だらだら日記goo編

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どうした朝日新聞!

2008-11-15 23:15:22 | インポート
今東京で、更紗に関する展覧会が二つ開かれている。
大倉集古館の「インドネシア更紗のすべて」朝日新聞主催、と五島美術館「古渡り更紗」だ。
同じテーマでやると展示品の奪い合いになる事が多いが、今回の展覧会は両方の美術館が連絡しあい、いわば協同事業
なのがよい。
しかし両方の展覧会を見比べて印象はまったく異なる。
僕はインドネシア更紗を先に観たが、展示構成もまったく考えられておらず、最低の説明もなく、そもそも更紗とは何ぞやというレベルの僕には理解しがたかった。
というわけで、五島美術館にも期待しないで行ったのだが、これが目からウロコなのである!
まずは彦根更紗といわれる彦根藩主井伊家に伝わった450枚もの更紗の一部がずらりと展示。
「古渡り」とは時代区分であり、そもそも今泉雄作による名物裂の渡来時期の区分であることを知る。
更紗はインド産の木綿布のことであり、南蛮船が運び、江戸の人々を魅了したという。
それはたとえば、山鹿素行が所用した陣羽織に、あるいは小堀遠州の茶道具を包む風呂敷にと転用される。
あまりの人気に更紗製作の指南書もでき、和更紗もうまれる。
インド更紗はヨーロッパにおいてもブームとなり、東インド会社が、日本むけ輸出品としてインド更紗を模倣するほ
どだったという。
初期風俗画にえがかれる小袖にはインド更紗もあったようだ。
江戸の人々を魅了したインドの世界に想いを馳せる。
その他八代桂文楽コレクション更紗たばこ入れ、中田実コレクション、ミニチュア裂手鏡など珍しいものがきちんと解説つきで狭い展示室に存分だ!
こうなると天下の朝日のインドネシア更紗はなんだったのか?


5 コメント

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Okiさん、こんにちは。いつも美術館等に関する辛口... (Urashima)
2008-11-22 11:51:00
Okiさん、こんにちは。いつも美術館等に関する辛口リポートを楽しく拝読しております。美術館(あるいは博物館も含めて)の評価の分かれ目について私も日ごろ考えています。まず運営上のポリシー、明確なビジョンがあるか。それに裏付けられたしっかりした自前のコレクションの有無。そして何より美術館・博物館を運営する研究員、学芸員等の問題意識や「やる気」といった点がポイントになるのではないでしょうか。最初のポリシー、ビジョンの部分で失敗した例は、名古屋ボストン美術館。学芸員や研究員のモチベーションや問題意識も重要で、川崎市市民ミュージアムが抱える問題はこの点にあるような気がします。開館10年も経つと惰性でやっているだけの公立美術・博物館などが多い気がします。で、今私が注目しているのが、東京都三鷹市の中近東文化センター(博物館・図書館)の事例。パトロンだった出光興産の助成が大幅カットされ、活動休止に追い込まれた末、目玉だった収蔵品の一部を売却。さらに貴重な文献を多く含む国内有数の中東専門の図書室を閉鎖し、全図書の売却も決定していた。決定したのはほとんど名誉職の理事たちだったようですが。ところが、事態を直前に知らされた一人の研究員が奔走し、募金集めや支援先を開拓し博物館と図書館を復活。11月23日にはベルリンのペルガモン美術館の資料を招いての企画展が実施されるまでになってます。講演会や定期的な公開講座などの企画も精力的に企画されるようになっています。このような復活劇は、あまり耳にしません。ここの場合、収蔵資料は全国的に人を呼べる内容であり、将来性はあるように思います。今後の動向が興味深いところです。川崎市市民ミュージアムの現状と比較して、対照的で興味深い事例のひとつと思われますが、Okiさん、どう思われます。一度ぜひここもレポートしてみてください。

