田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

夏時間(남매의 여름밤)

2021年03月30日 14時49分50秒 | 日記

 남매의 여름밤> 어떤 눈물은 슬픔으로 기억되지 않는다

 

남매의 여름밤' 뉴욕아시안영화제 최우수 장편 영화상 수상

남매의 여름밤', 개봉 7일째 1만 돌파…코로나19에도 의미있는 행보

 

 本作が初長編となる韓国のユン・ダンビ監督が10代少女の視点から家族や友人との関係を描き、第24回釜山国際映画祭で4部門を受賞した作品。10代の少女オクジュと弟ドンジュは、父親が事業に失敗したため、大きな庭のある祖父の家に引っ越して来る。しかし、そこに母親の姿はなかった。弟はすぐに新しい環境に馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じる。さらに離婚寸前の叔母までやって来て、ひとつ屋根の下で3世代が暮らすことに。それはオクジュにとって、自分と家族との在り方を初めて意識するひと夏の始まりだった。(映画.comより)

 

 

 

<2021年3月23日鑑賞>

 映画はいきなりお父さんが子供たちをおじいちゃんの家に連れてゆくところから始まるので、”事業に失敗したため母親も出て行った”という説明はないのです。しかもおじいちゃん、夏バテで体調を崩しているから病院に行ってて、子供たちを降ろした後はお父さんは迎えに行くんですね、病院へ。だから、夏休みだしおじいちゃんが心配だから来たのかな、くらいに思っていました。バックグラウンドは徐々にわかってくるのですけどね、突っ込んだ説明はなくて、お父さんと姉弟の日常が淡々と描かれます。

 でも、やっぱり実家に兄さんが帰ってきているって、心強いのでしょうね。結婚してる妹(子供たちにとってはおばさん)もいろいろ言い訳しては実家に居つくようになったり。わかる気がする(笑)。微妙な年齢のお姉ちゃんは、弟に対して威張ったり、優しくしたり。弟が母親と会って、なにがし買ってもらってきたら腹立たしくて当たり散らしたり。

 でもね、生活のコアは日本だろうと韓国だろうと同じです。大人たちはみんな人生に疲れていて、お金がなくて、子供たちも欲しいものが手に入らなくて。お父さんの商売なんてうまくいかなくて、そうかといって資格取得のための勉強もうまくいってないみたいで。せめて売ってる靴は「本物だ」ってお父さんが言うから信じてたのに、やっぱりニセモノで。何もかもが、人生が、自分にだけはそっぽを向いてて。それでも生きてゆかねばならなくて。情けなくて、そういえば彼氏がいると思っていたけれど、よく考えると向こうからは連絡くれたことがなかったような。弟は素直で、場を明るくしてくれたりはするんだけれど。

 大人たちの情けなさ。でも、庶民ってこんなもので、自分だって身につまされる。子供の頃、気ままで自分勝手な親が大嫌いだった少女も、自分。いや、映画の女の子のほうがずっと素直でいい子だけれど。あ~心に痛い。

 ところで、韓国映画って子供の構成が、よくお姉ちゃんと弟だったりするんだけれど(最近ではこの映画と「ミナリ」)、これが理想形なのかな。そんなことないか(笑)。とにかく、希望はあれど、リアルな映画だったのでした。

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天空の結婚式(Puoi baciare lo sposo)

2021年03月26日 16時03分05秒 | 日記

Puoi baciare lo sposo - Film (2018) - MYmovies.it

Puoi baciare lo sposo, da film a serie tv per Mediaset? Il cast fa ascolti

Puoi baciare lo sposo – La recensione - Panorama

 イタリアの観光地チヴィタ・ディ・バニョレージョを舞台に、ゲイカップルの結婚式をめぐる大騒動を描いたオフ・ブロードウェイの大ヒット舞台を、イタリアコメディ映画界の重鎮アレッサンドロ・ジェノベージが映画化。ベルリンに暮らすアントニオは、役者仲間で恋人のパオロにプロポーズし、2人は結婚を決意する。しかし、パオロはゲイであることをカミングアウトして以来、母親とは疎遠状態になっていた。一方のアントニオは両親にカミングアウトと同時に結婚の意志を伝えるため、イタリアで村長を務める父と母のもとに行こうとするが……。(映画.comより)

 

 

<2021年3月23日鑑賞>

 ご陽気なイタリアでも、地方へ行けばやっぱりゲイは生きづらい。本作品の主人公たちはベルリンで暮らす分には不自由はなかったけれど、やっぱり結婚するとなると両親に認めてもらわねばなりません。ということで、役者志望のアントニオはイタリアでも”天空の村チヴィタ・ディ・バニョレージョ”として有名な故郷に帰ることとなりました。婚約者のパオロを伴って。しかし、そこはそれ、辺鄙な田舎町。お堅い村長の父親は受け入れることができません。また、パオロの母親も息子と絶交したままなのです。

