HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

LEE PERRY / KUNG FU MEETS THE DRAGON

2010-07-31 17:13:16 | REGGAE
先日BSで放送されたのを録画しておいたブルース・リーの映画を一挙に3本見た。
何れも、かつて見たことがあるのだが、かなり昔に見た映画もあり曖昧だった記憶が
正しく修正されたり、新しいことに気付いたり。
小学生の頃、ブルース・リーは大ブームだった。学校の近くの駄菓子屋ではブルース・リーの
カードが売られていたので、ライダー・カードと並行して集めたものだ。

初めて映画を観た時と違って、ロック者となった今は映画のBGMとかも気になるわけで、
「死亡遊戯」の音楽担当のクレジットにジョン・バリーの名前を見つけると「ああ、ジェーン・
バーキンの元夫だなあ。」と思ったり。
面白かったのが71年制作の「ドラゴン危機一発」。この映画は何度も音声や音楽の編集が
改変されて放映されたり商品化されているようなのだが今回の放送は広東語バージョンで、
BGMは74年以降に使われた英語バージョン。
それ故に71年の制作時には有り得ないはずの、ピンク・フロイドの「狂気」やキング・
クリムズンの「太陽と戦慄」からの曲が、平気で流れてくる。(笑)
それよりも、ちゃんと権利をクリアしているのかが心配になったりして。

ブルース・リーから思い浮かぶレコードというと、リー・ペリー制作の掲載写真の1枚。
アルバム・タイトルが「KUNG FU MEETS THE DRAGON」で、ジャケットもそれっぽく描かれている。
靴底を大きくみせる蹴りは、映画「死亡遊戯」での見せ場である五重塔で三番目に待ち構える
ハキムを想起させるが、アルバム制作は75年であることは申し添えておこう。
ジャケット左端にブルース・リーらしき人が描かれているのも面白い。

音はと言えば、激烈なダブというものではないがバラエティに富んでいる。
オーガスタス・パブロのメロディカが鳴り響く曲があれば、リンヴァル・トンプスンが
「ウッ」とか「ハッ」とかの勇ましい掛け声の後ろで渋く歌う、その名も「KUNG FU MAN」
という曲もある。多分御大ペリーが低く唸っているのであろう「FLAMES OF THE DRAGON」の
雄叫びとクールな演奏の対比も楽しい。
現行CDはボーナス・トラックが5曲あって、その中の「23RD DUB」はあの「TSOP (The Sound
of Philadelphia)」を渋くレゲエ仕立てで演奏している。

怪鳥音は聞かれないけれど、楽しい1枚だ。

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サンハウス / 金輪祭

2010-07-29 20:47:41 | 日本のロック・ポップス
サンハウスはメジャー・デビュー35周年を記念して、今年5月にオリジナル・レコーディング・
メンバーでツアーをした。掲載写真「金輪祭」はそのツアーでのライブを収録したDVDとCDを
収録したセット。98年の再結成時のDVDやCDも買ったので、今回も「好きなバンドだし
買っておくか。」くらいの軽い気持ちで購入したのだが・・・。

ちょ、ちょっと待ってくれ。これは凄い演奏じゃないだろうか。
オリジナルの70年代のライブ音源を有り難がって、実際私もテープを集めたりしたが
ここまで清々しさと荒々しさを同居させた、腹に響きながらも抜けのいいロックンロールには
なかなかお目にかかれない。リユニオンの演奏がオリジナルを凌駕するというのは
凄いことなのだが、今回のサンハウスの演奏は正にそれなのだ。
ギターもボーカルもリズム隊も全てが有機的に絡みあい、どこまでソロを弾くのか
どこでボーカルが切れ込んでくるのか、ということまでが阿云の呼吸でキマりまくる。

ロック・バンドの在るべき姿と言ってもいい。ギターとボーカルの2人組なんて形態が
本当に面白いのか?。実際、日本のポップス界(敢えてロックと言わないけど)では
こんなユニットが沢山いて売れているのだが、バックの演奏家を雇って演奏するのと
バンドマンが叩きだすダイナミズムというものは全く違うものだ。バンドマン幻想と言いたい
ヤツには言わせておけばいい。

