著者の、池上 彰 関連本は年間を通し、大量に出版されている。
が、この本での「池上 彰」は一味違う。
通常は、日本・世界の歴史・経済の問題をわかりやすい表現で解説するスタイルの本が多い。
ところがこの本では、どうやってその「わかりやすい解説」に至ったかを解く。
「週刊こどもニュース」キャスターへの異動がその大きなきっかけだったのは周知のところ。
だがその異動だけでなく、NHK入局以来の異動が彼に大きな影響を与えた。
支局配属 → サツ回り(文章の独学)→ 通信部 → 警視庁担当 →社会部 気象担当 →アナ…
“左遷”ともとれるような異動が、“越境” という超ポジティブなコトバで表現される。
自分の意思に関係なく、仕事の担当部署が変わる。
でも、そこで腐ることなく一生懸命勉強すると、いずれ成果が花咲く。
(中略)
“越境”の繰り返し、のおかげです。
その境地を本を通し、また面白い知見が「言語化」される。
思考のための ヒント集 的な趣き!
・ゆるやかな帰収法(第4章)
(意味は、この本をお読みいただければ…)
・まず本を読むこと → セレンディピティ
・人に説明しているうちに、パッと別の関連性を思いつく
脳が活性化されて、あちらこちらに触手が伸びて、関連しているものを探している?
・アウトプットを意識する
・原点から考える
・守られているものは弱い
・「そんな馬鹿な」質問をする=「週刊こどもニュース」キャスターの効能!
・人をだしに使う 質問法、がある(笑) 高等戦術!
・「置き換え」の技 を使う
最後に、終章で披露される、4つの“越境”の醍醐味 で締めたいと思う。
1. 知らないということを 知る。「無知の知」(子供の視点)
2. 知らないことを知って、停滞を破る(未知の土地や人に越境する)
3. 離れているものどうしに共通点を見出す
4. 知らないことを知ることで多数の視点を持つ。自分を相対化する
結論:通常の池上本とは一線を画する路線の、仕事・生き方の視点・醍醐味を表現する一冊。