ルオーとマリー・ローランサン、まるで画風が違う二人だ。
ともに踊り子を多く描いたというがそれだけで二人を結びつける展覧会になろうか、いぶかしく思いながら松下電工NAISミュージーアムに二人の展覧会を観に行く。
アッと驚く事実が判明、二人ともロシアのディアギレフ率いるバレエ・リュスで、美術を担当していたのだ。
ディアギレフのモットーは総合芸術だ、美術も音楽も当時の前衛を起用した。
でもって1924の「牝鹿」に起用されたのがローランサンで、ディアギレフ最晩年の1929「放蕩息子」に起用されたのがルオーであった。
ちなみに音楽は前者がプーランク、後者がプロコフィエフ、前者の「牝鹿」は聴いたことはあるがプロコフィエフは聴いたことない。
当時の前衛集団だ、パリっ子たちはさぞ熱狂しただろう。
ローランサンはこの仕事が元で舞台芸術に9回もかかわったという。
会場では「放蕩息子」のDVDも上映されている、ニューヨークで1977の舞台だ、背景には確かにルオーの絵がかかっている。
ルオー「ロシアバレエ団のダンサー」とか、この美術館の所蔵のものでないものもいろいろ借り物で展示される、素敵な展覧会だ。
ローランサンはすべてマリーローランサン美術館の所蔵のもの。
ローランサンは大恐慌以降、肖像画の注文主がいなくなり、空想上の女性を好きな馬とあわせて描くようになるがまことにニンフのようだ。
ルオーの晩年も明るい色調と色彩感が出てくる。
すべてはディアギレフとの出会いから始まったとは言いすぎであるが知られざる側面に着目したいい展覧会だ、連休最後の日にバレエを見るとは思わなかった。