HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

ALICE COOPER / MUSCLE OF LOVE

2012-01-29 18:34:50 | ROCK

昨年末から今年にかけて発売されたアリス・クーパーの紙ジャケは素晴らしい出来で、私も
全てとはいかないがギミック・ジャケ仕様のものは購入した。まあ、アルバム自体は全て何らかの
フォーマットで所持していたので、選ばれた数枚で紙ジャケの出来と音の良さを楽しみたいと思ったのだ。

掲載写真は73年のアルバム「MUSCLE OF LOVE」。「愛の筋肉」という良くわかるようなわからないような
邦題が付いていて、そう言えば「愛の人工衛星」なんて邦題の付いた曲があったなと連鎖するのだが
今思えば、その曲の作者とアリス・クーパーは同じプロデューサーやバンド・メンバーと仕事をしたわけで
そう考えると、これは狙った邦題かなぁと思ったり。(笑)

ダンボール・カバーの再現は勿論、細かいステッカーやインナー・スリーブもしっかりと復刻。
W.B.ならぬ、A.C.ロゴのステッカーは初めて見たのだが、このパロディーには笑みも溢れるというものだ。
ショッキングな演出を繰り広げたライブのような高い評判や、前2作ほどの評価や売上げを得られなかった
本作だが、私はこの盤を高く評価している。

曲のアレンジの幅が拡がったのは、このアルバムがアメリカの風俗産業や、それを取り巻く出来事を
取り上げた内容だからだろうが、ロックの持つ下世話でわかりやすい大衆性の側面というか
エンターテインメントとしての在り方を提示したという意味でも面白いアルバムだと思う。

ただ、余りにアメリカ寄りの音と内容であったのと、当時のグラム・ロックのブームの下火も手伝って
アリス・クーパーの人気も下降気味になり、事実バンドとして「アリス・クーパー」を名乗る最後の
アルバムになってしまった。

私にとっては『TEENAGE LAMENT '74 (嘆きのティーン・エイジ’74)』を収録しているという意味でも
ポイントが高い。ライザ・ミネリとロニー・スペクターのコーラスが「WHAT ARE YOU GONNA DO」と
歌うのを聴くと、自分の10代の頃を思い出したり、今これからをどうしよう、と思ったり。

残念ながら、黄金の銃は持っていないのだけど。

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DANS LA CHARLOTTE ET L'HOTEL PARTICULIER

2012-01-27 22:33:54 | ROCK

掲載写真はシャルロット・ゲンスブールのアルバム「STAGE WHISPER」。通常盤は1枚のCDだが、
日本盤は2枚組CDプラス1枚のDVDで構成されている。通常盤のCDには、2010年のアルバム「IRM」の
続編というべき未収録曲が8曲と、同年の欧州公演のライブから11曲の計19曲が収録されていて、
日本盤はスタジオ録音とライブをそれぞれ独立したCDに収録したために2枚のCDとなった。
ただ、スタジオ録音のCDにはボーナス・トラックが1曲追加されている上に、16曲のライブを収録した
DVDが付くとなれば、ここは日本盤を選ばないわけにはいかない。

「IRM」はベックがプロデュースしたことで話題になった。今回の未発表曲の全てがベックのプロデュースと
いうわけではないのだが、ツアー後に再びベックとレコーディングしたということは、ツアーで得た自信と
アイディアを何とか形にしたかったということなのだろう。単なる未発表曲と軽く片付けるのは早計で
出来の良い曲が多く、また嬉しいことに日本盤のボーナス・トラック『WASTE OF HOME』の出来が
素晴らしいのが嬉しい。

元々ライブには消極的だったシャルロットだが、「IRM」「5:55」と2枚のアルバムが揃ったことで、
ライブに踏み切ったとのこと。オリジナルの他にディラン・カバー『JUST LIKE A WOMAN』も聴くことができる。
この曲は自身も出演した映画「I'M NOT THERE」のサントラで、既に披露しているのだが
ライブでもゆっくりと感情を込めて歌われている。

DVDはライブで演奏された16曲を見ることができるので、当然CDより長尺の演奏を楽しむことができる。
個人的には今回のDVDのライブ映像はカメラ・ワークが今一つで、映像処理や照明の具合も含めて
シャルロットの表情を上手く捉えきれていなようにも思える。

しかし。DVDにはゲンスブール・カバーが2曲収録されていて、私のような者にはそれだけで嬉しい。
しかも選曲が素晴らしい。まずは「メロディー・ネルスンの物語」から『L'HOTEL PARTICULIER』が
選ばれていて、ここでの映像は前半がスタジオでのレコーディング風景で後半がステージの映像。
スタジオでのシーンはライブの為のリハーサルの時のものだろうが、こういうシーンを見てしまうと、いつか同曲の
スタジオ録音が出てくるのではと、いらぬ妄想をしてしまう駄目な僕。(笑)

もう1曲は『COULEUR CAFE』。ライブの最後の曲で、アコースティック・ギターとベースを中心に
シャルロットを含む他のバック・ミュージシャン達が皆シェイカー等を振り、実に楽しい演奏である。
観客も揃って「お前のコーヒー色が大好き」とコーラス部分を歌っていて、そこに至るまでにかなり
セクシャルなニュアンスの歌詞があることを忘れてしまいそうだ。

