HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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FUNTIME ~ カバー・ソング100選への道・その24

2011-06-25 07:45:40 | ROCK

初めて「動くイギー・ポップ」の映像を見たのは、77年頃のアメリカのテレビ番組を収録したブートレグ・
ビデオだった。クールにバッキングに徹してキーボードを弾くボウイ様と対照的に、上半身裸で
床をのたうちまわるイギーには心底驚いたものだ。「何時に放送されたのか知らないがテレビで
これを流してもよかったのか。」というのと「たかがテレビなのに、この入れこみ方は何だ」という
二つの微妙な感覚が、「イギー・ポップってなんだか凄いな。」と思わせるには十分な映像だった。

掲載写真は、最近活動を再開したザ・カーズが95年にリリースした2枚組ベスト盤「JUST
WHAT I NEEDED」。個人的にはカーズはシングル盤向きのバンドだと思っているのと、
LPを引っ張り出すより手軽にシングル曲を聴くことが出来る、くらいのお手軽な感じで
このベスト盤を購入したのだが、何とそこにはイギー・ポップの『FUNTIME』のカバーが収録
されていた。

最初に見たイギーの映像で演奏された曲こそ『FUNTIME』であり、後にフリクションが演奏した
ことも知り、イギーのレパートリーの中ではトップ5に入るほど好きな曲になったのだが、それを
カーズがカバーしていたとは。勿論このベスト盤が登場するまで未発表であったのだが、面白いのは
その録音時期。81年のカーズといえば、4枚目のアルバム「SHAKE IT UP」をリリースし、
既に大物扱いだったはずだが、その時期にこのような録音を残していたのが興味深い。

未発表曲の蔵出しのためか、プロデューサーのクレジットはロイ・トーマス・ベイカーではなく
「THE CARS」となっている。最新テクノロジーをロックに取り込んだモダンなバンドとしての
イメージがあったカーズが、過去を振りかえるようなカバー・ソングをアルバムやシングルのB面に
収録するということは、良しとされなかったのだろうなんてことを今は想像して楽しむことができるのだが
単純に聴くことが出来て嬉しかった当時の記憶の強さもあって、カバー・ソング100選に選んだ。

 イギーのアルバム「PARTY」は今では、余り話題にならない
アルバムかもしれない。ここにはフィル・フィリップスの『SEA OF LOVE』のカバーが収録されている。
私が最初に『SEA OF LOVE』を知ったのは84年のハニードリッパーズのバージョンだった。
あの頃の私は昼夜を問わずレッド・ツェッペリンを聴いていたので、無条件にロバート・プラントが好きだった。
今聴くと少々ベタついた感じもするのだが、イギーのバージョンは「夏なのにクールな感じ」がして
気に入っている。今回の100選にはカーズからの流れでイギーのバージョンを選ぶことにした。

コメント (2)
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