だらだら日記goo編

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見出されたニッポン

2005-09-18 23:26:39 | アート・文化
愛知万博の入場者はいかばかりだろうか、1900年のパリ万博では5千万人を越える入場者があったというが、日本人はわずか五百人という。
そのわずか五百人のなかからいまの日本の芸術をつくった人が出てきたのだ、たとえば浅井忠だ。
グレー村とのかかわりでよく論じられる浅井も当時フランスに留学していた。
で、展示冒頭に紹介されていたミュシャのたばこ宣伝ポスター「ジョブ」をアパートに飾っていたのだ。
国立近代美術館工芸館の企画展「日本のアール・ヌーヴォー」これがなかなか良い。見ごたえある展示だ。
で、浅井がパリから送ったはがきがいろいろ展示される、おそらく当時のパリに感動したのだろう。
続いて藤島武二「婦人と朝顔」の絵など、わざわざ「装飾用」と断ってある、日本のアール・ヌーヴォーだ。
高村光太郎も「伊太利風アールヌーボー式の一例」などあらわす、眼は完全にヨーロッパを向いている。
でもってヨーロッパのアール・ヌーヴォーはもともと日本の影響を受けたものであったが、パリ万博の時点では日本の芸術はもはや古くなっていたという、時代は革新を求めていた。
そこで出光美術館でおなじみの板谷波山などは、グラッセという人の「植物とその文様化」に影響されいろいろ素描もしたらしい、彼の作品にあわせて素描も展示される。
しかしここでも浅井忠だ、彼は帰国後現在の京都工芸繊維大学で授業を受け持ち、又各種団体をつくって京都における改革運動の先駆者となったのだ。
で、見出されたのが大津絵であり、琳派であった。
そこからたとえば神坂雪佳のような人が育ったのだ。
神坂の代表作は「百百世界」だが、これは菊の花の別名という。

かくしてあれこれへて、杉浦非水やら富元憲吉やら岸田劉生らが新しい時代をになう。
富元が「音楽家住宅設計図案」など描いていてまことにモダンなのには驚いた。
総じてヨーロッパに輸入された日本美術が逆流現象を起こし、琳派の再発見などにつながったという面白い展示だ。
本当はここに書いただけではなく、もっといろいろな要素が詰め込まれた日本のアールヌーヴォーの展覧会、ぜひ会場に行って面白さを楽しんでほしいと思う、日本全国から膨大な数の出品だ。
惜しむらくは展示会場が狭すぎてあれこれ詰め込むので腰を下ろすスペースすらないという始末だ。
しかし新聞社の後援もないのに全国からほんとによく集めたものだ、野島康三の女性写真まで展示されている。
11/3文化の日は無料観覧日です、お薦め展覧会です。



2 コメント

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はじめまして。TBさせていただきました。 ()
2005-10-01 10:23:23
はじめまして。TBさせていただきました。
「婦人と朝顔」良かったですね。
これからも読ませていただきます。
コメントとトラックバックありがとうございます。 (oki)
2005-10-01 23:39:19
コメントとトラックバックありがとうございます。
今そちらにうかがいました、今後ともよろしくお願いします。