だらだら日記goo編

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だめな美術館は何をやっても駄目

2008-08-09 21:55:52 | アート・文化

「再生」を図ったはずではなかったか。

企画展示室を二つに増やし、いわゆる常設展示は「アートギャラリー」として無料にして、落ち込むばかりの入館者を何とか取り戻そうとー。

川崎市市民ミュージアムである。

「ブルーノ・ムナーリのアートと遊ぼう」の招待券が入ったのでどう変わったか観に行ったがだめなものはダメ、何も変わりはしない。

まずこの企画展示からして「みて さわって たのしんで」と副題がついてはいるが「展示品に触れないでください」の注意書きあちこち。

ブルーノ・ムナーリについては、昨年板橋区立美術館で展覧会が開かれカタログを購入したぼくはある程度知っている、しかしここ川崎の展示のようにただ作品を並べただけでは何も分からないし解説の文字も小さすぎる。

どうやら1985にムナーリが来日したとき、「こどもの城」でのワークショップに範を受けて作った展示のようだが、ビデオを観るにも椅子がなく、子供が二三人遊んでいるだけ、あとは愛想の悪い監視員がこちらをずっとみている。

ばかばかしくなって展示室を出て常設展示「顔」を観るが、これまた無料というのに人がまったくいない。

内容は企画展示と同じくただ並べただけ。

一応説明しよう。

北野謙作品がよろしい、複数の人々の顔ーたとえば新潟アルビレックスチアリーディングチアリーダー17名ーを一枚のプリントに重ね合わせてプリントし独特の肖像写真を作り出すことに成功している。

「生命」を意味するVIVOの写真家ー1959、奈良原一高や東松照明といった六人の若い写真家によって作られたグループーの作品からは佐藤明と細江英公の写真が出ている。これもなかなか魅せる。

小原健「ONE」シリーズもある。

1970発表した当時はまるで犯罪者の写真かと物議をかもしたらしい。

こうやって一つ一つは観るべき点もあるがただずらーと並べただけではどうしようもない。

おそらく近いうちにこの美術館は閉鎖するだろう。

次回の企画展示は「人間国宝 濱田庄司」、つぶれない前にみておかねば。


7 コメント

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表題がすべてを表してます。 ()
2008-08-13 17:57:49
表題がすべてを表してます。
ダメ人間の拠り所みたいな存在に 美術館が されてしまうこと、
たまらなくイヤですよね。

こまりますね。

つぶすのなら有効に発展的につぶしてほしい(泣)
ほんとに困る、そういう美術館、迷惑ですよね。
美術好きや美術家が ただのごくつぶし扱いされてしまう土壌を
彼らが作っているのでは・・?

って きっと美大生が嘆くと思います。ほんとに。
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こんばんは。ここへは一度、木村伊兵衛賞の展示で... (はろるど)
2008-08-13 21:47:59
こんばんは。ここへは一度、木村伊兵衛賞の展示で行ったことがありますが、展示スペース横の舞台(?)のようなところでカラオケ大会をやっていて驚きました。
あとにもさきにも、大音量のカラオケを聴きながら作品を見たのはここだけです。

