Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

打ち鳴らされるべき音

2019-03-08 | 
バタバタしていると生放送まで二時間半になってしまった。書き留めておかないといけないのは譜面を見てから初めてチェックした三種類のシェーンベルク作ヴァイオリン協奏曲の録音である。

既にここで比較試聴をしているので、それについては繰り返さないが読み直さないと記憶にもない。先ずは、日本で評判の良かったヒラリー・ハーンの独奏でスェーデンの放送管弦楽団が付けたもの、次にクーベリック指揮のミュンヘンの放送交響楽団が演奏したツヴィ・ザイトリングという人が独奏したもの、そして最後にブーレーズ指揮ロンドンシムフォニカーでアモワイヤルが独奏したものである。
Pierre Boulez - Schoenberg : Concerto Pour Violon Op. 36 / Concerto Pour Piano Op. 42

Schoenberg Violin Concerto

四年前にギーレン指揮でバレンボイムの独奏で聞いた時は二番目のクーベリック盤が気に入っていて、今回もその良さも確認した。確かに独奏と管弦楽が外れないように各々正確に演奏していて、録音のディレクターの腕が垣間見れる録音になっている。つまり十二分に曲を知るための正しい演奏を心掛けていて、聞かせてくれる。その正反対がサロネンが指揮したCD録音で、よくもこれで発売OKを出したと思うが、何度テークを録り直そうが進歩する可能性が無かったのだろう。私がディレクターなら指揮者に「あなたこれで本当にいいんですか」と確認するだろう。CDを見ると予想していたSONYでなくてDGであったので更に驚いた。

さてあまり気に入らなかったブーレーズ指揮のそれを譜面を目の前に見ると最初の数小節から半拍単位でしっかり数えていて演奏させている。流石のブーレーズの指揮で譜面が無いとそれが上手く確認できなかった。要するにほかの演奏はその程度の精度もないということである。それでも肝心の例えば弦が独奏の上を弾いたりとか様々なトリックがある訳だが、独奏との重なりで奏者が音程を合わせられていない。

今夜の聴き所は、まさしくその音程関係と管弦楽団のアンサムブルで、これはそのもの二年前の悲愴交響曲の総奏で出来ていなかったベルリナーフィルハーモニカーの実力である。このプログラム自体がそうした管弦楽団のための練習曲構成になっている。

もう一つは独奏のコパンチンスカヤの演奏で、ヴァルツァーなどを上手に出してくるのは予想していても、肝心なのはこの複雑なリズム感をどれだけ正確に出してくるかであろう。ハイフェッツ流の技巧は華麗に弾くことだけが問題ではないので、しっかりと分散された音をかき鳴らして二重三重の音を抑えてこれば大丈夫だろう。そこさえ抑えておけばあとは管弦楽団の合わせる腕前である。その点ではこの曲においてもキリル・ペトレンコはいつものように協奏曲の指揮をしてくるだろうと予想する。ペトレンコの指揮に関してはもはや疑う余地が無いほど、腕の見せ所、聴かせどころ満載である。これほど彼向きの楽曲は無いのではなかろうか。動悸を感じるほどに期待が膨らむ。

序でにギーレン指揮のそれを思い出しておくと、手堅いと自身書いたように、テムポの落ち着いたもので繋ぎも上手に準備していた可能性がある。この曲のヴィヴァ―チェマンノントロッポなどは興味深いが、ブーレーズの場合も二楽章が十分に出来ていない。やはりリズムの乗りを上手に振らないといけないに違いない。ブーレーズがいつも全く興味なさそうに過ぎてしまうところである。

しかしこうやって期待ながらにこの楽曲をお勉強していくと、今回の一連の公演で最もエキサイトで素晴らしいヴァイオリン協奏曲の位置を獲得する可能性が高いと思った。そしてその内容もベートーヴェンのものと比べても遥かに重層性がある。

肉屋に寄って一寸したものを買った。いつものように僅かばかりの分量を別けて貰うと、「あんたは節約家だから」と言われた。ドイツで節約家と言われれば本望である。勿論そのようなことは本当に節約のシュヴァーベン地方では口に出さない。皆が同じだからだ。要するに節約の意味を考えている人ばかりだからである。しかしここワイン街道辺りになると気質が異なる。そうした節約があってこその経済の効用はとても爆発的で堅調となるのである。



参照:
十二音の対位法の映像化 2013-12-20 | 音
首を振って音を追う 2019-03-04 | 音

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