映像には鮎川誠と菊のコメンタリー解説が副音声で入っているのだが、通してライブを
見た後は、副音声をONにして見ることをお勧めする。ストーンズにブルーズやパブ・ロック、
パンクの影響というのは、よく語られるし聞きとることは容易いが、ルー・リードやロキシー、
ジェスロ・タルやエルビン・ビショップの影響をメンバーが語る意味は大きい。
以前からキンクスの影響の大きさこそ、もっと語られていいと思っていたのだが、今回は
二人がそれを大々的に語ってくれ、それが個人的にはとても嬉しかった。

できるだけ、大勢の人に見ていただきたい。
そして、世界中が酔っ払えばいい・・・。



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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 54

2010-07-27 21:01:13 | 日本のロック・ポップス

今まで人前で公言したことはなかったが、中島美嘉のルックスを非常に気に入っている。
なんとも意志の強そうな涼しげな目、それよりも眉の整い方があまりに美しいので。
アルバムより映像作品が多いのも、私に言わせれば「当然」である。
あっ、私は女性の刺青にはあまり抵抗はありません。推奨はしませんが肩や腰、へその横に
ワン・ポイントの絵が入っている女性は何人も見てきましたし。えっ?。(笑)

彼女のアルバムをコンプリートで揃えているかというと・・・。
すみません、程遠くて。声も好きなのですが出来れば「歌」よりも「日常の会話をする声」に
興味があって。というわけで、今はテレビの「うぬぼれ刑事」を欠かさず見ている。
まあ、あの番組は「タイガー&ドラゴン」以来の長瀬&宮藤コンビというだけで見てしまうのだが
中島美嘉が登場するだけで、そのシーンは前のめりになってしまう。
そもそも中島の存在を知ったのは2002年のドラマ「私立探偵 濱マイク」だったのだが、
あれから8年も経ったのか。

掲載写真は2003年に発表された2枚目のアルバム「LφVE」。なんとなく手にした1STは
正直なところアレンジが辛かったのだが、これはソウル風味のホーンを隠し味にした曲やクールな
ギターを中心にアレンジした曲があったりで、バラエティに富んだ内容で気に入っている。
シングルにもなった『接吻』はオリジナル・ラブの曲(93年)だが、ついこの間オリジナル・
ラブで聴いたのに、10年後にカバーされて時の流れの速さを感じた記憶が生々しく蘇る。
そしてそれから更に7年が経ったのだから、私は一体何をやっているのか。(笑)

最新曲は『一番綺麗な私を』。タイトルだけでドキドキしちゃう。(笑)
毎週金曜日が楽しみな哀れな爺に憐れみを・・・。

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警告どおり 計画どおり

2010-07-25 20:36:29 | DAY BY DAY
もう、不確かじゃいられない。

日本人が一番好きな洋楽と言うと、もうこれは間違いなくビートルズだろう。
幾らストーンズが「THE WORLD GREATEST ROCK AND ROLL BAND」を標榜しても、その浸透具合は
ビートルズの比ではない。エルヴィスもベンチャーズも然り。
ま、ビートルズが一番なのは英語圏を中心に世界レベルの話なので抗うつもりは全く無い。
もう一度書くが、ビートルズが一番なのだ。

それでは、日本人が好きな自国のロックは?と問われると、これが面白いことに
ビートルズから全くとは言わないまでも、かなりかけ離れた「物」というか「音」が登場する。
日本の風土や国民性、文化その他諸々が背景にあるからと言われれば、そうなのだろうけど
このあまりの整合性の無さに、笑ってしまうというか、個人的には「狭い世界に収束したく
ない。」という思いが強くなる。

唐突に何を書いているのかというと、某誌の「日本のロック・フォーク・ベスト100(60~
70年代)」のランキングを見て、なんとなくそう思ったから。
1位に選ばれたアルバムは嫌いでは無く、どちらかというと好きなんだけれど
ほら、根がキンキーなもんで。(笑)

