「グッドナイト・ベイビー」(キングトーンズ)
この曲のオリジナル・シングルが何故か家にあって、まだ歌詞の意味も
何もわからないのに、親が聞いていたこのレコードにあわせて私はこの曲
をよく歌っていたそうだ。

タイトルの「翼あるもの」は同年10月に発売される甲斐バンドの
アルバム「誘惑」に曲となって収録される。甲斐バンドの全てのアルバムの中で
一番優れていると思うアルバムが「誘惑」だ。甲斐流のハード・ボイルドな
美学がここに全て収録されているといって過言でない。
女性ファンには申し訳ないが、孤独な男のためのアルバムだとも思う。

甲斐よしひろは2003年に「翼あるもの2」をリリース。
ここにも渋い曲が多く収められている。例えば「八月の濡れた砂」「沖縄ベイ・
ブルース」「そして僕は途方にくれる」等等・・・。
「翼あるもの」とは、何なのか?。何故今年リリースされたカバー集は
「翼あるもの3」とは題されなかったのか?。
そういったことを考えながら、バンドのコンポーザーではなく
ボーカリストとしての自分を最初に前面に出したこのアルバムを聴くのも
一興だ。

俺は「翼の折れた天使」には興味は無いのさ。




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ジェネシスとフリクション

2007-10-20 20:09:11 | SOUL
木ジャケ再び。
しかも今回はジェネシスとフリクションである。(笑)
いや、バンド名ではない。どちらもソウル・ファンにはスルーできない
「ソウル・チルドレン」の名盤である。

掲載写真右が72年発表の「GENESIS」、左が74年発表にして
スタックスにおける最終作(78年に復興スタックスからもう1枚出すが)
「FRICTION」。CDの時代になってからはエピックからの
「FINDERS KEEPERS」が最初に国内盤が出たので、そちらのほうが有名かも
しれないが、私はこの2枚のほうを愛聴している。
基本的に4人のコーラス・グループなのだが、4人ともリードを
とることができ、その4人が絡む様はギター・バトルならぬ
ボーカル・バトルといっても過言で無い。

フェイバリット・トラックは「GENESIS」では「HEARSAY」、「FRICTION」では
「JUST ONE MOMENT」。それぞれジャンプとバラッドで、ボーカルは
どちらもジョン・コルバート。後にJ.ブラックフットと名乗り
傑作「CITY SLICKER」を残すのだが、力強さと抑揚をうまくコントロール
できる素敵な歌い手だと思う。

それにしても、どちらもいいジャケットだ。
しかも「FRICTION」は逆光ジャケでもある。季節的にもぴったりだ。
私が所持しているのは96年にCD化されたものだが、現行CDは
それぞれボーナス・トラックが収録されている。
見かけたら是非手にとっていただきたい。

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コブラ VS マングース

2007-10-17 21:20:23 | DAY BY DAY
サンディ・デニーのBBCライブを収録したCDは、数年前に発売された
ものの、遺族の意向がどうしたこうしたで即刻回収された経緯がある。
偉そうに書いているものの、私も回収されたという事実を知って
発売されていたことを知ったという間抜けぶりであった。

今年の夏ごろであろうか、サンディ・デニーのBBC録音が2枚組に
拡大されて発売されるというアナウンスがあった。
前回と同じ轍を踏まないよう予約をしていたのだが、相次ぐ発売延期、
果ては入手困難(笑)とか、様々な情報が流れたが結局延期が確定。

次に届いたアナウンスはCD3枚DVD1枚の4枚組で発売されるという
ものだったが、相変わらず発売日は未定。
とりあえず、アマゾンで予約開始になったらメールが来るように設定。
待つこと数日、やっとメールが来た。

早速アマゾン、HMV、タワーの各HPをチェックするとタワーだけが
異常に安い。税込み3203円とはどうしたことだろう。他は8000円
前後なのに。きっと当初の2枚組の時のデータをそのまま残して
しまったのだろう。速攻でタワーで予約。
次の日HMVのHPを見ると、おお、HMVもマルチバイを利用すれば
3203円ではないか。なんなんだこの張り合い方は。(笑)

で、タワーのHPを見ると今度はタワーは本当はこの値段であろう8401円に
なっている。う~む。一体私は本当に3203円で購入できるのだろうか。
次の日HMVのHPを見ると、あれあれ、こちらも値段が上がって
マルチバイを使って7081円と変更してある。
不思議だ。HMVには他店をチェックする係りがいるのかもしれない。