来日した時の模様も少し見ることができるし、今回の未発表曲の核になる『TERRIBLE ANGELS』の
ビデオ・クリップも収録されていて、このDVDの価値は高い。
最早、女優の余技という人はいないだろうが、次はどんなアルバムを出してくれるか楽しみになる
3枚組であるのは間違いない。

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LIKE THE GENTLE RAIN

2012-01-26 20:58:33 | ROCK

ドアーズの「L.A. WOMAN」の40周年エディションがCD2枚組で発売された。1枚目はオリジナルの
アルバムそのままで、このところ2007年に出た「デビュー40周年ミックス」CDに馴染んでいたものの
オリジナル・ミックスの重要性が失われるのでは等といらぬ危惧をしていたので、一安心。

2枚目が目玉となるオルタネイト・テイクを含んでいるのだが、アルバム全曲のオルタネイト・テイクが
収録されていないのが少々残念。完全に未発表だった『SHE SMELLS SO NICE』の登場という驚きも
あったが、「L.A. WOMAN」という傑作アルバムに収録されるほどの曲でないという感じもする。
できれば、いや何としても『HYACINTH HOUSE』の別テイクを聴きたかった・・・。

好きなアルバムや曲の別バージョンを聴くことができるというのは、贅沢な楽しみではあるが、
あくまでオプションである。『L.A. WOMAN』、『RIDERS ON THE STORM』といった重要曲の
別テイクを聴くと、オリジナルとして発売されたバージョンの完成度の高さを嫌というほど思い知ることに
なるのだが、それでもこの2曲はフェイド・アウトせずにエンディングまでしっかり決めてあった曲だった
ことは驚きであった。

都合7曲収録されたオルタネイト・テイクは、オリジナル版の曲順通りに並んでいるかと思いきや、
『BEEN DOWN SO LONG』の位置がずれて、『RIDERS ON THE STORM』の前に配されている。
これは一体、どういう意味があるのだろう。

そして、もう一度2007年ミックスを聴く。打楽器のミックスが印象的で長尺になった『LOVE HER
MADLY』や、歌詞が増えた『CARS HITS BY MY WINDOW』といった目立った違いのあるバージョンは
単純に別物として面白いし、何よりアルバム「L.A. WOMAN」の40周年版ということでオリジナル・ミックスが
改めて世に出たおかげで、安心して2007年ミックスを楽しめるようになった気がする。

後は残りのアルバム全てが、このような形でリリースされるのを待つのみ。
いやいや、テイクを選ぶのが面倒なら、オリジナル・ミックスのアルバム1枚プラス「コンプリート・セッション」でも
一向に構わないので・・・。(笑)

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2012-01-24 10:31:06 | 日本のロック・ポップス

「卍」という字の字体、そして「まんじ」という音、いずれをとってもこれは魅力的である。
子供心に手裏剣のような、その字体を不思議に思い「これは日常は使わない字なのだろう。」とか
わけのわからないことを思っていたのも事実であった。「音」に関しては聞かないで。(笑)

谷崎潤一郎の小説「卍」を読んで、或いはそれを多少改変して2度目に映画化された「卍」を見て、
卍の形が人が二人で絡み合っている様に思えるとますます、この字の形の魅力にはまってしまう。
昔は樋口可南子ばかりに目がいったが、歳をとると高瀬春奈の色気も楽しめるようになり、ありがたいものだ。
おっと、その前に私は原田芳雄のファンであることは断っておかねばなるまい。(笑)

猪木信者であったにも関わらず「卍固め」を好きになれなかったのは、あの技が痛そうとかいう前に
相手が膝をついてしゃがみこめば・・・・という疑問が子供心にあったからなのだが、今思えば
プロレス・ファンはそういうことを考えてはいけないのであった。

掲載写真はローリーが佐藤研二、高橋和久と組んだロック・トリオ「THE 卍」が08年にリリースした
アルバム「卍」。バンドとしての録音は一発録りということで、ハードにドライヴするドラムスと
縦横無尽に動き回るベースの躍動感が見事に捉えられていて聴いていて実に気持ち良い。
録音に6日、ミックスを含めて9日で完成したということだが、この録音のためのデモをつくった
ローリーの狂気があったからこその完成版であることは忘れてはならない。

英国のハード・ロックやプログレッシブ・ロックを引用した作風は「すかんち」以降ずっと続いているのだが
「卍」は、その更に奥底にローリーが洋楽に触れる以前の日本の映画や天井桟敷の舞台を見た経験が
反映されている。「ロッキー・ホラー・ショー」や「ファントム・オブ・パラダイス」を愛するその下地に
あったものが今作の『卍PART1』から『卍PART3』までの流れに反映されていて、栄光の70年代
ブリティッシュ・ハードと日本特有の質感を重ねるという、とっくの昔に試みられていたことを08年に今更のように
提示し、それがとことん格好良いのだからローリーという男の才能に惚れざるを得ない。