 と、メインストーリーだけ見ると目新しい話でもないのですが、ここに超個性派の仲間たちが絡みます。いつまでもしつこいアントニオの元カノ。いけませんねぇ、幸せになろうとしている人を妨害しては。あと、カップルが住むドイツのアパートの大家さん。お金持ちなんだろうけど、精神的にちょっぴり不安定。でも若くてきれいな女性です。そのアパートに新しく間借りすることになっている初老の元長距離バスドライバー。まだ一緒に住んだこともないのに「一人になるのがいや」という理由でイタリアまでついて来るのです。彼には家族があったのですが、女装癖がバレて一人に。今は精神的にちょっぴり不安定。とまぁこんな不安定な面々で田舎町へやってくるわけです。元カノはイタリアにいたのですが。

 個人的に好きだったのは、アントニオの母親が雇う有名ウェディングプランナー。写真2枚目の中央です。アントニオの母親も、最初は驚いたものの、認めた後は「彼を雇うのが夢だったの」と、ガンガン攻めます。有名人ですから、値も張るのですが母親は動じません。確か大昔に見た「花嫁のパパ」とかいう映画にも、こんな個性的なウェディングプランナーがいたな~って、思い出しました。そういう人が多いのかもしれませんね。いいな~、私もお金が一杯あったらこんなプランナーをど~んと雇ってみたい。息子や娘は嫌がるだろうけど(笑)。

 ということで、楽しめる映画に仕上がっています。特に感動するような類のものではありませんが、心が楽しくなります。こんなすごい”天空の村”、足腰が丈夫なうちに行ってみたいと思いました。

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ミナリ(Minari)(미나리)

2021年03月25日 15時30分35秒 | 日記

映画 「ミナリ」 既に不法映像横行…「法的対応に出る」(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース

ミナリ : 作品情報 - 映画.com

ミナリの上映スケジュール・映画情報|映画の時間

 1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家が理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた家族映画。2020年・第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した。農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。父ジェイコブを「バーニング 劇場版」のスティーブン・ユァン、母モニカを「海にかかる霧」のハン・イェリ、祖母スンジャを「ハウスメイド」のユン・ヨジョンが演じた。韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンが監督・脚本を手がけた。第78回ゴールデングローブ賞では、アメリカ映画だが大半が韓国語のセリフであることから外国語映画賞にノミネートされ、受賞を果たす。第93回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞など計6部門にノミネート。(映画.comより)

 

 

 

<2021年3月21日鑑賞>

 日本でも、昔はブラジルに移住して成功を夢見たとか、ついこの前見た「ムヒカ」ウルグアイ大統領の話でも、隣に日本人コミュニティがあったとか、同じようなこともあったのでしょうが、アメリカンドリーム!!本当に魔法のことばですね。

 何もない荒地に家族だけで引っ越して、トレーラー住まいをしながら農業で成功することを夢見るなんて、意気地なしの私には信じられません。何かを作って成功するような地盤ならとっくに誰かがやってるだろうし、自分が一番に思いついたことなんてないだろうし、そもそもアメリカでアジア人なんて蔑まれて終わり、なんじゃないかとか、そこに希望を持つ根拠が私にはわからない。もちろん、そんなこと言ってたら何もできないんだろうけれど、この映画の主人公は「息子に父親が成功するところを見せたい」その一心だったみたいですね。韓国ではそういうところに根本の価値観があるのですね。

 で、マイノリティはいつも同じだと思うんだけど、韓国人もかたまって住むから、働いている工場でも韓国人の同僚が。でも、地域の教会に行こうとしたら「韓国人は皆、韓国の教会が嫌で逃げてきたのに、行かないわよ」と一言。なるほど。

 家族が常に一緒にいる、という価値観もしんどいですね。こんな八方ふさがりな環境、過酷過ぎる。まぁそういう人間は最初から行かないか(笑)。でも、おばあちゃんが韓国から移住してきてくれたのは大きかったですね。おばあちゃん、度胸あるぅ!他に知り合いもいないのに、孫の面倒を見ながら男物のパンツで花札を打つ。カッコいいじゃないですか。

 この先彼らは成功したのか、そうでもなかったのか、まだまだこれからがんばる感じで映画は終わるのですが、その心意気には尊敬の眼(まなこ)です。すごいなぁ。あ、そうそう。名バイプレイヤーのウィル・パットンがその地区の変人(?)の農民役で出てました(写真3枚目)。歳取りましたなぁ。「アルマゲドン」とかにも出てましたが、私は「この森で、天使はバスを降りた」が好きです。

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秘密への招待状(After the Wedding)

2021年03月21日 16時42分53秒 | 日記

After the Wedding (2019) - Bart Freundlich | Synopsis, Characteristics,  Moods, Themes and Related | AllMovie

Movie Review: 'After The Wedding' | KMUW

After the Wedding | Film-Rezensionen.de

 2006年アカデミー外国語映画賞にノミネートされたデンマークのヒューマンドラマ「アフター・ウェディング」をジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズ主演でハリウッドリメイク。インドで救護活動に人生を捧げるイザベルと、ニューヨークでメディア会社を経営するテレサ。イザベルはテレサに自身の孤児院を支援してもらうため、ニューヨークを訪れる。「娘の結婚式ならゆっくり話ができる」というテレサから結婚式への招待を受けたイザベル。その式場でイザベルが出会ったテレサの夫はイザベルが過去に別れた恋人オスカーだった。さらに、新婦グレイスがオスカーとの間にできたイザベルの娘であることに気づき……。オリジナル版の男性2人主人公から女性主人公に設定が変更され、テレサ役をムーア、イザベル役をウィリアムズがそれぞれ演じる。(映画.comより)

