HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

THANK YOU FRIENDS

2016-10-28 21:56:26 | ROCK

ビッグ・スターの3枚目のアルバム「3rd」は数奇な運命を辿ったアルバムである。
74年にレコーディングされ75年2月にはテスト・プレス盤まで作成されながら
正式にリリースされたのが78年。14曲という収録曲数こそ同じだがテスト・プレス盤
とは収録曲を数曲入れ替えてのリリースであった。

その後85年の再発の際には「SISTER LOVERS」というタイトルが付けられ、
ジャケットも変わるのだが、何度も繰り返される再発のたびにジャケットや曲順や
曲目が変わるという不思議な盤であった。

私が最初に手にしたのは92年にRYKOからリリースされたCDで曲数は多いものの
ジャケットは気に入らないし、1枚のアルバムとして聴くには曲数が多くてまとまりの
無い盤(編集盤と言った方が良いかも)と思ったものだ。その後「3rd」を手に入れた
のだが、実の処一番落ち着いたのが2011年に出た75年のテスト・プレス盤仕様で
再発されたアナログ盤だったりする。特にA面の曲の並びを大いに気に入ったものだった。

掲載写真は「3rd / SISTER LOVERS」関連の曲を未発表のデモやラフ・ミックス、
オリジナル・アルバムや各種編集盤に散らばっていた曲をまとめ上げた3枚組の
「COMPLETE THIRD」。デモの段階でおそろしく美しい曲の数々に痺れ、エンジニアを
務めたジム・ディッキンスン(プロデューサーでもある)とジョン・フライの二人別々の
ミックス違いに眩暈を感じ、時間はどんどん過ぎていく。

それほど大した出来ではなく、ほんのリハーサル程度の録音であろうT.レックス・
カバーの『BABY STRANGE』のスタジオ録音を聴くことができるなんて・・・。
09年にでた4枚組「KEEP AN EYE ON THE SKY」では73年のライブ・バージョンを
聴くことができたが、スタジオ・リハのようなものでもT.レックス好きには嬉しい
ものである。

それにしても『HOLOCAUST』『KANGA ROO』の儚くも美しいことよ。『JESUS
CHRIST』『THANK YOU FRIENDS』の煌びやかさといったら他に比べる音が無い
のではないだろうか。

3枚のCDの中でディスク3は表向きのクレジットは全20曲の収録で、その全ては
既発盤に収録されていると記されている。しかし、実は21曲目がシークレット・
トラックでそこにはおそらく完成バージョンの『THANK YOU FRIENDS』から
バック・コーラスを含む歌唱とストリングスのみを抜き出した音が収録されている。
曲の終盤で聴くことができる声の震えやブレスの生々しさが面白い。

先に個人的に一番しっくりきたのはテスト・プレス盤仕様のアナログ盤だと書いたが
それは1枚のディスクとして取り上げた場合の話である。ここまで見事に編まれた
3枚組の登場で長年何度も「3rd」を購入した人は本当の意味で人心地つけるのかも
しれない。

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ONE DROP

2016-10-26 20:43:11 | 日本のロック・ポップス

Drop'sがライブ会場限定で発売していたライブ盤「Drop's IN LIVE SOMEWHERE」が
キング・レコードのHP内ショップで流通するようになった。おかげで私も彼女達の
初のライブ盤を手にすることができた。

今年の7月に名古屋での演奏を15曲収録したライブ盤は、バンドとして最初では
ないとしても何度目かのピークにあるであろう今の状態を的確に捉えている。
ラフなようで結構緻密にアレンジされたブルーズとロックンロールの塊である。
そして、心の底から「これが直球ド真ん中のロックなんだよぉ」と誰彼構わずこの音を
聴かせたい凶暴な気持ちにさせる。

金かけて弄繰り回した音はここにはない。誰かの思惑や計算で導き出された平均的な
大勢のつまらない生活者のつまらない心の隙間を埋めて安心させるような音ではないのだ。
若者が持つ欲望や希望やフラストレーションが、実は50過ぎの爺のそれと大して
変わらないことを確認できたとき、最新型のロックンロールの有効性を実感として
感じる。

