「綴り字のシーズン」のスコット・マクギー&デビッド・シーゲル監督が、離婚する両親に翻弄される少女の日常を描いたヒューマンドラマ。ロック歌手の母と美術商の父の間に生まれた少女メイジー。日頃から喧嘩してばかりの両親はついに離婚を決め、メイジーはそれぞれの家を行ったり来たりすることに。ところが、忙しい父はベビーシッターのマーゴに、母は新恋人リンカーンにメイジーを預けるようになり……。原作は「ある貴婦人の肖像」「鳩の翼」などで知られるヘンリー・ジェームズの小説。2012年・第25回東京国際映画祭コンペティション部門では、「メイジーの知ったこと」のタイトルで上映された。(映画.comより)
う~ん、なんか考えさせられましたね。メイジーの実の両親は、絵に描いたようにわがままです、子供よりずっと。常に自分中心で、育てることもできやしないのに、一人前(?)に養育権を主張して譲らない。そのくせ、自分一人に認められずに相手と半々(10日ごとに行き来する)になると、子供の前でも平気で相手を罵る。そして、いざ預かってみると、学校の迎えには来ない、夜じゅう仲間と騒いでる、喫煙・飲酒しまくる、あるいは仕事を口実に子供を放置する、子供の前でも電話ばかりしている、などなど。そんなんだったら、最初から「自分がみる」なんて言わなきゃいいのに、と思うくらいです。
そんな両親を非難するのは簡単です。「誰も知らない」と一緒ですね。でも、そんな彼らでも、メイジーのことを深く愛していることは間違いなく、そして、自分のことを顧みるに、「大して変わりはないんじゃないか」と思い知らされるわけです。まだ彼らの方が、経済的に余裕があるだけマシなのかも、と。
とにかく映画全体がおしゃれ。メイジーのお部屋はとってもかわいいし、もちろんメイジーちゃんも超かわいい。こんなの反則!って思うくらいかわいくてつぶらな瞳。決して両親を怒ったりしないし、状況もよく理解するし、両親が自分を愛してくれていることもちゃんと理解している。ちょっと出来過ぎなくらい(笑)。
そして、衣装!ソフィア・コッポラ監督作品も手掛ける、ガーリーな衣装には定評のあるデザイナーを起用したのだそうです。メイジーは、モデルさながら、とっかえひっかえかわいらしい衣装に着替えて私たちの目を楽しませてくれます。かわいい!
物語は結構悲惨なはずなのに、こう言った要素が映画を柔らかく見せているのだと思います。おしゃれなインテリアや出で立ちがかわいいと、悲壮感が漂わないですものね。
しかし、若い元ナニーと再婚した父親も、若い長身のイケメンと再婚した母親(うらやましい!)も、結局はメイジーをほったらかし、パートナーの都合も聞かずにほったらかすものだから、誰にも会えずに夜の街をさまようことになったりもします。
結局はそれぞれのパートナーが常識人だった、としか言いようのない展開となります。それでも、ロックスターの母親は、ツアーの途中に突然娘を迎えに来て感じた、娘の思考の変化を素直に受け入れ、「私もそうだった」とほほ笑んでみせるのです。この辺は潔い。
この映画は、明確な結論を示してはいません。これからメイジーはどうなるのか、ちょっぴり心配なフシもあるのですが、やはりメイジーは、どんな状況でも柔軟に受け入れてゆくんだろうなぁ、と思います。
敢えて難点を言えば、ジュリアン・ムーアは老け過ぎじゃなかろうか。もちろんその独特の存在感は唯一無二のものですが、メイジーの母親と言うにはいかにも・・・(笑)。
でも、いい映画です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます