1952年2月18日未明、超大型ブリザードが大西洋沖を航行中の大型タンカー、ペンドルトン号を襲った。雪が混ざった強風と大きくうねる波にさらされて、前月に船体を補修したばかりの継ぎ目が避け浸水。真っ二つに裂かれてしまう。タンカーの構造に精通する一等機関士レイモンド・シーバート(ケイシー・アフレック)の指揮のもと、船員たちは沈没を食い止めようと懸命の作業にあたる。一方、沿岸警備隊チャタム支局にペンドルトン号遭難の知らせが入り、新任の司令官クラフ(エリック・バナ)は木製の小型救命艇で生存者救出に向かうよう一等水兵のバーニー・ウェバー(クリス・パイン)に命じる。1年前に似たような状況で8人の命を救えなかったバーニーは、今度こそ誰も死なせないと心に決め、仲間のリヴシー(ベン・フォスター)やフィッツ、マスキーとともに救出に向かう。しかしタンカーの生存者は32人であるものの、小型救助艇の定員は12人。また、コンパスが壊れてしまい、視界がないにも拘わらず方角もわからなくなってしまう。雨と雪が混じった風速40mを超える強風と20m超の高波が襲う中、刻一刻とタイムリミットが迫るペンドルトン号のもとへバーニーらは命がけで向かう。(movie walkerより)
これが実話というのにも驚きますが、やっぱり人間の意志の強さというものに驚きました。もちろん、成功したからの美談であり、失敗に終わって全員が亡くなっていれば「無茶をしただけの、賢明ではない救助員」の話になってしまったのでしょう。そう思うと、なにがそれを分けたのかと、すべての状況・運命が空恐ろしくなりますね。
時は1952年、大西洋は史上最大級のブリザードで大荒れでした。沿岸警備隊の若き隊員クリス・パインは少し前に救えなかった事故があり、本人もトラウマになっていますが、遺族からもネチネチ繰り返し言及されたりしています。みんな海の男、頭ではどうしようもなかったと、わかっているのでしょうけれど。
そんな中、まず大きなタンカーが真っ二つになる事故があり、主力の救助隊はそちらに向かいます。ところが、それよりは小さいのでしょうが、充分に大きな他のタンカーが、同様に大破してしまい、彼らはちぎれて流れていった方に無線などのコミュニケーション機器を積んでいたため、SOSを出す術すらないまま必死にサバイブしようともがいています。この船に乗るのがケイシー・アフレック。普段は目立たない「船にもっとも詳しい男」が一転、その知恵を求められるようになっています。
わずかな灯りと鳴らし続けていた汽笛を発見してもらった二隻目のタンカー。しかし、主力は出てしまっているため、定員12名の小型救助艇しかありません。この大嵐のなか、誰の目にも無茶なミッションなのですが、やるしかありません。エリック・バナ扮する上司の命により、クリス・パイン、ベン・フォスター他若手の4名が出発します。
ここからの描写はすさまじいものがあります。私、船に乗った経験など、フェリーか観光船くらいしかないので、その怖さは想像するしかないのですが、本当に怖かった。あまりの波の高さに、コンパスすら失った彼ら。それでも、プロとしての経験と勘でやってのけたのです。素晴らしい!
映画ですから、失敗せずに救出できるという結果は見えてます。だから映画自体の評価も高くなかったのかな、という気もするのですが、いやいや、なかなか。見応えのある映画だったと思います。クリス・パイン、よくがんばった!(笑)