いや、別に20代の若者と同化しようなんて気持ちの悪いことを考えているわけではない。
昔からロックという音楽が内包していた「得体のしれない何か」を、この刹那を刻んだ
ライブ盤から感じ取っただけの話である。

彼女たちの音が無ければ2016年はひどく退屈な年と記憶されたかもしれない。
やっぱり、ロックの夢と未来はここにある。

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HUNTER x HUNTER 2

2016-10-23 12:13:51 | ROCK

掲載写真はイアン・ハンターの新作「FINGERS CROSSED」。ジャケットの右下に
描かれたタイトル通りに指をクロスさせた絵を見た瞬間、何故か木村カエラのDVDを
想起してしまったが、そんなことはともかく(笑)今作はなかなかの力作である。

モット時代のバンド・メイトであったデイル・グリフィンや、何かと関係のあった
デヴィッド・ボウイの死というハードな側面と対峙しながらも、今を見据えて前進する
イアン・ハンターの存在自体が私には嬉しい。

わかりやすいアッパーなナンバーを立て続けに繰り出せば、「まだまだ元気」とか
「精力的」なんて言われるのだが、本作が過去の数作と違うのはミディアム・テンポの
曲に力が漲っているように感じられるからである。まあ、これは聴き手の捉え方次第で
どうとでも解釈できるので私の解釈が正しいかどうかは実際に聴いた人にしかわからない。

かつて、モット・ザ・フープルは「ストーンズを父に、ディランを母に生まれた」なんて
アルバムの帯に書かれたことがあった。自他ともにディランの影響を認めるハンターの
作風であるが、体制に抗い価値の正当な評価を見誤るなと常に歌ってきたその姿勢は
今作でも変わらない。だがハンターの本当に凄い処は、そういった全ての警告は単純な
他者批判でなく、全て自分に当てはまり自分に返ってくることを理解していることである。

今作は国内盤が流通している。国内盤は輸入盤を先行予約した人が特典としてダウンロード
できた2曲をボーナス・トラックとしてCDに収録している。できれば国内盤を手にして
じっくり聴いていただきたい。ソロ・キャリア中5指に入る傑作なのだから。

MUSIC . . . IT'S A LIFE .

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HUNTER x HUNTER

2016-10-22 08:42:12 | ROCK

 

掲載写真はイアン・ハンターの長い歴史を振り返るには最適の30枚組ボックス
「STANDED IN REALITY」。28枚のCDと2枚のDVDで構成され、そのうち
8枚のCDがレアリティーズや未発表ライブである。残念ながらどこでも購入できる
商品ではなく、PROPERMUSICのHPでしか購入ができない。

LPサイズの箱に全ての盤は紙製ジャケットで収納されている。ハード・カバー装丁の
88ページに及ぶブックレットはほぼ全曲にイアンによる解説があり、今後のハンター
研究に大いに役立つだろう。「ALL-AMERICAN ALIEN BOY(流浪者)」のリア・
ジャケットに描かれたイラストの元になった写真にイアン自身のサインが添えられている
のが嬉しい。

CBSから出たアルバムには30周年記念にCD化された際のボーナス・トラックが
そのまま追加されている。95年に「SHORT BACK N' SIDES(双璧のアウト・サイダー)」がCD化
された際にレア・トラックを13曲収録したボーナス・ディスクが添付されていたが、
それも全てこのボックスで聴くことができる。ただ、「YOU'RE NEVER ALONE WITH
A SCHIZOPHRENIC(バイオレンスの扇動者)」の30周年盤に添付された15曲入りの
ライブ盤のうち9曲はボックスに未収録。ただし、そこに5曲収録された79年の
ハマースミス・オデオン公演の曲は今回のボックスに18曲(!)収録されている。

DVDは全編見どころ。中には画質の劣るものもあるが75年から12年までのPVや
TV出演の映像をまとめて見ることができるのが嬉しい。『ONCE BITTEN TWICE
SHY』の78年版PVこそ私が最初に見た「動くイアン・ハンター」(笑)なのだが
これを高画質で見られるなんて・・・。