で、心の中では80年代の1位に「長期休暇」が選ばれて、「幸福な結末」を迎えればいいのにと
思っている。私の心の中での「くだらねぇ。」という思いが増幅して、燃えるのだけれど。(笑)
かつて妹に指摘された通り、俺ってM体質だったりしてね。

80年代は日本のロックをあまり聴いていない。それでも、以前にあった「日本語はロックに
のるか」みたいな論争を簡単に一蹴する音があった。スターリン、イヌ、じゃがたら、そして
フリクションやルースターズ・・・。彼らがどんなランキングになるのか非常に興味がある。
80年代のランキングも60~70年代を選んだのと同じ面子で選んでほしいものだ。
佐野元春が89年にリリースした大傑作「ナポレオンフィシュと泳ぐ日」の運命や如何に?。

すべては警告どおり。
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VIVIAN STANSHALL / SIR HENRY AT RAWLINSON END

2010-07-24 15:25:53 | ROCK
先日取り上げた「ピーターと狼」でナレーションを務めたのが、ボンゾ・ドッグ・バンド
創設メンバーであるヴィヴィアン・スタンシャル。ヴィヴィアンの「歌」では無く「語り」を
聞いたことが無いと言う人でも、あのマイク・オールドフィールドの出世作「チューブラー・
ベルズ」で楽器紹介のMCを担当した人と言えば、その「声」に覚えがあるという方も多いはず。
落ち着いたトーンと明瞭な語り口は「音」として聴く者に深い印象を残す。

掲載写真は78年にリリースされた「SIR HENRY AT RAWLINSON END」。自身の作・朗読による
BBCのラジオ・ドラマが好評だったため、放送用の録音を編集してレコードとしたもの。
ボンゾズ時代を彷彿させるヴォードビル調の曲が幾つか収録されているが、そのほとんどが語り。
それでは英語に堪能で無いと楽しめないかというと、これがそうでも無い。
第一、メロディーが付いていても何を歌っているか解からない状態で聞いているでしょ?。(笑)

皮肉はさておき、確かにラジオ・ドラマとしての内容は把握しかねるのだが、「語り」に
効用があるのだ。妙にリラックスさせる声は、就寝時に枕もとのCDラジカセで流しながら
寝ると安眠へと誘ってくれる。勿論、昼間に聞いてもリラックスした午後のひとときを
楽しむことができる。

このアルバムにはスティーヴ・ウィンウッドが参加している為、そっち方面からコレクションの
対象にしている方もいるだろう。LPはA面7曲、B面8曲で構成されているのだが、
私の所持する95年のCDは、トラック分けが2つしかない・・・。(笑)
サー・ヘンリーの物語は84年に「SIR HENRY AT NDIDI'S KRAAL」というタイトルで続編が出る。

86年に住んでいた船が沈没して財産を失い、自身は95年に火事で亡くなるという数奇な
人生を送った男の「声」は時代や国を超えて、今も聴く者を魅了し続けている・・・。
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PETER AND THE WOLF

2010-07-22 11:19:17 | ROCK
日本のプロ野球も前半戦が終了、いよいよ次はオールスター戦である。
おいおい、そんなに野球が好きなのかい?と問われると、そうでもないわけで。
今時の若い衆には理解できないかもしれないが、昔は学校や職場で環境が変わると
「どこのチームが好きなの?」とか聞かれたものだ。
「チーム」であり「クラブ」でないところに注目して欲しい。(笑)

いや、そんな話はどうでもいい。オールスター戦である。
ロックのレコードにも「オールスター戦」と呼ぶに相応しい派手な面子でのアルバムが幾つか
あるが、その中でも私のお気に入りは「ピーターと狼」である。
セルゲイ・プロコフィエフの原作を、当時の精鋭ミュージシャン達がロック版に仕立て直した盤で
原作の内容を知らない方でも、有名な「ピーターのテーマ」のメロディーを聴けば
聞き覚えがあるという人も多いはず。

