この人の彫刻への出発はロダンへの憧れだったという。
しかしながらたとえば「夢窓国師のおしえ」は禅寺の庭をモチーフとしているのはすぐわかるが、「クメール」だの「能楽師」だのはアブストラクト過ぎて何を表しているのかさっぱりわからないのである。
昨年現代美術館でも開催されたイサム・ノグチ、アメリカと日本を往復した芸術家の展覧会を横浜美術館で観る。
この美術館はチラシの一つもつくらないのだろうか、メモするものがないので「週刊金曜日」の裏表紙にメモして歩く。
出品数が少ないのでモレエ沼公園への路を展示した現代美術館と比べると貧相な展示ではある。
収穫はこの人もまた舞台芸術の装置とかかわったことだ。
マーサ・グラハムという人の「暗い牧場」の舞台装置、日本初公開という。
ビデオも上映していたので観たが、意味不明に思えた、カタログには古代ギリシャ的とあるのでまあそうかと思う程度。
面白いのは「魚の皿」1952だ、明確に魯山人の影響が見られる。
年表を見るとちょうど1951に鎌倉の魯山人の離れで陶芸をはじめるとありぴったりだ。
あとはどうもよくわからない「霊的理解の石」「見えるものと見えざるもの」1962イメージの背後にあるリアリティを追求したというが具体的にはどんなものかー。
やはりこの人はモレエ沼のように公共空間のランドスケープを追求したと思うが、今回の展示では多くは反映されない。
会場ビデオではブランクーシとのかかわりが強調される。
まあお客さんも少ないのでよろしいが、これがNHK横浜開局80周年プロジェクトとはちょっと情けない展示だ。