2枚目のDVDには3つのコンサートを収録してある。これは詰め込みすぎか?(笑)
ちょっと画質が落ちるようにも思えるが慣れれば大して気にはならない。79年の
トロントでの演奏は初登場。懐かしいのは81年のニューヨーク公演でこれは遥か昔に
「IAN HUNTER ROCKS」としてVHSが販売されていた。シルクハットのハンターに
痺れたものだ。02年のオスロ公演は過去にDVDでリリースされたが、今回は
かつてのDVDで何故かボーナス・トラック扱いだった3曲を本編に組み込んでの
再編集。

さわりを見聞きしただけだが、楽しみ処満載。高額物件だけに例によって税金を
2380円支払った。(笑)まあ、これからたっぷりと楽しもうと思う。

ところで。この箱のリリースに先駆けて7曲入りのサンプル盤がリリースされている
のだが、そこにはボックスに未収録のライブが2曲ある。ここは後付け上等で
サンプル盤も行っとくか・・・。(笑)

明日は、ハンターの現役感を見事に反映している新作をとりあげよう。

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THESE DREAMS WILL NEVER SLEEP

2016-10-16 21:18:54 | ROCK

掲載写真はグレアム・パーカーのボックス・セット「THESE DREAMS NEVER SLEEP」。
6枚のCDと1枚のDVDで構成され、サブ・タイトルにTHE BEST OF GRAHAM PARKER
1976 - 2015とあるようにパーカーの歴史を振り返るベスト盤の体裁をとっている。

もってまわった書き方をしたのは、これが単なるベスト盤というよりは現在進行形の
パーカーの在り方を見事に証明するセットでもあるからである。最初の3枚のCDは
デモやライブにスタジオ録音曲で歴史を振り返るもので、4枚目は77年と79年のBBC
ライブを収録。ここまでなら普通のアンソロジーであるが、凄いと思ったのが5枚目と
6枚目に収録された昨年のライブであった。

昨年のロンドンはザ・フォーラムに於ける演奏を収録した2枚のCDは、再編されたルーモアと
ホーン・セクションを従えて70年代と何ら変わらぬ熱気で迫る素晴らしいライブ盤だった。
バンドの維持に掛かる経費を考えればホーン・セクションが常に同行することはないのだろうが
(事実、DVDに収録された15年のブルック・シアターではホーンは無かった)それでも
この編成での演奏を聴いて燃えないわけがない。(笑)

ブリンズレー・シュウォーツやボブ・アンドリュースが元気な姿を確認できるだけでも
嬉しいのに、昔と変わらぬ激しさと渋さを携えて演奏するのだから堪らない。皆、年相応に
老けたがパーカーの喉も健在で選曲もベストに近いのだから素晴らしい。
もちろん初出の79年のハマースミス・オデオンのライブも、ホーン・セクションを
削ぎ落して新しいスタートを切った時期の勢いが伝わってくる、いいライブ盤となっている。

映像は先にも書いたが15年の演奏を21曲と、77年から78年にかけてBBCに
出演した際の演奏を収録。この時期の演奏といえば78年と80年のロックパラストが
商品化されているが、今回は78年のOGWTでの演奏が10曲収録されているのが嬉しい。

派手な組物が続々登場し更には年末に向けて大物の組物が続く中、パーカーのこの箱は
さほど注目を集めないだろうが、彼の過去の足跡と現在の姿を確認できるという意味で
素敵な組物であることは間違いないだろう。

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2016 NOBEL PRIZE IN LITERATURE

2016-10-13 21:45:53 | DAY BY DAY

ポピュラー・ミュージックにおける歌詞の持つ役割は重要である。聴き手自身を
投影させることで個の共感を得ることができ、それが個人史の中での音楽の延命に
繋がるし、社会問題を投影させることで時に誤解を招く危険を孕みながらも、
世論を動かすことも出来る。

