HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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有山岸 / そろそろおこか~CARELESS LOVE~TOUR 2010

2011-06-27 05:13:19 | 日本のロック・ポップス

昨年6月に有山じゅんじと山岸潤史による「有山岸」のCDが出たのだが、それを記念しての
ツアーを収録したのが掲載写真のDVD。東京でのライブをメインに、大阪や京都でのライブが
14曲とリハーサル風景が90分収録されている。

アコースティック・ギターをメインにした歌って喋って笑わせる二人組といえば、まずはチャーと
石田長生のBAHO(馬呆)が思い浮かぶ。テクニカルでありながら、単にそれを見せつけるだけでなく
演奏を見聴きした後楽しい気分になれるというのは重要なことである。

有山岸も正しくそんな二人組。ブルーズを根底にした卓越した技術で聴く者を唸らせ、曲間の
やりとりやMCで観客を楽しませる。CDは単純に音楽を楽しむことができるのだが、ライブだと
演奏者の人柄や会場の空気も含めて楽しむことができるわけで、今回のDVDはCDを購入していない
人が有山岸を体験するには最適の1枚である。

私が聴かず嫌いというか、誤解していたのかはともかく、正直に言って本場のブルーズに
執着していた感のあったウエストロード・ブルース・バンドは、アルバムを所持しているものの
それほど熱心には聴いてこなかった。他の日本のブルーズ・バンドとは違った求道的な立ち位置は
逆に「それなら、オリジナルを聴くよ。」と思ったものだが、ニューオーリンズに行って世界に認められた
後の山岸の風通しの良さが、このユニットに反映されていて実に楽しい。

サンタナの『哀愁のヨーロッパ』のイントロから『悲しい色やね』に繋いだインストを演奏した後の
「これは『悲しいヨーロッパ』だ。」「いや『哀愁の色やね』だ。」とのやりとりが客席を和ませる。
ジャマイカを「じゃ、ま、いいか」と置き換える遊び心と、慌てず騒がずのんびり行くさという
有山のスタイルが、ふと日常生活や仕事でイライラする事の多い私を戒める。
昔からのファンには『バッド・ジャンキー・ブルース』『梅田からナンバまで』を披露するサービスも
忘れない。

東京の演奏には関係者席に内田裕也の姿がある。山岸のMCでアマチュアだった頃に裕也さんに
出会った時の話が出るのだが、これがちょっといい話。裕也さんがロックの発展に尽力してきたことが
ここでもわかるのだが、こういう話を知ると最近の裕也さんには「もうちょっと言動を慎重に」と
思ってしまうのも事実。

いずれにせよ、見て聴いて楽しいDVDである。

コメント (2)
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