僕の家からだと片道二時間はかかる、しかし東京湾を眺めながら美術鑑賞もいいものだ。
某SNSからの招待券で横須賀美術館に行ってきた。
企画展示はライオネル・ファイニンガー、知らない人だ、しかし知らないことを知るのは勉強だ。
はじめは「シカゴ・サンデー・トリビュート」紙に二つの連載漫画を持っていたようだ。
カタログを読むとその中に日本を象徴するロボットも描きこんでいたらしい。
で、その連載漫画が経済的保証となりパリへと移住、キュビスムと出会う、1911のことだ。
自らの色彩キュビスムを「プリズマ・イズム」と呼んでいたらしい。
そして1919/5/18形態マイスターとしてバウハウスに着任する。
この人の絵の特徴は橋とか、塔とか、教会とか船をよく描くが、それらが精神的なものにおける地上的なものの救済への希求だと説明されていた。
1920年代の海景画はフリードリヒを連想させ、ドイツ・ロマン派にもつながると説明があったがよくわからない。
もう一つの特徴はおもちゃ制作だ。
息子たちのために作った木のおもちゃが展示されていたが、その木のおもちゃから発想を得たような絵画もある、「この世界の果てにある都市」だ。
さてこの画家はナチスによって退廃芸術家の烙印をおされドイツ追放、生まれ故郷のニューヨークに帰るが、後期作品は絵画中にマンハッタン建築が現れたり、「夕暮れ時」のように線を用いず色彩が自立したりする。まあ面白いといえば面白い展覧会だ。
しかし横須賀美術館の常設展示もすごい、佐伯祐三、梅原龍三郎から始まって、須田国太郎は「河原」、昭和前期に活躍したがヨーロッパ留学ならず軍の求めに応じて上海へわたり、戦後は中央画壇から離れたがルオーばりの重厚なマチエールが特徴の朝井閑右衛門記念室、そして現代作家まで総数126の展示が並ぶ。
さらにさらに谷内六郎記念館もあり、谷内の「週刊新潮」の表紙と言葉が並ぶ。
こちらの記念館はロケーションの関係からまさに海を眺めながら鑑賞できる。
一度行くと病みつきになりそうな美術館体験だった、次回は観音崎にも足を運びたい。
若林奮の遺作が (防酸化加工後)、観音崎の 見晴らしの良い岬に設置されてある…(若林氏本人の希望による)、と 聞き 猛烈に行きたくなりました。
いつの間にか亡くなっていた好きな作家。…観音崎にも期待、高まりますね。
ファイニンガー展は私としては大当たりでした。
漫画からおもちゃ、さらに退廃芸術と半具象、半抽象と、画風の変遷も興味深かったですね。
絵から発せられるようなほのかな光がとても神秘的でした。
ちなみに、okiさんの他に Cos.さんというさっぱりした文章の方も ココログにblogをお持ちでした!
知的専門職の女性、すばらしいですね。
Okiさんといい…、とても知性に感謝した 発見でした。自分にないよい所を持つ人を見ると、世界が広がる気がします。
・・横須賀のチケット、もし okiさん宛にお送りしたら、
どなたかに使っていただけますか?
なんだか ついに自分で行くのは無理な気がして来ました・・・。
(家で良い顔をされませんので・・)