今年のノーベル文学賞はボブ・ディランが受賞した。意外なようで当然のような
気がするのが自分でも不思議だ。ポピュラー・ミュージックにおける「詩」という
ジャンルからの選出なら誰よりも最初に名前が挙がって当然かもしれない。
しかし、選考にあたっては数多の世界の小説家や戯曲家とも比較されるわけで、
仮に本人が「賞を欲しい」と思ってもなかなか受賞への道程は厳しいはずだ。
そんな中での受賞はディラン・ファンとして素直に嬉しい。

とは言うものの、私はそれほど熱心にディランの歌詞を追いかけたわけではない。
今の風潮は知らないが、昔のガイド本やその類に「SSWならではのナイーブな感性が
云々」とか、「歌詞が重要」とか書かれたミュージシャンやレコードの紹介文を幾つも見た。
捻くれ者の私は「曲やアレンジより歌詞が重要な人なら詩集でもだして趣旨替えしろよ」
なんて思っていた時期もあった。ま、今も少し思っているけど。(笑)

ディランの場合はそれとは違って、曲もツアー毎に変わるアレンジも好きだったし
何より声や歌唱の節回しが好きだった。ネイティブであればもっと歌詞を理解できた
であろうことを自分の努力不足を棚に上げて羨ましく思いつつ・・・。
それでも、当然ながら好きな曲の歌詞は気になるし、事実幾つかの曲の歌詞の一節は
心に強く突き刺さっている。

ともかく。本人がこの賞(設立された経緯を含めて)をどう思っているか知らないし
どういうコメントを出すかもわからないが、目出度いことだと思う。

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I LOVE YOU , OK

2016-10-11 21:43:29 | DAY BY DAY

今年は広島東洋カープがセ・リーグを制覇し、何となく気分がいい。最近は熱心に
野球を見なくなったし優勝に便乗してにわかファンを気取るつもりはないが、心の中で
ずっと広島というチームに好意的であったのは事実だ。子供の頃にカープ初優勝が
あったこともあって一時は熱心なファンだったのも事実。外木場や水谷がいた頃の話だ。
パ・リーグでは近鉄を応援していたので、79年は身悶えしたのも記憶に生々しい。(笑)

さて。昨日はDVDになった映画「モヒカン故郷に帰る」を見た。劇中、ラジオや
TV中継で流れるカープの試合の場面では常に菊池が登場し、ことごとく凡退するのが
笑えた。映画が撮影されたのは15年4月のことだが、思えばこの年の菊池の成績は
散々だった。今年は見事にタイトルを取ったが。

劇中、中学の吹奏楽部を教える柄本明の台詞に「ヤザワは広島の義務教育」という一節が
あり、思わず笑ってしまった。77年の武道館公演を見た筋金入りのファンという設定
なので納得の台詞であるが、今の中学生にはなかなか理解しがたい台詞かもしれない。
拓郎だとちょっと違うし浜省は広島市じゃないし、民生だと私より上の世代の同意を
得られないだろうし・・・なんてことを考えながら映画を見終えた。

で、その勢いでヤザワのDVDを二本見てしまった。(笑)

            

「THE STAR IN HIBIYA」は76年7月24日の日比谷野音での演奏を収録、「RUN
& RUN」は79年9月15日のナゴヤ球場での演奏を軸にしたドキュメンタリー映画で
80年に公開された。

おそるべき自信とそれを裏打ちするだけの鍛錬と戦略。私個人の音楽史の中でYAZAWA
という項目は実の処キャロル以外はスッポリと抜け落ちており、これらの音楽や映像に
リアルタイムで接することは無かったが、50歳を過ぎた今になって見てその熱量に
やられている。(笑)ま、どっちのコンサートでも客席で喧嘩が起こり、それを
なだめるシーンがあるのだが音楽以外のそういうところがイヤだったのだな、きっと。

今でも熱心な聴き手ではないが、それでもこの時代にここまで大口を叩きそれを
実践し成功したという事実を否定することはできない。「RUN & RUN」の中で
30歳の仲間入りをするパスポートを貰うために今(20代)を頑張っているという
言葉があるが、その言葉の積み重ねが60代の今も続いていると思うとこれはもう
素晴らしいとしか言いようがない。

