goo blog サービス終了のお知らせ 

ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

自由民主党の「立党宣言・綱領」- 16 ( 「50年立党宣言」の意義 )

2024-11-30 20:35:59 | 徒然の記

 昭和62年に中曽根首相が辞任し、その後小泉氏が首相になるまで、中曽根 → 竹下 → 宇野 → 海部 → 宮沢 → 細川 → 羽田 → 村山 → 橋本 → 小渕 → 森と、10人の首相が交代しています。

 この間に自由民主党は3人の他党政治家を首相にして、連立政権を作りました。64日の政権だった羽田首相もいますが、多くは短期政権に終わり、激しく揺れ動く政界は党内外が派閥抗争で明け暮れました。「政界の壊し屋」だった小沢氏が、大活躍した時です。

 その中で小泉氏が大勝して首相の座に就き、5年の長期政権を維持したことについては前述したとおりです。

 氏が30年ぶりに「立党宣言」を見直し、「50年立党宣言」を作ったのは、自由民主党の首相としての覚悟と自信を、内外に公表する判断をしたからだと思います。

 宣言文には敗戦の祖国を再建するという悲壮感が消え、堂々とした文章になっています。

 それでも文言を検討しますと、アメリカの関与の影響が感じられますので、該当部分を抜書きしてみます。

  1.  我々は、先人が明治の改革、戦後の改革に大胆に取り組んできたように、新しい党の理念と綱領に基づき、構造改革、行財政改革、党改革などの諸改革を進めていかなければならない。

  2.  我々はわが国の歴史と伝統と文化を尊び、その是をとって非を除き、道徳の高揚につとめ、国際社会の責任ある一員として積極的に活動する国家の実現を国民に約束する。

  1. 項目目の文言は、中曽根内閣以来歴代の首相が、悪名高い「日米要望書」により執拗に求められた「構造改革」と「行政改革」の引継ぎ宣言です。

  2. 項目目の文言は、日の丸を背負った日本の首相として、氏が国民にした約束です。

 言葉通りに「日本の歴史と伝統を尊ぶ」としたら、「女系天皇論」が述べられなくなります。同時にアメリカの政策とぶつかり、「新綱領」の第一項目に「新しい憲法の制定をする」とは書けません。

 小泉首相はこの相容れない約束を「立党宣言」に書き入れ、国内外に公表しています。「ねこ庭」や他の人々から見ると、矛盾した文言に見えるとしても、氏の中では両立しているのだと考えます。

 「ねこ庭」が考えの根拠にしているのは、やはりウイキペディアの解説です。

 ・小泉外交は、出身派閥である清和政策研究会の伝統的な親米路線に則っている。
 
 氏にはアメリカへの「恨みと憎しみ」がなく、重要な同盟国として接しています。ブッシュ・ジュニア大統領と私邸で歓談するほど親しくなり、自分の意思で積極外交をする姿は不変のままです
 
 「右か左か」「保守か反日か」という二元論が氏の頭になく、「良いものは取り入れ、ふさわしくないものは改める」という思考ですから、矛盾なく両立しているのだと思います。
 
 「立党宣言」に続く「新綱領」は下記10項目です。
 
   1.  新しい憲法の制定を        6.  食糧・エネルギーの安定的確保を

    2.  高い志をもった日本人を       7.  知と技で国際競争力の強化を

   3.  小さな政府を           8.  循環型社会の構築を

   4.  持続可能な社会保障制度の確立を  9.  男女がともに支え合う社会を

   5.  世界一、安心・安全な社会を    10.  生きがいとうるおいのある生活を

 「宣言文」と同様に「首相の意思」と「アメリカの影響」で、強いて項目を分けるとしたら次のようになります。

 「首相の意思」

   1.  新しい憲法の制定を

    ・「日本国憲法」に変わる、新しい憲法を作る約束

   2.  高い志をもった日本人を

    ・国の歴史と伝統と文化を尊び、国に誇りを持つ国民を育てる約束

「アメリカの影響」

   3.  小さな政府を

    ・構造改革、行財政改革、党改革などの諸改革を進める約束

   9.  男女がともに支え合う社会を
 
    ・読み方によっては、皇室の男女平等論に繋げられる可能性が出てくる
 
 首相はここでも、この相容れない約束を「立党宣言」に書き入れ、国内外に公表しています。矛盾した文言に見えるとしても、氏の中では両立しているという解釈は前回通りです。
 
 「新綱領」に続くのは「新理念」の7項目ですが、同様に相容れない約束が併記されています。「右か左か」「保守か反日か」という二元論が頭になく、「良いものは取り入れ、ふさわしくないものは改める」という思考ですから、項目の文章を「アメリカの関与」と対比する作業を続けても、あまり意味がないと分かりました。
 
 後世の人間が自分に都合の良い極論を導くため、ひねくれた解釈をしなければ、小泉内閣が出した「50年立党宣言」は立派な文書と言えます。氏を「変人」という気持が、なくなりました。
 
