三越の工芸展

2007-09-23 16:48:10 | アート・デザイン・建築

朝、NHKの新日曜美術館を観ていると、日本橋・三越で開催されている「日本伝統工芸展」から幾つかの工芸作品が紹介されていました。もともと「民芸」と呼ばれるものについては、提唱者・柳宗悦の思想と共に興味があったのですが、工芸についてきちんと見たことはあまりありませんでした。同時代のプロ達がつくり出す作品をぜひ見てみたいと思い、早速、日本橋へ。

催事場をフルに使い切った広い会場には、ところ狭しと作品群が並んでいました。やはり朝の番組中で紹介された作品の前には人だかり。ずうっと見ていく中で感じたのは、イメージ・モチーフを持った作品が多いということ。川の流れの表現。深い森のイメージ。夜空にきらめく星々・・・。伝統工芸であるが故か、花鳥風月を主題としたテーマとその表現の粋を極めていく、というのが多いように思われました。ジャンルに限らず、芸術表現にはそのような主題の立て方は多いのかも知れません。

ただ、それらの主題の立て方は、モノそのものの用途や機能とはあまり関係がないことが多いのも事実。そういうものを「装飾」として敬遠しようとするのも現在の風潮でしょう。建築の世界でもかつて、装飾が粋を極めた後、徹底的に装飾を断絶する動きがありました。現在のシンプル嗜好もその延長上にあるのかもしれませんが。

僕にとっては、「装飾」は興味ある対象です。装飾をきちんと考え直してみたい、と思ったキッカケは、アントニ・ガウディの建築作品に施された陶片モザイクタイルの装飾を見たときからでした。それは、たんにキレイだから、というよりは、現在でもなお強いメッセージ性を感じ取れるような力強さを感じたからでもありました。

それにしても工芸作品の数々、とても美しかったなあ。言葉をいろいろ重ねるよりもまず、ぐっとつかまれる何か強いものを感じます。

コメント
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