Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

特典を使い、厳寒で酔い覚まし

2009-12-21 | 試飲百景
三十分も歩くかどうかで耳が痛くなった。温度は零下二桁には至ってはいなかったが尾根上に強い風が吹いて、体感温度は零下二十度に近かった。耳の痛さが消えるほどにするにはもう一時間以上歩いて、完全に凍らせてしまわなければいけない。なにも痛い目をする必要はないので車に戻ったが、かなり酔いは醒めた。

朝から十種類ほどを試飲して来た。本年最後から二つ目の試飲である。クリスマスプレゼントにも購入したソヴィニオン・ブランが、ヌーヴォーに次いで2009年産のお初であった。昨年ものと比べると明らかに酸が柔らかいが風味は良い。少なくとも「今年一杯」は十分に楽しめる。四週間ほど前に瓶詰めされたと言う。ブルグンダー種は二種類とも苦味が出ていてあまり奨められない。なによりも価格の割りに水っぽいのは問題である。

ブラインドで飲まされたキーゼルベルクは、本来ならば春に出荷されるものが、四週間前まで寝かされていた価値があるかどうかであるが、なるほど大人しさに驚いた。まるで当たりがルーヴァーのカルトホイザーの土壌をスレートから砂岩にしたような感じである。その意味からも、残糖量3.1G、残酸8.1Gからも、本格的辛口と言うしかない。風味も落ちているところからはじまるので、通向けの商品となっている。予想ではクリーミーな方へと熟成させるかと思ったが全く異なった。もしこれが木樽で熟成されていたら全く違った印象になっていたかと思うとちょっと残念ですらある。何本か購入したので、同じ辛口で有名なレープホルツやシューンレーバーと比較出来るかどうか暫らく吟味してみたい。その味筋に少々独自の培養酵母の特徴も感じられる。

現時点ではヘアゴットザッカーが比較的多くの人に奨められるので、これも一本購入した。ウンゲホイヤーは今一つでごつさがあり、グラインヒューベルの2007年産は少々出て来たガソリン臭さが気になった。

元々現在の醸造親方は、先代の造る木樽の味が評判悪くなったことから交代して現在の任についた。そうした「歴史」もあり、醸造上もリースリングには木樽を使わない、今日の高級ワインの方向からすれば独自の路線を進んでいる。その力量については、早熟の2006年産を年末年始に開けることでじっくりと再評価してみたい。このバッサーマン・ヨルダンのフォルストの葡萄は質が悪化していてアイスヴァインには出来なかったのもなんとなくその事情は理解出来る。兎も角、自動車クラブの特典である一割引を使った。

先日、クリスマスプレゼントに貰ったロベルト・ヴァイルのグランクリュ地所のクロスターベルクは、アルコール13%で十分な力強さもあり、九月の試飲時に感じたスレート土壌からの滑稽な味が熟成で栗のような面白い味になっていた。但し、ピュリミエクリュクラスで20ユーロは高過ぎるだろう。これが16ユーロならば推薦できる。いずれにしてもこうして落ち着いてくれば、この醸造所のリースリングはラインガウではその価格だけでなくその質で抜きにでていることは間違いない。愛好者が、その価値を認めるかどうかだけである。

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