この展覧会が五島美術館で昨年開かれたことは僕も知っていた。
しかし展示室一部屋しかない五島では混雑するのが目に見えていた、であるから行かなかった、ぐるっと巡回してまた関東はそごう美術館に回ってくるのを待っていたのだ。
「よみがえる源氏物語絵巻」の展覧会だ、科学の目を使って、五島と徳川美術館にある国宝源氏物語絵巻の修復が行われたのだ、NHKでも放送されたようでDVDにもなっているという。
予想通りそごうの広いスペースでは全部展示してもまだ余裕があるほどでゆっくりと観られる、ビデオコーナーもついているのがよろしい。
ずいぶん若い人がこの平成修復には関係していたんだと驚いたが、なんでも復元模写の先駆者林功という人が中国で交通事故で帰らぬ人となったため、お弟子さんがその仕事を引き継いだのだという。
しかしながら源氏物語絵巻は詞書があり、それを受ける形で絵画がつくられたものである。本来なら詞書の再現もあってしかるべきであろう。
これはカタログで五島美術館の学芸部長も指摘しているが詞書の再現といっても「その線質の再現はきわめて困難な作業である。料紙の再現との調和も難しいものがあろう」
とかく絵が復元されたといっては大騒ぎするこの国のあり方に疑問を感じたのも事実だ。
しかし五島美術館の狭いスペースでビデオの上映とかはどうやったのであろうか。
あとこの展覧会は東北以北、広島を除く関西方面ではまったく開催されないようだがこれまた不思議だ。