このレコードの面白いのは、キーボードやシンセ、ギターやドラムズ等の楽器が通常の
ロックのフォーマットで使われるよりも遥かに多彩な表情や音色を聞かせるという点だ。
狼役のブライアン・イーノのシンセと、アヒル役のクリス・スペディングが絡む「WOLF AND
DUCK」のバトルは個人的ハイライトで、楽器の表情がこれほどまでに豊かな演奏は
一聴の価値あり。この曲以外のアヒル役のギタリストはゲイリー・ムーアなのだが、
ここでのゲイリーの演奏も実に多彩で面白い。ハード・ロックは銭になるのだろうけど、
こういう演奏でアルバムを作ってくれればとすら思う。

狩人役のドラマー陣も豪華。コージー・パウエル、フィル・コリンズ、ビル・ブラフォード、
そしてジョン・ハイズマン。メイン・ドラムスはフィルなのだが、「PETER'S THEME」での
ドラムスはコージー。マンフレッド・マンの煌びやかなシンセとブランドXのベーシスト、
パーシー・ジョーンズとの絡みはバッチリで、タイトなドラムスを聴くことが出来る。
ドラマー勢ぞろいの「HUNTERS」では、とりあえずクレジットはあるものの、名前に
期待して曲を聴けば「あれ?」となるのも事実。
本来なら最も盛り上がるはずの大団円であるオリジナルの「ROCK AND ROLL CELEBRATION」が
一番お粗末な曲という、笑えないオチもある。

先に名前を挙げた人以外にはゲイリー・ブルッカー、アルヴィン・リー、キース&ジュリー・
ティペットらが参加。もうお腹いっぱい。
これから聴いてみようと思う未聴の方がいれば、できれば日本盤のLPを探していただきたい。
詳細なクレジットは勿論、物語の進行に則したイラストと簡単な解説が、アルバムを聴き進め
より深く理解する上で、これ以上ない最良の手助けになる。

まあ、騙されてみてください。(笑)
原作でも重要なのがナレーション。次回はこのロック版「ピーターと狼」でナレーションを
担当した人を取り上げます。
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JACKIE MITTOO / NOW

2010-07-20 21:06:59 | REGGAE
掲載写真はジャッキー・ミットーのアルバム「NOW」。
実に面倒くさいアルバムである。
実際のところ、オリジナル・アルバムというより、コンピレーションという色合いが
強いせいなのだろう、オリジナル盤の発売から現在の再発に至るまで、同じ内容、曲順で
リリースされたことが一度も無いのである。

69年のオリジナル盤はジャケット無しでの発売、翌70年の再発盤のジャケットが
現在手に入る再発CD、LPに使われている。現行CDが一番曲数が多いのだが、
69年のオリジナル盤のA面収録曲はごっそり収録されていないのは何でだろう?。
そんな疑問を抜きにしても、素晴らしいレゲエ・マジック炸裂の1枚なのだから
これを聴かない手はない。

ジャッキーの数あるレコードの中でも、ソウル寄りのアレンジの多い盤で、「STEREO FREEZE」に
おけるJ.B.顔負けのファンキーなギターのワン・コードのカッティングを軸に展開する、
オルガンや諸々の楽器の遊び心は、最高だ。追加トラックのウイリアム・デヴォーンのカバーも
このアルバムのソウル風味を高めている。ビートルズや、ニール・ダイアモンド、
クリスティーのベタな曲を選ぶのがいかにもジャッキーなのだが、これらが皆エキゾチック
だったり、遊園地のアトラクションを楽しむかのような長閑さを漂わせているのが嬉しい。

「TORONTO EXPRESS」と題された曲はCSN&Yの、あの曲である。
♪This summer I hear the drummin'.Four dead in Ohio.♪

エアコンのぶっ壊れた車を走らせながら、汗だくで聴きたい1枚。
あっ、私の車のエアコンはちゃんと稼働しますから。(笑)
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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 53

