かって石油業界では、外国資本の出資を受けていない会社を「民族系石油会社」と言っていました。しかし現在、業界1 位の「エネオス」と、2 位の「出光興産」には、外資が大きく入っています。
国際金融資本家であるモルガン財閥は、米国最大の銀行であるチェース・マンハッタン信託銀行を設立し、日本法人は現在、「日本マスタートラスト信託銀行」と名称変更していると聞きます。
モルガン財閥は歴史をたどりますと、ロス・チャイルド家の援助を受けて成長した企業なので、今も無縁ではないと思われます。
業界2位の「出光興産」は、モルガン財閥資本だけでなく、世界最大の石油産出国・サウジアラビアの「アラムコ」、さらには中国系の資本まで入っています。愛国の起業家・出光佐三氏が作った「出光興産」は、すっかり影が薄れました。少し古いのですが、「アラムコ」に関する情報が、ネットにありましたので紹介します。
「サウジアラムコは、サウジアラビア国営石油会社である。」「サウジアラムコは、株式の5%未満を、17年中に上場する計画だ。」「サウジ国内の証券取引所のほか、米ニューヨーク市場への上場が有力視されている。」
「日本取引所グループの、清田瞭最高経営責任者(CEO)はサウジを訪れ、」「サウジアラムコの、東京証券取引所への上場を働きかけている。」
「サウジアラムコが上場すれば、時価総額は2兆ドル(約230兆円)を超えるとみられている。」「時価総額トップの米アップルを大きく上回り、世界最大のエネルギー会社となる。」「サウジアラムコは、アラムコ・オーバーシーズ・カンパニー・ビー・ヴィ名義で、昭和シェル石油株式を14.96%保有している。」
「出光創業家が、昭和シェルとの合併に反対する最大の理由は、」「サウジアラムコにのみ込まれて、出光が消滅することを恐れているからだ、と指摘するエネルギー業界の首脳もいる。」
結局出光創業家は、外資導入を進める現在の経営陣に敗れ、「アラムコ」の資本が入ってしまいました。佐三氏が毛筆で書いた「出光」のマークは、全国の給油所名が「アポロステーション」となるとともに、消えていくのでしょうか。
息子たちと「ねこ庭」を訪れる方々に、シリーズ第2回目のブログ ( 1月14日 ) を、思い出してもらいたいと思います。令和3年12月28日の、千葉日報の記事で、経団連副会長の杉森務氏が、「日本のエネルギー問題」について語っていました。
・2050年に炭素ガスの排出をゼロにするためには、原発の新設と建て替えが不可欠である。
・原発を含めたエネルギー政策全般の提言を、来年3月に取りまとめる。
・脱炭素化に取り組む企業支援のため、政府が2兆円の支援基金の創設をしたことは、評価する。
・しかし研究開発だけでなく、社会ヘのインフラづくりを考えると、少なすぎる。
・国際的な産業競争力維持のため、欧米に劣らない財政支援を要請する。
・2050年になると、廃炉問題で原発が全然足りなくなり、新設・建て替えが必要となる。
・重大事故回避を考慮すると、小型原発のための技術開発に期待したい。
「経団連の副会長ともあろう人物が、日本の自前エネルギーである〈メタンハイドレード〉に、なぜ言及しないのか。」
私はあの時、単純な疑問を抱き、そこからこのシリーズを始めました。千葉日報の記事を、思い出してください。
「 ENEOSホールディングス会長である氏は、経団連のエネルギー政策の担当で、脱炭素化議論を主導する立場にある。」
そうであるなら、ENEOSの株主情報を見れば、自然と答えが出てきます。
「脱炭素社会」に向け石油業から撤退し、〈再生可能エネルギー〉と〈環境〉分野で、新たな市場を開拓しようとしている国際金融資本と「スーパーメジャー」が喜ばないことを、杉森氏に言える訳がない。
「日本が自前で、〈メタンハイドレード〉を開発するのは許さない。」
氏はすでに、国際金融資本と「スーパーメジャー」の代理人となってしまったのでしょうか。1 位と2 位の会社がこの有様なら、3位以下の会社の株主を調べる必要を感じなくなりました。関心のある方は、どうかご自分でお調べください。
1 位. エネオス ( ENEOS ) ・・ 7兆6,580億円
2 位. 出光興産 ・・ 4兆4,251億円
3 位. コスモ石油 ・・ 2兆383億円
4 位. 太陽石油 ・・ 4,576億円
5 位. キグナス石油 ・・ 2,838億円
私が得たのは極論かもしれませんが、残念ながら、「民族系石油会社は消えた」・・です。次回は、「日本財団」が公表した、平成元年の資料についてご報告します。