Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

菊牛蒡とタロイモの年始

2016-01-03 | 料理
年末年始は、クリスマスと違う食事をする。今年は、菊牛蒡とタロイモを筑前煮にしようとした。あまり準備万端整え過ぎたので、牛蒡が柔らかくなりすぎた。きんぴらの方は完璧だっただけに残念だ。イモの方は全くぬめりけがないが、里芋の種類であることには間違いない。寧ろ煮物よりも固くおせちの桑井のようにした方が良いのかもしれない。

一昨年の暮れは、フランスのスーパーで買い出ししたので新鮮な北海と地中海の漁獲類があったが、昨年は国境検査までして態々出かける気が失せた。準戦争状態になると民生の需要は間違いなく落ちるだろう。

先ずは菊牛蒡の周りを削ぐ。一度したことがあるようなないような、あまり慣れていない仕事である。しかし思ったよりも問題がなく、皮膚が痒くなるようなことも無かった。筑前煮とささらにするきんぴらの二種類に、大きいのと小さいのを一本づつ使った。菊牛蒡というと恵那地方の味噌漬けを思い出す。灰汁抜きと下ごしらえ上手くすれば自分でも歯脆い菊牛蒡が出来るかもしれない。

今回は、一勝一敗であったが、牛蒡は食材としては使い易い。一般的にはサラダにささがきして付けられるが、きんぴら以外にも様々な味付けで使えそうである。但しタロイモの方は、価格も通常のジャガイモに比べると高価なので、特別な料理にしか使えない。

牛蒡で調べると、ドラマ「私は貝になりたい」にも捕虜に牛蒡を食べさせて処刑されたという戦犯の話が出ていたとある。しかし日本兵が、薬食としても欧米でも知られているとは思わなくて、「ゴボウは日本人だけのもの」で、日本文化は外人には理解されないとの思い込みが災いしていたようだ。そしてそうした島国根性は今も70年前とほとんど変わらない。それが、たとえ官僚の天下り先の増設に本意があったとしても、日本食の海外への振興政策などにも明快に表れている ― ここでも処刑されたB級戦犯と同様に善良な一般市民はまた騙されているのである。

ワインは、ナーヘのデーノッフ醸造所の「デルヒェン2014年」である。アイスヴァインで高名なこの醸造所のデルヘンという地所のグローセスゲヴェックスである。春の樽試飲の時から飲めるリースリングになっていたので、三本買ったのだが、若旦那もクリスマスに飲んでみればよいということで開けた。一口試して、早速デキャンタ―に移し替える。流石に過不足なく、果実風味も綺麗に出ている。ある意味、培養酵母のためか綺麗に出来過ぎで、バランスが良すぎる。甘くも無く、酸が勝ち過ぎることも無い。食事の出汁や醤油にも全く違和感がない。日本で評判が良い筈だ。兎に角、甘口の手練手管が辛口にも活きていて、お見事である。逆に、酸も突出していないので、経年変化で退屈なリースリングになる傾向も掴めた。

退屈なワインと言えば、クリスマスプレゼントのザクセン産のゴールトリースリングだ。プロシュヴッツ醸造所のものであるが、ムスカットを半分掛け合わせた葡萄なので、リースリングとは違って味が濃い。リースリングファンにとっては、こうしたミュラーテュルガウなどに通じる強い味をとても下品に感じる。やはりこれならば純粋なソヴィニオンブランなどの方が良いかとも思うが、食事には合わせやすく、日本食にでも全く問題が無い。正月までおいておいた理由でもある。

それゆえか、今年は朝から悪酔いして寝正月で始めることはなかった。大晦日のゴールトリースリングもそれほど酌が進まず、元旦のデルヘェンもとても気持ちよかったからだ。年に一度のTV視聴を終えて、二三時間横になっていたら、綺麗にアルコールが抜けてくれた。



参照:
石橋を叩いての樽試飲 2015-06-08 | 試飲百景
飲み頃を探る試飲談話 2015-09-15 | 試飲百景
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