2010-07-19 09:14:39 | DAY BY DAY

なんとなくジャケ買い。(笑)
いやいや、それもあるのだけれど大半の曲のプロデューサーがトニー・ヴィスコンティとくれば
気にはなるというもの。えっ、どんなふうに気になるのかって?。
それは「金髪の肉感的な若い女性をプロデュースするのだから、頑張ったんだろうな。」って
感じで。あっ、これはメリー・ホプキンを念頭に置いての想像ですから、全く無関係な
発想ではないのですよ、と何故か言い訳。(笑)
ま、私がボウイ様やマーク・ボランのファンであることは今更書くまでもないことですから。

ポップな作品と言われる1STは聴いていなのだが、先に挙げた2つの理由でルーシー・
ウッドワードの新譜「HOOKED!」を聴いた。レーベルがヴァーヴということもあるのだろうが
実にバラエティに富んだ楽しく思慮深いボーカル・アルバムに仕上がっている。
正に跳ねると言う言葉が相応しいジャンプ・ナンバーから、ムーディーなバラッド、ラテンや
ブルーズまでを咀嚼する能力は素晴らしく、ハスキーな声と併せて本来は耳障りなはずの
ブレスまで魅力的に思わせる。スタンダード・ナンバーも取り上げているが、自作曲の完成度が
高いのも良い。どこかで聴いたような懐かしいメロディーの断片かもしれないが、それは
ノスタルジックなアレンジによるところもある。何れにしろ、私はこのアルバムを気に入り
何度もリピート再生している。ちょっと趣は違うが、このアルバムを許容範囲とする下地は
バスター・ポインデクスターやスウィンギン・バッパーズに鍛えてもらった成果でもある。

女性の写真というのは不思議である。フロントとリアのジャケット写真は角度が違うという
だけで全く違う趣だし、HPやその他の写真を見るとまたまた別人に出会ったような気にも
させる。色んな角度で楽しんで、ということだと好意的に解釈するのが男前であるのは
言うまでも無い。
LUCY JUMPS AGAIN !

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 52

2010-07-18 09:17:41 | ROCK

フェアポート・コンヴェンションの歴史を紐解く時、サンディー・デニーの余りの評価の高さ故に
少し低いポジションで語られるのが、ジュディ・ダイブル。ファースト1枚のみで脱退した
というのも理由の一つだろうが、私はジュディの低く篭った声が結構好きである。


ジュディ・ダイブルの歌唱を初めて聴いたのは、かの「A YOUNG PERSON'S GUIDE TO KING
CRIMSON」に収録された『I TALK TO THE WIND(風に語りて)』。ジャイルズ・ジャイルズ&
フリップとしての録音で、先に聴いていた「クリムズン・キングの宮殿」に収録された
トラックの完成度には及ばないものの、この声もいいなあと思ったものだ。
ジャイルズ・ジャイルズ&フリップの未発表集「METAPHORMOSIS」が出た時は当初LPのみと
噂されたので慌てて買ったのだが(後にCDも出た)、そこにジュディが歌う曲が2曲
収録されていて「おおっ」と思ったり、『風に語りて』のジュディ抜きバージョンを聴いて
「えっ?」と思ったりしたのも懐かしい。

掲載写真は2006年に出たアルバム「SPINDLE」。ロバート・フリップ参加曲があったのと
「SEE EMILY PLAY」(笑)のカバーが収録されているという理由で購入した。
英国フォークと言われて、ファンが勝手に想像するような「木々の緑」とか「曇天」とかの
イメージはここにはなく、モダンでアッパーなアレンジはジュディの声さえケイト・ブッシュの
ような「厄介な不思議女」(失礼)のように聞かせてしまう場面があるのが少々残念。
「SPINDLE」リリースから遅れること5か月、同じようなデザインで緑のジャケットの
「THE WHORL」がリリースされていたことに気が付いたのが昨年のこと。ここに2006年版
『風に語りて』が収録されていることを知り、買い逃した事を後悔することしきりである。