結果から言うと、私は3203円で4枚組を入手することが出来たことを
謹んで報告する次第である。(笑)
えっ、そんなことより内容はどうだったのかって?。
それは今からじっくり聴きます。悪いわけないのは解っているし。
DVDはピアノとアコースティック・ギターを弾くソロの映像が
3曲フル・レングスで収録されている。なんかこの映像だけで胸が
いっぱいになってしょうがないのだけど。

ちなみにBBCライブは1枚もののブートレグで出回ったことがある。
千葉市はロカビリーに強い某店で、ツェッペリンだのストーンズだのは
高額だったのに、サンディー・デニーは300円で売っていたのを
有難く入手したことを思い出した。10年ほど前の話である・・・。




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木ジャケ

2007-10-15 20:38:26 | ROCK
西日本は今日もまだ暑かったようだが、関東地方はすっかり
涼しいを通り越してシャツ1枚だと肌寒く感じるまでになった。
日が暮れるのも早い。
夜も長いというわけで、そんな秋の夜長に相応しい2枚。
えっ、なんで1枚じゃないのかって?。
掲載写真左は収録時間が30分ちょっとしかないもんで。(笑)

「犬ジャケに外れ無し」という金言?があるが、SSWファンには
「髭ジャケ」もそうかもしれない。以前、木や森が写っているジャケットが
好きだと書いたことがあるが、「木ジャケ」というのも当たりが多いと
思うのだが如何だろう。
今回の2枚はどちらもミュージシャンの顔と木や森が重なる渋い絵柄だ。

掲載写真左はロン・エリオットが70年に発表した「THE CANDLESTICKMAKER」。
元ボー・ブラメルズといって「ああ」と反応する人もいるだろう。
基本的にアコースティックなアルバムだが、B面を費やした15分に及ぶ
「THE CANDLESTICKMAKER SUIT」が素晴らしい。弦楽器が
彩りを加え、長尺の曲にもかかわらず豊かなメロディー・ラインで
聴く者を引きずり込み、一気に聴き終えてしまう。
また、「DEEP RIVER RUN BLUES」ではライ・クーダーの素晴らしいスライドを
聞くことが出来る。

掲載写真右はジェリー・ロックランが72年に発表した「WUN」。
A面がスタジオ録音、B面がライブという構成である。スタジオ録音には
何人かのギタリストが参加していて、ブリン・ハワースやミック・ラルフスらの
名前を見つけることが出来るが、ストーンズ者には更にお楽しみがある。
こっちのスライド奏者はロニー・ウッドで「STOP ON THE RED」で
手堅いプレイを披露する。ちょっと声に好き嫌いが分かれるかもしれないが
全体を通して良い出来のアルバムだと思う。

さて、アールグレイ・ティーでもいれますか・・・。
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教訓110番

2007-10-14 09:49:45 | DAY BY DAY
旧聞に属するのだけど。
何故、人はボクシングに熱狂するのか?。

人間の中に潜む、否定してもしきれない残酷性というのはあるだろう。
それとは別に、他の格闘技や全ての優れた表現活動に対して
「自分が出来ないことをしている」という単純に感動する気持ちや
自分を対象に置き換える、代替行為によって得る快感というのもある。
更にボクシングの場合は、細かな体重による階級分けやグラブを着用した
手で殴りあうだけというストイックなルールが、スポーツ性を高め
見る者の共感を誘う。

10数えて立たなきゃ負け、というシーンは軽量級の多い日本では
余りみられないし、危険を察知したレフェリーやセコンドがそうなる
前に止めることも多い。判定になった場合、3人によるポイント制という
妙に人間くさいところも、感情移入しやすいところだ。

セックス・ピストルズは確かにあの時代の閉塞したロックに風穴を開けた。
しかしながら、よくよく聞くと音楽的にはさほど目新しいものでは
なかったことも明らかである。
ロックにはルールはないが、マナーはある。
ルールがないが故に様々な要素を飲み込み、過去に無い音を目指そうと
するバンドやアーティストが現れ歴史が出来る。
ロックンロール・マナーに則れば、焼き直しに過ぎないと言われようと
バリエーションの一つとして、それなりに楽しいレコードは出来る。
ロックは誰かと競うものではない。

競技にはルールとマナーの両方が必要である。
どちらも理解できない者は競技者として見苦しいし、
もちろんそんなのはロックンロールではない。

ザ・プロフェッショナルズのレコードは、マナーに則ったアルバムだ。
グローブを着けず、バンテージのみで殴るのは反則だけど。(笑)