(参考情報)
中近東文化センターが救われた顛末が紹介されているページ。
http://www.kanshin.com/keyword/1335122

中近東文化センター附属博物館企画展の紹介。
http://www.kanshin.com/keyword/1617980
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書き込みありがとうございます! (oki)
2008-11-22 22:41:04
書き込みありがとうございます!
中近東文化センターには行ったこともありますし、
朝日のアスパラで、今回の展覧会のモニターに応募してもいます。
ここも問題がいろいろあるようですね。
まずオリエントについては古代オリエント博物館というのが、繁華街池袋にあり、わざわざ武蔵境まで行く必要を普通の人は感じないでしょう。
さらに今回の展覧会、会期が異様に長いことも気になります。
裏返せば他の企画をたてる余裕がないことを示しています。
学芸員の質などはおっしゃる通りで、今日ブリヂストンのテーマ展示、都市の表象と心象にいったのですが、驚くことにカタログをみるとこの展覧会、塩島明美さんという一人の学芸員の
手によって企画されたようなのです。
優秀な学芸員はそう多くはないでしょう。
ブリヂストンの底力をみた気がしましたね。
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こんにちは。小生もコメントを述べさせて下さい。... (小金屋)
2008-11-24 08:23:56
こんにちは。小生もコメントを述べさせて下さい。中近東文化センター再建の立役者は、大村幸弘さんという研究者でしたね。『アナトリア発掘記 -カマン・カレホユック遺跡の二十年 -』(NHKブックス)などの著作で知られていますね。ここの場合、三鷹の博物館と図書館の再建だけではなく、トルコ共和国で20年以上続けている遺跡の調査と現地研究所の建設なども、この方の双肩にかかっているようですから、その活躍ぶりは尋常ではないと思いました。いずれにせよ中近東文化センターの評価は、附属博物館での企画展のだけではなく、それに付随した講演会、同センター附属の三笠宮記念図書館などでの定期的な勉強会や講座物、それに研究活動といった諸活動などを合わせて、複合的な視点でなされるべきかと思います。今回の企画展、確かに期間が長いのですが、私のような「のんびり屋」には別に気になりません。よく、気がついたときには終わってるパターンが多いので。まだ財政上の問題による閉鎖から立ち直って数年なので、年間の企画展の数が他に比べて少なくても仕方ないでしょう。今回も岡山オリエント美術館との共催(巡回展)のようですが、一球入魂の企画ではないかと期待しています。関連した連続講座も予定され、既に終了しましたが東京の有楽町で、企画展に関連したシンポジウムも行うなど、独自の企画が伴っているのも良いと思います。この博物館では、昨年も和歌山で引き上げ調査が行われたトルコの軍艦に関する展示と、それに関連してイラン・イラク戦争の際現地の邦人救出に尽力したトルコ航空の乗務員らを呼んでシンポジウムを開催するなど、個性的な企画が続いています。池袋の古代オリエント博物館との差別化はできていると思います。ただ惜しむらくは、常設展示がショボイ。またせっかく世界的に高い評価を受けているトルコでの古代遺跡の発掘調査の成果が、博物館の展示にほとんど反映されていないことや、企画展や諸々の催しに関する情報発信、アピール力が弱いのが残念です。せっかく良い企画でも、情報に接せすることができなければ一般の人は行けませんからね。長文失礼しました。
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ここは、インテリゲンツィアが集まる場所だった・・ ()
2008-11-24 16:06:54
ここは、インテリゲンツィアが集まる場所だった・・

感動しながら皆さんのコメントを読んでいました。

大倉集古館、ふるいものを懸命に集めて、説明がないのは
てっきり「日本語の説明文を読めない」
「英訳で読めても、その歴史背景が掴めない」方 
(ex. 広尾麻布に住む、大使館員家族や、
米欧の短期旅行者、等・・) のほうを向いている展示なのかと・・
ごくあっさり理解していたんです。

深い理由がありそうなのですね。大変失礼いたしました。
ほんとにここは、勉強になります。 
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小金屋さん、鮎さんこんばんは。 (oki)
2008-11-24 22:39:36
小金屋さん、鮎さんこんばんは。
小金屋さんのコメント最後の部分はとても重要に思います。
ここは他の美術館博物館で、展覧会チラシが入らないのです。
チラシを作る費用もないのか知りませんが、これでは関心を持てというほうが無理です。
一応ぐるっとパスには名前を連ねているようなので、パスを買った人がどんなものか見にいくのとあとは中東の研究家が
足を運ぶぐらいでしょう。
内容がよければ、交通不便でも、板橋区立美術館のように、口コミあるいはネットでひろまるはずですが、そういうはなしも
聞きません。
けどここでああだこうだ言っても意味ないですから、この機会に僕も足を運んでリポートしたいですね。
鮎さん、大倉集古の企画展示はいつもこんな感じです。
ここは、企画展示よりも所属作品展のほうがいいと思う。
なにしろ日本初の私立美術館ですから。
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