HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

あの娘の好きなチャーリー・ワッツ (前から)

2023-05-03 11:11:08 | ROCK

私的チャーリー・ワッツの名演10選、後半なのに(前から)です。(笑)
チャーリーのドラムゆえに思わず前のめりになるような演奏の数々から選んだ4曲は・・・。

 

DIRTY WORK
チャーリーがバックビートを叩くときにハイハットを抜くようになったのはいつからだろうか。71年のマーキーの映像では
まだ見られないが、72年のモントルーでのリハーサルの映像(「BEAT CLUB」ですね)ではハイハット抜きを確認できる。
2拍4拍でハイハットを抜く奏法はチャーリーが発見したわけではないが、これが例え少々もったりした曲でも
演奏の疾走感を出すのに大きな貢献をすることを広く知らしめ、事実ストーンズはその恩恵を大きく受けている。

選出曲は同名タイトルのアルバムのB面3曲目に配されている。もったりどころか、ストーンズにしてはテンポの速い曲で
ここでのハイハット抜きは強烈な疾走感をもたらす。どちらが寄せたのかは知らないがビル・ワイマンのベースと呼応する
バスドラムの演奏も良い。速い曲にありがちなスネアのもたつきもチャーリーの魅力と言えば褒めすぎか?。キースとロンの
ギターの爆裂した音のぶつけ合いも素敵なので、ライブで聴くことができなかったのが残念だと今になって思う。

この曲の次に配された「HAD IT WITH YOU」はベース抜きのため、よりチャーリーの演奏の機微を聴きとることができる。
アルバム「DIRTY WORK」録音時のチャーリーは諸々の事情で不調であったという。そのせいか、アルバム・クレジットには
ドラマーのスティーブ・ジョーダンの名前があるが、曲ごとの詳細なクレジットは無い。ロン・ウッドがドラムを叩いた
「SLEEP TONIGHT」は別にして、チャーリーが叩いてない曲があと2曲はあると思うがこれは私の思い込みで想像の域を出ない。

・RIP THIS JOINT
「EXILE ON MAIN ST.」のA面2曲目。名曲揃いの「EXILE ON MAIN ST.」には、それに比例するようにチャーリーの演奏が
素晴らしい曲が多い。なかでも『RIP THIS JOINT』はバンド一丸となっての演奏がスピードによる高揚を見事に演出している。
曲が始まって1分ほどで無理やり差し込まれるスネアのロールに、「おぉっ!」と思ったのは私だけではないでしょう。
キースが歌う定番の『HAPPY』のドラムが、この時期には珍しく単調なのはチャーリーが叩いてないからだとしたら、
ダラダラしたセッションで出来たアルバムだけに、「もうちょっと長くダラダラ時間をかけてチャーリを待っても良かったのに」と
思うのであった。それとも、プロデューサーで打楽器経験のあるジミー・ミラーの意向を優先させたのかなぁ。

 

・DANCE (PT. 1)
「EMOTIONAL  RESCUE」の1曲目。前作「SOME GIRLS」からバスドラムの演奏スタイルに「4つ打ち」を取り入れた
チャーリー・ワッツ。数あるストーンズの「4つ打ち」スタイルの曲で最も複雑なリズムの曲ではないだろうか。単純に1小節で
均等に4回バスドラを踏むことで、右手左手左足でいろいろと複雑に遊ぶ余裕が生まれた結果の16ビート。
オープン・ハイハットも均等に絡めた16ビートなので、ハイハットだけに集中して聴くと、その情報量の多さに
気が遠くなる。(笑)78年頃からチャーリーのドラム・セットに18インチのチャイナ・シンバルが加わるのだが
その響きもおそろしく格好良い。後年、ライブで演奏された際には複雑なリズムのニュアンスまでは再現できなかったのだが、
スタジオ録音を聴く限りでは、もし「スネアとハイハットとバスドラムだけで演奏しろ」と言われたら、チャーリーは
それが出来る最強のロック・ドラマーの一人ではないかと思わずにはいられない。

・START ME UP
全米NO.1を獲得した「TATTO YOU」の1曲目。プロモーション・ビデオの格好良さは勿論だが、私的には初めてこの映像で
チャーリーのハイハット抜きの演奏シーンを見て驚いたのも懐かしい。私にとっての「ストーンズ事始め」でもあるので
この曲は外せない。元々この曲は78年の「SOME GIRLS」制作時に既にあった曲なので、当時を反映してかバスドラムは
「四つ打ち」。以前も書いたがイントロ最初のドラムの入り方が絶妙で、これが正しかったのか間違ったけど良かったから
採用したのか、いずれにせよライブでは再現しにくいスタジオ録音ならではの味がある。

何だかんだと10曲選んだのだが、ここではたと気が付いてしまった。
「あ、ライブ盤から選んでいない。」
ストーンズの魅力はライブ盤でないと感じ取れない部分もあるし、オフィシャル盤は元よりマニアの皆様方には遠く及びませんが
ブートレグを200枚程手にしていながら、ライブ盤の存在を失念するとは些か軽率であった。
後ろから前から攻めたのにイききれないとは。ここは延長をお願いするしかない。(笑)
後ろでも前でもない、今度は直球ド真ん中。生のド真ん中。延長戦は「生中」である。(ごめんなさい、卑近な例えで)

延長戦はライブ盤から選んだ数曲を。まだ、Adiósとはいかなかった。
というわけで、約束はできないけど・・・・。

Hasta mañana


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あの娘の好きなチャーリー・... | トップ | あの娘の好きなチャーリー・... »

コメントを投稿