だらだら日記goo編

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華やかさの影で

2005-03-19 22:36:13 | アート・文化
銀座松坂屋「ロートレックとモンマルトル」の展覧会に行く。
会社設立95周年記念ということで力の入った展覧会だ。
まあ入館料千円も取っておいてひどい展示だったら困るわけだが、千円の価値はあった。
で、会場には日本の浮世絵やら、ロートレックが最も多く描いたというギルベールという女優、さらにはミュシャが描いたことで知られるベルナールを描いた絵なりポスターなりがあれこれ展示される。
さらには版画ということで、作品が出来上がっていく段階をステートというが、そのステートごとの変化がわかる展示もありと趣向をこらしている。
ピカソの版画では、すでに三鷹の美術ギャラリーで以前ステートでの変化を示した展示があったが、ロートレックでははじめてみる。
しかしながら僕の眼をひときわ引いたのは「彼女たち」という娼婦を描いた連作だ。
華やかなパリ、そこできらめく女優もいれば娼婦に身を落とす人間もいる。
ロートレック自身娼婦と付き合っていたという、それが元かどうか知らないが彼はアルコール依存になった。
さてその「彼女たち」は日本の浮世絵の影響を受けているそうだがそんなことはどうでもよい。
その迫真過ぎる描写に僕は息をのんだのだ!
「彼女たち」の扉絵では「Elles」という文字と男の帽子を組み合わせることでその主題を明らかにしたロートレックだが、娼婦たちを描くそのタッチはまさにリアリティあふれている。
どことなくこの世のものとは思えない女優を描いたポスターと比べるとロートレックの人間観察のきわみは娼婦たちにあったと思われるほどだ。
写真家の荒木さんも「週刊朝日」の対談で言っている。
「女の本質なんじゃないの、AVっていうのはきっと」
人間存在の本質が落ちぶれた女性には現れている。
時間に余裕があったので会場を一巡りしたあと、またこの「彼女たち」のコーナーを見た。
「暇つぶしにー」などとケイタイで電話している若者と鉢合わせになった。
この展覧会はさほど宣伝していないようで会場も閑散としていることも事実だ。
22日までと会期も短い。
けど一人でも多くの方にみていただきたい、ラ・トゥールなんかよりずっと人間の本質が現れている。




2 コメント

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ロートレックは大好きな画家です (yumi)
2005-03-20 00:33:41
ロートレックは大好きな画家です
今はおろしてしまいましたが 以前「美術館」に載せていました
(MYひみつMEMO)に登場させました^^

西洋絵画で描かれる女性は ほとんどが男性の鑑賞のためのものでした
着飾ったり あるいは神話になぞらえて裸体だったり・・
でも ロートレックは自分を男性のための商品としていた女性たちの
まさに彼女たちの人間性を描き出したんですよね
娼婦を「商品」としてでなく 人格ある人間として描いていった
うわべではない彼女たちの様々な思いや生き様を 絵の中で見せてくれますね

ひさしぶりに大好きなロートレックを思い出し 多弁に^^; ご容赦・・
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yumiさんこんにちは。 (oki)
2005-03-20 12:30:20
yumiさんこんにちは。
ロートレックも大好きだったのですか、これまた意外な。
そうそう「うわべだけではない」ですね。
社会の底辺にいる人への暖かなまなざしが素敵でしたね。
ロートレック生誕百年の展覧会とか行かれたのかな?
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