総理の話に一段が落つきましたので、『拝謁記』に戻ります。
第5章の(5)は、下記5項目でした。 2項目が終わり、本日は3項目からです。
◦ 驚きだが、気をつけて見るべき ・・・ 日本大学・古川隆久教授
◦ 国際政治の冷厳な現実を重視 ・・・ 一橋大学・吉田宏特任教授
◦ 主権国家なら、当然と言うこだわり ・・・ 歴史家・秦郁彦
◦ リアリスト昭和天皇の、安全保障論 ・・・ 志學館大学・茶谷誠一准教授
◦ 大局的に考えている ・・・ 日本大学・古川隆久教授
【 主権国家なら当然だというこだわり 】・・・ ( 歴史家・秦郁彦氏の話 )
・旧軍閥の復活はダメだというのが前提で、憲法9条を改正して再軍備をすることが、主権国家として当然だというのが昭和天皇のこだわりだ。
・一方吉田茂も、独自の再軍備の構想を持っていた。ちょうどこの頃に、警察予備隊ができたが、吉田としては、日本の経済力が足りないうちは、本格的な再軍備はできないので、待っていてもらいたいという意味を込めて再軍備に反対していた。
「掃き溜めに鶴」という言葉があります。類似語に、「ごみために鶴」「塵塚(ちりづか)に鶴」という言葉も、あるそうです。秦氏の意見がまさにそうで、ヘドロの中で、場所に似合わぬまともな意見に出会いました。
古川氏と異なり、「旧軍閥の復活はダメだというのが前提で」と、正しく陛下のお言葉を解釈しています。
自衛隊のような軍を考えておられるとか、外国に侵略できるような軍でないなどと勝手な解釈をしていません。
経済力がついたにも関わらず、総理の後継者だった自民党の政治家たちが、憲法を改正しなかった怠慢だけが、残る日本の課題となりました。
秦氏は、吉田清治が慰安婦狩りをしたと大嘘をついた時、済州島で現地調査を行い、事実が存在しなかったことを明らかにした学者です。もともと、このような反日番組に参加する人物でないのですから、断ればよかったのです。
【 リアリスト昭和天皇の安全保障論 】・・・ ( 志學館大学・茶谷誠一准教授の話 )
・実際に私の祖母が、内灘で試射場反対の座り込みやっていたので、その孫としては、少し複雑な心境なのは確かだ。
・今の観点から言うと、昭和天皇がひどいことを言っている。とても保守的な人だと思うかもしれないが、戦前の自由主義の価値観では、自分たちの国を自前の軍隊で守るというのは、当然のことなので、
・その視点から言えば、当然のことを言っているだけだ。現実主義的な、『リアリスト昭和天皇』の安全保障論が強く出ている。
茶谷氏の意見を読みますと、「二羽めの鶴か?」と早合点する人がいるのではないかと思います。しかし氏は、そうではありません。
・昭和天皇が、昭和22年まだ日本が占領中の時期に、戦後日本の安全保障論として、沖縄および他の琉球諸島に、駐留米軍にとどまってもらいそれで日本の安全を守ってもらうしかないという、いわゆる『沖縄メッセージ』を出していることを考えると、
・沖縄とか本土の一部の地域に、駐留米軍を置いておくことで日本を守るんだという考えが、昭和天皇の頭の中に戦後通貫した考えとしてあったと、受け取っていいのではないか。
・昭和天皇にとって、安全保障上の持論だったということが、今回の資料で改めて分かった。
『沖縄メッセージ』という言葉を持ち出し、陛下のお考えを推測するところに反日学者の影を見ます。『沖縄メッセージ』には以前から議論があり、様々な解釈があります。
良い機会なので、曖昧だった自分の知識を整理し、息子たちに伝えておきたいと思います。陛下への誤解をなくすためにも避けて通れませんので、詳しくは、次回といたします。