だらだら日記goo編

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絵画の基本

2005-06-08 23:08:32 | アート・文化
中学時代は音楽と美術がいやでたまらなかった、親に内緒でずる休みをした。
だから高校の芸術は書道を選んだ。
美術の基本は写生である、美術教室で対象に向って黙々と筆を滑らせて行く時間が苦痛でならなかった。し
それが今ではクラシック音楽や美術作品について薀蓄語るようになるのだから人生は判らない。
こんな書き出しになったのは近代美術館で小林古径の展覧会を観て来て、改めて写生の大切さを感じたからだ。
ゴッホの大混雑がウソのような近代美術館で小林古径をゆっくり鑑賞する。
全国いたるところの美術館からこの人の作品を集めた展示だ。
小林は師の下で青春時代は写生に没頭したという、そのスケッチブックも展示されており興味深い。
裸婦のスケッチもあるし、渡欧時代はダヴィンチのスケッチもある。
興味深いのは小林がダヴィンチや古代エジプトばかり熱中していたこと、つまりは古典志向なのだ。
その姿勢は終生変わらない、初期の歴史画を描いた作品でも晩年の植物を描いた作品でもこの人の造形は一貫している、間に戦争があったはずだし、西洋の流行絵画も入ってきたはずだがまったく動じないただ基本に忠実に、小林の言葉を借りるなら対象を「じっと見たときに受ける感じ」が一番重要となる。
あれ、と思う作品もないではない。
「踏絵図」はキリシタンの踏絵を描いたものだが、弾圧される者の表情が妙に明るいのはどういうことか。
「鶴と七面鳥」は近代琳派の重要作品だそうだがたらしこみは使われていないという、といえば「とうもろこし」という作品はたらしこみを使ったりしている。
それにしても小林の自然を見つめるまなざしの細やかさには驚く。
「てっせん」なる絵がある。花の名前のようだが僕ははじめて聞く。Clematisという学名らしい。
昨日も日本の自然について書いたばかりだが、今日また自然を尊ぶ画家に出会えてうれしい。
カタログも良くできている、会場の展示作品以外のものも載っているが展示換えがあるのだろう、もう一度いきたい。
常設展示も観るが、妙に外国の作品が多い、マックス・エルンストなどもある。
二階の現代美術のコーナーなど見ると、今の作家は写生ということをしているのかと思う。
何はともあれ素晴らしい展覧会だった、日本画の展覧会で1200円は高いようにも思えるがその価値はある。