掲載写真はアース・ウインド&ファイアーがコロンビアに残した15タイトルの
アルバムと、シングルや12インチ等を収録した1枚のボーナス・ディスクで
構成される16枚組ボックス「THE COLUMBIA MASTERS」。アースの最初の
2枚のアルバムはワーナー・ブラザーズから出たので、それを除けば手っ取り早く
アースの足跡を辿ることができる便利な箱である。
実のところ、EW&Fのアルバムはベスト盤しか所持していなかったので、一気に
追いつくにはこれ幸いとばかりに購入した。私がリアル・タイムで聴いたのは
シングル『LET'S GROOVE』であり、その後のシングル『MAGNETIC』も記憶に
残っている。しかし、まだソウル・ミュージックといってもディスコ寄りのそれに
踏み込む勇気は無かったし、流行っていたのでホイホイとそれに乗っかるのも
恰好悪いなんて思っていたら、この歳になるまで疎遠であったというわけである。
熱心なファンからすれば、特段珍しいレアリティーズも無いので触手は動かないだろうが
私のように「これで一網打尽じゃぁ。」なんていう人にとっては便利このうえない。
70年代のアースは単に大所帯のディスコ・バンドというものではなく、ジャズ・サイド
からジャンルを壊しにかかった成果の一つに良き悪しきはともかくフュージョンという
ものが生まれたのと同様のことを、ソウル・ミュージックの側からやったのだなあと
いうことがよくわかる組物である。
ま、そうは言っても87年以降の盤は今聴いてもあまり面白くないのだが、それでも
70年代のアルバム群は今更ではあるが面白い。カリンバを使ったプリミティブな
音が語弊はあるがテクノ・ミュージックのように思える瞬間もあって、一筋縄では
いかない。『SEPTEMBER』で単純に盛り上がるのも気持ちいいが、もっと深く
聴き込もうと思える曲に出会えたのは大きい。
ボーナス・ディスクにフィリップ・ベイリーとフィル・コリンズの『EASY LOVER』が
収録されているのも嬉しい。85年に聴いた数々のヒット曲の中でもとりわけ好きな
曲であったので。なんてことを書くのも恥ずかしいが、今回はいいのだ。(笑)
紙製ジャケットの作りが安っぽくて今一つなのだが値段も抑えられているので
文句は言うまい。ライナーに記された各アルバムのクレジットは充実しているし。
合言葉は「一網打尽」である。(笑)