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MOBY GRAPE / WOW

2007-10-13 10:42:14 | ROCK
モビー・グレープの最初の3枚のアルバムがリマスターされ、
ボーナス・トラック付きで再発された。
「MOBY GRAPE」「WOW」「GRAPE JAM」の3枚なのだが、「GRAPE JAM」は
もともと「WOW」に添付されていたのが後に独立して流通したもので
厳密には、最初の2枚か・・・。

モビー・グレープに興味を持ったのは、ロバート・プラントが
フェイバリット・グループの一つとして名前を挙げているのを
知ったからである。はっぴいえんど云々はかなり後になって知ったことだ。
掲載写真は「WOW」。このジャケットはグループの諸作品の中で
一際強烈な印象を残す。セルフ・タイトルの1STに比べると
とっちらかった印象で、「えっ、これで完成なの」という感じの曲も
あるが、はっぴいえんどが受けた影響を探すには一番わかりやすい盤だろう。
アルバム自体は68年4月の発売だが、レコーディングは断続的だった
ようで、最も古い録音は67年8月。レコーディングに集中していた
わけではなく、この間にライブもこなしているので時間が経つにつれての
気分や経験値の違いがアルバムに反映されているとも言える。
モビー・グレープはメンバー全員がコンポーザーである。
それが曲のバリエーションの豊富さにも繋がっている。

果たして「朝から聞けるロック」なのか?。
もっとも昔のように「ロックはT.P.O.を選ぶ」時代ではないので、
何時だろうと関係ないのだが、私には学生時代に何人かで明け方近くまで
飲んで雑魚寝をしたあと、最初に起きたヤツが「WOW」をかけた記憶がある。
ぐちゃぐちゃになったテーブルをぼんやり見ながら、惰性で煙草に
火をつけて、時計を見ると11時とか・・・。
ああ、もう昼だね。(笑)

バンドのメンバーの何人かはソロ・アルバムを出しているが
スキップ・スペンスの「OAR」はサイケ者には定番として良く知られている。
未だに夜が相応しいアルバムというのは、存在するということだ。
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RORY GALLAGHER / LIVE AT ROCKPALAST

2007-10-12 21:06:14 | ROCK
昨年の「HARRY'S ROCK AND ROLL VILLAGE映像大賞」(笑)に輝いたのは
ロリー・ギャラガーの「LIVE AT MONTREUX」だったが、今年もまた
強力なDVDが登場した。

数年前にPAL仕様で発売されていたものだが、遂にNTSC仕様で発売されたのが
「LIVE AT ROCKPALAST」。ドイツの音楽番組「ROCKPALAST」に出演した際の
映像をまとめたもので、1976年から1990年までの5回のライブが
DVD3枚、時間にして591分というかなりのボリュームでの登場だ。

テレビ番組をそのまま収録しているので、いろいろと不備というか
突っ込みどころはある。曲が始まっているのにナレーションがかぶったり
途中で番組インフォメーションがあったりするのだが、今となっては
そんなこんなも当時の雰囲気が伺えて却って楽しかったりする。
「ROCKPALAST」は複数のアーティストが登場する長尺の番組だったようで
例えばロリーが1977年に出演した際の競演はリトル・フィートと
ロジャー・マッギン。豪華すぎます。
ちなみに我がザ・フーが1981年に出演した際の競演はグレイトフル・デッド。
これも辛抱たまらん組み合わせです。(笑)

ロリー・ギャラガーの映像はブートレグでもそれなりに出回っているが
どの映像を見ても物凄く真摯に音楽に接している感じがして好感が持てる。
ギターやマンドリンの演奏は勿論素晴らしいし、ファンに対する態度も
誠実そのもの。実はロリーのアルバムを熱心に揃えているわけではないのだが
傑作ドキュメント「アイリッシュ・ツアー1974」を見て以来、
ロリーの演奏している姿に惚れ込んで、せっせと映像モノを購入している
わけである。

このDVDの隠れたハイライトはフランキー・ミラーとの共演が数曲
見られるというところである。1979年のセッションで例の帽子を被った
フランキー・ミラーを見ることが出来る。ロック・スタンダードと
言ってもいい「WALKIN'THE DOG」やチャック・ベリーのカバーを披露する。
特に熱演というほどでもなく、フランキーの歌唱はこんなもんじゃないと
思う方も多いだろうが、「動くフランキー・ミラー」というのは、
それだけで貴重であるので、一見の価値は大いにある。