ジュディの歌唱で一番好きなのはフェアポートの1ST収録の「I DON'T KNOW WHERE I STAND」。
作者のジョニ・ミッチェルの曲自体が絶品というのも大きいが、リチャード・トンプスンの
ギターとジュディの歌唱が無ければ、ここまでの名曲名演になっていなかっただろう。
インクレディブル・ストリング・バンドの『THE HUNGMAN'S BEAUTIFUL DAUGHTER』収録の
「THE MINOTAUR'S SONG」にノー・クレジットであるがコーラスで参加しているので、
お持ちの方は、再確認してください。
そのままアルバムを流せば素敵な日曜日の始まり・・・。(笑)

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 51

2010-07-17 21:17:28 | ROCK

kate & Anna McGarrigleが75年にアーティスト名を冠して発表したアルバムは一聴した限りでは
地味なのだが、何度も聴くうちにゆっくりと体に染みこんでくる優れたアルバムだった。
バックに参加したメンバーの名前で買った人も多いかもしれない。(お、俺か。)
日本語に置き換えるのがなかなか難しい名前だが、ケイト・マッギャリグルは今年1月に
癌で亡くなった。そのケイトの娘がマーサ・ウェインライト。

掲載写真はマーサが2008年にリリースした「I KNOW YOU'RE MARRIED BUT I'VE GOT FEELINGS
TOO。」意味深であるものの、覚えにくいタイトルのこのCDをなんで気に留めたかというと、
答えは簡単で、ピート・タウンゼンドが2曲ギターで参加しているから。(笑)
全く失礼な動機での買い物であったが、こんなきっかけが思いもよらぬ出会いを演出するものだ。
ピートのプレイはクレジットがあっても「らしさ」をなかなか見つけにくいのだが、
マーサのソングライティングの良さとボーカルの素晴らしさを知るきっかけになったし。
複数のプロデューサーを立てているが、アルバムの統一感が損なわれていないのも良い。

カバー好きに堪えられないのがピンク・フロイドの「SEE EMILY PLAY」のカバー。
なんとこの曲のプロデューサーはケイト・マッギャリグルで、アンナ・マッギャリグルと
共にオルガンやシンセを演奏し、バック・ボーカルも担当している。
母親のアルバムも娘のアルバムも、バックの面子に惹かれて買ったのは事実なのだが、
なんとなく美しい数珠繋がりでなかろうかと、自己満足と共に今宵も更けていく・・・。(笑)

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CDを買ってバッヂを貰いました

2010-07-14 20:33:52 | DAY BY DAY
韓国のレーベル「BIG PINK」の快進撃が止まらない。レアなSSWのアルバムを次から
次へとCD化していく様は圧巻で、「本当に権利をクリアしているの?」とやっかむ声が
起こっても不思議じゃないくらいのレア盤をCD化している。
私がこの手のジャンルに疎いということを差し引いても、これだけ『世界初CD化』が続けば
どれもこれも聴いてみたくなるし、SSW物を熱心に聴いている方は尚更だろう。

掲載写真はジャック・ハーディーが71年に自身の名を冠して発表したデビュー・アルバム。
アコースティック・ギターにペダル・スティールが絡む曲はカントリー・フレーバーを
漂わせるし、弾きがたりだと見事に憂いを感じさせる歌唱を聞かせる。
決して上手い部類に入るとは言えないが少々しゃがれた声が、またいい感じ。
全曲自作の曲も粒ぞろいなので、SSWファンの秘宝で終わるのは勿体ないアルバムで
もっと広く聞かれるべきだろう。勿論これも世界初CD化。

それにしても、何で墓場を背景にアルバム・ジャケット写真を撮ったのだろう。
もっと気の利いた場所はなかったのか?(笑)ジャック・ハーディーの目つきのヤバさと
あわせて気になるところなのだが、2010年に初めてこのアルバムを聴いた私は
「刻まれた音とジャケット写真の雰囲気が一致していて良い」なんて思ったのも事実である。