日本の所謂、暗いと言われる映画のいくつかは商業的に大きな成功を収めていて、皆がそうだとは言わないが
日本人の心の根底にはそういう部分を忌み嫌いながらも、どこかほんの少し嫌いになれない部分があるのではと
思うことがある。私もそんな一人であるが、暗いばかりだと救いがないので幾許かの笑いも欲しい。
THE 卍というバンドはそういった感情を見事に音にした稀有なバンドである。

アルバムの後半は、前半のめくるめくロック絵巻とは違ったバラエティーに富んだ音世界を展開し、
統一感より聞き手を幻惑させることを選択したバンドの懐の深さを感じさせる。

教科書の裏にジミー・ペイジを書いたことはなかったけど、高2の時に教室の机に授業中、ギターを弾く
ジミー・ペイジを書いたことがあるのを思いだした。
数日後、ミックとキースを書いたのだが、その時は私の机を使った別のクラスの女の子からの
謎の文句が書き残されていたのには驚いた。『あなたはだあれ?』
正に『卍 PART3』。(笑)お後がよろしいようで。

それでは、LET'S GO MY GUITAR !

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DO MO ARIGTO MICKEY CURTIS

2012-01-22 09:42:25 | 日本のロック・ポップス

映画の予告CMやテレビの特番を見て、映画「ロボジー」を見たくなった。まあ、見たくなったといっても
出不精なので結局はテレビ放送やDVD化を待ってから、ということになりそうなのだが。
吉高由里子ラヴなのは言うまでもないが(笑)、音楽担当がミッキー吉野というのが気になるし、
何といっても主題歌の「MR. ROBOTO」を五十嵐信次郎ことミッキー・カーティスが歌っているのが
気に入った。ハンドマイクで熱唱する映像を見て、「サントラもターゲットにしなければ。」と思ったのだが、
これだけシングル・カットしてくれませんかね?。(笑)

ミッキー・カーティスのミュージシャンとしての長い歴史や、プロデューサーとしての数々の功績は
日本ロック史の中でも特筆すべき項目であるが、あまりにも多彩な活動歴故に、或いは裕也さんのように
わかりやすいキャラクターでないために、評価がされにくいとしたら笑止千万である。

掲載写真は72年に発表されたミッキー・カーティスのアルバム「耳」。
ロカビリーでもハード・ロックでもない、敢えて言えばプログレッシブ・フォーク(笑)とでも言える盤で、凝った
アレンジの音の上に、「空想の産物」と「日常生活」という相反した歌詞が載る曲の数々は、実に滋味である。
曲によって、アラン・メリルと細野晴臣がベースを弾き分けるという私のような両者のファンには
また違った楽しみもある。

現行CDはオリジナルアルバム通りの10曲が収録されているが、98年にPヴァインから出たCDには
アルバム未収録のシングル曲が4曲、ボーナス・トラックで収録されている。シングルのみの曲「誰だった?」を
聴くために98年版CDを探すのも悪くないだろう。

  アルバムからのシングルは「それだけの幸せ/また陽がおちる」。
A面では、ただ朝がくることの幸せが歌われ、B面は一日が終わり、例え今日が辛い一日だとしても、
また明日になり朝がくると歌われる。アルバムの中では「日常生活」を歌った2曲で、うまい具合にシングルに
振り分けたものだと今更のように思う。
因みにジャケットは「ミッキー・カーチス」と表記されているが、レーベルには「ミッキー・カーティス」と
表記されている。

落語家としての側面のあるミッキーのインタビューというのは、面白く含蓄があるものが多いので
書下ろしとまではいかなくても、語りおろしの半生記でも出してくれないかなあと思うのだが、
とりあえず、DOMO ARIGATO MICKEY CURTIS .

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追悼 布谷文夫

2012-01-20 21:17:01 | 日本のロック・ポップス

布谷文夫が15日に脳出血で亡くなった。享年64歳。
最近までライブをやっていたような印象があったのだが、人の生き死にというのは当事者や
親しい関係者以外の者には、あまりに唐突に経過を端折った事実だけが突きつけられることが多く、
今回も私にとっては唐突な訃報であり、その若さも相まって残念な気持ちが強い。

布谷を最初に知ったのは、81年に出た9枚組「NIAGARA VOX」である。
「A LONG VACATION」に全く興味の無かった私なので、もちろん当時でさえリアル・タイムでなく、
実際に聴いたのは87年頃で、後輩が所持するレコードを借りたのであった。
「近所のレンタル・レコード屋が閉店するので、レコードを全部1枚1000円で売ると張り紙があったのを見て
当日1番に行って『どれでも1つ1000円ですか。』『そうです。』『これもですか。』『そうです。』という
やりとりの後に買ってきた。本は無いけど、いいでしょう。」と後輩が話すのを、羨ましく聞きながら箱を
借りたことを思い出した。

