Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

狙い定まらぬ小さな狩人

2007-05-09 | 
ドイツ料理には、狩人を名乗るものがある。

有名なものでは、なんと言ってもイェーガー・シュニッツェルと呼ばれるとんかつに茸ソースをかけたものであろう。それに似たものに、イェーガー・ステーキと呼ばれる衣をつけずない焼肉がある。

もともとは、狩人が山に入るときに、大釜だけを携えて、それを火にかけて、調達した茸と肉を一緒に焼いて塩胡椒したものを指す。

昼食時にこれの後者の半分の大きさの皿を注文した。食前のお通しにニンニク味のラードをつけてパンを摘む。森の中ではないので、前菜としてサラダが、給仕の若い子によって運ばれる。ワインで唇を湿らしながら、一挙に食欲を増進させる。

いよいよ、メインの皿とポメスが山盛りになった皿が運ばれる。運んで来た親仁は、「小さな狩人で」と目の前に置き、いつもの調子でこちらの顔色をちっらと見る。「いやはや、小さな狩人」。

満足して食べ終わってから、給仕の女の子に支払い計算の正しい数字を教えてやると、背中を向けて新聞を読んでいた親仁が、急に首をこちらの方へと曲げて、聞き耳を立てる。

「親仁さん、判ってますよ、確かに、私は給仕の女の子にいつもちょっかいを出しています。そう、あなたもご存知の通りです。ただの狙いが定まらぬ小さな狩人ですよ」。

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