「BIG PINK」シリーズは発売されてから数カ月経つと、日本ではVIVIDから発売されるので
それを割引で買える某HP(笑)で購入していたのだが、リリース量が増え尚且つ円高が
続くので、ここ何回かはeBayに登録している業者から購入している。
今回購入すると、荷物の中にはおまけで缶バッヂを2つ入れてくれていた。
これを付けることは無いだろうが、なんとなく嬉しくなった。
幾つになっても、おまけは嬉しいものだ。(笑)
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追悼 シュガー・マイノット

2010-07-13 21:20:33 | REGGAE
7月10日、シュガー・マイノットが54歳の若さで亡くなった。心臓を患っていたという。

マイノットはディー・ジェイではなく、シンガーであったが既成のリディムに全く別の
メロディーを乗せるという手法を編み出し、多くのヒットを放った。
ダンスホール大将の異名をとったかと思えば、ラヴァーズロックのスタイルでも成功を収め、
また、後進の活動のために尽力した人でもある。

掲載写真は81年にリリースされた「GOOD THING GOING」。アルバム冒頭に配されたタイトル曲は
マイケル・ジャクスンのカバーで英国でヒットした。このアルバムには「WALK ON BY」のカバーも
収録。尖った音はここには無いが、ジャケット写真のようにちょっと気取った小粋なレゲエも
いいものだ。私の好みから言えば少々外れるところもあるのだが、偉大なシンガーであるのは
間違いない。

そして、私はこのアルバムの対局にあるチャンネル・ワンで録音された84年の「BUY OFF THE
BAR」を愛聴する。全曲マイノット作の名盤なのだが未だにCD化されていない。
今夜はこれを聴いて御開きにしよう。
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WEREWOLF IN PENNSYLVANIA

2010-07-12 20:54:52 | ROCK
掲載写真はマイケル・ハーレーが71年に発表した2枚目のアルバム「ARMCHAIR BOOGIE」。
マイケルのHPではCDRの形態で購入することが可能であったが、300枚限定の紙ジャケで
CD化された。またしても韓国産。ここ数年の韓国におけるSSWのレア盤のCD化には
目を見張るものがあるが、これもそんな1枚。

紙ジャケといっても作りは大したことなく、ジャケットの中を見るとテープで貼っている
箇所がある。(笑)リア・ジャケットはオリジナルのものではなく、現在流通しているCDRや
再発LPを基にしているようだが板落としではないようだし、プレスCDなのでこの再発を
歓迎する向きも多いだろう。

脇道に逸れるフォーク。決して本流では無いのだろうが、まったりした歌唱とギターを
聴けばすっかり弛緩し和んでしまう。曲によって聴くことができるフィドルやピアノも効果的。
このCD、念の入ったことにLPのA面が終わる時、つまり7曲目が終わりB面1曲目にあたる
CD8曲目が始まるまでの曲間が若干長い。
偶然かもしれないが、なんとなく気が利いている感じがして嬉しい。(笑)

ライナー替わりのインタビューの冒頭で、この後のアルバムやマイケルのコミックにも登場する
狼男のキャラクターは、実はコリー犬がモチーフになっている事が明かされる。
マイケルの狼男がなんとなく憎めないのは、そういう訳なのかと犬好きの私は納得。

ビールとロッキン・チェアーでゆらゆらしながら聴きたいアルバムだ。

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LYNN TAITT & THE JETS / HOLD ME TIGHT

2010-07-11 15:43:59 | REGGAE
ビートの強いスカに比べて、ゆったりとしたリズムでしっかりしたメロディを持つのが
ロックステディ。ロックステディはアメリカのソウル・グループを参考にした所謂コーラス・
グループの時代で流行した期間は短かったのだがレゲエもソウルも好きな人にはたまらない
時期でもある。昨日取り上げたエデズモンド・デッカー&エイシズもそんな中に
位置付けされる。

