Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

地所の名前で真剣勝負

2006-02-06 | 試飲百景
エアバッハ修道院でのワイン試飲をする。ここのヴィノテックで試飲をするのは何年ぶりだろうか。週末であったので結構な人が出入りしていた。以前の体験を思い出したのが、ここには持ち帰れるワインリストが無い事で、備え付けの分析値の付いたリストを使って試飲が始まる。ここ最近のお決まりで2005年産のワインを尋ねてみる。何と二種類のリースリングがあって驚く。言えば、この時点で売り手の親仁との真剣問答が始めるのだ。

フラウエンタールのバイケンは、5ユーロ70と名地所にしては破格の値段である。これがまた酸の遊びが素晴らしく。最近はこの価格で、これだけの物がなかなか見付からなくなっている。以前なら10マルクで見付かった質ではあるのだが。ヘッセン州の全ての住民を考えると、この酸味がこのワインをリースリング通向きとしていて、価格を抑える事が出来たのであろうか。我々からすると、こういう物が見付かるという福袋的な意味は、このような価格設定のお役所醸造所を無視出来ない要素とする。

このワインの良さは、確りとした構造体のボディー感が古典交響曲の様にありながらも上部の撓る様な軽やかさが恰もモーツァルトの交響曲の如くの、飛翔の楽しみである。それでも所謂高級ワインとは異なるのは、些か薄っぺらい構造であって、だから食事には大変良い。ラインガウ特有の地面の味が強く、上部構造がラインから吹き揚げる風にそよぐ。味、強いて言えば後味の切れが少し悪い。

さて修道院の三キロにの壁に囲まれたドメイン・シュタインベルガーは、1170年から現在のようにワイン地所として記録に現れる。映画「薔薇の名前」の情景のように修道院の今も残る地下樽で醸造しており、それを自己消費していたのだ。この地所シュタインベルガーから「最も適当なワイン」を集めて醸造したのが2005年のリッターワインである。名前のように、ボディー感と言うより体積感のある味覚で、ミネラル風味が、堅い岩盤から注ぎ出ているようで、暫しの涼感を与えてくれる。さもなくば、氷河の石灰を含んだ堅い水の様な感じである。

同じ地所から矢張り2005年の、今度はキャビネットも試飲した。2005年産のキャビネットはお初物である。何故ならば高級ワインになるほど樽での熟成期間が必要だからだ。傾向は上のリッターワインと変わらなかったが、体積の中により構造感がある。これは、今は幾分堅くても、必ず一年ほど先には開いて、恰も堅い二枚貝が開くように様々な要素を醸し出してくれる、と想像させるだけの質の高さがあった。9ユーロ40の高級品ワインだから当然と言えば当然なのだが。それでもこの堅さ故に、現時点ではどれ程に人気があるのかどうかは分からない。

其れゆえかは分からぬが、ワインアドヴァイザーの親仁さんに推薦ワインを聞くと、エアバッハーのシュペートレーゼを出して来た。これは、糖が高くアルコール度も高いので幾分重い感じがする。ラインガウのワインはプファルツのワインに比べると、重みとアルコールの高さが特徴である。味覚が構造的でないと如何しても鬱陶しくなる。ファンダメンタルの安定感と軽やかな上部構造が合致した時に最も素晴らしいラインガウのワインとなる。

オマケに籠の中の処分品を一本購入した。これはエルトヴィレのタウベンベルクと言う地所の98年の半辛口であるが、16グラム以上の残糖があってアルコールは僅か9.3%である。殆んど甘口の領域に近い。確り冷やして飲むと、予想通りフィルン(残雪)状態の味である。後味が気になるが酸も確りしていて其れほど飲み難い事は無い。更に糖尿病向きとあって驚く。医者に相談せよとあるが、これだけの糖があっても条件が整っていのだろう。グリコール量は、リッター当たり1グラム、カロリーはアルコールが520カロリーで全体で630カロリーとなっている。(試飲百景)

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