Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ボストンでの中庸なあり方

2013-04-17 | 文化一般
ボストンマラソンでのテロ行為は何事かと思った。時限装置からそれほどのプロフェッショナルなものでは無いと言うことで、そのあたりのイスラム教徒の学生か、プロテスタント原理主義者の仕業だろう。なるほど最初のグループのプロの選手は狙われても仕方ないのかもしれないが、殆どが市民マラソンランナーである大会を狙うとは余程の反社会的な考え方なのだろう。

前日のラジオでは、英国の指揮者デーヴィス卿の死が報じられていた。コヴェントガーデンオペラでのブリテンのオペラを聞き逃してから縁がなかった音楽家であるが、期待を裏切らない職人的な指揮者であった事にはかわらない。ロンドンの中古屋に行って見つけたその歌劇ピーター・グライムズのLPはレフェレンスであり続け、新品で購入した「ネジの回転」も劇場感覚のみならず適当な緊迫感と新鮮な響きが魅力的である。バイエルンでの後任者であった先頃亡くなった指揮者サヴァリッシュよりも良い録音が多い。

新聞によると、ロイヤルアカデミーでクラリネットを専攻していてもピアノが弾けなかったので指揮者の教育は受けられなかったとあり、そのことがバイロイトにデビューする段になって問題になったとあり、そのとき以来サーのタイトルを名乗るとある。当時は辺境であったグラスゴーの交響楽団のアシスタントから始めて、指揮者クレムペラーの代役として「ドンジョヴァンニ」をロイヤルホールで振り、ビーチャムの代役でグライボーンで、ショルティーの後任でコヴェントオペラにデビューとあるので、確実にチャンスを活かしていたようで、常任指揮者クーベリックの辞任後の後任者コンドラシンが急逝したので、その後釜に座っている。

難しいこと無しに普通のコンサートに集う一般大衆を満足させる実力ということでは、現在大活躍の指揮者ヤンソンスなどよりも遥かに手堅い印象がある。その証拠に、故人が指揮した録音はコンセルトヘボーやらドレスデンの伝統的管弦楽団の魅力を存分なく示している。リハーサルで、アイデアを出し合いながら解決策を見つけていくというその音楽的な練習がそこに聴かれる。一寸したフレーズの処理の仕方などにまさにそれが散見されるではないか。その意味からもコヴァセヴィッチが弾くベートヴェンのピアノ協奏曲集の伴奏録音も、長所も短所もとても良く出ているような気がする。

しかし何と言っても価値がありそうなのは、シベリウスの交響曲全集録音で、ボストンでのそれも好評であったが、ロンドンでの録音も素晴らしい。全集が安売りになったら重なっても買ってみたいと思わせる。ベルリオーズなども全集を出しているが、結局態々出かけて行こうと思わせるプログラムなどを指揮する訳でもないとても地味な指揮者だったので縁がなかったのも当然かもしれない。ボストンの小澤を補角するように、主席客員指揮者をしていた時期もあったようだから、なるほど上手に人選していたなと思わせる。



参照:
Ein Maestro ohne Allüren, Wolfgang Sandner, FAZ 28.4.2013
音の鳴らし方、緊張と緩和 2012-05-03 | 音
情報の収集と再構成 2008-06-22 | 暦
滑るに滑る春の雪 2013-03-13 | 暦

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