ロックステディ黄金期を支えた一人がリン・テイトで、デッカー&エイシズの「007 SHANTY TOWN」でも演奏している。
掲載写真は2005年に出た2枚組ベスト盤「HOLD ME TIGHT (ANTHOLOGY 65-73)」。
1枚目には主にリン・テイト&ザ・ジェッツを名乗って録音したインストを、2枚目には
演奏に参加したロックステディの名曲をこれでもかと詰め込んだ聴きごたえのある編集盤。
ジャケット写真はリンの68年のアルバム「ROCK STEADY」の流用。もうこの写真を見ただけで、
アイク・ターナーと同様の格好よさを感じるわけで同じように感じた方には「間違いない」と
言っておきましょう。(笑)フロント・ジャケットのアーティストの綴りが違うのが
「何だかなあ」という気分にさせるが、内容は100%満足保証。

これ見よがしなギター・ソロなんてものではなく、印象的なメロディーを弾くという表現が
適切な人で、『PRESSURE AND SLIDE』を聴くと、「あのジュニア・マーヴィンの『POLICE AND
THIEVES 』の先祖はこれか?」なんて勝手な想像をするのも楽しいのだ。
リー・ペリー、グラッドストーン・アンダースン、トミー・マクックをそれぞれフューチャーした
曲は、強烈なゲストの個性を消すことなく、バッキングの中にさりげにキメのフレーズを忍ばせる。
ディスク2を聴くと、またまた収録されたアーティストのオリジナルのレコードが欲しくなる。
特にキース&テックスは早期のCD化を熱望。

68年の「ROCK STEADY」も欲しいのだが、現在手に入るLPはモノクロ・ジャケット。
カラー・ジャケットで再発されるといいのだけど。

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DESMOND DEKKER THE ACES / 007 SHANTY TOWN

2010-07-10 20:48:54 | REGGAE
ピーター・バラカン氏に「最強のサントラ」と言わしめたレコード、それが映画「THE HARDER
THEY COME」のサントラである。実際、これはレゲエの枠を通り越して全てのレコードの
中でも特筆すべき内容を誇るもので、私自身何度聴いたか解からないくらい聴いた。
ジミー・クリフが歌うタイトル曲は勿論、収録されたメイタルズ、スリッカーズ、メロディアンズ
の曲はどれも印象に残り、その曲を収録したアーティストのオリジナル・アルバムも
買いそろえた。つまり、レゲエの門戸を叩いた者への格好のサンプル集であり道標でも
あったのだ。

例えばレゲエでも何でもいいが、コンピレーション盤を出すとしたらCDの
収録時間を目一杯使って曲を詰め込み、あるいはそれが組物になることもある。
そうすると、1枚の収録時間が長いため「お得感」はあっても、80分近く集中するのは
難しいし、もしかすると途中で好みで無い曲に出くわして、だれる瞬間があるかもしれない。
それを考えれば「THE HARDER THEY COME」はLPの時代だったというのを差し引いても
12曲40分というのは絶妙の尺だったと言わざるを得ない。

そんな「THE HARDER THEY COME」に収録された曲の中で、オリジナル収録盤になかなか
辿り着けなかったのがデズモンド・デッカーの「SHANTY TOWN」だったのだが、オリジナルの
フォーマットでCD化された。68年に「ACTION!」と題された盤がリリースされていたが、
掲載写真のCDには「THE ORIGINAL CLASSIC 1967 ALBUM」のステッカーが貼られ、由緒正しい
DOCTOR BIRDのレーベル写真も掲載されていて「やっとCD化された」と、なんだか嬉しくなった。

正確に言えばこれはデッカーのソロではなく、3人のコーラス・グループとしてのレコードで
ソウル・マナーに裏打ちされた素晴らしいコーラスとデッカーのリードを楽しむことが
出来るアルバムである。歌手として又ソング・ライターとしても素晴らしい才能を発揮した
デッカーだが、レゲエ史においても、レコード・ガイドのような文脈で語る時も、なんとなく
軽い扱いなのが残念なのだが、このアルバムを機会に一段高い評価が定着すればいいなと思う。
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