館長が変わるとはこういうことなのだろう。
岡本太郎最大の理解者岡本敏子さんが亡くなられて、岡本太郎記念館は変わった。
現代美術家による岡本太郎へのオマージュ展などが開かれるようになった。
昨年の秋には「太郎の中の見知らぬ太郎へ」という展覧会が開かれたという。
で、記念館のアトリエ部分はいつもはキャンパスで覆われて棚の奥は見えない状態なのを、その展覧会開催のために棚の奥まで整理する必要があっていろいろなものを取り出していたらその作品が見つかったという。
「電撃」だ。
今までは退色した絵葉書が一枚残るだけの幻の作品だったという。
岡本の代表作「夜」と同じ年に描かれた作品。
人の顔をした崖の上で雷に撃たれて男が倒れるという作品だ。
さて「夜」は岡本がパリ時代に参加したバタイユ主催の秘密結社「アセファル」と関係の深い作品というが、ではこの「電撃」にはどんな意味が込められているのであろうか。
しかしこの記念館はカメラで館内どこでも撮影OKというのがよろしい。
お世辞にも狭い展示室で600円も取られるのだが、絵は触ろうと思えば無造作に触れるし、監視員もいない。
こういう伝統は岡本敏子さんの意思をついでのものだろう。
言い換えれば展示のコンセプトは変わったが、お客様への姿勢は変わらない記念館なのだ。。
近くにはもうすぐ再オープンの根津美術館、新しくできた秋山庄太郎の写真館もあり、表参道もアート好きにはまたたまらない。