そこに収録された「ナイアガラ・トライアングルVOL.1」を、アルバム丸ごと大いに気に入ったのだが
他には布谷の歌う『深南部牛追い唄』『台風13号』を気に入った。後にCDで初めてアルバム「悲しき夏バテ」を
聴いて「凄いブルーズがあったものだ。」と思うと同時に、このまま突き進んだら次はどんなレコードが
出来ただろうと、妄想を逞しくしたこともある。リアル・タイムで聴いた人の中にも「布谷文夫Ⅱ」を待った人は
少なくないだろう。
その後、DEWのライブや近年(といっても01年頃だが)のライブのCDが発売され、そのどれもが
日本でブルーズを歌うことの意味というか、価値を明白にするものであった。

「朝めがさめコーヒーをのみ たばこを燻らすと 一日のブルーズははじまる」

明日も目覚めるであろう自分の幸運を感謝し、今夜は布谷のブルーズで夜をやり過ごそう。

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MOVE ON FAST

2012-01-18 20:26:42 | ROCK

スティーヴ・アルヴィニがプロデュースしたチープ・トリックの「IN COLOR」全曲再録音のことは
以前記事にした。98年録音のこの音源は正式に世には出なかったのだが、その1年前に
アルヴィニ制作のシングルが1枚、サブ・ポップからリリースされた。掲載写真の『BABY TALK』が
それ。レーベルがレーベルなので、それほどプレス枚数も多くはなかっただろうが、ここでの
成果が大きければ、その勢いで98年版「IN COLOR」も世に出たかもしれないのだが、
それを嘆いても仕方がない。

このシングルのB面にはムーヴの『BRONTOSAURUS』のカバーが収録されている。
昔からチープ・トリックはムーヴのカバーが多く、アルバム「HEAVEN TONIGHT」では『CALIFORNIA
MAN』を取り上げ、編集盤の「SEX AMERICA CHEAP TRICK」には77年の未発表ライブ録音として
『DOWN ON THE BAY』のカバーが収録されている。

これみよがしなソロ・パートが無くてもハードでポップなムーヴの音は、チープ・トリックが目標の一つ或いは
憧れとして捉えていたとしても不思議ではなく、また選曲もムーヴ後期のシングルの渋いところが
ターゲットになっていて、ここらのセンスは流石である。ロイ・ウッドの曲があればジェフ・リンの曲もあり、
チープ・トリックを通して二人の天才がいたムーヴというバンドの素晴らしさを改めて感じる次第である。

    

スティーブ・アルヴィニはチープ・トリック好きが高じて、87年には『HE'S A WHORE』のカバーを7インチで
リリースした。B面はクラフト・ワークのカバー『THE MODEL』。スリーブもそれぞれの曲が収録されている
アルバム・デザインを模していて実に楽しい。
チープ・トリックのアルバム「CHEAP TRICK」はレコードの片面が「SIDE A」、もう片面が「SIDE ONE」と
表記されているのだが、この7インチのレーベル面は、両面とも如何にもB面という感じで
『BIG BLACK - THE MODEL』と印刷され、A面とB面の違いはマトリクスと盤の溝の幅で見分けるしかない。

ご存知の通り、チープ・トリックのメンバーは4人なのだが、82年にベーシストのトム・ピータースンが脱退する。
そのためか、単純にビッグ・ブラックが3人組みのためか、ジャケットの3人はそれぞれ、バーニー、ロビン、
リックの真似をしている。しかしながら、このシングルのおかげか(笑)これがリリースされた87年に
トムは復帰するのである。

美しい偶然というのはあるものだ。(笑)

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吟遊詩人を撃つな!

2012-01-16 21:45:29 | 日本のロック・ポップス

佐田啓二主演の60年の映画「血は渇いてる」の中で強烈に印象に残っているのは、保険会社のビルに
掲げられた広告写真である。会社の大量解雇に抗議してピストルで自殺未遂し、世間の注目を浴びた佐田を、
保険会社が自社商品(生命保険)の広告に使うのだが、そこで使われたのがこめかみにピストルを突きつけた
写真であった。映画の内容は、マスコミにもてはやされると同時に疎まれ、遂には本当に死に追いやられる男の
話なでなかなか面白いストーリーなのだが、それよりも何よりも話の細かいディテールよりも私は
こめかみにピストルを突きつけた佐田の轢きつった顔が忘れられない。

日本のロックのレコードにも、幾分気取りがあるものの、そんなジャケットがあったなと言うわけで
引っ張り出したのが下の2枚。

      

掲載写真左(勝手に検索して引っ張ってきました)は山本翔の79年のアルバム「ロシアン・ルーレット」。

このレコードの帯に書かれたコピーはこうだ。
「翔のロックン・ロールは80年代を暴走する!時代を超越する稀有のヴォーカリスト山本翔と驚異の
新グループ一風堂が旋律のドッキング!強烈な衝撃と破壊力を放射するヴァイブレーションに満ちた
傑作第2弾、ここに完成」

私が所持するのはLPで、おそらく未だかつてCD化されていないと思う。歌謡曲とロックの狭間のような
レコードではあるが、私は嫌いではない。ジュリーと秀樹とパンタを混ぜ合わせたような曲とアレンジは
あれから30年以上経った今だと新鮮に聞こえるのではないだろうか。