 

 

 

<2021年3月21日鑑賞>

 わりと豪華なメンバーの映画が上映されてるな、と思って見に行ったら、冒頭「after the wedding」の原題が。「こんな題のマッツさんの映画が昔、あったよな」と思いながらも、その作品はスキップしてしまってあったので、気づかず最後まで見てしまいました。リメイクだったんですってね。今風に、主人公を男二人から女性二人に変えて。

 これはスザンネ・ビア監督のオリジナルを見なければなりませんね。多分話がコロッと変わってしまってあるはずです。はっきり言います。凡作でした。個人的には金持ちのわがままにしか見えなかった。たいそうに”秘密”とか言うのも、わりとよくある設定だったし。ビリー・クラダップが誰かわからんほど歳取ってて軽くショック(笑)。

 役者さんたちはとてもよかったです。特にミシェル・ウィリアムズのきれいだったことったら!彼女、大恋愛中なんですか?近々結婚するとか。お肌つやつや、頬も顎のラインもピン!と持ち上がって輝いていました。「インドでボランティアで孤児院を経営する、資金繰りに走り回る女性」にはちょっとミスキャストだったんじゃないかな、と思うほど。ジュリアン・ムーアに招待されてニューヨークの一流ホテルの豪華スイートに泊ってても全く違和感なし。きれいすぎる(笑)。

 でも、最後にはインドの子供たちの力強さがきちんと描かれていてよかったです。やっぱり、子供の生命力って、すごい。

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チャイルドコール 呼声(Babycall)

2021年03月19日 14時24分49秒 | 日記

どこまでも広がる精神の迷宮 チャイルドコール 呼声 - The Spirit in the Bottle

チャイルドコール 呼声 : 作品情報 - 映画.com

チャイルドコール 呼声 : 作品情報 - 映画.com

 「ミレニアム」3部作、「プロメテウス」のノオミ・ラパスが主演するノルウェー製サイコスリラー。夫の暴力や虐待から逃れ、8歳の息子アンダースとともに郊外のアパートに引越してきたアンナは、就寝中の安全確保のため、息子の部屋に「チャイルドコール」と呼ばれる監視用音声モニターを取り付ける。しかし、ある晩、チャイルドコールから謎の悲鳴が聞こえ、アンナは他の部屋の子どもの悲鳴が混線して聞こえたのではと疑いを抱く。さらに、アンダースの通う学校に夫が現れたという話が耳に届き、アンナの不安は日に日に募っていく。(映画.comより)

 

 

 

<2018年12月10日鑑賞>

 ノオミ・パラスが好きなので、わりと見たかった作品。でも、ほとんど上映されてなくて。録画できてよかった。でも、個人的にはとても怖かったです。

 主人公のノオミは、精神的に少し不安定なようです。でも、学校になかなか行かない難しい息子を一人で育てていて、よく公共の福祉士さんと面談しています。どうやら暴力をふるう夫から逃げて来ているみたいで、その点は福祉士さんも理解しているので、強制することはせず見守っています。

 そんなこんなで、ノオミは多難な人生を送っているのですが、経験からか、外からは絶対そう見えない家庭の子が虐待されているのを察知したり、でも証拠が見つからないから言い出せなかったり。しかし、妙に真っ白なマンションに迷い込んだり(その家庭が住んでるマンション?)、どこまでが現実でどこから幻想なのか、よくわからない描写が続くので、すべてが彼女の幻覚なのかも、と思ったりもします。ノオミって、すごいですね。「プロメテウス」など、信じられないほど強い女性もしっかり演じることができるのに、繊細で病的な女性もハマってる。

 

 

<ここからネタバレ>

 で、障害のある息子ともう暮らしてゆけない、と思い詰めたノオミが、「いやだ、僕はいやだ」と叫んでる息子の手を取って一緒に飛び降りるシーンがあるのです。ここは本気で息が止まるかと思いました。なぜなら、私にも発達障害の息子がいて、やはり将来に絶望し、一緒に死のうと思ったことが一度や二度ではないからです。「こんなになにもできないまま大きくなり、親が死んだら誰が面倒をみるのか」とか、「見かけが五体満足なのに誰が”かわいそうに”などと言って生活費をくれるのか」とか、考え始めると収拾がつかず、思い詰めてしまうのです。もちろん、障害児でなくても将来の不安は一緒かもしれません。でも、通常レベルのことが理解できないと、やっぱり不安でたまらなくなります。

 このシーンは、ある意味幻想で、そこに息子はいないわけですが、現実はもっとショックです。「ビューティフル・マインド」並みに。なんで現実はこんなに悲惨なんでしょうね。やりきれません。

 

 

<本文戻る>

 この作品はノオミがうまい分、リアルなので、気の弱い人はやめておきましょう。

 

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