パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

山本一力 だいこん

2024-05-26 | 山本一力
山本一力の「だいこん」を読んだ。2005年平成17年1月刊行。2月には3刷。月刊文芸誌に2002年7月から2004年12月まで約1年半にわたり連載された。
序章
10代将軍家治の時代、つばきは、浅草で、大工の安治と石工職人の娘みのぶとの間に生まれた。2歳下のさくら、4歳下のかえでの2人の妹が嫁ぎ、浅草吾妻橋のたもとの元料亭跡で一膳めし屋を営んでいた26歳のつばきが、深川の永代寺、富岡八幡宮前に2階屋の家を建てるところから物語は始まる。家の看板は「だいこん」。そこに地元を仕切る閻魔堂の弐助の手下がやってくる。弐助は50も半ばで、つばきの知り合いの伸助だった。
第1部
安治は伸助に誘われ、賭場に出入りするようになる。借金取りにおびえる一家。みのぶは蕎麦屋へ勤めに出る。
安治は銭が元で様々な危険な橋を渡る。新しい賭場への出入り、家の賭場への改造の手伝い、そのたびに一家はおびえ、心配し、変わらぬその日暮し。辛い日々を送る。
つばきが9歳のとき、江戸の大火事が原因で伸助の組が解散となり、借金がなくなる。火事後の飯炊きの腕が認められ、つばきは火の見番の食事を手伝うことになる。みのぶはつばきの飯屋の才覚を見抜いていた。
第2部
つばきが火の見番の食事を手伝い始めて9年。17歳になっていた。溜めたお金が183両と2分になっていた。火の見番を辞め、家を借りて一膳めしや「だいこん」を始める。軌道に乗り始めた矢先の江戸の大雨洪水。宿舎にしたのは、奉行所の吟味を受けるために江戸に出てきた人を止める公事宿だった。そこの弁当を作らないかと公事宿の跡取り息子22歳の浩太郎がつばきに提案する。修繕した「だいこん」では、印旛工事で夜に飯を食う客が増え、増収につながる。新しい奉公人を雇うつばき。人定めの四つのコツに合う17歳のおさちを採用する。おさちの父親吉次郎は傘の修理の行商をしていた。吉次郎は、おさちを通じて、行商仲間の弁当をつくってくれないかとつばきに頼む。青物の残りが安く手に入るという話に乗るつばき。ただ、量が多いのと、早朝に手に入れなければならない。木戸口の鑑札や荷車の手配。ところてんのうまい、おそめ茶屋のおそめ64歳との出会い。浩太郎との別れ、江戸の飴売りの元締め八兵衛、荷車を子供が引く桃太郎車に目を付けた日本橋で広告業を営む広目屋大三郎、だいこんを訪れた日本橋の大店四人組がもたらす大店の隠居向けの弁当。その弁当の仕切りをおそめに任すつばき。だいこんでのお客とのトラブルが縁で妹のさくらが祝言を挙げる。そして、つばきは、浅草の料亭跡を改築し、一膳めし屋と料亭の合わさった店を持つ。25歳になっていた。店のなじみの浅草の木材商豊国屋木衛門とのやりとりで深川に店を出すことを決意する。

江戸の北側を束ねる今戸の芳三郎、鳶を束ねる竹町の辰五郎、日本橋小網町の鳶の頭伝三郎をはじめ、いろいろな人々が登場し、窮地に陥ったつばきを、助ける。ジェットコースのように物語は進んでいく。それもつばきの人柄、努力、商才あってのこと。いわゆる細腕繁盛だ。単行本で482ページ。連載小説なので飽きさせない。
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