音楽的な嗜好は私の好みと相反する部分も多いが、この2本の映像には笑いながらも
力づくでねじ伏せられてしまった。

「モヒカン故郷に帰る」からの流れではあったが、濃厚な一日であった。
義務教育にされると、ちょっと困ってしまうのだけど・・・。(笑)

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IN MONO

2016-10-07 20:46:34 | ROCK

       

ローリング・ストーンズの15枚組CD「THE ROLLING STONES IN MONO」を
連日聴いている。もし、「オリジナル・アルバムは全部既発CDで持っているから
これはいいや」とスルーすると、ちょっと損をするかもしれない。それくらい
今回のモノラルCDは音が素晴らしい。

本来はオリジナルのモノラルLP盤でも聴いてれば事足りるのかもしれないが、そんな
気力と金の無い私には、夢のような1セット。いつのリリースの再発CDを基準に
比べたとしてもそれらは全てステレオだったので、今回は別物と捉えて入手するのが
正解だろう。

目新しさ満点で聴いているから改めて感じたのかもしれないが、今までよりリズム隊の
音がはっきりしているし、特にビル・ワイマンさんのベースの破壊力とフレーズの
豊かさに耳がいくのだ。各CDのジャケットの印刷の出来はともかく、間違いなく
全てのCDの音は(音楽は勿論)素敵である。

「STRAY CATS」と題されたシングルやEPの曲を中心に編まれたコンピレーションの
存在が重要で、『POISON IVY』を2バージョン手軽に一挙に聴くことができるし、
『STREET FIGHTING MAN』のシングル・バージョンも然り。『SFM』のシングル
テイクをオフィシャル仕様で所持するのが初めて(笑)なので、個人的にはそれだけ
でも嬉しい。

「BEGGARS BANQUET」収録の『SYMPATHY FOR THE DEVIL』のパーカッション
や、ピアノの迫力に耳を奪われ、「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」中で
鳴るギターの音が凶暴なことに驚く。1STや「12X5」の音もちゃんと整音されて
いるのにオーヴァー・レベルか?と思うような迫力。う~む、素晴らしい。
1ST収録の『TELL ME』はフルレングス・バージョンではなかったが、これは
英国仕様のリリースなのでフルレングスがよかったのに、なんてことも考えてしまうが
面倒くさい検証は、その筋の専門家の方たちに任せてここは思い切り楽しむのが
正しいだろう。

8月の当ブログに記したとおり、私は9枚の7インチが添付されたバージョンを
送料込みの234.99ポンドで購入した。「どうせ単なる復刻だろ」という向きも
あろうが、もしこの9枚がレコード・ストア・デイで一挙に復刻されたら争奪戦が
おこるのは必至だし、何よりそれだけで軽く2万弱くらいはかかるだろうと思えば
CDだけのセットを購入するより遥かに「得」に思えたので、金と手間のかかる
このセットを選んだ。

それよりも何よりも、個人的にストーンズのシングル史上、最強と思っている
『STREET FIGHTING MAN c/w NO EXPECTATIONS』を7インチで所持できる
のが最高だ。

  当たり前だが『SFM』はシングル・バージョン。
このジャケットで欲しかったんです。(笑)

暫くは退屈知らずの夜を過ごせそうだ。

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COME ON COME ON COME ON COME ON BANY

2016-10-04 20:45:13 | THIS SONG

前回のクールはそれほどドラマを見なかった。思いもよらぬ「弱虫ペダル」「DAYS」
そしてこれも何故だか今更のように「HUNTER X HUNTER」にハマり、アニメばかり
見ていたのと、夏帆ちゃん好き好き病(バカ)が再発して映画のDVDを見直したりで
時間がとれなかったのだ。

それでも完全制覇できたのは「こえ恋」「侠飯」「遺産相続弁護士柿崎真一」
「グ・ラ・メ! 総理の料理番」そして「徳山大五郎を誰が殺したか」である。
あれ、結構見ているな。(笑)