1990年ではジャック・ブルースとの共演も見ることが出来る。
予定の曲を終わったものの、鳴り止まないアンコールに応えるべく
ステージに向かうロリーにジャックは「政治家をやろう、知ってるだろ?」
と言ってメインのリフを口述し始める。
突然の取り決めで、セッションするのは例えばキーを決めての
スリー・コードとかブルーズならさほど難しくないかも知れないが
メイン・リフがはっきりした、構成のしっかりした曲をいきなり演奏するのは
少々勝手が違う。流石のロリーも手探り状態だが手堅くまとめる。
それにしてもロリーに「政治家」なんて演奏させるんじゃないよ。(笑)

映像作品として発売するには、ミックスの甘いところもあるが
ロリー・ギャラガーとバンドの熱演の前では些細なことだ。
これでまた、秋の夜長の楽しみがひとつ増えた。
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THE GRAY SPECKLED BIRD

2007-10-08 12:12:08 | DAY BY DAY
2週間ほど車に乗らなかったので、ちょっと動かしておこうと
駐車場に行くと、エラいことになっていた。
車が鳥の糞まみれなのである。

2年前、私が駐車場を契約するときに見取り図と現場を見て「なんで、こんな
端っこで割りと広くスペースのとれる停めやすい場所が空いているのだろう、
ラッキー」と速攻で決めたのだが、理由はすぐに判明した。
ちょうど上を電線が通っていてそこに鳥が留まり、糞を落とすのだ。
うつむいてばかりではいけない。
たまには上を向いて歩かなければ、と後悔したものの仕方が無い。
それから、週に一度は車の掃除をするハメになるのだが、今回は今までで
一番酷いことになっていた。
周りには排泄時に消化しきれなかった種のようなものも大量に落ちているし。
雨の中、くわえ煙草にカッパ姿でしばし清掃。
一息ついて、近くの林が雨で霞んでいるのを見て気分は何となくスワンプ。

部屋に戻って取り出したのが掲載写真の2枚のアルバム。
掲載写真右はジョン・ヘラルドが73年に発表した1ST。
ちょっと軽い感じの声だが魅力的なアルバムで、全編でエイモス・ギャレットの
ギターを聴くことができる。
掲載写真左はケン・ローバーが69年に発表した1ST。
エリア・コード615の面々がバックを固めた渋いアルバムなのだが、
ここでのバンド名は「THE GRAY SPECKLED BIRD BRAND」となっている。
エイモスを擁した「GREAT SPECKLED BIRD」のあのアルバムも69年の
発表だったなぁ、などと妙な偶然に気付くものの関連性は全く不明のまま
本日最初のビールに手を伸ばす。

車を綺麗にしたものの、見上げれば電線には3羽の鳥。
ティム・ハーディンでも聴くとしますか・・・。
コメント (2)
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あがた森魚 / 乙女の儚夢

2007-10-07 21:39:20 | 日本のロック・ポップス
初めて電気ブランを飲んだのは24,5歳の時、今はおそらく
無いであろう京都のとあるバーというか居酒屋というか、そんな所だった。
記憶は随分と曖昧だが、店の雰囲気と併せて「これが大正ロマンか」などと
阿呆のような軽い気分が頭をよぎったことは覚えている。

あがた森魚はしばらく聴かず嫌いが続いた。
昔は「ああ、赤色エレジーの女々しい人ね。」で片付けたものだ。
しかしながら改めて聴きなおすと、どんどん惹きこまれていく。
今回取り上げる「乙女の儚夢」は72年のセカンド。
フェヤポート・コンベンションの「フルハウス」が唯一冊の参考書であるとの
告白もあるが、それはこのアルバムの魅力の一片に過ぎないことに
気がつくのに、それほど時間がかからなかったのは、こちらの
基礎体力が増強されているからか?。

日本でしか有り得ない文化や虚構が時間軸を超えてこれほど
美しく保存されているアルバムは他に無いかもしれない。
当たり前だが、私が体験することの出来なかった出来事や時代が
あたかもかつて私も体験したかのような錯覚を感じさせる。
アメリカのフォークではなく、大英帝国のそれに近似値を
見出したことも、私の気分に合ったというのは当たっている。

早川義夫との接点や共通項が記されることが多いが、この普遍性は
むしろ遠藤賢司と比べるのが正しいような気がするが如何だろう。
よくよく聴けば、春から冬まで一年通しての「じれったい男女の物語」の
ようにも思えてくる。コンセプト・アルバムというのは大袈裟だが
そう呼んでみたい気もする。

何度もCD化されているアルバムだが、今回の再発はオリジナル・アナログを
再現する変形ジャケットであるうえに、12ページからなるブックレットも
初めて再現された。こういう再発こそ購入の意義、買い替えの意義があると
いうものだ。

持ち物は大切にしませう。
コメント (2)
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