だらだら日記goo編

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世界の棟方へ

2006-05-12 22:04:52 | アート・文化

会場全体を包むものすごいエネルギー、これは尋常なものではない。

改めて板画棟方志功のすごさを再認識するとともに、棟方を「発見」した、柳宗悦と日本民藝館のすごさにうなってしまった。

しかし会場は日本民藝館ではない、民藝館からの作品を借りて横浜そごうの美術館で棟方の展覧会が開かれているのだ。

圧巻は120枚を継ぎ合わせたという「東北経鬼門譜」であろう。

棟方の生地の東北は易では鬼門とされ、不幸の多い土地とされてきた、で棟方は中央に鬼門仏をおき壮大なる屏風形式にして、安穏たれと願ったという。

棟方といえば仏教や神話に題材をとったものが多いが、西洋に題材をとったものもある。

ヴェネチアビエンナーレを取った、釈迦十大弟子で慾が出たか、キリスト教の使徒を題材に作品を創るが、柳のめにはかなわなかったという。

でその使徒たち、ヨハネは口から何か飲んでいるのはわかるが、後は何をしているのか判然としない場面が多く、柳が賞賛しなかったのももっともと思う。

しかしながら柳は1956に棟方が茶道雑誌の企画で茶掛け用の12枚の軸を制作すると、そのうちの「基督の柵」がまことにお気に召して、放射状に光を放つように装案したから面白い。

この軸のなかでは「美誕の柵」というのがおそらくボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を踏まえているのも面白い。

河井寛次郎「火の願ひ」から棟方が文字を掘り絵を添えたのも面白い。

「機械は存在しない、機械は新しい肉体」とか「蟲になって人間を見る」とか陶芸家の思想が伺える。

自らの版画を板画とよんだ棟方、肉筆画もずいぶんあり「倭画」と称していた。

一気呵成にやはり描いたようで、でき不出来が大きく悪いほうが多い、しかし良いものは神品と柳は評していたのが面白い。

ずっと会場で余韻に浸っていたいような展覧会だ。