Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

旨さが心配なハードコア

2018-12-27 | ワイン
クリスマスには、いつもの栗ザウマーゲンに、レープホルツ醸造所のガンツホルンを開けた。2013年産であるから熟れていて当然なのだが、ドイツで糖を最も落とす醸造所として有名で、そこのワインの瓶熟成には疑問もあった。しかしグローセスゲヴェックスつまりグランクリュの醸造にも経験を積んで、糖の残し方も上手になってきた。

実際に開けてみるととても上手く結びついた旨みを感じ甘露まではいかないがナシの熟成感にも近い。甘い大粒の栗にも合わないわけがない。寧ろ私のような超絶辛口を求める向きには物足りなく、食事にはと思ったのだが、なんといってもおかしな混ざりもの感がない。要するに口の中で邪魔をしない。

恐らく2013年の酸が弱いものだから、旨みの感じが強く出てきたのだと思う。決して残糖感とかがあるわけでは無いのだがそのミネラル風味がハードコアではないのだ。

序でながら、ベルリンのデジタルコンサートホールからはチェックアップしたメディアは既に観ていた。つまりコパチンスカヤのリゲティなどは既に観ていた。そのヴァイオリンの音が正に甘い。我々からするとソフトコアなのだ。パフォーマンスなどは良いとしてもシェーンベルクに合わせるとなると、よほどハードチューンした管弦楽でないと本質がごっそりと抜け落ちてしまわないか?まだベルリンでリハーサルしていないことを既に心配しているのだ。キリル・ペトレンコには絶大の信頼があるのだが、ミュンヘンでの批評などを読んでも、聞いてみるまでは分からない。

就寝前にデジタルコンサートホールから二曲を流した。同じコンサートの最初のシベリウスの曲に続いてリサ・バティシュヴィリが弾くヴァイオリン協奏曲である。ヤルヴィの指揮も予備知識として観ておきたかったが、どうしてもその競演の方は気になる。

フィルハーモニカーの中には同じツュマチュエンコ門下生もいると思うが、彼ら彼女らの表情やその本気の演奏態度が嬉しい。これだけ活躍している奏者となると競演も超一流となるので、こちらも実際に先日のフィラデルフィアとどうしても比較してしまう。

曲はお得意のシベリウスらしいが、私などは先日のチャイコフスキーでのピッチの相違があったのでどうしてもそちらに合して耳を調整しながら聞いてしまう。なるほど中々輝かで申し分ないが、本当のデルジェスの響きは少し違うのではないかと保留するのである。

またもや一楽章の後で拍手が起こっている。チャイコフスキーの場合は仕方がないと思うが、ここはどうも解せない。個人的には会場の騒がしさなどが苦にならないだけの予習と修業を積んでいるが、それとこれはまた別な話だ。「悲愴」の三楽章の後とかとはまた異なる「理解」の問題が係る。センス、要するに趣味の良さということになる。ブラヴィーでもなんでも歌舞伎の掛け声でもなんでも同じだが、知ったかぶりの下種な態度はみっともないだけだ。同様に間延びした演奏には間延びした沈黙だろうか。

それにしてもヤリヴィは集客力という点があったにしてもとてもいいところで呼ばれていて、プログラム面でも得をしている。楽団の方が願っているところでもあり、とてもいい関係に見える。画面はまだよく見ていないが、ベートヴェンの一番のお勉強休みにじっくり見たい。

「春の祭典」が頭に圧し掛かっているが、メディア整理からミュンヘンでの「影の無い女」初日シリーズストリーミングの録音をコピー忘れていたことに気が付いた。昨年の放映時に音声だけを綺麗に録音したからだ。要するに初日の録音は所持しておらず、映像についているMP3では物足りなかったので、音声だけを狙った。探すと残っていたのでコピーしておいた。

再演で聞いた時はスコア席に近かったのが、三幕には最前席に移動。しかしこうして改めると邪魔になっていた幕に入る前の電気的な音声があまり邪魔にならなくなってきた。正直今改めてこの作品の楽譜に当たるのは億劫だったが、もう避けて通れない気持ちになった。スイッチが入ってしまった。我々凡人は、そもそも大部の楽譜を開くのが厄介で、音を聞くぐらいでしかスイッチが入らない。奇しくもその時点でケント・ナガノに関して言及していて、今回もそのナガノの指揮で観劇するとは、因縁をとても感じさせる楽劇である。



参照:
今年も栗入りザウマーゲン 2016-12-27 | 料理
天晴熟成10年産ガンツホルン 2016-08-25 | ワイン
Wブッキングの逡巡 2018-12-07 | 生活

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