レゲエの『秘めた誓い』で聴くことのできる歌唱は、歌い手としての魅力に溢れるし、ジャンプ・ナンバーでの
いかがわしさは、当時囁かれた「和製ミック・ジャガー」と言うよりも、デヴィッド・ヨハンセンのような感じで
良い意味での安っぽさが格好よい。バックを務めた一風堂の演奏も含めて、ハルヲフォンがあれだけ
評価されるのなら、この音ももっと聴かれるべきだろう。乞うCD化。

掲載写真右は甲斐バンドが74年に出したデビュー・アルバム「らいむらいと」。

このレコードの帯には、こんなコピーがある。
「あー この初めてのLPはね・・・ ウーン 不確かなものばかりの中の確かさ、うらがえしの愛、
そんないつまでたっても ぬぐいきれない言葉ばかりを歌ったんだけど・・・」

いい大人になってから手にした山本翔のレコードと違って、四国の田舎の中学生にも甲斐バンドは有効な存在で
同級生の兄貴が持っているレコードやカセット・テープを聞かせてもらっては、ちょっと大人の気分に
浸っていた。クラスの女の子の想いなど露知らずに、『NO.1のバラード』は心の奥底で常に鳴っていたし、
『バス通り』は未だに甘酸っぱく心に引っ掛かる。どちらかというと、まだフォーク色が強いのだが
大好きな甲斐バンドの1STステップとして、忘れることのできない1枚だ。

 で、俺なら拳銃は、こう使う。(笑)

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999円の誘惑

2012-01-15 08:50:51 | JAZZ

EMIミュージック・ジャパンからCD1枚999円で発売された、「JAZZ名盤999BEST&MORE」シリーズは
私のような門外漢には大いに役に立つシリーズである。1枚の単価が999円というのは、少しでも興味を
持った盤を「思わず」或いは「何かのついでに」買う機会を後押しする値段であるし、意識して「アレを
聴こう」と思う際には強力な後押しになる。

2010年9月から都合5回にわけて50枚ずつ発売された全250枚のうち、121枚が日本初CD化と
いうのも、何となくレアな物を手にするようで門外漢がジャズ通の方々にちょっとだけ近づけるような
気にさせるところが、良い意味で憎らしく気が利いている。2011年12月に発売された際は別枠で
フュージョン関係も20枚出たのだが、わざわざそれを無視した枚数表記で書き、それをわざわざ
注釈する私は、悪い意味で憎らしい。(笑)

     

膨大なカタログを前にたじろいでしまうアート・ペッパーのディスコグラフィー。私なんかは「MEETS THE
RHYTHM SECTION」「SURF RIDE」と聴いて、「さあ、この後どうすればいいか。」なんて思っていた
ところに「MODERN ART」を紹介されると、何だか明るい火が灯り道が開けたような気になったものだ。
チェット・ベイカーの「SINGS AND PLAYS」然り。

    

スライド・ハンプトンの盤は有名な盤で広く知られているそうだが、私は今回のシリーズでのCD化で初めて知り、
一聴して気に入った。トロンボーンの格好よさを知るための理想的な盤たらしめているのは、ハンプトンは勿論だが
フィリー・ジョーを筆頭にバックの演奏が凄まじいからであろう。ジェローム・リチャードスンの盤は
映画音楽を取り上げていて、楽しげなジャケットと『NO PROBLEM(「危険な関係のブルース」)に惹かれて
購入。他の選曲も有名な曲ばかりなのでスタート・ラインから単純に楽しめるのと、小奇麗にまとまっているのでは
なく小さなクラブでのライブ録音という熱気を孕んでいるのが、また格好良い。

    

ヴァイ・レッドの盤もよく知られている盤だろうが、またもや私は今回のシリーズで初めて手にすることになった。
ロックやポップスを聴くにあたって、過去に女性ボーカルものはしばらく遠ざけていたことは何回も書いたが
ジャズなら聴く耳もたずだったのは言うまでもない。しかしこの「BIRD CALL」は大のお気に入りとなった。
それは単純に「お前がパーカーを好きなだけだろう」と言われればそうかもしれないが、ここで聴くことの
できる歌唱とヴァイのアルトを含むバックの全ての音を素敵だと思う。
ケン・マッキンタイアーの盤は、これもジャケットの渋さとドルフィー絡みの「名前」で手にした。
ライナーにある、「パーカーとドルフィーをつなぐもの」を確認するには、私は聴き手としてまだまだであるが
1枚のアルバムとしてはスムースに聴き通せる好盤であることは了解した。

今回のシリーズで購入した数十枚の盤の中から気に入った6枚を掲載した。このシリーズは今年の4月末日で
全て出荷停止になるという。いずれ規格替えで再登場するのだろうが、今回限りのものがあると困るので
それまでに後何枚か入手しようと思っている。ロックの名盤も幻盤も、これくらいの値段で発売されると
いいのだけどね。(笑)

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THE YARDBIRDS / GLIMPSES 1963 - 1968