 ここまで検討をしますと、学徒の関心は次へ移ります。平成22 ( 2010) 年1月24日に出された、「55年 立党宣言」です。自由民主党が初めて下野した時に出されています。
 
 次回は「55年 立党宣言」の検討作業をしたいと思いますので、辛抱強い方はおつき合いください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由民主党の「立党宣言・綱領」- 15 ( アメリカの「関与の内容」)

2024-11-30 14:51:13 | 徒然の記

 〈 アメリカの「関与の内容」と小泉内閣の「立党50年宣言」との内容比較 〉

 本日は表題の検討作業を進めますが、重要なのはやはり〈「第二段階」の関与の内容〉です。

 第一段階の関与では、日本の軍の再建を「日本国憲法」で阻止し、皇室解体のための「11宮家の皇籍離脱」を実行していました。
 
 第二段階でアメリカが急いだのは、世界第2位の経済大国となった日本の、強さの原因となる土台を弱体化させる政策の実行でした。
 
     1 .  「皇室解体」を早めること
 
     2 .  勤勉な国民の働き過ぎを止めさせるため、「ゆとり」や「余暇・レジャー」へと思考を変えること
 
     3 .   日中に敵対関係を作り出し、日本の経済成長を止めること
 
 「立党50年宣言」の検討作業に入る前でも、訪問された方々には既に上記3項目について、アメリカの計画が思惑通りに動いているのが見えていたと思います。
 
作業を丁寧に進め、現時点で分かっていることを項目ごとに整理します。
 
 〈 1 .  「皇室解体」を早めること 〉
 
 マッカーサー統治の時から、天皇を一気に無くすことが日本社会の騒乱を招くと分かっていますので、アメリカは長い時間をかけて崩壊させる政策を取っています。
 
 「11宮家の皇籍離脱」がその一つで、万世一系の皇統維持が50年、80年経てば困難になる政策でした。しかし女性宮家や女系天皇が生まれることになれば、万世一系の皇統維持の崩壊が早まります。
 
 小泉首相が、「女系天皇容認論」で「皇位継承・有識者会議」を進めているのは、アメリカの思惑通りだったことになります。悠仁様の誕生で「女系天皇」の話が中断したとしても、一度でも政府が取り上げた実績が残れば、必ずまた話が復活させられます。
 
 首相になった時氏は既に離婚しており、家庭には子供だけがいて、別の女性と交際していました。その女性との間にも子供がいましたから、氏は家庭より政治を優先する首相だったと言えます。
 
 家族の絆や家庭に重きを置かない合理主義者の氏は、「男子がいないのなら、途中で女性の天皇がおられても良いではないか。」と、おそらくその程度の理解だろうと思われます。
 
〈 2 .  勤勉な国民の働き過ぎを止めさせるため、「ゆとり」や「余暇・レジャー」へと思考を変えること 〉
 
 これについては既に昭和62 ( 1987 ) 年6月に中曽根首相が 「総合保養地域振興法(リゾート法)」を制定し、日本人の働き過ぎ改革を始めています。
 
   以来、民間活力の導入によるリゾート産業の振興と余暇活動の促進を、政府と民間とマスコミが一体となり推進しています。眠っていた年金の積立資金を活用し、全国各地に立派な保養所が作られたのは、この時からではなかったでしょうか。
 
 レジャー産業、観光産業がやがて国策となり、「観光立国」が実行に移され、外国人観光客の誘致ブームが現在に繋がっています。
 
〈 3 .   日中に敵対関係を作り出し、日本の経済成長を止めること 〉
 
 きっかけは中曽根総理の靖国参拝を、朝日新聞が大きく報道し、中国政府が記事に反応して激しく批判を始めた事件でした。
 
 確か中曽根氏は参拝を取りやめ、それ以来日本の首相は中国政府に気兼ねして、公式参拝をやめることになったと記憶しています。
 
 日本の首相が、戦没者に哀悼と感謝の念を捧げるのが何が悪いか。中国は余計な干渉をするなと、義侠心に燃える小泉氏が靖国参拝を始め、日中は敵対関係となりました。
 
 国民は当然首相に喝采を送りますが、巨大市場を求める経済界は中国に進出しました。政府のトップ同士の往来が途絶え、「政冷経熱」という言葉が言われるようになったのは、このから頃だったと思います。
 
 結果としてアメリカの政策が半分実現しました。
 
 4、5日前ネットで田母神氏が、小泉氏はアメリカのスパイだったと言っている情報を目にしました。内容を読んでいませんので確かなことは言えませんが、「ねこ庭」はスパイ説を取りません。
 
 田母神氏は、何かの情報源で意見を述べているのでしょうが、義理を重んじる小泉氏が義憤に駆られ押し進めた政策が、偶然アメリカの「日本弱体化計画」に合致したのではないかと、今はそのように考えています。
 
 慎重に検討を進めているため、なかなか予定通りに進めませんが、次回は具体的な内容の比較作業に入ります。
 
  〈 アメリカの「関与の内容」と小泉内閣の「立党50年宣言」との内容比較 〉
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする