池 東旭 (チ・トンウク)氏著 『コリアン・ジャパニーズ』( 平成14年刊 角川書店 )を読了。
氏は昭和12年生まれの韓国人で、存命なら今年80才です。慶北大学卒業後の昭和33年に、韓国日報社に入社し、最後は経済部長になっています。韓国を代表する知日派ジャーナリストとして、日本の新聞やテレビにしばしば登場し、日本での出版物も多数あります。しかし私は、今回初めて氏の名前を知りました。
在日問題を、日本における戦後最大の懸案事項の一つと考えていますので、関心を持って読みました。私より7才年上の氏は、年が近いせいもあり、世代的思考の断絶は感じませんでしたが、民族的思考の断絶は感じました。乗り越えられない民族的思考の断絶、つまり韓国人の持つ日本への「激しい被害者意識」です。
秀吉の朝鮮出兵から始まり、日韓併合に至る「日本の侵略」が、延々として語られます。日本に関する事実がそうだとしましても、韓国が現在のような状況に置かれたのは、他にも様々な原因があります。中国への隷属、ロシアによる干渉、アメリカの介入等々ですが、
日本に対してだけ恨みつらみを言うのですから、読んでいて不愉快にならない方がおかしい本です。
五千年の歴史を持つと豪語する韓国人が、日本に併合されたたった35年間が、未来永劫許せないという決まり文句ですから、感情論以外のなにものでないと感じます。
それでも読み続けたのは、氏が「在日」に対し、事実を語っている勇気に惹かされたからです。
・第二次世界対戦が終わって、すでに60年近い。冷戦も終焉を告げた。
・日本では55年体制に終止符が打たれ、韓国でも、独裁政権から民主化政権に移行した。
・だが日韓の間に未解決の問題がある。在日韓国・朝鮮人つまり、在日の処遇である。
・「在日67万人は、子々孫々に至るまで、「特別永住 」という資格が与えられている。
・しかし両国の、ホンネはどうなのだろう。日本にとって在日の67万人は、出て行って欲しい「居候 」だと言ってしまえば、言い過ぎだろうか。
・一方の韓国にとっては、もうとっくの昔に捨てた子である。
・表向きは 「わが同胞よ」というポーズを見せていても、どうせもう帰って来ないと思っているのだ。
・いや、帰って来て欲しくないと思っているのが、ホンネに近いのかもしれない。」
・在日に対する差別と偏見は、日本ばかりでなく、本国にも歴然としてある。
・これが在日67人が、目を背けようとしても、いやおうなしに直面せざるを得ない現実なのだ。
韓国・朝鮮に関する本を沢山読んできましたが、韓国人自身がここまでハッキリと、在日の置かれた立場を述べた意見を初めて目にしました。以前、「ねこ庭」で自殺したノムヒョン大統領の言葉を、紹介したことがあります。
・在日は同朋ではない。国が一番苦しい時に、彼らは日本でぬくぬくと暮らしていた。
・国を裏切った人間たちだ。
他国に在住するコリアンについて知るのは、初めてでした。中国、ロシア、アメリカで、様々な差別と迫害に遭いながら、懸命に生きてきたコリアンの状況が詳しく語られています。
これを読みますと、在日コリアンたちのする、日本が特別に迫害をしたという主張が、朝日新聞並みの捏造であることが分かります。恵まれている在米のコメリカンでさえ、アメリカでの差別に耐えかね、近年はUターンしていると説明しています。
Uターンした彼らを待っているのは、在日同様の仕打ち、つまり、ノム・ヒョン大統領の言葉です。
・コメリカンは同朋ではない。
・国が一番苦しい時に、彼らはアメリカでぬくぬくと暮らしていた。
・国を裏切った人間たちだ。