2012-01-13 21:11:09 | ROCK

「EASY ACTION」というレーベルは、過去にMC5やT.レックス、ストゥージズ等のライブやアウトテイクを
集めたボックスをリリースしてファンを楽しませてきたのだが、今年はヤードバーズの箱をリリースした。
年代順に5枚のCDに様々なセッションやライブが、これでもかと詰め込まれていて、過去にも小出しに
されたアウトテイクとかはあったものの、ここまで纏まると、とりとめの無いものの壮観ではある。

しかしながら、先に例を出した3者には音質の大して良くないライブやアウトテイクのCDが山ほどあるので、
特に疑問にも思わなかったが、流石にヤードバーズのアウトテイクや音質が今ひとつのライブを
しこたま聴いているうちに、「今回の箱は、どんな権利をクリアして発売に至ったのだろう」なんてことも
考えてしまうのであった。映像では定番の66年のNMEポール・ウィナーズ・コンサートや、映画「欲望」での
『STROLL ON』の音だけをわざわざ抜いてきて収録するというブートレグ的発想が、気になるところだが
実のところ、嫌いではない。(笑)

まあ、そんなことは横に置いておいて。私はザ・フーやストーンズの時のように、テイクやミックスの違いを
探すほど熱心ではないものの、ヤードバーズは好きだ。3大ギタリスト伝説というのも有難い話だとは思うが
単純に覚えやすく楽しい曲が多いところを大いに気に入っている。キース・レルフより上手いボーカリストがいた
同時代の数多のバンドよりヤードバーズのことを好きなのは、曲の出来が良いからに他ならない。

ディスク5は「BBC RADIO ONE」と銘打たれているものの、91年に出た「YARDBIRDS ...ON AIR」に
収録された曲が全て収録されているわけではない。それでも面白い曲もあった。『THE SUN IS SHINING』は
「ON AIR」では2分45秒の収録だが今回の箱のテイクはフル・バージョンの3分32秒の収録。正し
途中で音質がガクンと落ちるので、「ON AIR」ではその部分をカットして収録したことがわかる。

今回の箱には5枚のCDの他に7インチが1枚添付されているのが嬉しいところ。
A面は『I WISH YOU WOULD』でB面は『BABY WHAT'S WRONG』。特に凝ったスリーブとかは無いのだが
7インチが添付されていると、それだけで嬉しくなるというものだ。

今回の箱はマニア向けの商品であり、これからヤードバーズを聴こうとする人のための箱では無いのだが、
一通り聴いてきた人には、十分楽しめる箱である。次はまとまった映像集の発売を期待したい。

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ALEX CHILTON / FREE AGAIN : 1970 SESSIONS

2012-01-10 20:16:39 | ROCK

         

ボックス・トップスとビッグ・スターの狭間に、アレックス・チルトンが残した宝物が再びCD化された。
96年にCD化(掲載写真左)されたものの現在はカタログから外れていたのだが、今回のCDは
ボーナス・トラックが8曲収録されていて、正に待望の再登場である。

ボーナス・トラックのうち、初登場は6曲。既発の2曲は編集盤「THANK YOU FRIENDS : THE ARDENT
RECORDS STORY」に収録されているのだが、それでも珠玉の名曲『THE EMI SONG (SMILE FOR ME)』の
モノ・ミックスがここに収録されるというのは、何となく聴き勝手が良くて(笑)気が利いている。

アルバム・タイトルにもなった『FREE AGAIN』を聴いていると、左のオリジナル盤のジャケットに写るアレックスが
バーズのアルバム「UNTITLED」を手にしている理由も薄っすらとわかるというものだ。「UNTITLED」の
リリースは70年であり、ボックス・トップスを抜けて目指した自身の理想の音の在り方というか、目標の一つに
そこで聴くことができる音があったのだろうが、今回のCDのボーナスで付けられたデモの数々を聴くと、
デモの段階で既にロジャー・マッギンへの憧憬が透けて見えるような気がするのは私だけではないだろう。

ビッグ・スターの存在は、サイケデリックな初期のバーズとカントリー・ロック以降のバーズを混ぜ合わせたような
ものであり、それこそが90年代のギター・バンドの復権に大きな影響をもたらしたことは、もう一度確認すべきである
ことを今回のCDを聴きながら改めて思った。

アレックスはメンフィス出身ということもあってか、後に自身のアルバムで数々の通好みのソウルの楽曲のカバーを
披露するが、ロック者としてはビーチ・ボーイズのカバーも忘れるわけにはいかない。00年にリリースされた
ブライアン・ウィルスン&ビーチ・ボーイズ・トリビュート盤「CAROLINE NOW !」で聴くことができるアレックスが
カバーした曲『I WANNA PICK YOU UP』は、ビーチ・ボーイズの地味なアルバム「LOVE YOU」収録曲で、
私自身、このカバーを聴いて同曲の良さに気がついたことを思い出した。
そして、今回のCDを聴き進めるに連れて、今更ながらアレックス・チルトンという男の音楽に対する
造詣と愛情の深さを思い知るのだ。

ジャケットのデザインも、収録曲順も変わってしまった。『JUMPIN' JACK FLASH』の後の短いインスト曲である
『FUNKY NATIONAL』は、なんと『EVERY DAY AS WE GROW CLOSER』の後に付けられてチャプターも
一纏めにされてしまった。それでも、今回の再発が大きな喜びで迎えられるであろうことを願いたいものだ。