ムナーリで板橋を挙げておられますが、あちらも同じく駅からのアプローチに難があるものの、その運営力には天地の差がありそうですね。
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鮎さんはろるどさんこんばんは。 (oki)
2008-08-13 23:30:50
鮎さんはろるどさんこんばんは。
美術館も完全に二極化が進んでいますね。
要はお客様のこと考えている美術館とそうでない美術館と。
はろるどさんも評価されておられる板橋は今はネットの力がありますから、そのよさがだんだん皆さんに浸透しつつある。
反して川崎や目黒はなにやりたいのかまつたくみえない。
川崎も館長ブログ作ったり努力しているとは思うのですがこちらに全然伝わらない。
川崎は当時の市長が「道楽で作った」といって批判をあびたんですよ。
実際アクセスはうちからだと二子玉川へ出てタクシー使えばすぐなのです、それが川崎駅からだと50分かかる。
もう再生は無理という気がします、鮎さんが言われるように跡地を効果利用してほしいですね。
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川崎市市民ミュージアムにはもう20年近く行ってい... (小金)
2008-08-19 20:18:45
川崎市市民ミュージアムにはもう20年近く行っていないので現状はわかりませんが・・・。当初は、川崎という土地柄を生かし、埋もれた地元の庶民的な芸術家や、評価の確定していない現代アート、映画、漫画などに焦点をあて、歴史部門は同じ観点から地域の古文書の地道な収集など、庶民史に力を入れているなど、明確なポリシーがあり、賛否両論は当初からあったけれども、独創的な取り組みが多かったように記憶しています。たしか、日活ロマンポルノの作品の上映会や、手塚治虫の資料収集など話題となったこともありました。やはり、最近は予算上の問題が生じているのだらうか。
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行政による、福祉やらメディアの現場では ()
2008-08-19 21:32:53
行政による、福祉やらメディアの現場では
だいたい 画期的な行動を取る一部コンテンポラリーな働き者たちの層と、
困ったぶら下がり意識のお荷物層に 分かれますよね?

そんな想像を してしまいます…、すみません。
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小金さんコメントありがとうございます。 (oki)
2008-08-19 23:29:52
小金さんコメントありがとうございます。
確かに川崎はマンガ、ポスター、写真の収集に熱心でしたが、それが一般的に考えられている美術館というカテゴリーの中では異質なものであることは言をまたないでしょう。
歴史資料も同じで、それは郷土資料館の役割でいわゆる美術館が紹介するのには難があるといえる。
開館当時は存じませんが、一般的な人々の期待するミュージアムとここの目指したものの乖離があまりに大きくアクセスの悪さも相まって訪れる人が減少したのではないでしょうか。
映画の上映会は今でも行われているようですが、古めかしい映画ばかりだと若い人が来ない、一部のそういう方面が好きな年輩のたまり場のような施設に変貌しているように思えます。
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ここは博物館、美術館一体型で出発していましたね... (るんた)
2008-09-19 15:56:14
ここは博物館、美術館一体型で出発していましたね。マンガ、ポスター、写真収集等の実験的な試みで、一般的な美術館の枠を突き崩そうとしたその(当初)の方針は良かったと思います。少なくともそれを常設で見せるという点は画期的だったし、歴史、芸術ともに地元の特性を踏まえて「庶民」、「前衛」などの共通テーマを打ち出していたのも良かった。充分川崎という地域を越えて関心を呼ぶコンテンツに成長する可能性は持っていたように思います。問題は、当初の志を発展させられなかったその後の企画・運営にあったのではないでしょうか。千葉県松戸市立博物館のように、当初のガンダーラ美術館構想が、ガンダーラ彫刻を購入までしたのに、馬鹿な市議会議員の横槍で、結局どこにでもあるような郷土博物館へ方針変更し、しかもそれを数百億で建てるようでは失敗は最初から見えている。「郷土」というコンテンツでは、地元以外のニーズはないわけですから。その意味で川崎市民ミュージアムの当初の方針は発展の可能性を秘めていたと思います。確かにアクセスは今ひとつですが、山梨県の清春白樺美術館も場所は田舎だが、全国区で客を呼べるコンテンツを持っている。今では有数の観光名所です。東京三鷹の中近東文化センターの博物館と図書館は、世界的なコンテンツを有しつつも、支援企業の予算削減で閉鎖寸前。所蔵品の切り売りと図書売却などその場しのぎの対応しかできない事務屋と名誉職だけの理事会を突き動かした、一人のスーパー研究員が、予算獲得と新たに客を呼ぶ様々な試みを打ち出し徐々に復活しつつある。
http://www.kanshin.com/keyword/1335122
そのように考えると、市民ミュージアムの問題は、初志貫徹できずにその場しのぎの運営に埋没して行ったこと。ポイントは、館運営のマネージメント(民間会社の企画と営業担当)ではなかったかと思います。
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