Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

非常用の日常ワイン

2015-04-23 | ワイン
2012年のリースリングを再度検証する。2014年のそれに本格的に移る前に確認しておきたかったからだ。そろそろ瓶詰め二年を迎えるこの時期にその将来性もはっきりするからだ。先ずはザールのファン・フォルクセム醸造所のシャルツホーフベルクを開けた。これは最初からあまり残糖感が無かったのだが、御上手にもエレガントとは言いかねる重さのようなものがあって、この醸造所の技術的な問題を感じさせるものであった。

以前と同じように開けた当初はとても活き活きとしてよいのだが、グラスにおいて時間が経つとだるくなってくる。恐らく醸造法の問題で酸化の過程が急激に進むのだろう。従来の還元法の醸造法に拘っているに違いない。その点、2013年産からは明らかに現代的な感じになってきているので、醸造蔵への投資と同時に現代的な酸化法への道をつけたのではなかろうか?もしそうであれば2014年のそれでほぼ見当がつくだろう。

同じように2012年産のナーヘのリースリングを開けた。シェーンレーバー醸造所のフリューリンクスプレッツヘンで、グローセスゲヴェックスのパイロットヴァインとして購入したもので、今まで何度開けても全く開いてくる兆しが無かったものである。ここにきて漸く先が見えてきた感がある。綺麗に開くととても12.5%のアルコールが効いて輝かしさが出てくると思う反面、酸の量感がないのでどうしても苦味のようなものが残る。これは酸が弱い2012年としては仕方が無いであろう。ただしリースリングの酸に弱い人にでも完全な開花が楽しめるかもしれない。後半年ぐらいでこのパイロットワインは完熟するかもしれないが、その後二年ほどうちにグローセスゲヴェックスも一先ず飲み頃となるであろう。

毎年のように購入していたグーツリースリングも8ユーロ50なので日常消費には高い。モスバッハー醸造所のそれも8ユーロに近づいており、ドイツのリースリングは日常消費用でも8ユーロ出さなければよいものが買えなくなってきた。何を購入してどれほど飲むかはその人のライフスタイルによるが、私の場合はもはやグーツリースリングは、ビールも切れて適当なワインが無くなった時の非常用ワインである。それならばそれなりにその価格帯で何を購入するか?

そして、その上のテロワーを美しく出してくるリースリングとなると結局10ユーロ以上は出さないといけないのだ。そのあたりのリースリングが私が年間一番多く飲むワインであり基準となるハウスワインなのだ。そして二年以上寝かして瓶熟成を楽しむとなると最低18ユーロほどの投資は覚悟しなければいけない。如何に年々ドイツのリースリングが高価になっていくか、これで分かるだろう。



参照:
'12年グローセゲヴェックセ? 2013-09-11 | 試飲百景
十ユーロ越えのテロワール 2013-06-07 | ワイン
スローフードの塩辛さ 2015-03-09 | 試飲百景

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