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THE ROCK 'N' ROLL WOMEN

2012-01-08 11:29:13 | ROCK

掲載写真はハプシャッシュ&ザ・カラー・コートが69年にリリースした、彼らの2枚目にして最終作。
このアルバムを買った頃は所謂サイケのレコードやCDを買い漁っていた時期で、単に新宿赤黒の
そういう仕切りがされたコーナーにあったので、どんなアルバムか全く知らずに手にした。

私が手にしたレコードは、明らかに板落としのカウンターフィット盤で元のレコードの針音(笑)が
のっかっているのだが、それ以上に当時の私には大して好きになれる要素が少なくて余り好きには
なれなかった。インクレディブル・ストリング・バンドを好きになった今では、何の問題もなく聴くことが
できる。(笑)

元々はナイジェル・ウェイマスとマイケル・イングリッシュの二人のデザイン・チームが中心となり、
そこに音楽的要素を加えるべく、1STではアート(後のスプーキー・トゥース)がバックを担当し、
この2NDではマイク・バットがプロデューサーを務め、グラウンドホッグスのトニー・マクフィーも参加した。

T.REXのファンにとっては、どちらのアルバムにもミッキー・フィンが参加していることで有名である。
といっても、私はこの盤を買った時には気付いていなかったのだが。(笑)
THE HEAVY METAL KIDSとクレジットされたのがミッキー・フィン。彼はアートワークも担当していて
そのクレジットは判別できないが、彼自身のその旨の発言が残されている。
数曲にブライアン・ジョーンズが参加しているという話もあるが、本当ですか。

この盤の裏ジャケットには「PERCUSSION BY THE HEAVY METAL KIDS」というクレジットの上に
「BACKING VOCALS BY THE ROCK'N'ROLL WOMEN」というクレジットがある。
これは誰を指すのだろう。このバンドについて書かれているウィキペディアを見ると、メンバーに
それらしい名前を見つけることができる。その名はアマンダ・レア。

「おいおい、彼女は実は彼だろう」という突っ込みがありそうだが、アマンダ・レアの性別を含めて(笑)
このバンドは謎が多く、その謎こそが霧に煙る彼らの音、もしくは英国ロックの闇に相応しいように思え、
今日もアルバムに針を落とすのであった・・・。

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謎の発光物体

2012-01-05 20:29:35 | DAY BY DAY

最近ムーミン一家が登場するCMをよく見かける。昨年末にDVDが発売されたことが関係あるのか
どうか判らないが、何故今ムーミンなのか。
何気に相方に「ムーミンに登場するキャラクターで一番好きなのは誰か。」と尋ねると、「じゃあ、同時に
言おう。」と言われ、せーので答えたのだが・・・。

相方「ミイ。」
私 「ニョロニョロ。」
・・・・・・。

「お前は自分の性格が悪いから、ミイが好きなんだろう。」
「あんたは、優柔不断でいざという時に意思表示できないから、ニョロニョロなんや。」
いざという時に意思表示できれば、もっと素敵な出会いがあったろうよ、と言いたいところをグッと
堪えて、お互いスナフキンが一番好きなキャラクターでないところが捻くれていることを認めて手打ち。

私はニョロニョロを極めてロックな理由で好きなのだ。だって、「何も思わず何も感じない、永遠の放浪者」で
おまけに電気を帯びているのだから。(笑)雷の後に光り、帯電して触る者を感電させ、奇数で行動するなんて
格好いいじゃないか。まあ、群れるところが多少気に入らないが。(笑)

ニョロニョロと造形は異なるが、何となく掲載写真のアルバムのことが頭に浮かんだ。
「THE EDGAR WINTER GROUP WITH RICK DERRINGER」と題されたアルバムは、原題だと
インパクトは無いが、アルバム・ジャケットに相応しい「謎の発光物体」という秀逸な邦題のおかげで
多くの人の記憶に残っているのではないだろうか。
アルバムは意外な程ポップで、ブルーズに命を捧げた兄ジョニー・ウィンターとはまた違った味わいがある。
グラムとソウルを混ぜ合わた中庸な音は、キーボードとサックスというエドガーが演奏する楽器を考えれば
なる程とわかるような気もする。

年が明けて、まだ2日しか働いていないのに何だか疲れている。
のんびりと、河の流れを見つめて過ごす生活が出来ればいいのだけれど。
いやいや、25歳のある時期は仕事もせずに川の流れを見て過ごしていたじゃないか。飽きたら
植物園に行って・・・。あれは、虚しかった。(笑)きっと一人だったから、いや仕事をしていなかったから
虚しかったのだろうな。

   

やっぱり、ミイとニョロニョロだと絵にならないので、最後はコレで。(笑)


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YOU DIDN'T KNOW HOW ROCK 'N' ROLL LOOKED