「侠飯」は途中で出演俳優が不祥事を起こしたので、撮影済みの箇所やオープニングが
どう編集されるかという、本来の楽しみ方とは違った面白さもあった。
で、「徳山大五郎」である。いかん。これだけ女の子が大勢でると好みの子がいないか
探してしまう。それだけならいいのだが、欅坂46の歌う主題歌や番組内で使われる
音楽が気に入ってしまい、気が付けばメロディーを四六時中口ずさむという結構
気味の悪い状態(笑)になっていた。いかんいかん。CDを買ってしまいそうだ。(笑)

ところで、私は二重人格者である。ああ、別人格がこんなところで出そうだ。

さて。そんなことを書きつつも自称一本気なロックンローラーの私はこのアナログ盤の
発売には飛びつきました。

    コレです。(笑)

到着したブツの梱包を開きながら「COME ON COME ON COME ON COME ON」と
口ずさむと相方が「ドアーズか?」なんて言うので、黙ってコイツを御見舞いして
やりました。「はぁ?」と一笑に付されましたが、気にすることはありません。

45回転12インチ。CDで出た時は買いませんでしたが、アナログ盤ということで
心がざわつきましたよ。(笑)元々、曲自体は好きなのです。一聴して懐かしい
ディスコ物というかフィリー・ソウル(おぉ!)の影響下にあるアレンジなので
捕獲対象となったわけです。

本当は7インチなら最高だったのですが、12インチ上等です。
今はいなくなったメンバーが何人もいますし、主役よりも可愛く目立つ娘もいるの
ですが、この曲が持つ明るく甘酸っぱいムードが爺の琴線を擽り、擽りついでに
今日は誰を指名しようかなと、脳内仮想キャバクラを現出させるのです。(笑)
今のメンバーなら、ゆいはん押しかな・・・。
いやいや、本当にいい曲なんですよ。(笑)

明日になれば元に戻るでしょう。

今日の話は・・・忘れてくれ。

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FLY HIGH

2016-10-02 21:48:37 | ROCK

掲載写真はブリジット・セント・ジョンの2枚組コンピレーション盤「FLY HIGH」。
サブ・タイトルに「A COLLECTION OF ALBUM HIGHLIGHTS , SINGLES AND
B-SIDES , DEMOS , LIVE RECORDINGS , SESSIONS AND INTERVIEWS」と
あるように、かなり多岐に亘る内容が詰め込まれている。

CDの1枚目は最初の3枚のアルバムからのセレクションで、ライブ音源の2曲は
「THANK YOU FOR ...」がCD化された際にボーナス・トラックで収録されていた。
このディスクに初CD化音源は無いのだが、気持ちよく聴くことができる並びであるので
何の不満も無い。

CDの2枚目は重要かもしれない。冒頭から4曲収録されているデビュー前の68年に
アル・スチュワートの家で録音されたアセテート音源は初CD化。96年に「THE
FINAL CUT」と題された10インチ限定盤でリリースされたことがあるが、それを
手に入れることができなかった人(私もその一人)には、何とも嬉しいCD化である。

OGWTでの『NICE』や70年5月のフランスのTV番組に出演した時の演奏も音盤化
されるのは初めて。どちらもYouTubeで映像を見ることができ、私はナニして(笑)
DVDに保存している。ここらの映像が正規に登場すれば素晴らしいのだが、
音だけでも十分に魅力は伝わるだろう。

シングル盤『FLY HIGH』のB面に収録された2曲が今回のコンピレーションに収録
されているが、ブリジットのダンデライオン時代のシングルを全て聴くには、06年に
出た3枚組コンピレーション「THE COMPLETE DANDELION RECORDS SINGLES
COLLECTION 1969 - 1972」を入手するのが手っ取り早い。

初出音源は少ないが、これがあるのと無いのとではブリジットの音源を集める上で
大きな差が出来てしまうのだが、そんなことよりも我々はこうして新装パッケージで
また新たな並びで彼女の音に接することが出来るということを悦ぶべきなのだろう。

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THE GOUSTER

2016-10-01 21:39:20 | ROCK

掲載写真は「WHO CAN I BE NOW ? (1974 - 1976) 」と題されたデヴィッド・
ボウイの12枚組ボックス。ボウイのキャリアを一定の年数で区切って総括するボックスで
昨年リリースされた同じく12枚組の「FIVE YEARS」の続編である。

