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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

池 東旭氏著『コリアン・ジャパニーズ 』 ( 世界に散らばる在外コリアンの数 )

2017-12-10 17:31:27 | 徒然の記

  池 東旭 (チ・トンウク)氏著 『コリアン・ジャパニーズ』( 平成14年刊 角川書店 )を読了。 

 氏は昭和12年生まれの韓国人で、存命なら今年80才です。慶北大学卒業後の昭和33年に、韓国日報社に入社し、最後は経済部長になっています。韓国を代表する知日派ジャーナリストとして、日本の新聞やテレビにしばしば登場し、日本での出版物も多数あります。しかし私は、今回初めて氏の名前を知りました。

 在日問題を、日本における戦後最大の懸案事項の一つと考えていますので、関心を持って読みました。私より7才年上の氏は、年が近いせいもあり、世代的思考の断絶は感じませんでしたが、民族的思考の断絶は感じました。乗り越えられない民族的思考の断絶、つまり韓国人の持つ日本への「激しい被害者意識」です。

 秀吉の朝鮮出兵から始まり、日韓併合に至る「日本の侵略」が、延々として語られます。日本に関する事実がそうだとしましても、韓国が現在のような状況に置かれたのは、他にも様々な原因があります。中国への隷属、ロシアによる干渉、アメリカの介入等々ですが、

 日本に対してだけ恨みつらみを言うのですから、読んでいて不愉快にならない方がおかしい本です。

   五千年の歴史を持つと豪語する韓国人が、日本に併合されたたった35年間が、未来永劫許せないという決まり文句ですから、感情論以外のなにものでないと感じます。

 それでも読み続けたのは、氏が「在日」に対し、事実を語っている勇気に惹かされたからです。

   ・第二次世界対戦が終わって、すでに60年近い。冷戦も終焉を告げた。

  ・日本では55年体制に終止符が打たれ、韓国でも、独裁政権から民主化政権に移行した。

  ・だが日韓の間に未解決の問題がある。在日韓国・朝鮮人つまり、在日の処遇である。

  ・「在日67万人は、子々孫々に至るまで、「特別永住 」という資格が与えられている。

  ・しかし両国の、ホンネはどうなのだろう。日本にとって在日の67万人は、出て行って欲しい「居候 」だと言ってしまえば、言い過ぎだろうか。

  ・一方の韓国にとっては、もうとっくの昔に捨てた子である。

  ・表向きは 「わが同胞よ」というポーズを見せていても、どうせもう帰って来ないと思っているのだ。

  ・いや、帰って来て欲しくないと思っているのが、ホンネに近いのかもしれない。」

  ・在日に対する差別と偏見は、日本ばかりでなく、本国にも歴然としてある。

  ・これが在日67人が、目を背けようとしても、いやおうなしに直面せざるを得ない現実なのだ。

  韓国・朝鮮に関する本を沢山読んできましたが、韓国人自身がここまでハッキリと、在日の置かれた立場を述べた意見を初めて目にしました。以前、「ねこ庭」で自殺したノムヒョン大統領の言葉を、紹介したことがあります。

  ・在日は同朋ではない。国が一番苦しい時に、彼らは日本でぬくぬくと暮らしていた。

  ・国を裏切った人間たちだ。

 この言葉を知った時半信半疑でしたが、氏の本を読み事実だと確認できました。日本にいて日本を悪しざまに言い募る彼らは、いわば根無しの浮き草だったのです。このことを具体的な数字をもとに、氏が説明します。 
 
  ・世界に散らばる在外コリアンの数は、平成6年末の数字で約500万人になっている。
 
  ・これは韓国の人口4,400万人と、北朝鮮の人口2,200万人を合わせた6,600万人の7.6パーセントにあたる。
 
 〈 地域別では 〉
 
   アジア地域 ・・280万人    米州地域・・170万人  
 
   ヨーロッパ地域・・52万人    中東地域・・1万2千人   
 
 〈 国別では 〉
 
  中国・・200万人   アメリカ・・153万人   日本・・   71万人  
 
  ロシア・・46万人   カナダ・・  7万人   ブラジル・・  4万人
 
  豪州・・  4万人   ドイツ・・  3万人   アルゼンチン・・3万人 
 
  ・こうした状況の中、中国、ロシア、アメリカの主要3カ国で、在外コリアンがどういう生き方をしているかを、考えてみたい。
 
  ・在中コリアンは、多くが中国籍を持っている。 
  
  ・意識の上でも北朝鮮や韓国でなく、中国が故郷という気持を持ちながら、朝鮮民族の伝統や誇りをそれなりに守っていこうとしている。
 
  ・経済的にはるかに恵まれている在日の現状と比べ、この違いは大きい。
 
  ・在ロ コリアンには、スターリンによる大粛清や強制移住という陰惨な史実もある。
  ・それはまるで、ドイツに移住していたユダヤ人の境遇にも似て、「いわれなき罪人」であった。朝鮮人の行き先が、アウシュビッツでなかっただけマシだったと、言うしかない。
 
  ・在中と比べ、また在日と比べても、悲惨な歴史を歩み、それを身にしみて知る在ロ コリアンは、朝鮮人自治区の創設を夢見ている。
 
  ・在ロと在日の決定的な違いは、彼らが在住国の国籍を持っているということである。彼ら自身の歴史は、もはや〈 朝鮮系ロシア人 〉として、年月を経たものとなっている。
 
  ・在米コリアンは、コメリカンと呼ばれている。
 
  ・本格的移住は、朝鮮戦争以後であり、短い歴史にもかかわらずその数は在日を追い越し、アメリカでは中国に次ぐ、大きな集団となっている。
 
  ・一般的にコメリカンは、有産階級出身で高学歴の者が多い。彼らは自発的に、アメリカンドリームの国へ移民してきた者たちだ。
 
  ・この点は、在中、在ロ、在日とも、決定的に違う。在米コリアンは、最初から米国籍を取得した。

 他国に在住するコリアンについて知るのは、初めてでした。中国、ロシア、アメリカで、様々な差別と迫害に遭いながら、懸命に生きてきたコリアンの状況が詳しく語られています。

 これを読みますと、在日コリアンたちのする、日本が特別に迫害をしたという主張が、朝日新聞並みの捏造であることが分かります。恵まれている在米のコメリカンでさえ、アメリカでの差別に耐えかね、近年はUターンしていると説明しています。

 Uターンした彼らを待っているのは、在日同様の仕打ち、つまり、ノム・ヒョン大統領の言葉です。

  ・コメリカンは同朋ではない。

  ・国が一番苦しい時に、彼らはアメリカでぬくぬくと暮らしていた。

  ・国を裏切った人間たちだ。

  こうした在外コリアンの実態を踏まえ、氏は在日コリアンに提案をしています。私には迷惑この上ない提案ですが、自己中心的な韓国人らしい主張でもあります。しかし、本日はここでやめようと思います。
 
 氏の意見は長いので、ここいらで一区切りするのが良い気がします。明日は退屈せずに済むはずですが、その代わり不愉快になると思いますので、訪問を止められても構いません。どうせ、「ねこ庭」の片隅でする独り言であるに過ぎません。
コメント (2)
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