2012-01-04 19:34:15 | ROCK

本来は昨年の12月初旬にリリースされていたはずなのだが、我が家に届いたのがロック大賞発表後の
12月30日ということで、先行対象外となったのが掲載写真のDVD。
イアン・ハンターとミック・ロンスンが80年4月19日から20日にかけて、ドイツのテレビ番組
「ROCKPALAST」で演奏した映像が収録され、同時にCDも発売された。

79年のロキシー・シアターで収録され、ここでの演奏直前の80年3月に発売された「WELCOME TO
CLUB」のA面からC面で聴くことができた、あの熱狂を映像で追体験できるようなセット・リストで
両者のファンには堪らない映像である。

オープニングは勿論シャドウズ・カバーの『F.B.I.』。まずはミック・ロンスンが登場し軽く肩慣らし。
続いて、お馴染みのイントロを弾きながらハンターが登場し、『ONCE BITTEN TWICE SHY』に突入。
ハンターとロンスンの美学を如実に体現している、この2曲の流れは何度見ても痺れる。

70分ちょっとの尺なので、選曲はこの時点でのベスト・オブ・イアン・ハンターと言ってもいいだろう。
モット・ザ・フープルの曲も要所で演奏されるが、これはモットのライブではない。
モット・ザ・フープルというバンドの中では重要な位置を占める『SATURDAY GIGS』や『ROLL AWAY
THE STONE』が聴けないことへの恨みつらみは無しだ。

『ALL THE YOUNG DUDES』では、例のハンター特注のギターを見ることができるが、エンディングは
もうちょっと余韻を残して最後の曲に入って欲しかった。最後の曲もロンスンの独壇場『SLAUGHTER
ON 10TH AVENUE』。虐殺が行われれば、10番街も凍てつくというものだ。
最初と最後にロンスンに華を持たせるハンターの配慮に大きな友情を感じるのだが、ハンターと
ロンスンが正式に二人の名前を冠したバンドを組むには、更に十年近くの時間を要するのだなぁ。

ロンスンはこの世にいないが、72歳のイアン・ハンターは現役で今でもツアーをこなしている。
今年は渋い新譜を是非ともお願いしたい。

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IF YOU CAN'T ROCK ME , SOMEBODY WILL

2012-01-03 12:07:56 | ROCK

昨年リリースされて話題になったストーンズの「IT'S ONLY ROCK ’N' ROLL」のSACDバージョンを
ようやく聴いた。正味な話、SACD対応プレイヤーを持っていないので、ナニしてアレして聴いたのだが(笑)
そこまでして聴く大きな理由は2つある。

収録曲中『TIME WAITS FOR NO ONE』がフェイド・アウトしないこと、『FINGERPRINT FILE』が
オリジナル・ピッチでの収録であることが理由で、特に後者はアナログ、CDを通して初登場のはず。
アルバム「LET IT BLEED」のピッチ操作は後にその情報を知ったものの、さして違和感は感じなかったが
流石に今回は今まで耳馴染んだものと違い、「遅いなあ」(笑)と思ったものの同時に「これが本来の
姿か。」と思うと、20年ぶりに会った旧知の女性の変化を見るようで妙に感慨深いものがあった。

問題はこのバージョンが収録されているのが、日本で発売されたSACDのみに収録されていて、
世界基準のスタンダード・バージョンのCDでは聴くことができないということである。
2011年にもなって、何故このようなことになったのか非常に興味深いのだが、それ以上に今回のブツが
カタログから外れた時に、どれくらいのプレ値がつくことになるのだろう、ということにも興味がある。
全く正月から下世話な話である。(笑)

74年に発売された、このアルバムの評価というのは通り相場では、それ程高くない。
しかしながら私はストーンズの全アルバムの中で5指(今日、コレを書いている時点では3指に入る)に
入る程度に、このアルバムが好きである。

流麗なソロを披露したことで72年から73年にかけての、ミック・テイラー在籍時のライブは人気が高いが、
スタジオ録音のアルバムという単位で捉えると、テイラーのソロが美しく結実した盤は、「IT'S ONLY ・・・」と
いうことになるのではないだろうか。ただ、あまりにも役割分担が明確になりすぎた故に、ライブで演奏する上での
限界を少なからず露呈することにもなり、例え後付であろうともテイラーの脱退は必然だったのだなあと
思うわけで、そんなテイラーが残した最後の花道という意味も込めて、私はこのアルバムが好きだ。
また、このアルバムはグリマー・トゥインズとして、ミックとキースがプロデュースした最初のアルバムでもあり、
「終わり」と「始まり」が奇妙に同居したところも、ストーンズらしくてよい。

大学卒業前の、所謂サークルでの「追い出しコンパ」が終わった後、後輩達を引き連れて、とある
ロック・バーに入った。リクエストを書く紙を貰ったので、『TILL THE NEXT GOODBYE』をかけてもらって
渋くキメて終わりにしょうと目論んだのだが、その店にはアルバム「IT'S ONLY ROCK 'N' ROLL」は
置いていなかった。1杯だけ飲んで私がその店を出たのは、言うまでもない。

今ではロック以外にも多くに手を出すようになったが、たかがロック、だけどそいつが好きなのは変わらない。

コメント (4)
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