『ブロークン・フラワーズ』などのジム・ジャームッシュが、『リミッツ・オブ・コントロール』からおよそ4年ぶりに放つ監督作。何世紀も恋人同士として生きてきた吸血鬼の男女が、突如として現われた女の妹と対峙(たいじ)したことで生じる関係の変化を追い掛けていく。『マイティ・ソー』などのトム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントンやミア・ワシコウスカと、実力派俳優が結集。彼らの妙演はもとより、ジャームッシュ監督ならではのユーモラスでシニカルな世界観も堪能できる。(yahoo映画より)
最初にこの映画の情報を得たとき、「え?ティルダとトムヒ?歳が違いすぎるんじゃないの?いくらティルダが若々しいと言っても、そりゃトムヒがかわいそうだわ」と思っていました。
しかし、実際に見てみると、ヴァンパイア独特の暗い雰囲気もあって、この二人が本当にサマになっていました。なにより、美しくて若いトムヒのヴァンパイアは、厭世家で悲観的、そしてすぐにぐちぐちとゴネるのです。それを姉さん女房のティルダが颯爽とカバーしてゆきます。基本的には別に暮らしているようなのですが、今回はティルダが会いにゆくところから始まるのです(ちゃんとタンジールからデトロイトまで、飛行機に乗るところが新鮮でした)。
なにかとティルダに甘えては、へばりついている(笑)トムヒのだらしなくも魅力的なこと!自身が持つノーブルさと、絶対に世間に出ないアングラのカリスマミュージシャンという設定も手伝って、神秘的なまでに美しい。
以前見たスチュアート・タウンゼントの吸血鬼で、ミュージシャンというのがありましたね。そんなことも思い出しながら。彼は世間に出てましたけど。
ともかく、ジム・ジャームッシュの映画ですから、無駄に長い(←褒めてます)。主役の二人を独特の音楽で包みながら、ほとんど意味のないショットやシーンがどれだけ多かったか。ここはもう、肌で映画を感じるしかないようですね。
二人の全裸シーンもあるにはあります。でもそれは、夫婦の営み(ヴァンパイアにもあるのか?)などというものではなく、ただ全裸の二人が向かい合って横たわっている、その様子を斜め上から一瞬映しただけのものでした。
それにしてもティルダのスタイルの良さといったら!!お腹もぺったんこ。はぁ~私よりも年上なのに、なんでそんなにきれいなの?努力してるかぁ・・・女優だもんね。
さて、主役二人のほかには、楽器やその他もろもろ、トムヒの欲するものを調達して来る「なんでも屋」にアントン・イェルチェン(長髪なのでわかりづらい)、ティルダの友人で、純粋な血を調達してくれる「キット」ことクリストファー・マーロウ(!)にジョン・ハート(タンジール在住)。そして、「(500)日のサマー」よろしく、若くてかわいければ何をやっても許されると思っているおバカな妹(ティルダのね)にミア・ワシコウスカ。
ここで、アントン以外はみなヴァンパイアです。特に、ジョン・ハートはどうやら長生きしているうちにいろんな物語を書きあげていて、クリストファーだけではなく、シェイクスピアだったこともあるようです。その辺はにおわせるだけですが。ちなみに、クリストファー・マーロウをネットで引くと、その著書に「エドワードⅡ」があるではないですか!私がティルダを初めて見たのが、多分その映画。デレク・ジャーマンでしたね。あの頃から彼女は中性的な雰囲気でした。
しかし、今は21世紀。人に噛みついて血を吸うような時代ではありません。すぐに足がついてしまいます(笑)。遺体の処理も大変なのです(転生するとは限らないようです)。彼らは、病院でこっそり大金を払って献血の血を買ったり(売ってくれる医者にジェフリー・ライト)、特殊なルートを持っていたりします。うっかり汚れた血を飲んでしまうと、命にかかわるのです。
この辺の描写がまた、おもしろいですね。現代人の血はいろんな病巣だったり、不健康だったりするのです。また、アダム(トムヒ)がひっそり暮らしているのがデトロイトなのですが、本当に荒廃していました。なんだか悲しかったです。ニュースで見たとおりでした。今は少しマシにでもなっているのでしょうか。
ともかく、主役の二人は堪能できますが、基本けだる~い映画です。眠い時に見ちゃいけません(笑)。