何故か「FIVE YEARS」はスルーしたのだが、今回のボックスはリリースのアナウンスが
あった時点ですぐさま予約した。アルバム1枚1枚の好みの度合いの違いはあるが、
この時期、特に「YOUNG AMERICANS」から「STATION TO STATION」の流れが
実の処ボウイの歴史の中で一番好きであるのでこの2枚を最新リマスターで聴きたいと
思ったのと何より幻のアルバム「THE GOUSTER」が遂に登場するという事に胸躍った。

あの「DAVID LIVE」はフィラデルフィアでの5公演から収録されたライブ盤であるが
そこで立ち寄ったシグマ・サウンド・スタジオ、或いは車での移動中に流れてくる
ソウル・ミュージックに触発されて、「DIAMOND DOG」のイメージを全く踏襲しない
アルバムの制作意欲が湧いたといういきさつが面白い。

「THE GOUSTER」収録予定曲を実際に聴いたのは、ライコが91年にアルバム
「YOUNG AMERICANS」を再発した時のボーナス・トラックとして収録された3曲
なのだが、このどれもが素晴らしかったのだ。起伏に富んだボーカルと大仰なようで
うまく制御されたトラックが秀逸な『WHO CAN I BE NOW ?』と『IT'S GONNA BE
ME』の2曲は何故これらが外されたのか理解に苦しむほど素敵な曲だった。
また、何度もレコーディングされている『JOHN , I'M ONLY DANCING』のディスコ・
バージョンとでも呼べそうなそのアレンジも格好いいものであった。

「THE GOUSTER」は7曲入りアルバムとしてほぼ完成していたが、ミュージシャン
として意欲と好奇心旺盛だった当時のボウイは、この企画を反故にしてしまう。
その理由がジョン・レノン絡みの曲を2曲録音してしまったからということなら、
ミュージシャンやレコード会社が何を優先するかは自ずと決まってしまう。

「THE GOUSTER」は幻となり、アルバム「YOUNG AMERICANS」が登場し
大きなセールスを記録し、ジョンが手を貸したシングル『FAME』はアメリカで1位に
なったのだから結果は正しかったのだが、個人的にはライコの91年盤CDを聴いて
ボーナス・トラックばかりに気が行くようになったのだからタチが悪い。(笑)

しかし、やっと「THE GOUSTER」が目の前に登場した。贔屓の引き倒し上等で
言わせてもらえば、個人的には正規盤「YOUNG AMERICANS」を遥かに凌ぐ内容だと
思う。というか、「THE GOUSTER」に『FAME』と『ACROSS THE UNIVERSE』が
収録されてリリースされれば、最強の盤が出来たのではなんて夢想すること自体が
虚しいのであるが実に楽しいのだ。(笑)今ならCDRの許容収録時間を活かして
個人的に最強の盤を作ることができる。さあ、やってみよう。(笑)
『RIGHT』は低音を効かせたオリジナルもいいが、ファルセットでキメた「THE
GOUSTER」バージョンの方がいいなぁ。

何はともかく「THE GOUSTER」が目の前にあるというその事実だけで嬉しい。
他にもこのボックスには聴きどころが多いのだが、何だか嬉しくて「THE GOUSTER」の
ことに終始してしまった。

ついでに書けば・・・。
ボウイはシグマ・サウンドを訪れた際にMFSBにレコーディングを持ちかけたが
断られている。得体のしれない奇妙な白人の依頼だったからかもしれないが、その
結果ボウイが集めたのがカルロス・アロマー、ウィリー・ウイークス、アンディ・
ニューマーク、ルーサー・ヴァンドロスというのだから、彼の慧眼には恐れ入る。

フィリー・ソウルの影響から派生したプラスティック・ソウルが、よりリズムの強化を
前面に打ち出し「STATION TO STATION」が持つ「汗の匂いのしないファンク」へ
変貌するこの時代はもっと評価されていいはずだ。

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