この展覧会にも山形美術館から多く出品されていて驚いた。
相当なコレクションなのだろう。
しかし展示方法は疑問がいっぱいだ。
上野の森美術館「シャガール展」のことだ。
「写真家イジスのとったシャガール」と副題が付いているように写真も多く展示されるのは良い。
しかしシャガールの版画作品については疑問だらけだ。
「ポエム」が展示される、名前の通り詩がなくては意味がないが、展示では詩をみな省略しているのだ!
カタログに申し訳程度に載せているだけ。
「聖書」もたくさん展示されるが「預言者」とせず「予言者」と訳すのはいかがなものか。
神の言葉を預かっているから「預言者」と表示すべきだろう。
「ダフニスとクロエ」も説明が乏しい。
そのほか「サーカス」「アラビアンナイト」と五つの版画が展示され、油彩画がそれを補い、イジスの写真がちりばめられる。
油彩画は展示16の「燃える花束」がかれん極まりない、シャガールの世界を満喫する。
さてメインの写真はイジスという人は1911リトアニア生まれで1949にシャガールと出会ったそうだ。
予備校を展開する東京アカデミーがこれらの写真を収集したというのが面白い。
年代的に言って最愛の妻ベラはもういない、1952に二番目の妻となったヴァヴァが写真に登場する。
いろいろな写真があるがやはり圧倒的なのはパリオペラ座の天井画の写真だ。
モーツァルトセクション、チャイコフスキーセクションなどと分かれていてなかなか興味深い。
この展覧会に千円払う価値があるかどうかは疑問だが、貧相なカタログ千五百円を買うと、今月末から東急本店で開かれる彫刻の森コレクション「巴里に魅せられた画家たち」の招待券が付いてくることだけ申し添えておこう。