どうにも展示内容が面白くなかった。
狩野派から始まって、風俗画、浮世絵、江戸琳派ーただの名画の展覧会である、展示内容にも工夫がなく、お目当ての若冲もモザイク画は面白いが出品数は少ない。
ということで常設展示をゆっくり観ようとさっさと会場を廻っていたら、アッと驚く工夫は最後にあった!
東京国立博物館は「若冲と江戸絵画」の展覧会に夜間開館を利用していく。
はじめのほうを熱心に見学して最後のほうは疲れた人や、閉館時間まじかになって急がなければならないお客さんには残酷な展示である。
その展示方法とはガラスケースを取り除いてしかも照明のあて方を変える事によって、おそらく江戸時代の人が自然光の中で観たであろうように作品を展示させることだった、このコレクターのプライス氏の要望という。
江戸時代にガラスケースはなかった、当たり前の事実だ、しかし作品保存その他の理由で僕らはガラスケースの中の一定角度の照明という展示方法を当たり前としすぎてしまったきらいはある。
実際光線が当たったり照明角度が変わると金箔は鮮やかに輝き、幽霊は不気味さを増し、雪景色にねずみはいとも幻想的な色合いを帯びる!
僕は時間が残っていたので最後の第四室のこの幻想的な展示を充分楽しむことができた!
というわけでこれから行かれる方は充分時間を残して最後の展示室に入られることをお薦めしたい。
プライス氏といい、東京都美術館に来たバーク氏といい、外国には熱心な日本美術の愛好家が多いことかーカタログによればプライス氏のコレクションの中核は「江戸絵画におけるモダニティ」ということだ。